ドラッカーのマネジメント理論とは? ロワーマネジメント

アメリカの著名な経営学者、ピーター・ファーディナンド・ドラッカーが唱えるマネジメントが、多くの企業に影響を与えています。

  • マネジメントの目的
  • ドラッカーによるマネジメント理論の概要
  • マネジメントに必要な4つのスキル
  • マネジメントの種類
  • マネジメント能力を向上させる方法

などを説明しながら、ドラッカーの経営学についてお伝えしましょう。

1.マネジメントとは?

マネジメントとは何でしょうか?経営的に見ると組織の目標を設定し、目標を達成するために人材や情報、お金やモノといった組織の経営資源を効率的に活用する、リスクとリターンを想定しながらそれらを管理するといったことになります。

日本語に訳すと「経営」「管理」といった意味になります。

ピーター・ファーディナンド・ドラッカー

ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(1909~2005年)は、20世紀の多くの大企業経営者に大きな影響を与えた「経営の神様」と呼ばれるアメリカの経営学者です。起業コンサルタントや経済学者として活躍し、経営や経済に関する著作を多く発表しました。

「現代経営学」「マネジメント」の発明者ともいわれている人物です。また、マネジメントという言葉は、1973年に刊行した『マネジメント』から生まれたとされています。

ドラッカーによるマネジメントの定義

ピーター・ファーディナンド・ドラッカーによるマネジメントの定義とは、

  • マネジメントは、組織の成果を上げさせるための道具・機能・機関
  • マネージャーは、組織の成果に責任を持ちマネジメントを実行する人

組織の成果を向上させるためのツールや仕組みがマネジメントで、組織が成果を上げるよう人材という資源に働きかけ、組織を動かし、責任を持つのがマネージャーです。

「経営の神様」の呼ばれる経営学者ドラッカーは、マネジメントを「組織の成果を上げさせるための道具・機能・機関」と定義しています

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2.マネージャー(管理職)の定義

ドラッカーは、マネージャーを「組織の成果に責任を持つ者」と定義しています。

マネージャーに求められる具体的な役割は、

  • 組織の目標を設定する
  • 組織をつくる
  • 部下とのコミュニケーション
  • 部下の評価
  • 評価をもとに人材を育成する

マネージャーは目標を達成するために、部下への動機付けやメンバーとのコミュニケーションを図り、組織全体のモチベーションを高めることも求められています。

マネージャーとリーダーの違い

組織におけるマネージャーとリーダーの役割は大きく異なります。

リーダーは組織の先頭に立って大きなプロジェクトを動かし、マネージャーは目標達成のために組織を管理する役割を果たします

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3.マネジメントの目的

マネジメントの目的は、設定した目標に沿って組織を運営すること。具体的には、組織の資源である人材、情報、お金、モノを効率的に活用して、設定した目標に向かって組織を発展させ続ける、成果を上げて機能させ続けるかということです。

マネジメントとリーダーシップの違い


メンバーを鼓舞しながらビジョンを実現させるリーダーシップに対し、マネジメントは目標を設定して組織を管理していきます

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4.企業におけるマネジメントの例(具体的な業務内容)

企業におけるマネジメントの具体的な業務内容には、下記のようなものがあります。

  1. 部下への動機付け
  2. 目標の設定
  3. 適切な指導
  4. 適切な評価やフィードバック

経営や組織を管理するマネジメント業務では、仕事を管理しながら、部下の指導、育成を行います。そして正しく評価をし、組織を同じ方向へとまとめて事業を成功へと導くのです。

①部下への動機付け

仕事を通じて部下を育成するには、部下自らが考え、行動し、目標の達成に向けて仕事をする意欲を引き出すような環境づくりが必要です。

部下の優れた点を引き出し、それをどう活かすかは管理職の役目。またそれによって部下は、自立的かつ前向きに仕事に取り組むようになりす。もし「仕事をやらされている」と感じたら部下のモチベーションは下がり、仕事をする意味を見失ってしまうでしょう。

