仕事と家庭を両立させたいワーキングマザー。子どもを保育園に入れてキャリアを再スタートさせようとした矢先、ワーキングマザーには「3歳の壁」が立ちはだかります。そこで今回は、人事も知っておきたい「3歳の壁」について紹介します。
「3歳の壁」とは? ワーキングマザーを悩ませる3歳の壁
「3歳の壁」とは、子どもが3歳になる時に新たな保育所を見つけなければならず、キャリアを断念しなければならない現象のことを指します。出産後も仕事を続けるワーキングマザーが増え、保育所不足が深刻となっていることも原因の1つです。厚生労働省の調べでは、全国で保育所に入れない待機児童は2018年4月1日現在で23,553人に上ります。
この待機児童を2017年度末までに0にするという目標のもと、0歳~3歳未満の子どもの保育を少人数で行う小規模保育施設の拡充が進められています。しかし、0歳~2歳の待機児童が0になったとしても、3歳からの預け先が確保できていないという新たな課題が生まれています。
ワーキングマザーに立ちはだかる3歳の壁の現実と課題
2015年8月、子どもの保育と子育て支援を進めることを目的とした、「子ども・子育て支援法」が施行されました。中でも注目されているのが、0歳~3歳未満の子どもを、少人数の環境で保育する「小規模認可保育所」を国の認可事業とした政策です。
しかし、2016年12月に、総務省より発表された調査結果によると、約900以上ある小人数制の保育施設のうち、約30%が認可の条件であるはずの「3歳を過ぎてからも受け入れをしてくれる施設を確保する」という条件をクリアしていないことがわかりました。
また、「連携先をすでに確保してある」と答えた施設に対し、「その施設までどのくらいかかるか」を尋ねたところ、回答した約160施設のうちの20%が「5km以上離れている」とし、3歳からの預け先が確保できていたとしても、利用者にとってはなかなか通いづらいという事実がわかりました。
3歳の壁を乗り越えるには時短勤務など企業の支援が必要
3歳の壁を乗り越えられない場合、ワーキングマザーである社員はキャリアをあきらめて育児を選ぶことになり、企業は優秀な人材を失ってしまいます。企業としては出産後の育児休暇制度だけではなく、ワーキングマザーが3歳の壁を乗り越えるための支援策についても率先して対策を講じる必要があります。
3歳からの保育所は確保自体が難しいので、もし確保できたとしても条件の良い施設を選んではいられない状況です。自宅から遠かったり、迎えの時間が早かったり、仕事との両立が難しいケースも出てきます。
企業ができる支援策としては、3歳未満の子どもがいる社員に対して法律で与える義務がある時短勤務制度を、就学前まで制度が利用できるよう就業規則を変えることや、保育園の降園後に、子どものつなぎ保育としてベビーシッターを利用している社員に対し、費用を一部負担することなどが考えられます。