配置転換とは? 時期、種類、メリット・デメリット、手順

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配置転換とは、人事異動の一つです。一体その目的は何でしょうか。実施される時期やそのほか人事異動の種類などとともに解説します。

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1.配置転換とは?

配置転換とは、業務内容や勤務地などを変更すること。同一組織のなかで、仕事内容や職種、ポジションや勤務地などを変更するのです。略して「配転(はいてん)」または英語でローテーションと呼ばれる場合もあります。

配置転換は、人事権の範囲で行使できるのです。ただしあくまでも就業規則の範囲内で行い、雇用契約に反しないという原則があります。これに反した場合、その配置転換は無効となるのです。

配置転換の目的

目的は、「適材適所」「社内ネットワークの構築」「新たな適性の発見」「組織における協議の促進」など。社員が社内でさまざまな経験を積んで、個人の成長だけでなく企業全体の活性化につなげます。

配置転換の時期

配置転換の時期は、企業によってさまざまです。一般的には、下記のように行われます。

  • 決算時期に行う
  • 半年や1年など一定期間を周期として行う
  • ジョブローテーションの一貫として数年周期で行う

ただし企業によっては、10年以上人事異動そのものが行われない場合もあります。

配置転換は人事権で行使できるものですが、会社の利益や目的だけを優先して実行してはなりません。

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2.配置転換以外の人事異動8種類

配置転換以外の人事異動には何があるのでしょうか。8種類について解説します。

  1. 部署異動
  2. 昇進
  3. 降格
  4. 出向
  5. 転勤
  6. 転籍
  7. 免職
  8. 解雇

①部署異動

所属部署を異動すること。たとえば、「総務部から製造部へ」もしくは「営業部から企画部へ」などへ異動します。目的は「適材適所」「欠員補充」「社員のモチベーション向上」「新しいスキルの獲得」です。

②昇進

役職が高くなる人事異動のこと。たとえば、「係長から課長へ」「課長から部長へ上がる」といったものです。注意したいのは、昇進が昇格になるとは限らない点。昇進しても昇格しないケースもあります。

③降格

社員の職位である役職や職能資格である等級を格下げすること。降格には、「企業運営を存続させるため人事権を使って行うもの」「社員が起こした問題行動に起因するもの」があります。負のイメージが強く、労使双方にとって必要な選択肢のひとつです。

④出向

社員の雇用契約を結んだまま、業務命令により子会社や関連会社などに異動させること。在籍出向と呼ばれ、「社員の籍と給与支払い義務は出向元企業」「業務の指揮命令権は出向先企業」が持ちます。

⑤転勤

勤務する場所が変わる異動のこと。たとえば、「本店から支店へ」「支店から本社へ」といったものです。企業が全国各地に店舗や支店を複数持っている場合、転居を伴う転勤も多く実施されます。

⑥転籍

本籍の所属をほかの所属団体に移す異動のこと。グループ企業内で実施される場合が多いです。転籍が行われると、現在の企業と社員の労働契約関係は解消され、転籍先の企業と社員で新たな労働契約を締結します。

⑦免職

公務員の職を免じ、身分を失わせること。「非行への制裁にあたる懲戒免職」「職務上の適格性を欠く場合に行う分限免職」「依願免職」「諭旨免職」などがあります。懲戒免職になると、退職金の不支給や年金の減額などの制裁が課されるのです。

⑧解雇

企業が一方的に労働契約を解除すること。最終手段といった意味合いがあるため、解雇は社員に退職への承諾といった余地を残しません。解雇には、下記の3種類があります。

  • 普通解雇
  • 整理解雇
  • 懲戒解雇

配置転換に限らず、効果的な人事異動を実行するには異動対象となる人材情報の把握や適切な人事評価が重要です。

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3.配置転換による企業へのメリット

配置転換による企業へのメリットは3点です。まず企業側のメリットに焦点をあてて解説します。

  1. イノベーションやアイデアの創出
  2. マンネリ化防止
  3. 適性の発見

①イノベーションやアイデアの創出

配置転換で新たな人材が組織に配属されるため、斬新なアイデアや事業の新規展開、イノベーションの創造といったクリエイティブな側面が刺激されます。職場に新しい風が送り込まれるのは、配置転換の大きなメリットでしょう。

②マンネリ化防止

年功序列や終身雇用といった日本型雇用では、ルーチン業務だけが積み重ねられ、パフォーマンスも次第に低下しがちです。配置転換をすれば社員が気持ちを新たにできるため、組織全体のマンネリ化防止につながります。

③適性の発見

適性に合わない仕事をすれば、モチベーションやパフォーマンスは低下します。配置転換をすれば社員は自分の新たな適性や能力を見出すきっかけにできるのです。

配置転換によりこれらのようなメリットが発揮されれば、結果的に組織パフォーマンスが最大化します。

企業にメリットがもたらされる効果的な配置転換を実行するには、人材情報を一元管理できるカオナビの活用がおすすめです。

たとえば、スキル情報をもとに配置転換ができれば、従業員のパフォーマンスが向上し、組織の生産性も向上します。さらに、成果が出せることで良い人事評価にも影響し、昇進や昇格など従業員のモチベーション向上にも有効です。無料の資料ダウンロードは ⇒ こちらから

4.配置転換による企業へのデメリット

配置転換による企業へのデメリットもあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 一時的な生産性ダウン
  2. 社員のモチベーションダウン
  3. 専門性やスキルの向上は望めない

