3Cとは? 分析、6つのポイント、フレームワーク例、企業の例

3Cとは、マーケティング環境を分析するフレームワークのことです。ここでは3Cの目的や実施する際のポイント、3Cを活用した企業例などについて解説します。

1.3Cとは?

3Cとは「3C分析」という、市場や顧客、競合、自社の3つから成功の要因を見つけ出すフレームワークのこと。

市場や顧客を意味する「Customer」、競合を意味する「Competitor」、自社を意味する「Company」、それぞれの頭文字を取って、3Cあるいは3C分析と呼びます。

それぞれの視点から分析し、自社の成功要因や課題を見つけ出していくのです。近年、事業戦略の立案に3C分析を活用している企業が増えています。

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2.3C分析とは?

3C分析は、おもに戦略マーケティングにおいて活用されるフレームワークです。以下3つの視点から成功要因の発掘および自社の強みと弱みを分析します。

  1. Customer:市場や顧客
  2. Competitor:競合他社
  3. Company:自社

企業のマーケティング戦略を考えるフレームワークは3C分析以外にも多数存在します。3C分析は深層部分まで専門的に掘り下げずに分析できるのです。そのためあらゆる企業が手軽に、そして客観的に自社の状況を分析できます。

3C分析の目的

目的は、成功要因を見つけることです。

たとえば自社の通販部門の売上が伸びた要因を「テレワークの浸透によってサラリーマンの購買行動に変化が見られるようになった。このニーズに競合他社はまだ対応できていないため、自社の売上が伸びた」と分析したとしましょう。

この場合、結果は「サラリーマンを対象にオンライン販売に力を入れる」という戦略に活用できます。3C分析によって成功要因を見つけ出せれば、より効率的な方向性を立てられるのです。

「Customer(市場・顧客)」の分析

3C分析では、「Customer」つまり市場や顧客の分析からはじめます。ここを把握しないまま次の分析を進めても、自社の強みや弱みを正しく評価できません。Customerの分析では、一般的に以下3つの方法を用います。

  1. マクロ分析:景気変動や法律改正、流行など社会的な変化を分析する。4つの視点から環境分析を進める「PEST分析」が効果的
  2. ミクロ分析:業界の構造変化から、自社利益に影響を与える要因を分析する。5つの観点から要因を分析する「ファイブフォース分析」が効果的
  3. 顧客分析:マクロ分析とミクロ分析で得た情報が、顧客のニーズにどのような影響を与えているのかを分析する。アンケートやヒアリングなど

「Competitor(競合)」の分析

市場や顧客の分析が完了したら、競合他社の動向分析です。ここではCustomerの分析結果にもとづいて、市場の変化、そして顧客ニーズの変化に競合がどう対応しているのかを分析します。競合他社を分析する際の視点は、下記の2つです。

  1. 競合他社が生み出した成果
  2. 競合他社がその成果を生み出せた理由

売上や利益率、販売管理費用や広告宣伝費など、成果を生み出すために行った点をさまざまな視点から調査します。収集しにくい情報もあるでしょう。できるだけ幅広い視点の情報を集めると、自社に有利なポイントが見つけやすくなります。

「Company(自社)」の分析

CustomerとCompetitorの分析結果をもとに自社の成功要因を導き出し、経営戦略を立てていきます。「ヒト・モノ・カネ」の経営資源を生かしながら、自社が打つべき次の一手を検討する段階になります。

ここでも経営資源や収益性、技術力や市場シェアなどさまざまなポイントに着目して、自社の強みと弱みを導き出すのです。

なおここでは「自社の強み」「自社の弱み」「機会」「脅威」の4つの観点から分析する「SWOT分析」を活用します。プラス要因とマイナス要因を明確にして、課題やリスクなどを可視化できるフレームワークです。

4C分析とは?

「市場と顧客」「競合」「自社」の3Cに「Channel(流通)」をくわえたフレームワークのこと。以下4つの頭文字を取って4C分析と呼ぶ場合もあります。

  1. Customer Value:顧客価値
  2. Cost:顧客が費やすコスト
  3. Convenience:顧客にとっての利便性
  4. Communication:顧客とのコミュニケーション

3C分析では顧客や競合、自社など多角的な視点から分析するのに対して、4C分析では顧客の視点に立って分析を進めます。

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3.3C分析を行う際のポイント6つ

3C分析はシンプルなフレームワークゆえ、効果的な活用が難しいです。そもそも3C分析の結果に唯一絶対の正解はないのです。企業経営は算数ではないため、事実のみを集めて手順どおり進めていけば、誰しも必ず成功するわけではありません。そこでおさえておきたいのが下記6つのポイントです。

