サステナビリティとは? SDGsとの違いや取り組み事例を簡単に

サステナビリティとは自然環境や人間活動がその機能を失わずに長期にわたって持続していける可能性を意味します。

今回は、サステナビリティの3つの概念や経営のメリット、指標、取り組み事例について解説していきます。

1.サステナビリティとは?

サステナビリティ(Sustainability)とは、さまざまな物事を長期的な視野でとらえ、持続可能な状態に導くことです。日本語では持続可能性と表現されます。

従来は環境に対する用語として使用されていました。しかし近年では環境だけでなく、社会や経済に対する価値提供と企業利益を両立しながら、長期にわたって持続可能な企業を目指す取り組みを指す用語としても使われています。

サステナビリティへの取り組みは社会に広く浸透し、いまや企業にとって欠かせないものとなっています。

サステナビリティとCSRの違い

CSR(Corporate Social Responsibility)とは「企業の社会的責任」を意味する言葉です。

企業が単に利益を追求するだけでなく、利害関係があるすべての人からの要求に答えることを意味します。

よりよい社会の実現を目指す点はサステナビリティと同様ですが、CSRは企業の活動に限定されています。

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サステナビリティとSDGsの違い

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標です。

先進国と新興国が力を合わせ、2030年までに環境、社会、経済の3側面から持続可能な開発の達成を目指しています。

SDGsの根底にはサステナビリティの考え方があるため、SDGsはサステナビリティをより具体化させたものといえるでしょう

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2.サステナビリティが注目されている背景

1987年に開催された「環境と開発に関する世界委員会」の報告書において、サステナビリティの概念が生まれました。それ以降、1992年に開催された「地球サミット」などでもサステナビリティはフォーカスされます。

2002年の「環境と開発に関する世界委員会」(通称「ヨハネスブルクサミット」)では、サステナビリティについての議論が繰り広げられました。2015年に国連サミットでSDGsが採択されたことにより、サステナビリティは近年さらに注目を集めています

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3.サステナビリティの3つの概念

サステナビリティを考える上では、

  • Environment(環境)
  • Economy(経済)
  • Equity(公平性)

の3つの”E”で構成される概念が重要となります。

では、それぞれについて詳しく解説していきます。

Environment (環境)

地球を持続可能な場所として、後世に残すためにはEnvironment(環境)の保護が重要です。

現在、気候変動や森林破壊など地球はいくつもの深刻な問題を抱えており、早期の対応が求められています。環境への配慮がない経済活動による環境破壊を一刻でも早く止めなければいけません。

Environment(環境)は、原料やエネルギー、水などの8テーマに分類されています。

Economy(経済)

Economy(経済)でも、世界中の人びとが持続可能な仕組みづくりについて求められています。

経済の面でサステナビリティを実現するためには、経済活動の中心である企業の力が必要不可欠です。

企業が経営とサステナビリティを両立するCSV(Creating Share Value)の概念も提唱され、今や企業がサステナビリティに取り組むことは成長戦略の一環とされています。

Equity(公平性)

貧困やジェンター、格差などが浮き彫りになる中、重要となるのがEquity(公平性)です。

2020年から続く新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、この問題はさらに深刻化しています。

厚生労働省の調査によると日本の貧困率は約16%となっており、6人に1人が貧困層となる計算です。このような経済格差や不平等によって、持続可能な社会の実現が遠のくため、見過ごすことができない問題でしょう。

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4.サステナビリティ経営のメリット

企業にとってサステナビリティに取り組むことは負担も大きいですが、デメリットばかりではありません。さまざまなメリットもあるのです。

たとえば、企業イメージの向上やビジネスチャンスの拡大などです。

ここからは、サステナビリティ経営のメリットについて解説していきます。

企業イメージや価値の向上

企業は社会の一員として、環境問題や社会問題に積極的に取り組むことが求められています。

SDGsへの社会的関心も高まっていることから、紙ストローなど環境に配慮した商品やサービスを提供する企業を選ぶ消費者が増えてきています。

サステナビリティに取り組むことで企業イメージや価値が向上するといえるでしょう。

ビジネスチャンスの拡大

企業がサステナビリティに取り組むことで、新たなビジネスチャンスへとつながるケースもあります。

たとえば、環境に対する課題を解決するために開発した技術を応用して新規事業を創出したり、新たなサービスを展開したりする企業も少なくありません。

貧困などの社会問題への取り組みがソーシャルビジネスの開拓につながることもあるでしょう。

従業員満足度の向上

企業側が職場環境の整備や賃金の平等化に力を入れることで、従業員は働きやすくなります。サステナビリティに取り組んでいる企業では、従業員の満足度が高いことが一般的です。

企業が社会問題の解決などさまざまなことに積極的な姿勢を見せることで、従業員のモチベーションアップにもつながります。

優秀な人材の確保

ミレニアル世代やZ世代の人材は、社会問題に関心が高いとされており、社会貢献活動を行っている企業で働きたいという願望が強い傾向にあります。

この世代の人材を獲得するのであれば、サステナビリティに取り組んでいる企業のほうが有利といえるでしょう。社会貢献活動をすることで従業員のモチベーションは向上しますし、こうした従業員満足度の高い企業は、優秀な人材を集めやすいとされています。

