ブレイクスルーとは? ビジネス上の意味をわかりやすく解説

ブレイクスルーは、障害を新たな方法で突破すること。ピンチを切り抜けるためのブレイクスルーとはどのようなものか、解説します。

1.ブレイクスルーとは?

ブレイクスルー(Breakthrough)とは、物事の進歩や進化の障壁を従来にない方法によって突破することです。「破壊する」の意味を持つブレイク(break)と、通り抜けるを意味するスルー(through)を組み合わせた言葉で、ビジネスシーンでは「困難や課題を乗り越える」「停滞を突破する」といった意味で使用されます。

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2.ブレイクスルーと混同しがちな「イノベーション」とは?

ブレイクスルーと似た意味を持つ言葉に「イノベーション」があります。

イノベーションとは、従来にない新しい発想や技術により、新たなアイデアやプロダクトなどを生み出すことしかし、障害や障壁を破るといった意味が必ずしもあるわけではありません。

詳しくは下記の記事も併せてご覧ください。

イノベーションとは? 意味や使い方、具体例をわかりやすく
イノベーションは、企業が成長を続ける上で欠かせないものです。革新を起こすようなアイデアや技術、手法について常に思考を巡らせていなければ、新たな製品やサービスは生まれず、市場がマンネリ化してしまい、企業...

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3.ブレイクスルーの具体的な事例

ブレイクスルーについて、2社の事例を挙げて解説します。ブレイクスルーの理解に役立ててください。

コクヨ

コクヨは、文具やオフィス用品を製造、販売している企業です。自社製品を中国で販売しようとしたとき、日中関係の悪化から中国国内で「made in Japan」の不買運動が生じました。

そこで、自社製品を模倣したと明らかに分かる中国企業の製品を、コクヨが生産するというブレイクスルーに打って出たのです。結果、中国でコクヨの製品は販売実績を大きく伸ばしました。

ベネトン

ベネトンは、アパレルメーカーです。アパレルはシーズンごとに流行が異なるため、需要に大きな変動が生じやすいという課題を抱えていました。

そこでベネトンは、従来製造工程の最初に行っていた染色を最後の工程へ変更するブレイクスルーを実施します。その結果、需要に合わせた供給の仕組みを構築しました。

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4.4種類のブレイクスルー

ブレイクスルーには、4種類あります。ブレイクスルーを種類ごとに解説しましょう。

  1. タイプ0
  2. タイプ1
  3. タイプ2
  4. タイプ3

①タイプ0

タイプ0とは、既存の技術を改良、改善して商品開発を行うこと。このようなタイプは、下記のような状況も考えられるため、ブレイクスルーのタイプとしては、「0」として設定されているのです。

  • 進化や進歩の障壁となっていた事象を突破し、解決するというブレイクスルーには至らない
  • 改良や改善に伴う進化や進歩は生じるが、最終的には改善が行き過ぎてしまう

②タイプ1

タイプ1とは、既存の研究を掘り下げることによって生まれるブレイクスルーのこと。実現不可能と考えられていた青色LEDの実現のように、真摯な研究の先にイノベーションを見つけ出すような対応が、タイプ1に分類されます。

  • 実験で目にした特異な現象をきっかけに新素材を発見する
  • 研究成果を実用化することによって、量産化などを実現する

③タイプ2

タイプ2とは、既存の技術が持つ価値を見つめ直して新しい価値を見つけ出すもの。研究開発には莫大な資金が必要なため、下記のような方法でブレイクスルーを行います。

  • 既存の技術に着目し、技術面の機能を特化させる
  • 価格競争に勝てる価格で、新しい価値を提供する

モバイルデバイス市場に特化するなど、現在の技術を特化させ市場のニーズにフィックスさせることは、タイプ2に分類されます。

④タイプ3

タイプ3は、タイプ1とタイプ2を合わせたもので、「基礎研究などを掘り下げて行う」「既存の技術による新たな価値の創造」を行ってブレイクスルーを生み出すこと。

コツコツと研究を重ねて新しい価値を見つけ出すきっかけを探り、既存の技術の延長線上で研究成果を活かすというブレイクスルーの形も、インパクトの強いイノベーションを生み出すと分かっています。

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5.ブレイクスルー思考とは?

ブレイクスルー思考とは、南カリフォルニア大学の名誉教授ナドラーや中京大学名誉教授の日比野省三によって提唱された新しい思考方法です。

さまざまな人物により研究が行われ、その都度ブレイクスルー思考は進化を遂げてきました。従来はワークデザインを加工するための道具に過ぎなかった思考が、現在では人間の目的行動に主眼を置いたアプローチ論として確立されているのです。

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6.非凡ブレイクスルー思考とは?

非凡ブレイクスルー思考とは、ブレイクスルー思考を実践するために必要となる基礎原則です。ここでは、基礎原理について解説します。

  1. 目的情報
  2. ユニーク
  3. システム

①目的情報

目的情報とは、目的を達成するために必要とされる情報のこと。ブレイクスルーを行う際には、下記のようなことが十分だと考えられています。

  • むやみやたらに多くの情報を集める必要はない
  • 「解決策に必要と考えられる情報」だけを最小限の範囲で収集する

②ユニーク

ユニークとは、「ほかに類を見ない」「独特」「特異」といった意味の言葉です。既存の技術や知識の加工を繰り返せば、その技術や知識はいつか行き詰まります。ユニークという基礎原理から、下記が必要だと分かります。

  • 過去の事例から問題解決を学ぶことの限界を知る
  • 新たな発想を取り入れ独自性を出す

③システム

ここでいうシステムとは、「万物はシステムである」という認識論をもとに、従来のシステムを本来あるべきシステムに変えること。過去と未来を線上で結ぶのではなく、より物事の本質に迫るシステムの創造が必要となっているからです。

生解

生解とは、時代や環境、市場の変化に合わせて解決策を見つけ出していくこと。解決策は、常に変化をもたらすもので、環境変化に適用するには、改善や改革といったチューニングの継続が重要です。

目的

非凡ブレイクスルー思考の基礎原理であるシステムには、目的があります。目的とは、いわゆる物事を行うときの本質になるもの。

「目的の中でも核となる最も本質的な部分を見つける」「見つけ出した本質に対して常に問いかける」2つの議論をすると、本質的な目的を捉えながら解決策を考えられます。

人間

人間とは、ここでは協力者といったイメージで捉えます。実際に人間の手で実行して成果を挙げるために、「解決策実施の各段階で必要な人材を巻き込む」「一人ひとりの意見を協力者みんなの意見にすると、ブレイクスルーの実現がより確実なものになります。

未来解

未来解とは、未来につながる解決策を解き明かすこと。「求める未来を設定する」「未来像に向けて、現在の状況を進化させる」これには、学びながらあるべき未来像をデザインすることが重要です。