会社への帰属意識が高まる、社員間の連帯感が生まれやすい、社内教育システムの運用がスムーズ、といったメリットもあると考えられています。また、年齢や勤続年数に応じて、賃金や役職が自動的に上がるので、人事評価がしやすいのもポイントです。
ただし、上記のような年功序列制度のメリットを最大限に引き出すためには、制度を維持するためのいくつかの条件を満たす必要があります。
年功序列制度のメリット
年功序列制度は、高度経済成長期の日本で定着し、バブル崩壊まで長く運用されてきた実績があります。各メリットについて、それぞれ解説していきます。
会社への帰属意識が高まる
年功序列制度では、正社員として終身雇用することが原則なので、社員の会社への帰属意識が高い傾向があります。会社を構成する一員として、会社に対する忠誠心が強まり、離職率が下がるのが特長です。
社員間の連帯感が生まれやすい
勤続年数が長くなれば、社員同士が多様な業務で協力する機会もおのずと増えていきます。その結果、社員同士の連帯感が生まれ、チームワークが高まる傾向にあります。
社内教育システムの運用がスムーズになる
社内の教育システムが、勤続年数の経過によってどのような結果をもたらすのかデータが蓄積されるので、教育システムの運用がスムーズになります。
成果主義の場合に見られるように、年長者が年次の低い社員に追い抜かれることはないので、上司が部下への教育を行う際に、技術や知識を出し惜しみするようなことも無くなります。
年功序列制度を維持する条件
年功序列制度を維持するためには、以下の条件を満たす必要があります。
一つは、企業が成長し続けることです。そのためには、日本経済全体が継続して成長を続けることが大前提であり、消費も増加していくことが求められます。
もう一つは、年長者のスキルや能力が上昇し続けることです。年功序列制度が導入される理由となったのが、勤続年数とスキルや能力は比例するという考え方でした。年長者ほど多様なスキルを身に着けていて、高い職責をこなせるようになる、という前提のもと、年功序列は受け入れられてきた経緯があります。
年功序列制度にはデメリットが強調される傾向にある
年功序列制度には多くのメリットがありますが、現代においてはデメリットの方が強調される傾向にあります。
長く続いたデフレや、IT技術の革新により、これまで属人的だったスキルが陳腐化してしまったことなどが、その理由と考えられています。