ジョブローテーションとは?【意味を解説】メリット、何年

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ジョブローテーションとは、職場や職種を異動してさまざまな経験を積んでいく制度のこと。

日本企業はジョブローテーションを効果的に活用し、柔軟な発想や多様な知識、幅広い人脈を生かして、従業員を多く育ててきました。

ジョブローテーションとはどのような制度なのか、

  • 目的
  • メリットやデメリット
  • 実際の導入事例

などを用いて、ジョブローテーションについて紹介いたします。

目次

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1.ジョブローテーション(制度)とは?

ジョブローテーションとは定期的に職場を異動したり、職務を変更したりする制度のこと。ジョブローテーションは、人材研修の一つで、企業には多様な部署や業務があり、そこでさまざまな能力を持った人材が就業しています。

ジョブローテーションは、短いケースでは半年、長くて数年といったスパンで部署や職務を変更します。

さまざまな業務を経験しながら、従業員の能力開発を行う仕組みとして、日本でも広く浸透している制度の一つです。

一方で、人事としては定期的にローテーション計画をつくる業務が発生するので、期末ごとに気が重い方も多いのではないでしょうか。

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2.ジョブローテーションの3つの目的

ジョブローテーションの目的は、大きく3つあります。ここでは対象者別にジョブローテーションの目的について見ていきます。

  1. 人材育成
  2. 企業全体の把握
  3. 属人化の防止

①人材育成

ジョブローテーションは、企業内のさまざまな職種や部署を経験させることができるため、新人研修などで多く用いられています。

目的は、入社後のジョブローテーションで多様な職務に就いて、実務を通して経験しながら、適正や本人の意向を見極めて正式な配置を決定し、人材を育成すること。

②企業全体の把握

2つ目の目的は、企業全体の把握です。

事業規模が大きければ大きいほど、部署や職種の数も増えるでしょう。従業員がそれらの部署でさまざまな職務を経験することで、企業の全体像を把握できる人材となります。

また、幅広い視野を得ることで、偏ったり固定されたりした部署にいては生まれなかったアイデアの喚起も期待できるでしょう。

③属人化の防止

3つ目の目的は、属人化の防止。

その人にしかできない仕事が多ければ、その従業員の負担は大きくなります。ワークライフバランスが叫ばれる現代にもかかわらず、従業員の多様な働き方を阻んでしまうでしょう。

さらに、従業員一人の退職リスクを抱えてしまうことにもなりかねません。

ジョブローテーションは属人化を防止し、従業員に業務の共有化を促してくれるだけでなく、退職リスクなどの軽減にも一役買っています。

そのため、ジョブローテーションで誰が・どこに異動してもらうかを考える上で、同じ部署に何年いるのか(滞留年数)は重要な情報です。

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3.ジョブローテーション制度と人事異動の違い

組織内において役割が変わることを人事異動と呼びます。社員の意思とは関係なく企業命令として、昇格や降格、転任、また役職への任命などが行われることが一般的です。定年退職や解雇なども人事異動のひとつと言えます。

一見すると同様の行為に思われがちなジョブローテーションと人事異動にも、行為の裏側にある目的に違いがあります。人事異動は、欠員の補充や組織の活性化など、経営戦略上の必要行為として検討されます。一方でジョブローテーションは、人事戦略にもとづき、人材育成や交流を目的とし実施されます。

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ジョブローテーション制度と社内公募制度の違い

配置転換を希望する従業員を公募する社内公募制度は、キャリア開発支援の制度のひとつ。会社が必要とするポストを公開し、希望者を募ることで、従業員の積極的なキャリア形成をサポートします。