ステークホルダーとの信頼構築

顧客や取引先、従業員、投資家などのステークホルダー(利害関係者)は、常日ごろから企業の安定性や将来性に着目しています。

そのためサステナビリティに取り組み、持続可能な企業の実現を目指すことでステークホルダーの信頼感を得られるでしょう。

ステークホルダーと信頼関係を構築することで、さらなる企業成長が期待できます。

コストの削減

サステナビリティへの取り組みを進めることで、企業は利益を最大化できます。たとえば、環境への配慮として省エネやリサイクルを行うことで、事業活動にかかるコストを削減できるでしょう。

業務効率化を図ることで、人件費の削減も可能です。対策を行う場合は、初期投資が必要となりますが、長期的な目線で見ればコスト面でプラスに働く可能性が高いといえます。

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5.サステナビリティを測る指標

サステナビリティを測定する方法として、下記の2種類があります。

  • GRIスタンダード
  • DJSI

DJSIは時価総額が世界上位2,500社に限られるため、一般的にはGRIスタンダードが用いられます。では、それぞれの指標について解説していきます。

GRIスタンダード

国連環境計画(UNEP)の公認団体であるGRI(Global Reporting Initiative)が作成したガイドライン

GRIスタンダードにはサステナビリティの国際的なスタンダードが記載されています。GRIによる報告書の枠組みを適用することで、企業は自社が社会に与える影響を測定できます。

DJSI

アメリカとスイスの企業によって開発されたDJSI(Dow Jones Sustainability Index)は、サステナビリティを測定するための株式指標です。

DJSIは、時価総額世界上位2,500社およびアジア太平洋地域の時価総額上位600社が評価対象です。経済と環境、社会の3側面から企業が評価されます。

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6.サステナビリティへの取り組み事例

さまざまな業界や業種でサステナビリティへの取り組みが進んでおり、その内容も多岐にわたります。

ここでは、特に有名な取り組みについて紹介していきます。

日産自動車株式会社

日本を代表する自動車メーカーの日産では、「NissanSustainability2022」に取り組んでいます

従来から対策が求められている自動車の排気ガスによる地球温暖化や大気汚染に対し、日産は電気自動車を開発。

2022年度までに二酸化炭素の排出量を2000年度と比較して40%削減することを目指しています。

https://www.nissan-global.com/JP/SUSTAINABILITY/

株式会社ユニクロ

アパレルブランド大手のユニクロでは、「服のチカラを、社会のチカラに。」というステートメントを掲げ、

  • プラネット(地球環境)
  • ソサエティ(地域社会)
  • ピープル(個性)

3本の柱としてサステナビリティに取り組んでいます

たとえば地球環境に対する取り組みとしては、エコバックの普及などを通して持続可能性の実現を目指しています。

https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/

スターバックス コーヒー ジャパン株式会社

世界最大のコーヒーチェーン店スターバックスでは、コーヒー栽培や文化、地域社会においてサステナビリティに対する取り組みを行っています。

コーヒー豆は、フェアトレード認証を受けたものを調達し使用。さらには、生産者への支援も実施しています。

またコーヒー豆のかすなどのリサイクルや、日本の伝統技術を活かした商品の製造・販売にも注力しています。

https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/sustainability/

株式会社大林組

日本の大手ゼネコンのひとつ大林組では、中長期環境ビジョン「Obayashi Sustainability Vision2050(OSV2050)」を策定

2040年から2050年の目標と事業展開の方向性を定めるとともに、2050年のあるべき姿を定義づけています。

具体的なアクションプランとKPIを設定し、地域・社会・人のサステナビリティの実現に向けて取り組みを推進しています。

https://www.obayashi.co.jp/sustainability/

北海道大学

北海道大学は、持続可能な社会の実現に貢献する研究や教育の推進を目指して、2007年から毎年「サステナブル・ウィーク(SW)」という事業を実施

人びとが抱えるさまざまな問題をテーマにシンポジウムやワークショップなどを開催し、より良い未来の実現のために議論を行っています。

研究型・総合大学という北海道大学の特徴を活かし、議題は幅広い学問分野におよんでいます。

https://www.sustainability.hokudai.ac.jp/

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7.サステナビリティへの著名人の取り組み

サステナビリティが世界中の人びとの意識に根づいたきっかけのひとつとして、著名人による取り組みが挙げられます。

最後に、4人の著名人の取り組みを紹介します。

メーガン妃

イギリス王室のサセックス公の配偶者であるメーガン妃。積極的にサステナブルなファッションを取り入れていることで有名です。

メーガン妃が選ぶアイテムは、素材や生産工程などにおいてサステナブルな取り組みをしているブランドが中心。メーガン妃が取り入れたアイテムはすぐに完売し、ファッション業界における影響力は絶大です。

エマ・ワトソン

大ヒット映画『ハリー・ポッター』のハーマイオニー役で一躍有名になったエマ・ワトソン。サステナブルファッションや美容を世界に向けて発信しています。

Instagramでは、サステナブルファッションを紹介するアカウントを開設。パーティではリユースとして度々同じドレスを着用しています。

ヴィクトリア・ベッカム

2008年に自身のブランドを立ち上げたヴィクトリア・ベッカム。デザイナーとしても活躍している彼女は、ブランド立ち上げ当初から一貫してリアルファー不使用を宣言。

2019年にはワニなどのレザーも使用しないことを発表し、サステナブルなファッションの提案に力を入れています。

ミランダ・カー

ファッションモデルや実業家として活動するミランダ・カー。2009年にオーガニックコスメブランド”KORA”を立ち上げ、地球環境と人の肌に優しいコスメを普及させています。

ミランダ・カーは自宅もエコフレンドリーに改築するなどサステナビリティには強い関心を持っており、影響力がある彼女の姿勢を見習う人びとも増えています。