つまり、チーム全員が組織の目標に向かって、日々の業務にやりがいを持って取り組めるように動機付けを行うのです。

②目標の設定

管理職には、部下にどのような仕事を割り当てるかを考え、前向きに仕事に取り組めるよう動機付けをして、仕事を通じて部下の成長をサポートしていく役割もあります。

適当に仕事を割り振るのではなく、部下一人ひとりを将来的にどの方向へ伸ばしてやるのか、育成目標を設計しなければいけません。

適性に合った仕事を割り振ることができれば、進むべき方向が見えますし、努力を惜しまず日々の業務に取り組んで実力を発揮し、達成感を味わうことができるでしょう。

③適切な指導

管理職には、部下を育成するという役割もあります。

部下の育成といっても、ただ業務を引き継ぐというわけではありません。常に部下の仕事内容を把握し、困りごとや不安などに耳を傾け、一緒に解決していくといった精神的なサポートが期待されているのです。

また日頃から部下とのコミュニケーションを深めることも必要でしょう。つまり、「部下のモチベーションを高める」「部下自ら目標に向かって行動し成長できる」ような指導が求められるのです。

④評価・フィードバック

管理職の評価は、部下の給料はもちろん、今後のキャリアにもダイレクトに影響します。評価やフィードバックは、それほど責任の重い仕事といえるのです。

評価やフィードバックでは、

  • チームと部下個人の目標に対してどれだけ達成できたのか、定期的に部下と一緒に仕事内容、業績を振り返り、目標への到達度をミーティング
  • フィードバックを通じて、改善すべきポイントや問題点を認識してもらう
  • 解決方法を伝える

などを行います。管理職と部下とのコミュニケーションを円滑にすると、チーム全体、部下個人の成長につながるでしょう。

部下の動機付け、適切な指導、評価・フィードバックを行うことで管理職と部下の連携がスムーズになります。それは成果にもつながるでしょう

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5.ドラッカーによるマネジメント理論の概要

「経営の神様」と呼ばれるアメリカの経営学者ドラッカーが、『マネジメント』を1973年に出版しました。ドラッカーは著書の中で、マネジメントを「組織の成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義しています。

そのドラッカーのエッセンスを凝縮し日本で出版されたのが『マネジメント(エッセンシャル版)』です。2001年に発刊され、10年間で100万部を超えるベストセラーとなりました。

一般的にドラッカーの名が広く知られるようになったのは、映画やアニメにもなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」』(2009年発行)でしょう。こちらは275万部を超える大ベストセラーとして有名です。

マネジメントとは?

マネジメントとは、組織の目標を設定し、目標を達成するために組織の経営資源(人、情報、お金、モノ)を管理して効率的に活用し、さらにはリスク管理を行うこと。

組織と社会、社員個人をマネジメントすることで、社会と個人がつくった組織に対して、成果を上げさせ、機能させることができるでしょう。

たとえば、組織は自社の製品などを通して社会貢献することで発展が期待できます。個人(社員)は組織で働くことで自己実現を可能とするのです。そして組織は、その機会と対価、地位を与えます。

マネジメントに求められる役割

マネジメントの大きな役割は、組織の「目標・案件・プロセス」を管理して、組織の目標を達成すること。ドラッカーはマネジメントに求められる役割について、3つの項目を提示しています。

  1. 組織が果たすべきミッションを達成する
  2. 仕事を通じて組織で働く人たちを活かす
  3. 社会で求められているものに対して社会貢献する

①組織が果たすべきミッションを達成する

組織が果たすべきミッションを達成するには、その組織が最も得意とするもの、業績を伸ばしたい業種だけにしぼることが重要です。

さまざまな業種に手を出したとしても、本業に真剣に取り組み、世間から求められている役割にしっかりと向き合う必要があります。

②組織で働く人たちを活かす

生涯で最も多くの時間を過ごしているのは職場ではないでしょうか。マネジメントの役割は、個人が仕事を通して自己実現ができる場を与えることでもあります。そして働く人は、その中で自己実現していくのです。

③社会に貢献する

ドラッカーの考え方は、会社は誰のものでもなく「社会のためにある」というもの。「会社は、社会から働く人材や資源を預かって運営している、だからその社会が求めているものを提供して社会貢献する」という考え方です。
組織の目標達成は、最終的に社会貢献へとつながらなければなりません。マネジメントは長期的、短期的な時間軸の視点で捉えることも重要です。

マネジメントの役割は、組織は本来果たすべきミッションを把握し、働く人材を活かし、最終的に社会に貢献することです

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6.マネジメントに必要な4つのスキル

ドラッカーは、著書の中で「マネジメントとは仕事である。したがって一定のスキルを必要とする。すべてに習熟することはできないが、それぞれのスキルの中身、何ができるか、何を要求しているかを知っている必要がある」との考え方を提示しています。