人材の希望が基本的に考慮されないジョブローテーションとは一線を画します。どちらも人事戦略における重要な制度ですから、併用されることもあります。

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4.ジョブローテーションのメリット

従業員にさまざまな職種や部署での就労を経験してもらうジョブローテーションにはいくつかのメリットがあります。

ここでは、代表的なメリットを4つご紹介いたします。

  1. 適材適所の配置
  2. 社内ネットワーク構築
  3. 幹部候補の育成
  4. モチベーション維持

メリット①適材適所の配置

1つ目は、適材適所の配置を実現する点。

従業員は、さまざまな職務や部署を経験するため、そこから本人の適性と意思を見極めることが可能です。その結果を受けて、人事や上司は本人の適性によりマッチした職務に配属できるでしょう。

人材を適材適所に配置できれば、従業員のモチベーションを高めることにもなりますし、企業にとっても大きなメリットとなります。

メリット②社内ネットワーク構築

2つ目は、社内ネットワークの構築。

ジョブローテーションによって従業員はさまざまな部署を経験します。それにより異動した先々で、異動した従業員と受け入れる側の従業員同士、新しくネットワークが構築されるでしょう。

社内ネットワークが構築されれば、部署ごとの連携も取りやすくなり、さらに、社内の雰囲気にも一体感が生まれます。生産性の向上にも大きく影響するでしょう。

メリット③幹部候補の育成

3つ目は、幹部候補生を育成できる点。

幹部候補の育成には、非常に時間がかかります。また日本企業では、幹部が現場を知っていることは強みになると考えられているのです。

「ゆくゆくは経営を担ってもらいたい」そんな優秀な人材を早くからさまざまな現場に送り込むことで、各部署への理解が深まるでしょう。将来幹部になった際、現場で得たものが役立ちます。

さらに、

  • 幹部候補生としての適性を確認
  • 現場を知っている幹部社員を育成できる

といったメリットも。

メリット④モチベーション維持

4つ目は、モチベーションの維持。

多くの企業は、従業員にできるだけ高いモチベーションを長期間維持してもらうことを期待します。

特に日本企業は、40代半ばくらいまで昇進や昇給の差をあまりつけない代わりに、ジョブローテーションを組むことで「あなたは幹部候補の一人です」というメッセージを送って、従業員のモチベーションを高めようとする傾向があるのです。

従業員側もジョブローテーションに組み込まれたことで「幹部候補の一人」というメッセージを読み取り、モチベーションを維持、向上させて就労します。

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5.ジョブローテーションのデメリット

ジョブローテーションには、デメリットもあります。ここでは、2つの側面からジョブローテーションのデメリットを確認しましょう。

  1. スペシャリスト育成に不向き
  2. 離職した場合に教育コストの損失が大きい

デメリット①スペシャリスト育成に不向き

1つ目は、スペシャリストの育成に不向きという点。

ジョブローテーションは半年や数年といった期間で職場や職種を異動するため、短期間で業務の深層部までを理解することはほぼできません。

初めて体験する業務がほとんどのため、習熟度の浅さから比較的難易度の低い業務を割り当てることが多くなるからです。

高度な専門性や技術が必要なスペシャリストの養成という観点で見ると、ジョブローテーションは不向きといえます。

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デメリット②離職した場合に教育コストの損失が大きい

さまざまな職務や部署を経験させ、期待をかけて育成してきた従業員でも、退職する可能性はあります。

また、企業の育成戦略が成功すればするほど、当該従業員のキャリア志向は高まるため、それによる転職が増えることも見込まれるのです。

一つの職場に定着できないといったマイナス感情を持つ従業員がいる場合も、退職リスクになるでしょう。せっかく育成した従業員を失ったときの教育コストの損失は、予想以上に大きなものとなります。

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6.ジョブローテーションを導入しやすい企業例

ジョブローテーション制度が向く企業と、そうでない企業があります。

ジョブローテーションが向いている企業は、

  1. 複数部署に跨り商品・サービスの提供を行う大企業
  2. セクショナリズムを予防したい中小企業
  3. 企業文化の醸成・集約が課題であるグループ企業

などが一例として挙げられます。

①複数部署に跨り商品・サービスの提供を行う大企業

事業活動の規模が大きくなるほど、商品・サービスに対して関わる部署数が増します。ひとつの事業に対して複数の部署が連携する場合、社内コミュニケーションが欠かせません。

