休業補償は、原則として「休業1日につき、給付基礎日額の80%」の計算で求められます。
給付基礎日額は、休業日前の賃金締切日から3か月間の賃金総額を、同じく3か月間の労働日数で割り平均日額を算出したものです。なお賃金総額は、残業代も含めて計算します。
休業補償を受けるためには条件を満たしていることが大前提なので、まずは、該当する従業員の休業の理由が条件を満たしているかを確認することが大切です。
休業補償の算出例
休業補償の算出について、例を用いて解説します。
例)
月額給与:20万円
直前3か月間の残業代総額:9万円
直前3か月間の労働日数:92日
3か月間の賃金総額: 20万円×3+9万円=69万円
給付基礎日額: 69万円÷92日=7,500円
休業補償日額: 7,500円×80%=6,000円
休業補償日額は6,000円となり、休業4日目以降の休業日数分が労災保険から支給されます。必要となる休業日数については、医師が怪我や病気の内容や程度を判断し本人とも相談の上、決定することになります。
なお、補償率80%は、休業(補償)給付60%と休業特別支給金20%を合わせたものです。
また、休業開始から3日間は労災保険からの支払いがないので、会社が休業補償日額の6割を補償する必要があります。
休業の理由が業務中に生じた怪我や病気によるものかがポイント
休業補償の給付対象となるかどうかは、休業の理由が業務中に生じた怪我や病気によるものかがポイントになります。
家族の介護や、妊娠出産、育児に伴う休業や、業務中以外に生じた怪我や病気による休業については、休業補償の対象にはなりません(※各休業事由ごとに救済制度があります)。
また、やむを得ず働けなくなった労働者の生活を守るための補償とされているため、受け取った補償は所得とはみなされず、課税対象にもなりません。
休業の必要性や期間の相当性は会社が是非を見極める
休業補償は労災保険により支給される制度なので、当然ですが会社の一存で支給額を変更することはできません。
ただし、休業の必要性や期間の相当性については、会社が適正かどうかを見極める必要があるでしょう。