算定基礎届とは?【わかりやすく解説】訂正、書き方

算定基礎届とは、社会保険料や年金を計算するベースとなる「標準報酬月額」のために提出する書類のこと。ここでは算定基礎届の目的や定時決定、書き方などについて見ていきましょう。

1.算定基礎届とは?

算定基礎届とは、事業主が健康保険や厚生年金保険の被保険者の報酬月額を提出し、標準報酬月額を決める定時決定を行う際に提出する書類のこと

被保険者の給料は昇給や手当の支給などによって変わるため、実際に支給される給与があらかじめ定められている標準報酬月額と大きく異なるという場合もあり得えます。そのため定時決定が必要とされるのです。

算定基礎届とは、事業主が被保険者の報酬月額を提出し、標準報酬月額を決める定時決定を行う際に提出する書類のことです

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2.算定基礎届の目的

一般的に被保険者が受け取る給料は、昇給や降級、手当の支給などによって変動します。つまり、実際に受ける給与があらかじめ定められている標準報酬月額と乖離してしまうというケースも考えられるのです。

標準報酬月額が実際の給与額と大きくかけ離れることのないように調整する、これが算定基礎届を提出する目的といえます。

算定基礎届の目的は、標準報酬月額と被保険者の実際の報酬に大きな乖離を生じさせないようにすることです

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3.定時決定とは?

定時決定とは、事業主が健康保険や厚生年金保険の被保険者の報酬月額を提出し、被保険者の標準報酬月額を決定すること

被保険者が実際に受ける給料は、昇給や降級などによって変動するため、実際に受け取る給料があらかじめ定められた標準報酬月額と異なる場合があります。そうならないためにも、年に一度定時決定を行う必要があるのです。

定時決定とは、算定基礎届によって届け出た賃金をもとに、日本年金機構が標準報酬月額を決定することです

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4.月額変更届とは?

月額変更届とは、事業主が各都道府県の日本年金機構の事務センターや管轄の年金事務所に届け出る書類のこと。月額変更届の正式名称は、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」といいます。

標準報酬の月額変更が必要になった場合は、次回予定される定時決定を待たずに報酬月額変更届をできるだけ速やかに届け出ます。この月額変更届を届け出ることによって支払うべき社会保険料額が調整されるのです。

月額変更届とは社会保険料を変更する際に、事業主が提出する書類のこと。算定基礎届でいう「随時改定」の際に届け出るものを指します

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5.算定基礎届の特徴

ここでは、算定基礎届の特徴について具体的に詳しく見ていきましょう。

提出の対象

算定基礎届の提出の対象となるのは下記に当てはまる人です。

  • 7月1日の時点で被保険者となっている従業員。被保険者であれば長期休職中の従業員や育児休業などを取得している従業員も含まれる
  • 70歳以上の被用者

一方で、下記のいずれかに当てはまる人は提出の必要はありません。

  • 6月1日以降に資格を取得した従業員
  • 6月30日以前に退職した従業員
  • 7月改定の月額変更届を提出する予定の従業員
  • 8月もしくは9月に随時改定を予定する従業員

提出方法

算定基礎届は、管轄する年金事務所もしくは事務センターへ、電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参いずれかで届け出ます。提出にあたっては算定基礎届に同封された返信用の封筒を使用する必要があるので注意しましょう。

提出時期

算定基礎届は毎年7月10日までに届け出る必要が求められていますが、年によって前後する場合もあります。

算定基礎届の提出の対象となるのは、7月1日の時点で被保険者となっている従業員、また70歳以上の被用者です

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6.算定基礎届の書き方、作り方

ここでは、算定基礎届の書き方や作り方について見ていきましょう。

報酬月額を計算

算定基礎届に必要な用紙は、毎年6月半ばに各事業所に送付されます。まず報酬月額を計算し、4月、5月、6月の各月に従業員へ支払われた報酬の届け出を行うのです。

この標準報酬月額の対象とされる報酬には、給料、手当、賞与などの呼称に関係なく、 従業員が労働の対償として受けるすべてのものが当てはまります。これは通貨に限られず、たとえば通勤定期券、食事、住宅などに関わる現物支給も報酬に当てはまるのです。

支払基礎日数

支払基礎日数とは、報酬の支払い対象となった日数のこと。アルバイトやパートという雇用形態では、実際に出勤した日数が支払基礎日数となります。

月給制や週給制の場合、出勤日数を問わず暦日数と定められていますが、 欠勤した日数分だけ給料が差し引かれる際は、事業所が定めた日数から欠勤した日数を控除したものとなります。