ジョブローテーションにより複数の部署を経験した人材がメンバーにいると、部署の垣根を越えたコミュニケーションが促進されます。部署間で利害が相反する場合にも折衝しやすくなるでしょう。

②セクショナリズムを予防したい中小企業

大企業はもちろん中小企業でも、組織内部の専門性を追求した結果、セクショナリズムの問題が浮上するケースは多く存在します。所属の部署や職種により利害は変わるものの、縄張り意識を解きほぐす意味でジョブローテーションを導入すると、利害を越えた領域で人材交流が可能となります。

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③企業文化の醸成・集約が課題であるグループ企業

多くの子会社を抱えるグループ企業の課題のひとつに、企業文化の浸透が挙げられます。ジョブローテーションによる人材交流を盛んに行うことにより、企業が大切にしている価値観や働き方を、子会社に伝達しやすくなります。M&A等により吸収された企業は、本質的な文化が異なりますから、時間をかけたコミュニケーションによって文化醸成を図る必要があるでしょう。

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7.ジョブローテーションに不向きな企業例

ジョブローテーションが不向きな企業は、

  1. 業務の多くに専門的なスキルが必要とされる企業
  2. 長期的なプロジェクトを請け負う企業
  3. スタートアップ・ベンチャー企業

など。

①業務の多くに専門的なスキルが必要とされる企業

専門的な知識・スキルが業務上必須とされる分野にジョブローテーションを導入すると不具合が起こり得ます。例えば製造において法律や条例による規制を熟知している人材が抜けてしまうと、別の人材が一から講習を受講したり資格を取得したりする必要が生じ、コスト増はもちろん、部署の業務レベルを低下させる原因となります。

②長期的なプロジェクトを請け負う企業

プロジェクトの進行中にもかかわらず、人材が頻繁に出入りすると、部内の混乱を招く原因となります。基本的に配置転換は、人材が携わっている業務が一段落ついたタイミングで行うべきと考えます。例えば複数のプロジェクトが数年に渡り同時進行している場合など、人材の出入りがしにくい環境もあります。

③スタートアップ・ベンチャー企業

小規模の体制にジョブローテーションを導入すると、業務が立ち行かなくなる可能性があります。まだ社員数が少ないスタートアップやベンチャー企業では、人材交流に課題が生じるケースは少ないはず。ジョブローテーションを導入するメリットは小さく、むしろデメリットのほうが大きくなる恐れがあるでしょう。

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8.社員に対するジョブローテーション効果

企業人事上の戦略として運用されるジョブローテーション。配置される人材への影響は大きく、転換によって働き方や価値観を変えることも。社員の人生をも変える可能性があることを前提に、期待できる効果を注意深く検討しましょう。

①社員の退職・転職を防ぐ

ジョブローテーションの導入により退職者が増える、という見方も当然できますが、企業に対するエンゲージメントやロイヤリティが一定担保されている限り、ジョブローテーションは離職防止にポジティブに働く傾向にあります。

従業員が離職や転職を考え始める契機の一例として、

  • 職場の人間関係に対する不満
  • 別の環境に活躍の場を期待する
  • 職務に対する飽き

などが挙げられます。定期的な配置転換を実現し、上記の心的状況から従業員を守りましょう。離職防止効果を期待するには、従業員へのヒアリングも欠かせません。適切なローテーションの実施に注力しましょう。

②人材成長とスキルアップに効果的

例えば部署Aにてエンジニアリングに従事する人材が、部署Bにてデザインに近い領域で働くなど、親和性の高い業務領域を次々とローテーションすることで、越境したスキルを持つ人材を生み出すことが可能となります。

