1on1ミーティングはアメリカのシリコンバレーで日常的に行われています。近年、世界的に注目を集めているため、日本の有名企業も取り入れ始め、話題になっているのです。
そんな1on1ミーティングの効果をより高めるためには、どのような対話を進めていけばよいのでしょうか。
- テーマの分類
- テーマの選び方
- 話し合う7つのテーマの具体例
など1on1ミーティングにおける具体的なテーマの例を紹介します。
目次
1.1on1ミーティングにおいて何をテーマに話すべきか?
1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に1対1で対話をして、相互のコミュニケーションを高めるもの。自由に話し合うことで、上司が部下の現状を把握して個人の成長へとつなげていきます。
しかし実際に導入してみると「継続的な話題に乏しい」「何を話せばいいのか分からない」などの問題が出てくるのです。1on1ミーティングでは何をテーマに話すべきかを考えていきましょう。
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2.1on1ミーティングと人事考課(面談)のテーマの違い
上司と部下の1対1のミーティングといえば、人事考課が主流でした。人事考課とは、業務成績や能力などを一定の基準で査定して、昇給やボーナスなどに反映するものです。
1on1ミーティングは、これまでの人事考課とは面談のテーマが全く異なります。用事がなくても週1回、月1回などの短期間で定期的に行い、自由な内容で話します。上司が一方的に指示を出す、指摘をする、報告を求めるなどの管理的なものではありません。
1on1は自由な対話から、上司と部下が信頼関係を築く場で、上司が部下の成長を支援する場なのです。
自由な対話ですので、
- 上司にサポートしてほしいこと
- 仕事の悩み
- プライベートの悩み
- 上司に知っておいてほしいこと
- 社内での人間関係やコミュニケーションの問題
- 事業戦略に対する疑問、意見
などプライベートから仕事に関する内容まで幅広く話し合います。
1on1と人事評価面談の違いは?
上司と部下が1対1で会話をする1on1ミーティングは、アメリカのシリコンバレーでは日常的に行われているコミュニケーションの手法ですが、近年、日本の有名企業が続々と導入しているため話題となっているのです...
3.1on1ミーティングにおけるテーマの分類
1on1ミーティングにおいて話し合うテーマは大きく7つに分類できます。
- プライベートの相互理解
- 心身の健康チェック
- モチベーションアップ
- 業務・組織課題の改善
- 目標設定/評価
- 能力開発/キャリア支援
- 戦略・方針の伝達
ミーティング時に毎回話すテーマと、その時々の状況に合わせて話すテーマがあります。テーマの選び方、各テーマの具体例を説明しましょう。
テーマの選び方
1on1ミーティングで話し合う7つのテーマを見ると、毎回話すテーマと状況に合わせて話し合うテーマの2つがあります。
毎回話し合うテーマは、
- プライベートの相互理解
- 心身の健康チェック
- モチベーションアップ
といった司と部下の信頼関係づくりに必要な3つのテーマです。部下の現状や悩み、不安に上司が寄り添いながら、相互の関係性を深めていきます。
状況によって話し合うテーマは、
- 業務・組織課題の改善
- 目標設定/評価
- 能力開発/キャリア支援
- 戦略・方針の伝達
など。1回のミーティングですべてを話す必要はなく、部下の現状を知った上で上司が支援すべき点に絞って対話していきます。この繰り返しが部下一人ひとりの成長を促し、会社や組織にも高いパフォーマンスを生み出し、最良の結果をもたらすのです。
4.1on1ミーティングのネタ・テーマ一覧
①プライベートの相互理解
プライベートの相互理解では、自由に話し合いながらコミュニケーションを深めていきます。
- 週末は何をして過ごしているのか
- 何をしているときが一番楽しいのか
- 好きな食べ物、好きなスポーツ、好きなテレビ番組
- 家族との過ごし方
- 最近、気になったニュース
