懲戒委員会の設置は法律として定められているものではありませんので、設置の有無含め、内容等各企業にて決定することになります。懲戒委員会を設置するのであれば、処分の範囲や程度、構成メンバーや運営方法の決定、就業規則への記載、労働基準監督署への届出などが必要です。
通常以下のような流れとなります。
- 開催対象となる懲戒処分の範囲や処分の程度、委員会の構成メンバー、運営方法等を決定する
- 就業規則に懲戒委員会について記載をする
- 所轄の労働基準監督署に届け出る
就業規則に懲戒委員会を開催する旨を明示し、正しく運用する
懲戒委員会は、労使トラブルの際に、対象者に対して適切に処分を行うのに有効であると言えます。
しかし、委員会自体が正しく機能せず、就業規則に従った委員会の開催がなされないままに懲戒処分となると、それは無効となってしまう可能性が高いでしょう。
労働者による問題が発覚したときには、客観的に証拠を収集することや、本人へ弁明機会を与えるなど、公平な手続きが必要になります。
そのため就業規則に懲戒委員会を開催する旨を明示し、委員会自体も正しく運用される必要があるのです。
懲戒委員会を設置する際の留意点
懲戒委員会を設置する場合は、さまざまなケースを視野に入れて、慎重に内容を定めていかなければなりません。
まず、開催対象となる懲戒処分の範囲を定める際には、「①戒告・譴責(けん責)、②減給、③降格、④出勤停止、⑤諭旨解雇(諭旨退職)、⑥懲戒解雇、については懲戒委員会を開催する」というような一文が就業規則に必要となります。
ここに記されていない懲戒処分については、従業員への明示不足として、処分を行うことができません。
また、就業規則には懲戒処分となる事由も必要で、それに当てはまらない問題が起こったときにも処分対象から外れてしまいます。
委員会の構成メンバーを定める際には、委員長の決定を始め、委員の構成は役員・管理監督者のみとするのか、労働者側の委員を参加させるのかなどが考えられます。
運営については、出席定数、第三者への意見聴取の方法、弁明機会の付与の方法等を決め、守秘義務や決定内容の公表といったルール作りも必要でしょう。
これらを社内で決定し、実際に運営するときには議事録を作成し、後日の証拠書類として置いておきます。
自社で運用しやすい制度を整えることが重要
懲戒委員会は企業でその定めを決定することができますが、委員会自体を活用しなければ労働協約違反や就業規則違反となります。
懲戒委員会を設置する際は、事細かなケースを想定するとともに、自社で運用しやすい制度を整えることが重要と言えるでしょう。