①一時的な生産性ダウン

配置転換で新たな仕事に就いた社員の生産性は、当然落ちます。新しい仕事を覚えて独り立ちするまでの間、組織の生産性は低下するでしょう。

②社員のモチベーションダウン

社員が実施された配置転換に不満をもったまま仕事をしていれば、モチベーションは低下します。配置転換を行う理由について、社員が納得できる丁寧な説明が必要です。

③専門性やスキルの向上は望めない

配置転換には、今までの経験やスキルを生かせない可能性があります。また深く知識や技術を身につけたい場合、マイナスになる場合もあるのです。

こうした配置転換に伴うデメリットを抑えるためにも、人材管理システムが活用できます。たとえば、社員のモチベーションダウンを予防するため、配置転換後は定期的に面談やアンケートなどを実施して、従業員のコンディションや不満の原因を把握することが重要です。

カオナビなら面談内容やアンケート結果も一元管理でき、従業員の不満を可視化した上で適切なフォローが検討できます。

また、一時的な生産性のダウンをカバーするためにも、周りがフォローできる体制を整えられているかまで分析した上で配置転換を考えることが可能です。無料の資料ダウンロードは ⇒ こちらから

5.配置転換を行う手順

配置転換を行うには手順があります。それぞれの手順とポイントについて、見ていきましょう。

STEP.1
候補者のリストアップ
リストアップでのポイントは、「職務に適した人材を選ぶ」「複数名のリストアップ」です。効果的な配置転換を行うためにも、リストアップの段階で選択肢を絞り過ぎないようにしましょう。
STEP.2
内示
リストアップされた社員からもっとも適した人材を決定したら、内示を行います。一般的な内示の時期は、下記のとおりです。

  • 転居を伴わない場合、異動2週間前
  • 家族も含め転居が必要な場合、3~6カ月前
STEP.3
辞令
配置転換を任命する社員に、辞令を交付します。その際のポイントは、「社員の同意は不要」「現所属部署の解任日と異動先部署への異動日を同日にする」などです。

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6.配置転換を行う際の注意点

配置転換を行う際、何に注意すればよいのでしょう。不当な配置転換の事例とあわせて解説します。

  1. 就業規則に配転・転勤条項の記載があるか
  2. 権利濫用に該当しないか
  3. 必要性がある配置転換なのか
  4. 社員に著しい不利益が生じないか
  5. 不当な配置転換の事例
  6. 不当な配置転換は社員が拒否できる

①就業規則に配転・転勤条項の記載があるか

就業規則に配置転換について明記されている必要があります。もし就業規則がない場合、原則そして本人の同意がなければ企業は勝手に配置転換を行えません。

②権利濫用に該当しないか

配置転換が人事権の範囲に収まっていても、「配置転換が業務上必要か」「該当する社員が受ける不利益との比較・検討」した結果、権利の濫用とされる場合もあります。

③必要性がある配置転換なのか

業務上必要性がない配置転換を命じられた場合、自分の一存かつ自由かつ一方的な意思表示によって配置転換を拒否できます。

④社員に著しい不利益が生じないか

配置転換といった人事異動では、社員に「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる」場合、権利の濫用と判断されます。個々の事情にも配慮し、不利益がないかどうか、考えなければなりません。

⑤不当な配置転換の事例

社内規定でアルバイトにも配置転換を行うと明記されていた会社で、アルバイトを配置転換したところ、配置転換は無効と主張され裁判になりました。そもそも社内規定はあったのです。

しかし裁判所は、

  • アルバイトは基本、通いやすい場所を選んで勤務するもの
  • ほか店舗での勤務は、「近接店舗の応援をする業務のみ」のルールがある

として「当該配転命令は権利の濫用に当たり無効であると結論づけました。

⑥不当な配置転換は社員が拒否できる

事例からもわかるとおり、社員は不当な配置転換を拒否できます。仮に就業規則で配置転換について記載されていたとしても、職権乱用と認められれば配置転換は無効になります。そのため社員は不当な配置転換の拒否も可能なのです。

配置転換を行う際は従業員に不利益がないか、従業員が配置転換の理由に納得できるかが重要です。カオナビを活用すれば企業と従業員、双方にメリットをもたらす配置転換が検討できます。

従業員のスキル情報やキャリア志向をもとに配置転換が検討できれば、従業員がパフォーマンスを最大化しつつ、理想のキャリアが築ける環境に身を置けます。結果として、企業全体のパフォーマンスも向上し、win-winな配置転換が実現するのです。

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7.「配置転換」に対する企業の対応

配置転換に対する企業の対応について、下記2つから解説します。

  1. 社員から「配置転換」希望が出た場合
  2. メンタルヘルスで問題を抱えている場合

①社員から「配置転換」希望が出た場合

この場合、自己申告制度や社内公募制度、社内フリーエージェント制度などを利用してもらいます。そして社員に異動願いの提出を求め、人事部と面談を行うといった方法で社員とコミュニケーションを取るのです。

②メンタルヘルスで問題を抱えている場合

主治医や産業医の意見を聴き、最大限の配慮を行います。主治医や産業医が「メンタルヘルスに関して事実が確認できない」と見解を下した場合、配置転換への要望に応えるか再度考慮したほうがよいでしょう。


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配置転換は新たな価値の創出やマンネリ防止、適性の発見、パフォーマンス向上などさまざまなメリットがあります。しかし、こうしたメリットを発揮するには従業員に不利益がない、納得できる適切な配置転換であることが前提です。

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