などプライベートに関する話題や時事ネタ、価値観についての会話など、仕事以外でのお互いについて知る話題を取り上げるのです。こうした雑談は場を和ませるのに適しており、1on1ミーティングのスタート時や会話が途切れたときなどに有効といえます。
②心身の健康チェック
心身の健康チェックでは、部下の心身の状態、日々の業務時間と業務量などを確認します。
- 最近、よく眠れているか
- 体調に変化はないか
- 日々の業務量が過多になっていないか
- 日々の業務時間が不規則になっていないか
- 家に仕事を持ち帰っていないか
など体調の確認、心身の健康チェックを1on1ミーティングで行うのです。基本、自由にどんなテーマで会話を進めてもよいのですが、心身の健康は重要なテーマですので、毎回確認したいテーマといえます。
③モチベーション
モチベーションアップについては、2つあります。
マイナス面を最小化すること→モチベーションを下げる要因を取り除くこと
会話の具体例としては、
- 業務で気になっていること
- できない業務はないか
- 不安に思っていること
などがあります。部下が抱えるマイナス面を一緒に考えていくことでモチベーションがアップするのです。
プラス面を最大化すること→モチベーションを上げる要因を高めること
会話の具体例としては、
- 責任感や熱意など仕事への取り組む姿勢を褒める
- 社内での評判を伝える
などがあります。上司に認められることでモチベーションもアップするでしょう。
④業務・組織課題の改善
業務・組織課題の改善では、2つの課題を話し合っていきます。
業務改善(現状業務の把握、現状業務の改善)
- 現在携わっている業務内容
- 現状業務の問題点
- 現状業務の改善点
- 業務への個人的な要望
組織改善(組織への貢献)
- 上司への要望
- 現組織の課題
- 人間関係のトラブル
緊急を要しない現状業務の改善点や、社内の人間関係、上司への要望などは、普段の勤務中にはなかなか言いにくいもの。1on1ミーティングだからこそ実現できるテーマです。
⑤目標設定/評価
目標設定/評価では、組織や部署全体の方向性を共有して、社員全員が納得する目標設定にするよう話し合います。
- 現状の業務についてどう考えているのか
- 今後どのような業務に関わってみたいか
- 目標にしたいことは
- 目標達成で得られることは
- 自己評価
などの会話から、部下の考えていることや会社の目標が正確に伝わっているかなどを知ることができます。納得を得て初めて、会社の目標を受け入れてもらえるようになるのです。
⑥能力開発/キャリア支援
能力開発/キャリア支援では、業務を通して自身の気付きを促す会話をして、部下個人の能力とキャリア開発のサポートを行います。
- 自分の強みとは
- 自分の弱みとは
- 自分の強みを生かせる部署や仕事とは
- 現状業務でのやりがい
- 将来的にチャレンジしたい仕事
- 希望するキャリア
などを会話から引き出し、今後のキャリアについて部下自身が考えるきっかけをつくるのです。将来の明確なビジョンや目指すキャリアがない場合は、今の仕事で大切にしていることや頑張っていることを聞き出して、個人のキャリアをサポートします。
⑦戦略・方針の伝達
戦略・方針の伝達では、経営陣など上層部の戦略や方針を、なぜそうした結論に至ったのか経緯を織り交ぜながら、分かりやすく部下に伝えていきます。
- 上層部の会議で決定した内容を報告する
- 結論に至った経緯を伝える
- 結論の背景にある段階を説明する
- 今後の行動について相談する
など、いわゆる「逆ほうれんそう(上司が部下に報告・連絡・相談)」によって、会社の上と下をうまくつないでいくのです。
5.1on1ミーティングテーマの選び方や話し方における注意点
1on1ミーティングはこれまで主流だった人事評価の面談とは違います。上司と部下が1対1の対話を通して、部下の悩みや不安に寄り添いながら個人の成長やキャリアアップを支援するのです。
毎回話すテーマは自由ですが、人材育成のための有意義なミーティングとするためにも、テーマの選び方や話し方に関する注意点があります。
- 雑談だけで終わらせない
- 部下の悩みや不安を解消しながら、課題や問題点を共有する
- 業務の進捗確認をしない
- テーマのゴールを設ける必要はない、しかし会話の着地点をイメージしながら進めていくことは必要