介護休暇とは?【わかりやすく解説】介護休業との違い

介護休暇とは、要介護状態にある家族の介護などを行う人に与えられる休暇のこと。対象家族1人につき、1年に5日まで休暇の取得が可能です。

1.介護休暇とは?

介護休暇とは、要介護状態にある家族の介護などを行う人に与えられる休暇のこと。対象家族1人につき、1年に5日まで取得が可能で、対象家族が2人以上の場合、最大10日まで取得できます。

1日または半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能で、対象者は、日々雇用を除く労働者、労使協定により対象外にできる労働者となっています。

介護休暇とは、要介護状態にある家族の介護などを行う人に与えられる休暇のことで、対象人数によって1年の取得日数が最大5日または10日と異なります

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2.介護休業との違い

介護休業とは、要介護状態にある家族を介護するために従業員が取得する休業のこと

対象家族1人につき3回利用でき、期間は通算93日までとなっています。対象者は、日々雇用を除く労働者、労使協定により対象外にできる労働者で、有期契約労働者は、申出時点において、入社1年以上などの条件を満たさなくてはなりません。

対象となる家族の範囲は、事実婚を含む配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫です。介護関係の「子」の範囲は、法律上の親子関係がある子(養子を含む)のみとなっています。

労働者は、休業開始予定日の2週間前までに書面または事業主が適当と認める方法において、事業主に介護休業の申請を申し出る必要があります。

介護休業とは、要介護状態にある家族を介護するために従業員が取得する休業のことで、対象家族1人につき3回利用でき、期間は通算93日までです

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3.介護休暇の変化

以前の介護休暇は、1日単位での取得でした。しかし平成29年の「育児・介護休業法」改正を機に半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能となったのです。その狙いは、介護休暇に柔軟性を持たせることで、仕事と介護の両立につなげるというもの。

この改正以外にも「介護のための労働時間短縮措置」が介護休業と別に利用できるようになり、「残業の免除」が新たに付け加えられました。これは、対象家族1人につき、介護終了まで所定外労働の制限を設けたものです。

以前の介護休暇は、1日単位での取得でした。しかし、平成29年の「育児・介護休業法」改正を機に半日単位での取得が可能となったのです

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4.介護休暇の特徴

介護休暇の対象となる従業員や家族にはどのような特徴があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

対象となる従業員

介護休暇の対象は、要介護状態にある家族がいる6カ月以上雇用されている男女を問わない全従業員です。この従業員には、正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣社員・契約社員も含まれます。

介護休暇を取得する際の「要介護状態」は、身体上・精神上の障害や疾病により2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態を指し、要介護認定の有無は関係ありません。

対象とならない従業員

介護休暇の対象とならない従業員は、入社6カ月未満の従業員、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員など特定の要件を満たす従業員です。日々雇用の労働者や半日単位での介護休暇取得が困難な業務に従事している従業員も対象となりません。

また、1日の労働時間が4時間以下の従業員は半日単位での介護休暇を取得できないので気を付けましょう。

対象家族とは?

介護休暇の対象となる家族は、婚姻届を出していないが事実上婚姻と同様の事情にある者を含む配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹および孫となっており、介護関係の「子」の範囲は、法律上の親子関係がある子(養子を含む)のみとなっています。

期間や日数

介護休暇は対象家族1人につき、年5日まで取得できます。対象家族が2人の場合、最大年10日の取得が可能ですが、対象家族が3人以上の場合でも年10日を超える休暇は取得できないため注意が必要です。

申請理由について

企業は、従業員が介護休暇取得を申し出た際、申出に係る家族が要介護状態にあることなどを証明する書類の提出を求めることができます。

しかし、就業規則にて医師の診断書の添付を義務付けることは適切ではないとされているのです。もし対象従業員が書類提出をしなかったとしても、それによって介護休暇などの申請を拒否することは認められていません。

介護休暇制度は、対象となる従業員の雇用状況や対象となる家族との関係性、人数や期間、日数などについて一定の条件が定められています

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5.介護休暇と育児・介護休業法

では最後に、介護休暇と育児・介護休業法について詳しく解説します。

  1. 有給とは個別に付与される
  2. 就業規則への規定
  3. 労働時間
  4. 半日の定め方
  5. 介護休暇の取得を拒むことはできない
  6. 介護休暇の対象外
  7. 申し出に関する事項
  8. 書類の提出
  9. 制度の柔軟な利用