  1. 分析目的を明確に設定する
  2. 情報を取捨選択する
  3. 必要以上に時間をかけない
  4. マクロとミクロの視点を持つ
  5. 希望的観測を取り除く
  6. テンプレートを活用する

①分析目的を明確に設定する

まずは何のために3C分析を行うのか、その目的を明確に設定します。先に触れたとおり3C分析を行うおもな目的は、自社事業が成功するための要因、すなわち「ビジネスの成功要因(KSF:Key Success Factor)」を見つけること。

この部分を明確にしておかないと、必要な情報と不要な情報が混同し、分析で必要以上に時間がかかってしまいます。3C分析によって明確にしたいものは何か、その目的をはっきりと設定してから分析を進めましょう。

②情報を取捨選択する

3C分析ではCustomer(市場や顧客)とCompetitor(競合他社)、Company(自社)と3つの要素を分析します。それぞれマクロとミクロの視点から分析すれば、情報は無数に出てくるでしょう。

少しでも多くの情報から分析できれば、より効果的な答えが導き出せるかもしれませんが、現実的に難しいものがあります。「顧客のなかでも特にこの層の動きに注視したい」というように、ある程度絞って分析を進めることがポイントです。

③必要以上に時間をかけない

「戦略マーケティングは自社経営の今後を左右する。できるだけ時間をかけて綿密に進めたい」と考える経営者も少なくありません。しかし市場や顧客、環境や競合他社の動向はつねに変化するもの。

市場が変化すれば、顧客のニーズや悩みなどは当然変わります。時間をかけてじっくりと分析しても、状況が変化したら古い情報をもとにした分析結果になるため、効果的な戦略とはいえません。

3C分析ではスピード感を持って分析し、戦略を導き出す必要があります。

④マクロとミクロの視点を持つ

たとえばCustomerで考えた際、法律や景気、技術動向や政治などのマクロ情報は比較的手に入りやすい情報です。しかし実際の成功要因として、市場の構成要素や競争環境、構造変化などミクロ視点での情報が鍵を握っている場合もあります。

一方、業界に精通しているがゆえ大局的なマクロ分析が抜け、近視眼的なミクロ分析のみとなる可能性もあるでしょう。3C分析ではどちらかにかたよらず、2つの視点から分析することが重要です。

⑤希望的観測を取り除く

自社の情報であれば信ぴょう性は確保しやすく、正確性も高まるでしょう。しかし「ここは自社の強みであるはず」と希望的観測を分析材料に入れてしまうと、客観的な判断は難しくなります。

収集した情報に誤りがあれば分析結果も間違ったものとなり、効率的な戦略につながりません。特に業界内での相対的な自社ポジションを判断する際、注意が必要です。

⑥テンプレートを活用する

3C分析では「PEST分析」や「5F分析」、「SWOT分析」などさまざまなフレームワークを活用します。新たに3C分析を導入する企業や不慣れな企業には、テンプレートやフォーマットの活用がおすすめです。

なかには無料で使用できるものもあります。3C分析がどのようなものか知りたいときは、テンプレートを活用しましょう。

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4.3C分析以外のフレームワーク例

3C分析以外にもさまざまなフレームワークがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. PEST分析
  2. ファイブフォース分析
  3. VRIO分析

①PEST分析

マーケティング戦略を立てる際、政治や経済などのマクロ環境を分析するフレームワークのこと。以下4つの頭文字を取った分析方法です。

  • P:Politics(政治)
  • E:Economy(経済)
  • S:Society(社会)
  • T:Technology(技術)

PEST分析はマーケティング戦略の第一歩といわれています。自社では統制できない4つのマクロ環境を分析して、影響の予測や経営戦略に役立てます。

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②ファイブフォース分析

以下5つの要素から業界の構造を把握するフレームワークのこと。

  • 業界への新規参入企業
  • 買い手(顧客)の交渉力
  • 売り手(サプライヤー)の交渉力
  • 代替品の存在
  • 業界内での既存競合他社

目的は、自社が属する、あるいは新規参入を検討している業界の現状を明らかにすること。自社が生き残るには「新規参入で収益性が見込めるのか」「十分な収益性を確保するにはどこをどう改善すればよいのか」をみきわめなければなりません。

5つの要素から具体的な戦略へ落とし込んでいきます。

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③VRIO分析

自社の経営資源に注目したフレームワークのこと。以下4つの経営資源にフォーカスして、自社の強みと弱みをみきわめます。

  • V:Value(価値)
  • R:Rarity(希少性)
  • I:Imitability(模倣困難性)
  • O:Organization(組織)

