日本企業でもグローバル化が進み、社内の公用語を英語にしている会社も増えています。グローバル化進んだ世界で戦っていける会社になるためには、今までのやり方と違ったことでも受け入れなければなりません。その1つが、「IFRS」といえるでしょう。
「IFRS」とは?
IFRS(International Financial Reporting Standards)とは、国際財務報告基準のことです。現在、EUの上場企業では、IFRSの適用が義務となっています。会計基準が世界で1つなら、国が違っても取引相手の経営実態を正確に把握することができます。
世界中でこの基準の導入が進んでおり、この基準に統一がされようとしています。従来、国ごとに会計制度が異なるのは、当然と思われていました。
しかし、資本市場のグローバル化が進み、海外と取引するようになると、各国で採用している会計基準が異なるために、企業活動の国際間の比較が難しいという課題に直面しました。そこで、会計基準の統一が模索され、IFRSという国際的な基準が誕生しました。
IFRSと日本の会計基準との違い
IFRSでは、細かいところを決めずに会計基準を作成する原則を設けているため、企業はその原則に基づいて企業活動の実態が理解できる財務諸表を作成する原則主義という方法を採用しています。
しかし、日本は、その逆を行っています。日本の会計基準は、収益から費用を差し引いた純利益に重きを置いています。簡単に言うと、材料費と人件費で1万円した商品を2万円で販売し、1万円の利益を得たということに重きが置かれています。
一方、IFRSでは純資産を重視していて、資産から負債を引いて算出しています。つまり、1万円儲けたことよりも、会社全体の財務状況がどうなっているかに重きを置いています。
IFRSによる影響は?
IFRSと日本の会計基準とでは重要視するものが真逆であるため、日本国内で広く適用するまでには時間がかかると考えられています。導入のメリットとしては、海外の投資家に経営状況を説明しやすく、資金調達の幅を広げることが可能となります。
また、国外の子会社と同じ財務諸表になり、まとめて管理しやすくなります。そして、国際取引で社内の財務諸表をそのまま活用できます。
その反面、デメリットとしては、現在の会計基準を大幅に変更しなければならず、システム変更や人材教育など費用と時間がかかります。均一化されていないため、今までの仕様の報告とIFRS基準の報告を2種類作成しなければなりません。
さらに、IFRSでは資産に重きを置いているため、今までの基準では含めていなかった資産も資産として含めなければならず、思わぬ負担か発生することもあります。
日本でも導入している企業は増えており、グローバル展開を考えているなら、メリット・デメリットをよく知った上でIFRSを導入しておくほうが良いでしょう。