従業員の人事評価の内容は、基本的には非開示です。能力の評価は基本的に会社の裁量となるので、評価そのものを問題にすることはできません。ただし、評価そのものに誤りや不正があった場合は、求めに応じて開示しなければならない可能性があります。
評価を開示した場合のデメリット
評価情報はもともと従業員に開示するためにつくられたものではありません。それは、評価を開示すると、以下のようなデメリットが発生するからです。
- 評価者が適切な評価ができなくなる
- 人間関係が悪化する
ただし、評価において明らかに不正な判断があり、それにより従業員が不利益を被ることがあれば、その不利益に対する対処を求めることもできます。
また、従業員の人事評価は個人情報ですので、個人情報保護法25条1項本文に従い、開示しなければならない場合もあります。
基本的な人事評価の基準
従業員が人事評価の開示を求めるのは、人事評価の内容を従業員が納得できなかったからです。
そのような事態を未然に防ぐためにも、人事評価制度では、評価の基準を明確に定め、項目の設定を適切に行うことが重要です。基本的な人事評価の基準は以下の通りです。
成果評価
業績と活動実積に基づいた評価を行います。従業員の業績や実積を評価します。
能力評価
業務遂行能力や、職務の習熟度のほか、リーダーシップや実行力、企画力、教育能力などを評価します。
態度(情意)評価
勤務態度や職務にあたる姿勢、周囲との協調性や積極性のほか、責任性など人間的な性質について評価します。
部下が納得できる評価をするために、直接面談をする
上司が一方的に部下を評価するだけでは、部下はその結果について納得できず「努力しているのに、なぜ評価が低いのか」という不満を持つ恐れがあります。
人事評価で部下が納得できる評価をするために、直接面談をすることをおすすめします。面談を通じてコミュニケーションを図り、
- 部下に望む行動を示す
- 次に向かう目的地への道筋を提示する
- 部下が何を考えているか
を把握するようにしましょう。