残業代の支払いについては、たとえ研修であっても、それが会社の命令によるものであれば、労働時間となり残業代を支給する義務があります。
一方、社員が自発的に参加した研修の場合は、労働時間と認められないため支払いの義務はありません。
ただし、会社の命令でなくとも支払い義務があると認められるケースもあり、研修の内容によっても状況が異なります。
残業代の支払い義務がある研修
残業代の支払い義務がある研修は以下のような場合です。
- 上司や会社の命令により、参加が義務付けられている
- 現在の業務と密接にかかわっており、不参加の場合に業務上支障をきたす
- 近日中に予定する業務と密接にかかわっており、不参加の場合に不利になる
- 職場の規律などに関する教育訓練(新入社員研修など)
- 法令に基づく教育訓練
過労死問題など労働環境の改善を求める声が高まる中、労災認定における残業のカウントは厳しくなっていますので、たとえ社員の自発的な研修であったとしても、不用意に社員を会社に居させることは望ましくありません。
また、社外の研修であっても上記に当てはまる場合、1日8時間または週40時間を超えた場合は、残業代を支払う義務があります。
残業代の支払い義務がない研修
残業代の支払い義務がない研修は、以下のような場合です。
- 会社の強制ではなく、社員が自主的に開催している
- 出欠の確認は行わず、自由参加である
- 業務への直接的な影響がない
これらの条件を満たし、法令や職場規律に関する教育訓練以外の研修であれば、社員が自発的に行ったとみなされるので残業代の支給の義務はありません。とはいえ、ほとんどの社員が参加していたり、参加しない場合になんらかの圧力があるようであれば、やはり強制力のある研修といえます。
残業代の支払いは、研修の内容と参加義務の有無で決定
研修に関わる残業代の支払いについては、研修の内容と参加義務の有る無しによって決まります。現在は、「会社にいること=業務中」とみなされやすいので、業務時間を超過しない範囲の研修内容に修正したり、会社に居残りをして自習を続けることを黙認しないことも大切です。