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経営資源には「ヒト・モノ・カネ」の3つがあります。そのなかでも「ヒト」を管理する人材管理は、どの企業にとっても常に考えておかなくてはならない非常に重要なテーマでしょう。
ここでは、
- 人材管理の効果的な方法や手順
- 人材データベースの作り方
- 概念フレームワーク
などについて見ていきます。
目次
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1.人材管理とは?
人材管理とは、について下記の記事でご紹介しています。参考にしてみてください。
人材管理とは? クラウド型人材管理システム活用で開ける可能性
適材適所を可能とする人材管理に成功すれば、組織の戦略実行力が強化されると同時に、個人の意欲の向上や自己実現がなされ、人材の育成や惹きつけにつながることになります。
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2.人材管理の方法、手順
人材管理と一口にいってもその概念は幅広いです。
ここでは人材管理を人的資源管理(Human Resource Management)の意味に絞って、
- 事業目標の決定方法
- 必要人員の予測
- 要員計画
- 配置転換、採用、育成施策の実行
- 各種パフォーマンスの評価
上記側面から、方法や手順について詳しく見ていきます。
①事業目標の決定方法
最初の手順は事業目標の決定です。
企業の経営計画や戦略目的を実現するため、まず組織やチームごとに部門別行動計画を作成します。部門別に行動計画を立てることで、現場により密着した実効性の高い計画をもとにプロジェクトを進めることができます。
計画には利益を生むための予算計画や、従業員・チームに対して、具体的な個別活動実行計画を盛り込むようにしましょう。個々の動きが明確になれば社員も動きが取りやすく、スムーズな運用にもつながります。
②必要人員の予測
次の手順は計画に対して必要とされる人員の予測です。
このステップでは現有する人員数とそれぞれの能力を把握し、事業目標を達成するために必要とされる人数や能力に過不足がないかを分析します。
現有の人員や能力と、本当に必要な人員や能力とのギャップを知ることで必要人員が予測でき、次ステップの要員計画につながりやすくなるというわけです。不足があれば補充、余剰があれば削減し、効率よく業務を進めることが大切でしょう。
③要員計画
ここでは3つ目の手順である、要員計画の策定について見ていきましょう。
まず、
- 異動計画:必要な人員から具体的な人件費を算出し会社が保有する人材を適所に配置
- 採用計画:不足している能力をもつ人材を新たに採用するための計画
を定めます。
また人材レベルの底上げや不足能力の補強といった意味から、教育訓練などの育成計画も立てます。過剰分については、異動や非正規社員・外部人材への切り替えなど対応を検討する必要があるでしょう。
経営目標を起点として、目標を達成するための行動計画、要員計画へとブレイクダウンしていきます。
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④配置転換、採用、育成施策の実行
次はいよいよ要員計画で計画したことの実践・実行です。異動計画に基づいて、配置転換や新卒採用・中途採用を実行します。
育成計画では、
- 上司や先輩の社員が指導をするOJT(On-The-Job Training)
- 職場を離れて必要な知識や技術を習得するOFF-JT(Off-The-Job Training)
などを活用した育成施策を実施するのです。社員は、個別活動実行計画で期待されている成果、目標に基づいて、各々の課題に取り組む必要があります。
⑤各種パフォーマンスの評価
経営計画から始まった行動計画・要員計画、そして計画実行というサイクルが終わったら、各段階のパフォーマンスに対する評価を行います。
予算計画や個別活動実行計画の実行はどこまでできたか、目標はどれだけ達成できたかデータを取って可視化するとさまざまな課題が見えます。
- 異動計画
- 採用計画
- 育成計画
などについてもそれぞれ何が良く何が悪かったかなどをきめ細かに評価しましょう。
人的資源管理の側面から見る人材管理では、事業目標の決定から必要な人材の計画、施策の実行、評価とPDCAを回していくことが求められます。
カオナビなら、人材情報を一元化・見える化し、事業目標と連携させた戦略的かつ効果的な人材管理を実現する機能を豊富に備えています!適材適所な人材配置や適切な育成プランを検討するための情報を収集・分析できるだけでなく、ダッシュボードで進捗を確認しながら人員計画が進められます。
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3.Excelでも可能な人材管理データベースのつくり方
