住宅手当については、社員の福利厚生の一環なので、法的な規制はありません。支払い基準や支払い額についても、会社が独自に定めることができますが、重要なのはすべての従業員に対し公平性を保つことです。
また、住宅手当は給与としてみなされるので課税対象となり、社会保障費なども上がる可能性があるということも踏まえておくようにしましょう。
住宅手当の相場・支給有無の調査結果
住宅手当の支払額や条件については、企業が独自に設定することができます。ちなみに、厚生労働省の「平成27年就労条件総合調査」では、住宅手当の平均支給額は月に17,000円程度と報告されています。
また、東京都教職員の住宅手当が15,000円に設定されていることから、この辺りが住宅手当の平均相場と言ってよいのではないでしょうか。
一方、INOUZTimesが正社員として働く男女100人を対象に行った、住宅手当の支給の有無に関する調査では、「支給なし」との回答が45%と最多となりました。同調査では、住宅手当の金額や支給方法についてもアンケートを行っており、一律の金額を支給する会社もあれば、家賃の〇%を支給している会社、社宅として提供している会社などさまざまでした。
参考 「会社から住宅手当をどれぐらいもらっていますか?」アンケートINOUZTimes住宅手当の支払い基準例
住宅手当の支払いをはじめる際には、社員ができるだけ不満を抱かないよう公平な基準を設定しましょう。多くの企業で用いられるのが次のような基準です。
- 正社員である
- 賃貸もしくは持ち家である(実家は除外)
- 通勤範囲の規定がある(勤務地からの距離、通勤時間など)
- 本人が世帯主もしくは契約者である
役職などが付くと住宅手当を打ち切る企業もありますが、その場合は昇進によって給与総額が下がる可能性もあるので、基準設定には注意が必要です。
また、家賃やローンの〇%を支給する、という基準を設ける場合は、上限を設定するなど、住宅手当が経営を圧迫しないような配慮も必要です。
メリット・デメリットと比較してあらゆる観点から検討を
現在、住宅手当を支給する企業は減少傾向にあります。背景には経営環境が厳しいことのほか、ライフスタイルが多様化し基準の設定が難しくなっていることが挙げられています。
福利厚生の一環とはいえ、住宅手当の支給額を頻繁に変更したり、安易に支給を廃止したりすると、社員の不満を招く要因になりかねません。
住宅手当として継続的に支給できる金額や基準はどういったものなのかを把握したり、住宅手当ではなく基本給のアップや賞与などで対応する場合のメリット・デメリットと比較したりするなどして、あらゆる観点から検討することが必要です。