マイナンバー制度が施行されてから、人事管理システムの需要は広がりを見せています。現在では、人事部門の業務効率化に寄与するツールとして注目を集めていますが、提供会社によって管理方法や機能に違いがあるのです。
- 人事管理の方法
- 人事管理システムの使い方
- 人事管理システムのメリット
- どのような種類があるのか
などについて解説しましょう。
1.人事管理システムとは?
人事管理システムとは人事業務に必要な従業員のあらゆるデータを管理する仕組みのこと。
従業員の氏名、年齢、入社年次などの基本情報から、配属や給与、昇格に関する情報まで、あらゆる情報をすべてまとめて管理する仕組みで、「人事システム」と呼ばれる場合もあります。
これまで大企業を中心に人事管理システムの構築・導入が進んでいましたが、2016年にマイナンバー制度が始まってから中小企業でも導入が進むようになりました。
2.人事管理とは?
人事管理とは、従業員の勤怠や給与を管理すること。もともとは従業員の給与を正確に計算するために行われてきたことで、人事労務管理とも呼ばれます。近年では、単なる給与計算にとどまらず、
- 人材採用
- 配置・配属
- 社員教育
- 遅刻・早退・欠勤など勤怠管理
- 人材戦略マネジメント
など従業員の労務に関するすべての情報やオペレーションの管理を指すようになりました。
人事労務管理から人材戦略マネジメントへ
現在、人事管理に代わって「人材戦略マネジメント」という概念が注目を集めつつあります。人材戦略マネジメントとは、
- ハイキャリアマネジメント:インセンティブ制度などキャリアアップを促すための仕組み
- ハイパフォーマンスマネジメント:個人のスキルアップにとどまらず、会社の組織づくりなどより経営的な取り組み
2つを主軸とした人材育成に関する戦略のことです。
これからの人材マネジメントに求められるもの
これからの人材マネジメントに求められるのは、人材マネジメントの仕組みを時代に合わせて柔軟に変化させていく力でしょう。
最近の経済状況や市場のトレンドは移り変わりが激しいため、企業が求める人材は常に変化しています。変化のたびに、その場限りの人事管理を行っていては、速すぎる変化に追いつけないばかりか、従業員の混乱を招きかねず、企業の発展は見込めません。
長期的な視野に立って、あらゆる変化に対応できる柔軟な人事管理体制をつくる必要があります。
人事管理の具体的内容
人事管理の具体的な内容は、
- 給与の計算
- 労働時間の集計
- 人事評価
- 社員教育
- 配置・異動
- 福利厚生の企画や適用
- 人材採用
- 退職の調整や手続き
など。それぞれの業務ごとに、個別の管理システムを導入している企業もあれば、すべてを網羅的に管理できるシステムを導入している企業もあります。
3.人事管理システムの機能、できること
人事システムは人事に関する広い範囲の業務が該当しますが、
- 人事・給与の管理
- 人材マネジメント
2つの機能に大別できます。それぞれについて、以下で詳しく解説しましょう。
①人事・給与の管理
人事・給与の管理に該当するのは、
- 勤怠管理
- 給与計算
- 労務管理
の3つです。目的は勤怠管理のデータを使い、効率的に給与を計算すること。勤怠管理システムの多くは、出退勤や休日・休暇、残業や直行・直帰などの勤務状況を見やすくまとめて管理します。
最近では、スマホやPCで出退勤時の打刻ができるシステムを導入する企業も増えているのです。
これらの情報をもとに、給与計算を行いますが、管理システムの機能に、自動で給与計算ができるものも多数リリースされています。労務管理では、従業員の氏名や住所、年齢などの基本情報の管理や社会保険・雇用保険の手続きを行います。
②人材マネジメント
人材マネジメントとは人材採用と人事評価のためのシステムのこと。まず、採用管理システムは、採用活動を効率良く、情報に漏れがないよう管理するもので、
- 募集をかけた求人の応募人数や日程
- 選考結果
などの情報をまとめて管理できるものを指すのです。一方、人事評価のシステムは、
- 従業員の評価や昇進
- 退職
などの履歴をまとめて管理するもの。数字としての実績を残しにくい内勤者への評価も細かく記録できるため、適正な評価や配置に役立ちます。
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4.人事管理システムの導入メリット、効果
多様な機能により人事部門の業務効率化を図ることができる人事管理システムには、多くのメリットがあります。
- 業務の効率化
- セキュリティの強化
- ミスの削減