ここでは人材管理におけるデータベースのつくり方を見ていきましょう。人材管理データベースがあれば、予算計画、個別活動実行計画をはじめ、要員計画全般まで幅広く活用できます。エクセルでも作成可能なため、導入のハードルも低いといえるでしょう。
構築のポイント
人材管理データベースには構築のポイントや注意点があります。特に認識しておきたい3つの要点をご紹介しましょう。
- 閲覧権限をあらかじめ決めておく
- スモールスタートを目指す
- データ更新ルールを決める
①閲覧権限をあらかじめ決めておく
人材管理データベースをオープンにする場合、パスワードなどを設定し閲覧権限を設けておくことは必須です。データベースには給与、人事評価結果など個人情報が多く含まれていますので、第三者に見られてはいけない情報の管理には細心の注意を払わなければなりません。
もし秘匿性は高いが使用頻度が低いといった性質の項目であれば、無理に作らないほうがよいでしょう。
流出を防ぐために、
- 閲覧できるパソコンを限定
- メールでデータのやり取りはしない
などの運用ルールを構築することも必要です。
②スモールスタートを目指す
最初は小さい部門やチーム単位でスタートさせ、運用方法がある程度固まってから全社で展開します。最初から全社的規模で人材管理データベースを導入する場合でも、投入データ項目や内容は最小限に抑えましょう。
最初から「完璧な」データベースを目指すと、データベースの構築が進まない状況にもなりかねず、場合によっては、ようやく構築したデータの更新作業に追われて活用に手が回らない場合もあります。注意しましょう。
③データ更新ルールを決める
人材管理データベースは一度作って終わりではありません。定期的かつ適度なデータ更新が必要です。
データの更新がされなければ活用しにくくなり、やがて使われなくなる場合もあります。だからといって更新頻度を高くしすぎると、担当者がほかの業務にかける時間を圧迫してしまいます。
また、
- 更新方法
- 担当者
- データのバックアップ
についても事前に決めておきましょう。
データベースに必要な項目例
人材管理データベースを作成する際にどのような項目を取り入れたらよいのかお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、各種マネジメントに活用しやすい6つの項目について解説します。
- 基本属性
- 実績ほか各種履歴
- 勤怠
- 能力・スキル・資格
- マインド
- 職務内容
①基本属性
まずは人材の基本となる情報として、基本属性をおさえておきましょう。基本属性とは、下記のような項目です。
- 社員の氏名
- 年齢
- 性別
- 所属
- 役職
- 等級
必要であれば、入社年や住所、緊急連絡先などの情報も入れておくとよいでしょう。また変更があればすぐに対応し、常に最新の情報にしておくことも重要なポイントです。
②実績ほか各種履歴
- 職歴
- キャリア
- 学歴
- 所属履歴
- 人事評価履歴
- 上司履歴や部下履歴
など各種経歴も記録できるようにしておきましょう。
また育成計画にも関わるような研修受講履歴、業務の成果、受賞歴・表彰歴といった項目は各種マネジメントに活用できて便利です。自社の人材管理に必要であろう項目をセレクトし、効率よく活かしていきましょう。
③勤怠
勤怠状況も人材管理データベースに必要な項目です。
- 残業時間
- 遅刻・早退・欠勤
働き方改革法の成立によって残業の上限を超えた場合は罰則が与えられるため、今後は今まで以上に残業時間の把握に注力しなくてはなりません。
また遅刻、早退、欠勤が頻発している従業員は、働く上で何か問題を抱えている可能性があります。早めの対処により環境を整備できる点を認識しておきましょう。
働き方改革とは? 実現に向けた取り組み方や施策事例
今、多くの企業が国際競争力の低下や人手不足による採用難などのさまざまな課題を乗り越えるため、長時間労働の見直しやテレワークの推進といった「働き方」の見直しを始めています。
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④能力・スキル・資格
人材管理データベースには、能力、スキル、資格といった項目も必須です。個々の社員がどんなスキルを持っているのか、業務に役立つ能力を把握するには、保有資格の把握も有効でしょう。
保有資格やスキルレベルを把握して要員計画に反映すれば、社員一人ひとりが持っている能力、保有する資格を大いに発揮できるチャンスを大幅に増加できます。
⑤マインド
人材管理データベースには、
- 社員の性格
- 思考
- モチベーションが把握できるマインド
- 適性検査結果
- 満足サーベイなどの調査結果
- キャリア志向
- 面談履歴
- 上司メモ
まで幅広く記録しておくようにしましょう。たとえば、今の業務が向いていない、職種を変更したいなどのマインドが確認できれば、他部署への異動を検討することも必要です。
適性検査とは? テストの種類と内容一覧、問題と対策を簡単に