①有給とは個別に付与される

介護休暇は育児・介護休業法において、有給休暇とは別に付与されなければならないとされています。

しかし、介護休暇を取得した際の賃金に法的な規定はなく、各企業によって異なります。また、介護休暇として申請できる日は、本来労働日だった日と決まっています。元から休日だった日に介護休暇を取得することはできません。

②就業規則への規定

介護休暇は制度の導入だけでなく、就業規則にその制度について規定しなければなりません。労働基準法では、就業規則の作成に関し、休暇についても必ず記載しなければいけないとしています。

育児・介護休業法による介護休業もこの休暇に該当するため、就業規則に付与条件や取得に必要な手続き、期間について記載する必要があるのです。

労働時間について

時間外労働の制限や所定労働時間の短縮といった措置についても、就業規則に規定する必要があります。

要介護状態の家族を介護する従業員が休暇を申し出た際、事業主は時間外労働の上限にかかわらず、1カ月に24時間、1年に150時間を超える法定時間外労働をさせることはできません。

また、事業主は短時間勤務の制度やフレックスタイム制度などの措置を設ける必要があります。

育児・介護休業法より良い制度を

企業は、育児・介護休業法に定められた条件よりも良い制度を構築する努力が求められます。

ある商社では、制度とは別に会社独自の取り組みとして、介護者向けの有給休暇制度や短時間勤務制度を導入しています。また別のIT企業では、要介護状態にある対象家族1人につき、通算1年までの介護休業の取得が認められているのです。

③労働時間

日によって1日の労働時間が異なる場合の1日の所定労働時間は、1年間の1日平均所定労働時間数とされています。1日の所定労働時間数または1年間における1日平均所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合、1時間に切り上げるものとして扱うのです。

企業は、要介護状態にある家族を介護する従業員が申し出た場合、所定労働時間を超えて労働させることはできません。

④半日の定め方

労使協定により、1日の所定労働時間の2分の1以外の時間数を半日と定める場合、以下の3つの事項を定める必要があります。

  • 労使協定が定めた単位で介護休暇を取得できる従業員の範囲
  • 1日の所定労働時間に満たない介護休暇取得の単位となる時間数
  • 1日の所定労働時間を下回らない介護休暇1日当たりの時間数

⑤介護休暇の取得を拒むことはできない

有期雇用契約の従業員やほかに対象家族を介護できる家族がいる従業員などに対して、介護休暇の取得を拒むように定めることはできません。

たとえば、配偶者が専業主婦・主夫の場合や夫婦共に同じ会社に勤務している場合は介護休暇の取得を認めないなど、企業が独自に設定した条件のもと、介護休暇の取得を拒むと法律違反となるのです。

⑥介護休暇の対象外

「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、半日単位で介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者」はあくまでも一例です。

たとえば、介護休暇取得制度が取り入れられているなど、介護休暇の取得がそれほど困難でない業務を対象外にはできません。また、例示されている業務でも、企業努力によって可能な限り対象とするのが好ましいでしょう。

⑦申し出に関する事項

介護休暇の申し出には、「申し出る本人や対象家族の氏名」「本人と対象家族との続柄、介護休暇を取得する年月日」「対象家族が要介護状態にある事実」4つの事項を事業主に明らかにしなくてはいけません。

介護休暇の申出の方法は、書面の提出だけでなく、口頭での申出も可能です。また、当日電話での申出による取得も認めるなど、企業には柔軟な対応が求められます。

⑧書類の提出

企業は、従業員に、対象となる家族と申し出る本人や対象家族が要介護状態ということを証明する書類の提出を求めることができます。

しかし、介護休暇は要介護状態にある対象家族の介護やその他の世話を行うことを目的とした休暇です。証明書類の提出をしてほしい場合、従業員の環境が少し落ち着いてからなど事後提出を可能にして、過度な負担がかからないような配慮が求められます。

⑨制度の柔軟な利用

要介護状態にある家族の状況、従業員の勤務状況などが多様である点を鑑みて、時間単位での休暇取得を認めたり入社6カ月未満の従業員に一定日数の取得を認めたりするなど、制度の柔軟性が求められることもあります。

企業は、要介護状態の家族を介護する従業員が少しでも安心して働ける環境をつくるため、支援を行う必要があるのです。

企業には、育児・介護休業法で定められた制度を柔軟に利用できるよう配慮する必要があります。また、定められた条件よりも良い制度を構築する努力も求められるのです