ニートという言葉を私たちは普通に使っていますが、その定義をきちんと理解していますか?少子高齢化で今後さらに労働力が減少していくことが予測される中で、ニートを労働力として採用する企業も出てきています。
ニートとは?ニートの意味とフリーターや引きこもりとの違い
ニートという言葉はイギリスで生まれました。“Not in Education, Employment or Training”という言葉の頭文字を取ったのがニート(NEET)です。
16歳から19歳までの若者のうち、学生でもなく、働いておらず、仕事に就くための職業訓練も受けていない、つまり仕事をする意思のない人たちのことを表しています。この言葉が日本に伝わり、日本独自の定義が生まれました。
厚生労働省によると、日本でニートというのは、年齢は15歳から34歳とイギリスより幅があります。
そして、働いていない人達で、通学もしておらず、家の仕事、あるいは家事を手伝っているわけでもなく、仕事に就くために就職活動もしていない人たちのことを言います。
失業していても働く意思がある人や、正規雇用ではなくてもフリーターやアルバイトという形で仕事をしている人はニートではありませんが、いわゆる引きこもりの状態の人は、ニートに数えられます。厚生労働省によると、平成14年度から全国のニートの数は60万人台で推移しています。
ニートが社会に与える影響とニート採用
厚生労働省はニート対策のひとつとして、地域若者サポートステーション(通称サポステ)を各地に置き、引きこもりやニートと呼ばれる若者が仕事に就き自立するための取り組みを行っています。
ニートの若者、フリーターの若者の増加は、低賃金で結婚の晩婚化、非婚のまま生涯を終える人が増え、ますます少子化が進む心配があります。また、生活保護受給者が増え続け、生活保護の現在の仕組みがパンクする心配もあります。
一方、総務省の労働力調査によると、日本の少子高齢化社会はますます進み、我が国の65歳以上の人口は2010年には全体の23.0%でしたが、2060年には39.9%になると予想されています。
これに伴い、15歳から64歳の生産年齢人口も、2013年10月には32年ぶりに8000万人を下回って7,901万人となり、2060年には4,418万人まで減少すると予測されています。
このようにこれからますます懸念される労働力不足の問題から、サポステと連携してニートの若者を採用する企業も増えています。
企業がニート採用を行うにあたって注意する点
採用の際は、「ニートだからすぐへこたれるだろう」などという偏見は捨て、じっくりと話し合ってお互いに理解することが、仕事を長続きさせることになります。
ニートの生活を捨てて社会に出るということは、大変な勇気が必要です。ニートの若者が社会に出る第一歩を踏み出す際、「自分にもできそうな仕事だ」「ここの職場は厳しくなさそうだ」という安心材料があった方が、そのハードルが低くなります。
採用面接では仕事の詳細について、不安のないように説明し、採用後は簡単な仕事から始めて、少しずつ自信をつけてステップアップしていくような形を取るとよいでしょう。
また、ニートの多くはコミュニケーションを苦手としている若者とも言われています。
そのため、面倒見のいい管理職がいる職場に配置する、あるいはいくつかの部署をまわった上で相性がいい職場に配置するなど、最初の配属は配慮をして自信をつけさせることも大切です。小さな自信の積み重ねで自信が生まれ、安定して長く働き続けることができるでしょう。