- 継続的な人材育成
各メリットについて、詳しく解説しましょう。
①業務の効率化
人事管理システムの導入によって人事関係の業務を効率化できます。勤怠管理や評価などの情報を一括して管理できるため、人事部が人手をかけてやっていた細かい単純作業を自動化できるのです。
経営側から見て人件費の削減というメリットがあります。
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②セキュリティの強化
従業員の氏名や住所といった個人情報や社外秘の情報を多く扱う人事部門では、データ管理の際に強固なセキュリティが必要となります。
人事管理システムにはさまざまなセキュリティ機能があるため、しっかりとしたセキュリティで機密情報を守ることができるのです。セキュリティの種類は各社さまざまですが、
- 操作ログが保存でき、トラブルを早い段階で見つけられる
- ユーザーごとにパスワードを設定できる
などがあります。
③ミスの削減
勤怠や給与計算など、細かい計算が多い人事部門では、入力や計算のミスも多々発生します。こうしたミスを減らし、無駄な作業を大幅にカットできるのです。
また、フレックスタイムなどの各従業員ごとに異なる条件で計算が必要な場合や、多様な勤務形態についても、システム側で判断し計算できるので、混乱を避けることができるでしょう。法改正や税率変更などにも対応しているため、便利です。
④継続的な人材育成
従業員の評価を行うのに必要なデータをすぐ確認できる点も、人事管理システムを導入するメリットです。
従業員個人の能力や実績などの情報をデータベースに集積し、それをもとに評価を行います。データに裏付けられた評価ができるため、評価される側の納得度も上がり、モチベーションアップにもつながるでしょう。
5.人事管理システムの主な種類
人事管理システムは5種類に分かれます。
- 勤怠管理(人事・給与関係)
- 労務管理(人事・給与関係)
- 給与計算(人事・給与関係)
- 採用管理(人材マネジメント)
- 人事評価(人材マネジメント)
5つのシステムについて、それぞれの特徴やどのような場面で必要となるのかを確認しましょう。
人事・給与に関する機能
人事や給与に関する人事管理システムは、3種類あります。
①勤怠管理システム
勤怠管理システムは従業員の出退勤、休日・休暇などの勤務状況を確認するためのツール。
少し前まで、勤怠管理はタイムカードで行われていました。しかし、PCやスマートフォンの普及によって、アプリを使って場所を限定せずに出退勤を打刻できるものが増えているのです。
- 勤務時間の打刻
- 出勤時間の集計
- 休暇などの申請
- 休日出勤や直行直帰
など細かな勤怠情報の入力が可能なサービスがほとんど。勤怠管理システムによって、人事側の作業は簡略化し、入力ミスや不正防止につながります。
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②労務管理システム
基本情報の管理や社会保険や雇用保険の申請などを行うのが、労務管理システムです。
人事部門ではすべての従業員の個人情報を扱うため、厳重なセキュリティが求められます。労務管理システムは、サービス提供各社でそれぞれセキュリティを強化しているため、リスクを低減できるというメリットがあるのです。
加えて、書類を短時間で正確に作成できる機能が付加されているものも増えています。
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③給与計算システム
勤怠管理システムに付随している場合が多いですが勤怠情報などをもとに、各従業員の給与や賞与を自動計算できます。
また、改正される法律や税率にも適宜リアルタイム対応していることがほとんど。担当者がその都度最新情報をチェックする必要がなくなります。
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人材マネジメントに関する機能
人材マネジメントに関するシステムは2種類です。
④採用管理システム
採用に関するあらゆる情報や業務をまとめて管理できるシステムです。
- 応募者の氏名や住所などの基本情報
- 応募方法、選考や面接日などの採用活動
を管理できます。新卒・中途、パートやアルバイトといった各採用区分に対応しているものも多いです。採用管理システムは、採用活動に関する業務の自動化・効率化だけでなく、必要な人に必要な情報を共有できるメリットがあります。
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