労働者派遣法は成立されてから何度も改正されていますが、平成27年10月の施行労働契約申込みみなし制度についての対策はもう実施されましたか?派遣会社から説明を受けただけという方は、一度おさらいしてみましょう。
労働契約申込みみなし制度とは
労働契約申込みみなし制度(みなし雇用制度)は、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(通称「労働者派遣法」)は労働者の保護と雇用の安定と福祉の増進を目的に制定され、平成27年10月に改正されました。
今回の改正では労働契約申込みみなし制度が新設され、派遣先が違法派遣を受けた時点で派遣元事業主と同条件で派遣先が派遣労働者へ労働契約の申込みをしたとみなされ、1年以内に派遣労働者が承諾すると労働契約が成立します。
なお、過失がない時のみ派遣先の企業が違法派遣に該当することを知らなかった場合は適用されません。
平成27年10月施行の労働契約申込みみなし制度における5つの違法派遣を受け入れないために人事部で対処することとは?
1.派遣労働者を禁止業務に従事させること
2.無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること
3.事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
4.個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
5.いわゆる偽装請負等
上記の5つが平成27年10月施行の労働契約申込みみなし制度における違法派遣です。
人事部で対処することとして、派遣社員を依頼する部門の担当者での勉強会を開催し、この5つが違法派遣であることを周知します。特にクリエイティブ系の業務は偽装請負が発生しやすいので注意が必要です。
そのためには、自社では禁止業務にあたる仕事があるのか把握をし、必ず派遣会社のパンフレット等で許可を受けているのか確認をしましょう。
そのうえで、人事部で承認している派遣会社以外の利用を禁止して、各部門で派遣社員の採用を行っている場合は人事部で一括管理するようにして違法派遣状態を見逃さないようにしましょう。
労働契約申込みみなし制度のリスクとは
1.キャリアアップ支援の法令化
改正により派遣先でのキャリアアップに必要な情報提供や、雇い入れ努力義務、正社員募集時の情報提供義務が発生しています。今まで派遣社員だから、社員研修に参加させていないのであれば、今後は派遣社員も社員研修に参加させるようにしましょう。
2.予定外の人件費増加
違法派遣状態にあることを見逃してしまうと、自社で求める人物像に満たない派遣社員を直接雇用することになります。改正法では正社員化は求めていませんが、契約社員やパート雇用でも社会保険料の負担などで人件費が増加してしまいます。
本人が直接雇用を希望した場合に会社側で拒否をして、金銭(慰謝料)で解決する方法は認められていません。予定外の人員増加を防ぐには、法律を正しく理解したうえで派遣社員を管理することが重要になります。