デザイン・エンジニアリングなど技術職だけでなく、総合職でもジョブローテーションにより越境性を高めることができます。例えばプロダクトに熟知したセールスを行うために、営業職が製造部門に一定期間、身を置くケースはよくあります。人材が伸ばすべきスキルの幅を広げるべく、多様なローテーションのモデルを構築しましょう。

③部内を越えて人材ネットワークを構築できる

社内コミュニケーションの促進や、人材交流による業務効率の向上を期待することができます。組織内に複数のネットワークがあると、従業員は安心感を得やすく、働きやすくなります。社内結婚などライフイベントも起こりやすくなり、組織に対するエンゲージメントも高まりやすくなるでしょう。

9.ジョブローテーションの企業事例

①ヤマト運輸の成功事例

新入社員を配送現場に配属

ジョブローテーションを導入している企業に、宅急便の配送事業を展開しているヤマト運輸があります。

ヤマト運輸では、新入社員を対象としてジョブローテーションを実行。新入社員は入社してから2年間、配送物の集配や配送サポート、営業といったいわゆる現場での実務を経験するのです。

目的は、会社全体の流れをつかんでもらうこと。配送事業の現場を実体験することで、自分自身の行っている業務が全体の流れの中でどういった位置付けにある業務なのか、理解するのです。

実務経験を積んだ後は、本配属となった部署で就労します。

②富士フイルムホールディングスの成功事例

スペシャリスト養成を目的に据えた研修制度

カメラだけでなく医薬品などの開発、製造でも有名な富士フイルムホールディングスも、若年層を対象としてジョブローテーション制度を導入しています。

新入社員にはスペシャリストの養成を目的とした3年間の研修制度が設けられているのです。期間中は「自発性」を磨くことを第一として、

  • ビジネスマナーをはじめ各業務内容が求める知識やスキルの習得
  • 特定分野の技術や知識を追求する姿勢

など、従業員として必要なことを学びます。研修を終えた従業員は、どの部署に配属されても、自分のやるべき業務に真摯に取り組むことになります。

③双日の成功事例

新卒より10年間の育成プログラム

総合商社である双日も新卒入社から10年間という期間を設定した従業員の育成プログラムを導入しています。

この期間にジョブローテーションを組み込み、従業員にさまざまな部署で業務を経験してもらうのです。

2008年からは社内公募制度も採用し、従業員が自らキャリアを選択できる環境整備にも取り組んでいます。

「10年という期間設定がは長い」という見方もありますが、組織の活性化や人材育成を長期的な視点でじっくり取り組んでいるともいえるでしょう。

④三井ホームの成功事例

従業員のスキルセットとネットワーク構築

三井ホームでは、ジョブローテーション制度を積極的に活用しています。

入社して、工事現場担当になったかと思えば、営業に異動になり、さらに設計担当に配置転換といった事例も多いです。

異なる職種を渡り歩いているようにも見えますが、大手企業は業務や職種の幅が広いにもかかわらず、部署ごとの連携が必要になる大きなプロジェクトも多くあります。

  • 部署間のやり取りがスムーズに
  • 現場を知っているから設計がしやすい

声からも分かる通り将来のキャリアデザインのためにジョブローテーションを効果的に活用している一例といえるでしょう。

10.ジョブローテーションとキャリアデザイン|計画前に確認すること

ジョブローテーションは、人材開発に有効な手段として多くの企業で用いられています。しかし、個々の従業員のキャリアデザインとマッチしない場合には、退職リスクを高めるなどの問題が発生するのです。

人事担当者はジョブローテーションを計画する前に、従業員の意向を面接などで確認する必要があります。事前に確認しておくべき内容は、以下の2つです。

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従業員のWILL(やりたいこと)