マネジメントは目的ではなく、目標を達成し成果を上げるための手段。その手段を実行するために必要なスキルを、ドラッカーの「マネジメントに必要な4つのスキル」をもとに紹介します。

  1. 意思決定のスキル
  2. コミュニケーションのスキル
  3. 管理のスキル
  4. 分析のスキル

①意思決定のスキル

不測の事態は付きものですが、その際、強い判断軸とともに柔軟性が問われます。冷静で正しい意思決定が必要にもかかわらず決定者が右往左往してしまっては、大変なことになるからです。

マネジメントにおける「意思決定」は、異なる意見や見解が対立したり、いくつかの案が挙げられたりする中から選ばれるべきもの。決して「全会一致」が正しいというわけではありません。

つまり意思決定を行う際は、異なる意見や見解を見極め、それが出てこない場合には意思決定自体を見送るという選択肢も必要となります。

②コミュニケーションのスキル

組織の目標、大きなプロジェクトを達成させるには、組織で働くメンバーの協力が必要です。多くの人が在籍する組織の管理者は、個人の能力を活かし、組織全体をまとめて成果を上げることが求められます。

そのためにも管理者のコミュニケーションスキルが重要となるのです。管理者が一方的に伝えるだけではなく、部下の意見や考え、問題点や課題などをしっかり聞き入れ受け止めることで双方の理解が深まります。

情報を共有し部下一人ひとりの能力や性格などを見極め、コミュニケーションを取ることが、組織全体のモチベーションアップ、そして組織の目標達成につながるでしょう。

③管理のスキル

マネジメントにおける管理のスキルは3つ。

組織本来の目的の達成に向けて組織を適切に機能させる

組織の目標を理解、把握させて、目標を達成させるための計画を立案します。目標を達成させるための計画がスムーズに進められるよう、最適な人員の配置や管理を行うのです。

生産性を高めるために適切なことを適切に行う

時間、プロセス、工数、労働力などを具体的なスケジュールを作成し管理します。

仕事の基準を高め、組織がなす仕事の精度を上げる

設定する目標を簡単なものにしすぎると達成感が薄れるもの。しかし逆に難しすぎると社員のやる気が失せてしまうでしょう。部下のやる気と適度な緊張感を維持するラインに目標を設定すると、仕事の精度が上がります。

④分析のスキル

組織内にはさまざまな人材が関わっています。つまり1つの都合だけで組織が成り立っているわけではないのです。

管理職は、日々変化する人や物、世の中、スピードの速さへの素早い対応が求められます。そのためにも組織の目標とどの戦略ビジネスが直接関わっているのかなどを評価し、優先順位をつけるための分析スキルが必要です。

経験値や勘を頼りにするのではなく、客観的な視点からビジネスを遂行する分析のスキルが求められています。

組織の目標を達成し成果を上げるマネジメントを実行するには、意思決定、コミュニケーション、管理、分析のスキルが必要です

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7.マネジメントの種類

組織のマネジメントは、その役割によって3つの階層に分けられます。

  1. トップマネジメント(最高経営者層)
  2. ミドルマネジメント(中間管理者層)
  3. ロワーマネジメント(監督者層)

各マネジメント層の特徴や違いを説明しましょう。

①トップマネジメントとは?(最高経営者層)

トップマネジメントは組織の最高経営者層のことで、具体的には会長、社長、取締役員、CEOなど経営者を含む取締役会のメンバー、組織の各部門を取り仕切る役員などが含まれます。

トップマネジメントは、企業の基本的な方針の決定、経営を行う上での計画や戦略、組織の運営に関する意思決定など総合的な役割を持ち、最終責任を担うのです。

組織の最高位ではありますが、ドラッカーは著書の中で「トップマネジメントとは一人ではなくチームによる仕事である」と提示しています。

②ミドルマネジメントとは?(中間管理者層)

ミドルマネジメントとは、トップマネジメントとロワーマネジメントの中間に位置し、部門的経営管理の職能を担当する部長や課長などの中間管理者層のこと。

企業の全般的な管理職能、経営責任を負うトップマネジメントがスムーズに業務遂行できるよう、組織内の経営資源の報告、実施計画の立案などをサポートします。また、組織目標や実施計画が現場を管理するロワーマネジメントの業務を監督する役割もあるのです。