適性検査といえば、新卒や中途採用時の判断材料に使うイメージがあるのではないでしょうか。実は、既存社員の配置や評価といったものに活用できる適性検査も多く存在しており、その種類は多種多様なのです。
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⑥職務内容
現在の職務内容についても把握できるようにしましょう。個々の社員が現在どんな仕事を担当しているか、ミッションや目標も含めてデータベースに追加します。
現時点における従業員の情報をしっかり把握しないと、必要人員を検討するときの基礎データがないため困ります。職務内容の把握は、人材管理のベースに必要な部分です。
人材管理データベースを構築する上で、どのような情報を管理するかは企業によって異なります。
柔軟設計のカオナビなら、自社の人事施策に合わせた人材管理を実現!既存システムとも連携できるため、あらゆる人材情報を一元管理し、必要な時にいつでも活用できます。また、閲覧権限はユーザー別に細かく設定できるため、必要な情報だけをオープンにできます。
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4.人材管理の概念フレームワーク
ここでは、人材管理の概念フレームワークとして、
- ミシガンモデル(SHRM)
- ハーバードモデル
- 高業績HRM(AMO理論)
- 高業績HRM(PIRKモデル)
- タレントマネジメント
の5つを例に挙げてご紹介します。実際のフレームワークを知ることは、自社での人材管理をスムーズに進める一助となるでしょう。
①ミシガンモデル(SHRM)
ミシガンモデルは1980年代にミシガン大学での研究結果をベースとした人材管理の基本モデルです。人的資源管理としての人材管理は、企業の戦略的マネジメントの一部であり常に経営戦略や戦略目標との互換性を考慮して行うことで、個人のみならず組織が生み出す成果も向上するとしています。
- 採用・選抜
- 人材評価
- 報酬
- 人材開発
4機能が関係性を持つことでパフォーマンスが上がるという視点から、4機能と経営戦略や企業の組織構造をマッチングさせている点で、従来にない新しい人材マネジメントとして広まりました。
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②ハーバードモデル
ハーバードモデルは、ハーバード大学で1980年代に行われた人的資源管理に関する研究がもとになっているモデルです。ハーバードモデルにおいて人材管理は、下記2つから影響を受けていると説いています。
- 状況要因 経営理念や経営戦略、従業員の特性などで構成
- ステークホルダーの利害 経営者、従業員、株主、政府、地域社会などで構成
従業員の影響、人的資源のフロー、報酬・職務システムを実効性高く機能させることで、コストの有用性の向上と個人や組織目標の合致を実現できるとするものです。
③高業績HRM(AMO理論)
高業績HRMの中でもAMO理論は、下記3要素がもとになっています。
- 能力(ability)
- モチベーション(motivation)
- 機会(opportunity)
3要素を向上できた場合、組織における持続的競争で優位性を高められるとした人材管理理論です。
高業績HRMによる効果は、従業員のスキルや教育といった「人的資本」よりも満足度や組織への信頼といった「従業員モチベーション」に作用しやすいと分かっています。
④高業績HRM(PIRKモデル)
高業績HRMの中に位置付けされているPIRKモデルは、下記4要素を用いたモデルです。
- 権限(power)の委譲
- 情報(information) の共有化
- 公平な報酬(reward)
- 従業員に帰属する知識(knowledge)
4要素により従業員に対して手続き面での公正知覚(procedural justice perception)や情動的組織コミットメント(affective organizational commitment)を高め、離職や転職に対する意思を低下させることが可能としています。
⑤タレントマネジメント
タレントマネジメントは経営戦略を実現するための企業内の仕組みのこと。タレントとは、「才能・素質」という意味の言葉です。スキルのある人材の確保は、企業の持続性に大きな影響を与えます。
タレントマネジメントでは将来的に企業の経営に携わるような有能な人材を対象として、下記のようなあらゆる人材管理についてマネジメントします。
- 採用
- 育成
- 配置
- 評価
- 処遇
- 後継者養成
すべては、経営目標や業績目標の達成を目指しており、それに向かって物事を推し進めることができる有能なリーダーを確保していくためのマネジメントです。下記の記事でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。
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