VRIO分析によって、自社の経営資源である「ヒト、モノ、カネ、情報」の市場競争優位性を把握できます。

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5.3C分析を活用した企業の例

3C分析の具体的な活用方法を知るためにも、実際に3C分析を進めた企業の例から学びましょう。

  1. 楽天
  2. ZOZO
  3. オリエンタルランド
  4. マクドナルド
  5. 星野リゾート
  6. セブン-イレブン

①楽天

楽天グループでは「EC」「FinTech」「デジタルコンテンツ」の3つを事業の軸として据えています。とりわけ印象の強い「EC事業」は成長産業のため、この分野でのシェア争いと顧客獲得競争は年々激しくなっているのです。

楽天グループにとってのCompetitor(競合他社)といえば、世界最大のインターネット通販企業「Amazon」。同社との差別化を図るため、楽天グループではさまざまな施策を実施しているのです。

また楽天グループの強みは、多分野にまたがる顧客基盤と豊富なサービス運営力。これらを活用して新規事業の積極的な投資を行っているのです。しかし軌道に乗っていない事業や反発、不満の声などの課題もあります。

②ZOZO

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営しているZOZOでは、3Cを次のとおりに分析しています。

  • Customer:アパレルECサイトの市場規模は右肩上がりが続いており、求めるファッションアイテムは年齢層や性別によって異なる
  • Competitor:競合は「SHOPLIST」や「夢展望」など。いずれも特定のジャンルに力を入れている
  • Company:強みは知名度が高い点と、さまざまなジャンルのブランドを取り扱っている点

ZOZOでは、競合のECサイトが低年齢層をターゲットにしている点に注目。競合ECが若い女性向けのデザインやブランドを充実させるのにたいして、ZOZOでは幅広い年齢層に対応するためのブランドやアイテムを取り扱う戦略に切り替えました。

この戦略が功を奏し、売上向上につながったという事例です。

③オリエンタルランド

東京ディズニーリゾートを経営するオリエンタルランドのコンセプトは「夢」を提供すること。

ディズニーランドやディズニーシーに過激なアトラクションはありません。それにもかかわらず、Customer(顧客)は9割以上ものリピート率を誇ります。国内にはこのほかにもさまざまなテーマパークがあるものの、Competitor(競合他社)との差は歴然です。

オリエンタルランドの強みは、ディズニー社とのライセンス契約による徹底した世界観の構築。アトラクションに留まらず、ディズニーホテルやディズニーリゾートラインなど、あらゆる面からディズニーの世界観を満喫できるようなサービスを展開しています。

④マクドナルド

ハンバーガー業界のトップを走るマクドナルドでは、Customerとして「リーズナブルな食事」「スピーディーな食事」2つのニーズに注目しました。

Competitorであるモスバーガーやロッテリアなどと比較すると、提供までの時間や価格などに力を入れているとわかります。

メニューの豊富さや魅力的な商品開発などもマクドナルドの魅力のひとつ。しかしこれらを強みとしているがゆえ、手の込んだ料理を提供しているとはいえず、本格的な味を求めている人や、ゆっくり食事を楽しみたい人には不向きであるという弱みが見えました。

⑤星野リゾート

星野リゾートではインバウンドやファミリー層を大きなターゲットにしています。Competitorはビジネスホテルや格安のカプセルホテル、24時間営業のネットカフェやカラオケなどです。

Competitorは観光後に体を休めるだけの施設であり、観光やリラクゼーションはほかを探さなければなりません。しかし同社では施設ごとに異なる多彩なコンセプトを設計し、高品質なサービスによって滞在そのものを楽しませる方向に力を入れています。

「顧客満足度は社員満足度を高めてこそ」という考えが現場社員の裁量権に、そしてリピーター獲得につながっています。

⑥セブン-イレブン

セブン-イレブンは、地域に特化して店舗を集合させるマーケティング「ドミナント戦略(ある一定のエリアに集中して出店する作戦)」で有名です。

同社ではCustomerを「ほしいものがすぐに買える」「ほしいときに食べられる」というニーズにフォーカスしました。Competitorとなるのは、もちろんファミリーマートやローソン、ミニストップなどのコンビニエンスストアです。

セブン-イレブンは圧倒的な店舗数とドミナント戦略でその地域の顧客を囲っています。あえて近隣に出店して、物流効果をアップさせ、多頻度配送によって「いつでも食べたい商品が並んでいる」という強みを獲得しました。