さらに経営陣のトップマネジメントと、現場のロワーマネジメントの間に位置する役割として、経営陣の戦略や意思を現場の管理者に伝える、現場だからこそ気付くことをトップへ伝えるといった橋渡しを行います。これにより双方の意思疎通を円滑に進めるのです。

③ロワーマネジメントとは?(監督者層)

ロワーマネジメントは、実際に現場で働く社員をまとめる役割を果たす立場です。一般的には係長や主任、現場監督、プロジェクトリーダー、チームリーダーなどがロワーマネジメントに当たります。

ミドルマネジメントで決定した具体的な目標をもとに、現場の指揮、管理、業務の進捗を確認、トラブルなどが生じた場合は迅速にミドルマネジメントに連絡といった事柄を実行します。

企業はトップ、ミドル、ロワーの3つのマネジメント階層で成り立っており、各ポジションで求められる役割、能力が異なります

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8.中間管理職(ミドルマネージャー)に必要な能力

中間管理職は、役職名ではありません。管理職とは部下を管理して組織の運営にあたる立場で、一般的に部長や課長、係長が該当します。つまり中間管理職は、管理職(部長)の下に就いている管理職です。

中間管理職の具体例

一般的な企業において管理職に当たるのは部長、課長、係長で、中間管理職は部長以下の課長と係長となります。

管理職の最高位となる部長は、一般的な組織系統の場合、取締役会などの幹部、役員の指揮下におかれますが、役員は管理職ではないので、部長は中間管理職には該当しません。そして課長は管理職の部長の下、係長は課長の下に配属される中間管理職となるのです。

なお中間管理職には、上司からの指示に従いつつ、実際に現場で働く部下をまとめながら業務が円滑に遂行するよう努めるという役割があります。

そのため部下を指揮する立場にありながら、自分自身も上司の管理下にあるため心労の多い立場ともいえるのです。しかし、上層部と末端をつなぐため、企業には必要不可欠な存在といえるでしょう。

ミドルマネージャーに求められる役割

ミドルマネージャーとは、企業の組織の中間に位置するマネジメント層のことで、中間管理職とも呼ばれています。一般社団法人日本経済団体連合会の報告によると、民間企業において、ミドルマネージャーに求められる基本的な役割は4つに分類されるそうです。

  1. 情報関係
  2. 業務遂行関係
  3. 対人関係
  4. コンプライアンス関係

ここでは、ミドルマネージャーの役割を詳しく説明していきましょう。

①情報関係

トップで決定した企業方針や意思を理解して、現場に周知し目標達成に向けて実際に現場を動かすのがミドルマネージャーです。また日々変化する現場の状況を把握して正確にトップに伝える役割も担います。

そのため、業務に必要な社内外の情報を収集したり、会社目標を達成するために自分のチームに必要な行動目標をチーム内に浸透させたりするのです。また、組織内での情報共有など、リソースの活用も求められます。

②業務遂行関係

日常業務の管理や組織の課題解決、新規事業やプロジェクトの対応、海外需要の創出などを行います。常に自分の部署や組織の業務を把握して、部下への指示と監督、進捗状況や成果達成の確認、業務の効率化などを実行するのです。

また組織の目標設定、課題の解決に向けた戦略や方針をつくるのもミドルマネージャーの役割といえます。

③対人関係

ミドルマネージャーには、部下の育成やマネジメント、モチベーションアップを図る、組織を活性化する、会社組織の目標を達成させるといった大きな役割があります。

そのためには部下との対話、コミュニケーションの機会をつくり、部下一人ひとりの長所、短所を知ることが不可欠です。適材適所に人材を配置することで、組織としての成果が上がり、組織全体のモチベーションも高まります。

④コンプライアンス関係

業務に関わる関連法規について理解し、正確な知識を持って遵守することも必要です。ミドルマネージャーには、個人情報保護法の対応、適切な労働時間の管理、労働関係法規の遵守、機密情報の適切な管理などが求められています。