人事担当者が確認しておきたいのは、従業員のWILL、すなわち意思です。

企業活動は、企業と従業員がタッグを組んで双方がWin-Winの関係で繁栄しなければなりません。

ジョブローテーション制度が従業員の能力開発の一助になるからといって、やみくもに職場を転々とさせてはかえって士気を下げてしまいます。

  • 個々の従業員がどのようなキャリアビジョンを持って仕事に就いているのか
  • どのような仕事に就きたいと考えているのか

を把握することは、非常に重要でしょう。

ゼネラリスト or スペシャリスト

  • スペシャリスト志向なのか
  • ゼネラリスト志向なのか

も確認する必要があります。

もし従業員が、幅広い知識や人脈を生かしたゼネラリストの道を進みたいと考えているなら、ジョブローテーションは効果的に機能します。

しかし、専門性を追求したいとスペシャリストを志望していた場合、残念ながらジョブローテーションは不適でしょう。

どちらの道を進むつもりなのかを、事前にはっきりと確認しておきましょう。

11.海外には事例がない? ジョブローテーションは日本で普及

海外では、ジョブローテーション制度はあまり活用されていません。その理由は、海外の企業の多くが、ジョブ型雇用制度を採用しているからです。

ジョブ型雇用制度では、仕事が先にありきで、仕事やポジションごとに人材を募集、採用、育成します。つまり、従業員は採用職種や業務以外の仕事を行うことは、基本ないのです。

一方、日本企業では、まず人材ありきで、育成した人材に適した仕事をあてがう考え方が主流となっています。このように採用方法や人材に対する考え方の違いがあるため、海外においてジョブローテーション制度は、普及していないのです。

ジョブ型雇用とは?

範囲や定義の中で仕事をする人材を採用、雇用していく仕組みのこと。

ジョブ型雇用は、

  • 職務経験やスキルの乏しい人材:採用されにくい
  • スキルや経験を積んだ熟練度の高い人材:採用されるチャンス

となります。

また、ジョブ型雇用では、採用時から職務範囲、労働時間、就業場所などの労働条件が決まっているのです。

採用に向けて学校教育と職業訓練といった企業外教育が基本となっており、公費負担や奨学金といった公的負担の比率が高い特徴を持ちます。

ジョブ型雇用とは?【メンバーシップ型との違い】メリデメ
ジョブ型雇用とは、従事する職務を限定し、成果によって報酬を決める雇用制度。 スペシャリストを確保したい企業を中心に導入が進められています。 1.ジョブ型雇用とは? ジョブ型雇用とは、職務内容を明文化し...

メンバーシップ型雇用とは?

日本に代表される雇用の仕組みは、メンバーシップ型雇用といいます。実務経験やスキルがなくても就職しやすいので、ジョブ型雇用に比べると職務経験やスキルが乏しくても、就業のチャンスを得やすいでしょう。

しかし、非正規社員やフリーターといった言葉にもある通り、

  • 正規メンバーシップのチャンスを逃すと次のチャンスを得ることが難しい
  • 景気低迷の時代に習熟度と年齢によって高い給与を支払わなければならないシニア社員のリストラ

など、雇用面でさまざまな問題や課題を抱えてしまうことも事実です。


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ジョブローテーションのQ&A

定期的に職場を異動したり、職務を変更したりする制度をジョブローテーションといいます。人材研修の手法のひとつで、通常OJTの形式で業務を学びます。 短くても半年、長くて数年というスパンで、部署や職務を変更するケースが多く見られます。
主に下記3つの効果が挙げられます。 ①社員の離職を防ぐ ②越境したスキルを持つ人材を生み出す ③部内を越えて人材ネットワークを構築できる ジョブローテーションで配置される人材への影響は大きく、転換によって働き方や価値観を変えることも。社員の人生をも変える可能性があることを前提に、期待できる効果を注意深く検討する必要があります。
ジョブローテーションを実施すると、短期間で異動するため、職務の深層部まで理解することは難しいでしょう。高度な専門性や技術が必要なスペシャリストの養成という観点では、ジョブローテーションは不向きといえます。 また、ジョブローテーションでは企業の育成戦略が成功するほど、従業員のキャリア志向は高まります。それによる転職が増えることも見込まれます。