1on1の失敗例【「やりたくない」と思われる前に】原因と対策

1on1に取り組んではみたものの、失敗に終わることが。失敗を失敗で終わらせず、有効な1on1に変えていくめには、失敗から学ぶことが重要です。

  • 1on1の失敗事例
  • 上司がやりがちな1on1が失敗してしまう原因
  • 1on1の失敗に対する考え方
  • 1on1を成功させるための鍵

などについて、解説していきます。

1.1on1が失敗してしまう原因

1on1を実施したにもかかわらず、うまく機能せず失敗に終わったというケースが見られます。その原因としてよく聞くのは「1on1を上司が適切にリードできなかった」「定期的に上司が1on1を実施できなかった」などです。

しかし、1on1の失敗を上司の責任で終わらせてはもったいないといえます。失敗には必ず原因があるもの。失敗のパターンから原因を探ることで、より効果的な1on1を目指すことができるでしょう。

1on1失敗の原因を分析し、より効果的な1on1の実施に向けて体制を整備することが重要なポイントです

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2.1on1のよくある失敗パターンの例

1on1の失敗にはさまざまなケースがありますが、ここでは、失敗に終わった1on1の中で多く見られる2つのケースを取り上げます。また、失敗からどのようなことを考えていく必要があるのかについても併せて解説しましょう。

業務上で1on1の優先順位が低い

1on1の導入初期によく見られるケースで、「実施する時間がない」という理由で1on1の実施がなおざりにされるケースです。しかし実際は、「1on1よりも優先順位が高い業務がある」「1on1の優先順位が低い」といった説明のほうが正しいでしょう。

1on1を重要視できない職場環境や当事者意識が1on1の失敗につながるのです。

すぐに話のネタが尽きてしまう

ネタが尽きる原因として考えられるのは、1on1を正しく理解し実践していないことです。

1on1が本来担う役目や目的についての理解不足が原因となり、単なる業務連絡や相談の場に終始すれば、連絡事項や相談事項がなくなった段階で1on1を実施する必要性は消滅してしまいます。その結果、1on1は形骸化し、失敗に終わってしまうのです。

1on1の失敗の原因として考えられる2つは、「業務上で1on1の優先順位が低い」「1on1の役目や目的への理解不足」です

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3.上司が1on1を失敗する経験も重要?

1on1が失敗に終わっても、落胆する必要はありません。1on1の失敗は後の糧になるからです。

キャリア開発の分野で著名な高橋俊介氏の著書『ホワイト企業 サービス業化する日本の人材育成戦略』の中で、業務の分業化によって「失敗できないという仕事が増えている」点が指摘されています。

失敗しづらい環境下だからこそ、1on1の失敗が貴重な経験となり、1on1の失敗が成功の鍵に変わるのです。

1on1の失敗はそれで終わらせるのではなく、より効果的な1on1の実施へと経験を活かしていくことが重要です

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4.1on1を成功させるための3つの心構え

1on1を成功させるためには、3つの心構えが必要だと考えられています。

  1. 毎回1on1を成功させる必要はない
  2. 1on1は部下と一緒につくり上げるもの
  3. 正しさよりも楽しさを重視する

①毎回1on1を成功させる必要はない

「会話が弾ます失敗に終わった」「内容が深掘りできず中途半端に終わってしまった」など、1on1がうまくいかなかったとしても、自分を責める必要はありません。

「今日は会話が弾まなかった」「今日はまだ問題解決の途中の段階だった」とただ認識するだけでいいのです。1on1を必ずしも毎回、成功で終わらせる必要はありません。

②1on1は部下と一緒につくり上げるもの

上司は、「上司は常に部下の模範でなければ」「上司は部下に対し常に有意義な情報を提供しなければならない」などと意気込みすぎたり、かっこつけたりするような姿勢で1on1に臨んではいけません。

理由は、上司自身が意気込みを持続させることに疲れてしまうからです。1on1を長続きさせるには、上司と部下が一緒に1on1をつくり上げるという一歩引いた気持ちが必要といえます。

③正しさよりも楽しさを重視する

1on1を成功させようとするあまり、1on1の理想的な姿を追い求めるケースもあります。
「こうあるべき」といった理想を追い求めすぎれば、1on1は自由闊達なコミュニケーションの場でなくなり、堅苦しい雰囲気に包まれてしまうでしょう。

部下からさまざまな話題を引き出すためにも、部下が1on1に楽しいイメージを持つよう工夫することが必要です。

1on1を成功させるためには、「毎回成功させる必要はない」「部下と一緒につくり上げる」「楽しさを重視する」心構えが重要です

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5.失敗しない1on1の仕組みづくり

最後に、1on1を失敗に終わらせないための仕組みづくりについて解説します。

部下の気持ちをオープンに

上司と部下相互の信頼関係は不可欠です。その信頼関係を構築するには、相互理解がベースになるでしょう。そのためにまず上司自身が、「言いたくない」「出したくない」情報を部下に開示するのです。

上司が自己開示する・部下が上司に対し心を開く・部下が本音を話すようになる・部下をより深いところで理解できるようになる、というステップが踏めれば、1on1の成功確率は一気に高まります。

具体的方法:自分の失敗経験を話す

人は、ここだけの話や秘密、悩み事や失敗を打ち明けられると心を開き、相手との距離を縮めようとする習性があります。特に、聞いていて思わず笑みがこぼれてしまうような失敗談は、相手の心を解かすのに好都合です。

上司は、どのような情報を開示すると相手との距離が縮まるか「自己開示ネタ」をいくつか用意しておきましょう。部下との距離がグッと近くなりやすいです。

部下自身に1on1の重要性を理解させる

一般に企業で用いられるアウトサイドインの施策は、施策を企業側が設定する企業は社員に施策を強制するというもの。しかしこれは、社員の主体性や自主性といったものを頭から否定してしまいます。

強制ではなく推奨という形で、社員自らが1on1を理解し実践していけるよう、やる気になれる・ダサくなくかっこいいといったイメージの仕組みづくりが求められます。

定例以外の1on1も行う

1on1は、定期的に上司と部下がミーティングを開く人事施策です。ただ、定期的という部分にこだわってしまうと、コミュニケーションがスムーズにいかない場合も出てきます。

定期的・必要なタイミングの両方を鑑み、最大の効果が得られるタイミングを上司と部下の双方で考え、臨機応変に1on1を実施できる仕組みを設けましょう。

1on1を失敗させないために、「部下の心を開かせる」「強制でなく推奨する」「定例以外でも実施する仕組みづくり」が求められます