これらは、一般的には総務部や人事部が担当する事柄でしょう。しかしミドルマネージャーにも、正確な知識を持った迅速な対応が求められているのです。

組織の上と下を結ぶパイプ役のミドルマネージャーに求められる能力は重要性が高く、企業や組織の目標達成、成果に直接つながります

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9.マネジメント能力を向上させる方法

プロジェクトを円滑に動かしながら、部下の育成も求められるマネジメントに必要なスキルを説明します。

  1. アセスメントスキル
  2. アカウンタビリティスキル
  3. コーチングスキル

①アセスメントスキルを高める

アセスメントスキルとは組織のメンバー一人ひとりのポテンシャル(潜在能力)や行動傾向、育成のポイントを的確に把握するスキルのこと。アセスメントスキルを高めるには、管理しているメンバーの知識や技術、経験、長所と短所、性格をしっかりと把握することが重要です。

また、そうしたメンバーの情報、個性を知ることで、どうすれば成長できるのか、どのように育成すればよいのかなど、最適な育成方針を導き出すこともできます。つまりアセスメントスキルを身に付けることで、効率のよいメンバー育成が可能となるのです。

具体的手法

アセスメントスキルを身に付けるためには、部下や後輩などメンバー一人ひとりと日頃からコミュニケーションを取ることが重要です。1対1で向き合って対話することで、これまで知り得なかった個性や性格が見えてくるでしょう。

メンバーとコミュニケーションを深めるには、日頃からメンバーの行動をメモしておく、そのメモをもとに個人面談を行うといった事柄が必要です。そのメンバーに最もふさわしい問いかけをすることで、より深い対話へと発展します。

またメンバーの適性に合わせたマネジメントを行うためにも、普段の学習方法、最近の楽しかったことや辛かったことなど、基本的な質問事項を事前に用意しておくとよいでしょう。

②アカウンタビリティスキルを高める

アカウンタビリティスキルとは相手に指示やアドバイスなどを分かりやすく、具体的に伝える能力のこと。

  • 上司に指示を出されるが、毎回その指示が分かりにくくて困る
  • 上司の話は理解しづらくて、聞くのに苦労する

など評されている上司はアカウンタビリティスキルが低いということになります。

指示やアドバイスなどは、ただ説明する、伝えるだけでなく、相手に納得して理解してもらう必要があるのです。アカウンタビリティスキルをしっかりと習得しておけば、メンバーの具体的な指導も効率よく進むでしょう。

具体的手法

アカウンタビリティには説明責任という意味があります。メンバーの能力や適性を把握して、育成方針が固まったら具体的に指導していきます。

その際、相手が理解できるよう、納得するまで説明をする責任もあるのです。質問にもしっかりと理解できるように答えなければいけません。その能力を高めるのがアカウンタビリティスキルです。

アカウンタビリティスキルを高めるには、文章や日本語を見直すとよいでしょう。

また、

  • 伝えたいことを順序立てて話す
  • 分かりやすいようにかみ砕いて話す
  • たとえ話やジェスチャーやボディランゲージを取り入れる

などを行うと、話のニュアンスも含めて相手に伝わりやすくなるでしょう。

③コーチングスキルを高める

コーチングスキルとはメンバーの能力を発揮させるために具体的な指導をしていくスキルのこと。

アセスメントスキルが、メンバーの長所や短所、個性や適性を把握して育成方針を導き出す能力であるのに対し、コーチングスキルは、メンバーの長所や強みを見つけ出し、そこから明確な目標を立てて、メンバーの能力を発揮させます。

コーチングスキルを活用すると、メンバーの能力開発を効率的に実行できます。

具体的手法

コーチングとは対話という意味です。メンバーに対して指示を出すのはティーチングというスキルで、コーチングはあくまでも、メンバーの得意なことや強みを見つけ出すためのコミュニケーションを前提としたスキルです。

コーチングスキルで大事なことは、

  • メンバー一人ひとりと向き合う
  • メンバーの話にしっかりと耳を傾ける
  • 適切な質問を投げ掛け、相手をきちんと理解する

こちらの経験を押し付ける、分かったつもりで話を聞くなどの態度では、相手の本質を引き出すことはできません。

メンバー一人ひとりの個性に合わせたコミュニケーションで、強みや得意なことを正しく理解し、仕事を振り分けることでコーチングスキルは向上していくでしょう。

マネジメント能力を高めるためには、メンバー一人ひとりと向き合って対話するコミュニケーションが不可欠です