1970年頃には一億総中流意識を持っていた日本人ですが、いつのまにか格差社会へと移行してしまいました。日本ではいつ頃から格差社会となってしまったのでしょうか。格差社会の現状や、格差社会と似た言葉である階級社会との違いについて解説します。
格差社会とは?日本で、海外で広がる格差社会
格差社会とは、社会問題のひとつで、収入や財産を基準に人間社会が階層化されて、今いる階層から別の階層への移動が難しくなっている状態をいいます。階層の移動が難しい、努力をしてもなかなか社会的な地位を変えられない社会は、閉塞感が漂い閉鎖的な社会になっているといえます。
「21世紀の資本」を書いたフランスの経済学者トマ・ピケティは、ヨーロッパや日本では20世紀初頭と同じくらいに格差が広がっているといっています。
また、経済成長率が低く、少子化、人口減少が起きている日本では、働いても収入が増えない人たちと、一人っ子で兄弟と分け合うことなく親の財産をそっくりそのまま相続する人達ではさらに格差が広がる一方であるともいっています。
日本での格差社会の発生と現状
日本でも戦後何度か、格差社会について議論がありました。高度成長期には、都会と地方とで経済格差や所得格差が問題となりました。1980年後半のバブル期には、株価や地価の高騰で資産を持っている人と持たない人の格差が生じました。
2000年頃の小泉政権下では、構造改革、不良債権処理、派遣労働法の改正などで非正規雇用が増え、格差が広がりました。そして、現在、消費の伸び悩みによる経済の停滞と、企業のコスト削減のために非正規雇用が増え続け、格差も拡大していきました。超高齢化社会が進む中、高齢者の中にも老後を安心して暮らせる富裕層と無年金で暮らす人たちに格差が広がり、教育に関しても格差が起きています。
格差社会と階級社会の違い
格差社会と階級社会はどんな違いがあるのでしょうか。階級社会は社会の構成員が複数の階級に分かれ、その間に上下関係や支配と服従の関係が存在する社会です。イギリスは階級社会が続いていて、イギリス王室を頂点として上流階級、中流階級、労働階級に分かれています。
階級社会では、生まれる前から自分が属する階級は親と同じ階級と決まっています。見方によっては、格差社会が制度化され固定化されているのが階級社会ともいえます。
今の日本を見ると、教育熱心な家庭がある一方で子どもの貧困問題が生じています。貧困家庭に生まれた子どもは高等教育を受けずに就職、非正規雇用となる可能性が高く、結婚しても同じように貧困家庭で子どもを育てる可能性が高くなります。
一方、高学歴で教育熱心な家庭に生まれた子どもは、親と同じように高等教育を受け、親と同じような職種に就いて、親と同じような収入を得ることができます。このように日本の格差社会は、親の世代から固定化して子の世代に受け継がれ、子どもの力だけでは抜け出せない状態が起きており、まるで階級社会のような状況になっています。