報酬の分類

標準報酬月額の対象に当たる報酬には、給料、手当、賞与などの呼称に関係なく、従業員が労働の対償として受けるすべてのものが当てはまります。ここでは「報酬に分類されるもの」と「報酬に分類されないもの」を見ていきましょう。

報酬となるもの

給料、賞与、俸給、役付手当、家族手当、扶養手当、日直手当、宿直手当、早出残業手当などといった金銭(通貨)だけでなく、通勤に使用する定期券、食事、住宅など、従業員に現物で支給されるものも報酬に含まれます。

また通勤手当を定期券や回数券で支給する場合、現物給与となるので、全額を報酬として算入します。

報酬にならないもの

見舞金や解雇予告手当、退職手当、交際費、傷病手当金、労災保険の休業補償給付、年3 回以下の賞与などは報酬にはなりません。

また勤務用の制服や業務のための作業着、見舞品、食事(本人の負担額が、厚生労働大臣が定める価額により算定した額の 3分の2以上) なども報酬には当てはまらないと定められています。

保険者算定、保険者決定

標準報酬月額を4月、5月、6月の報酬の平均で算出することに対して、日本年金機構が著しく不当であると認めた場合、保険者算定を行うことが可能です(健康保険法第44条、厚生年金保険法第24条における報酬月額の算定の特例)。

保険者算定は下記のようなケースがあります。

算定が困難

従業員が病気や怪我という理由などから欠勤し、4月、5月、6月に報酬を全く支払っていない場合、従前の標準報酬月額にて決定することと定められています(従前の報酬月額にて算定)。

また、報酬の支払基礎日数が4月、5月、6月の3カ月とも17日(特定適用事業所に勤める短時間労働者は11日)未満であるケースでも、従前の標準報酬月額によって決定されることと定められているのです(従前の報酬月額にて算定)。

不当と認められる

4月、5月、6月の3カ月間、3月分以前の給与の支払いが遅れている場合、あるいはさかのぼった昇給などの理由から数カ月分の差額を一括して受けている場合、保険者算定を行うことができます。

また4月、5月、6月のいずれかの月において低額の休職給を受けた場合、ストライキによる賃金カットが実施され2カ月以下の月が該当する場合は、当該月を除いて報酬月額を算定するとされています。

さらに3カ月とも該当するケースでは、従前の標準報酬月額にて決定していきます。

保険者算定、保険者決定に用いる添付書類

上記のような算定が困難と見られるケースに該当する際は、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届総括表」「年間報酬の平均で算定することの申立書」「保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等」という年間報酬の平均で算定する申立書を3つ添付する必要があります。

令和元年度の変更点

算定基礎届は、7月1日時点においてすべての被保険者(6月1日以降に資格を取得した被保険者等は含まれない)が届け出の対象となっています。

一方で、8月あるいは9月に随時改定を行うと計画されている被保険者で、事業主によって申し出が行われた場合は、7月提出時に算定基礎届の届出を省略できると定められているのです。

届出省略の申出を実施する場合、事業主はあらかじめ定められた算定基礎届を作成し、届け出を行っていきます。

被保険者に通知

日本年金機構(厚生労働大臣)から以下のような決定通知があった場合、事業主は速やかに被保険者または被保険者だった従業員に通知する必要があります。

  • 被保険者の資格取得、または喪失
  • 標準報酬月額の決定、または改定
  • 標準賞与額の決定
  • 適用事業所以外の事業所が認可を受けて適用事業所となった場合
  • 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の従業員が、認可を受けて厚生年金保険の被保険者となった場合

算定基礎届は毎年6月半ばに各事業所に送付され、毎年、4月、5月、6月の各月に従業員へ支払われた報酬の届け出を行います

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7.算定基礎届の訂正

もし、算定基礎届の提出後、内容に不備があると気が付いた場合は、速やかに年金事務所に連絡を取りましょう。

誤って記入したことを担当者に伝え、再提出したい旨を申し出ます。訂正を行う際は、算定基礎届の用紙の上部に「訂正」という字を目立つように記入しましょう。

金額を誤っていた場合は、誤った金額欄を2段書きにします。上段に正しい金額を、下段に誤ってしまった金額を赤色で記入していくのです。

算定基礎届を提出した後に内容の不備に気付いた場合は、訂正が必要です。速やかに年金事務所に連絡を入れて、再提出したい旨を伝えましょう