総務の仕事内容とは? 向いている人材、求められるスキルと資格

総務とは、会社の組織運営において必要ではあるものの、ほかの部署に属さない多種多様な業務の総称です。そんな総務の業務は広範囲にわたります。

1.総務とは?

総務とは、ほかの部署に属さない多種多様な業務の総称です。その特性から業務内容は広範囲にわたります。「その仕事はどの部署が担当になるのだろうか?」など明確にできない場合、ほとんどが総務担当の仕事になります。

そして総務が目指す事柄は「会社のレベルアップ」。総務は経営陣を含めた社内すべての部署とかかわりを持つ存在として、社内全体を見渡し、社員全員を経営陣の目指す目標に向かわせるのです。

総務の仕事内容は会社によってさまざまです。どの部署がやるのか明確にできない仕事は、その多くが総務の担当になります

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2.総務の仕事

多くの仕事を担い、疎遠になりがちな経営陣と現場をつなぐ役割も果たす総務。「ほかの部署に属さない業務」といってもイメージしづらいため、ここでは具体例を挙げて総務の仕事を紹介します。

もちろん、ここに記載しているものだけが総務の仕事ではありません。総務の仕事内容は会社によって異なるため、ここで紹介しているのは一般的に総務の仕事とされている業務のごく一部です。

  1. 施設の管理
  2. 文書の管理
  3. 機器・備品の管理
  4. ホームページの管理
  5. 株主総会・取締役会の事務局運営
  6. 社内行事
  7. 社内・社外広報
  8. 福利厚生の管理

①施設の管理

清掃業者への清掃依頼や、照明・空調の調節、防災設備の管理などは比較的想定しやすい総務の業務内容です。会社がオフィスビルに入っている場合、会社はビル自体の防災訓練やエレベーターの点検などに協力する必要があります。

近年では防災や災害対策など「オフィス防災」への取り組みも、総務の仕事内容として求められています。施設の耐震・免震対応や非常用通信の確保、災害用備蓄品の準備や災害時の対応マニュアル作成なども、総務が主導して取り組まなければなりません。

②文書の管理

文書の管理も総務の大切な仕事です。備品や機器を発注する際の文書や会議で使う資料、株主総会や取締役会での議事録や社内イベントのお知らせなど、広範囲にわたる文書を総務はすべて管理しなくてはなりません。

またこれらの文書はただ保管、ファイリングすればいいわけではないのです。いつどこで、誰が何を行ったかなどがすぐ分かるよう、効率化して管理する必要があります。種類や日付別にまとめいつでもすぐ参照できるよう管理する、これも総務の大切な仕事です。

③機器・備品の管理

一般的にどの部署で担当していいか分からないようなパソコンやプリンターといった機器の管理も、総務の仕事に含まれます。機器の個数や状態を把握し、定期的なメンテナンスを依頼したり、故障したときに修理の依頼を行ったりします。

会社で必要な備品の管理も総務の仕事です。ボールペンやファイルなどの文房具、プリンターのトナー在庫などを把握し、なくなる前に発注します。

また机や椅子、キャビネットなどのオフィス家具を従業員の増減に合わせて調節したり、古くなった場合は新しいものを発注したりするのです。

④ホームページの管理

情報が古くなっていないか、誤った情報を掲載していないかなどを確認します。企業のホームページは企業イメージに直結する場合も多いため、十分に注意を払って管理しなくてはなりません。

ホームページ経由で会社に問い合わせが来る場合もあるでしょう。これは電話対応や来客対応と同様、社外のお客様とのやり取りが発生する業務です。その際、各部署と連携を取り、寄せられた問い合わせに対して適切に対応します。

⑤株主総会・取締役会の事務局運営

総務では株主総会や取締役会の事務局も運営します。開催に向けて招集通知の作成や発送、当日必要な資料や会社規定などの準備、議事運営にあたってのシナリオや質疑応答対応、想定問答の作成などを行うのです。

総会当日は議長の進行を補助して、議事進行がスムーズに終わるよう対応し、終了後は議事録を作成します。もちろん取締役会も同様に運営全般を担当するのです。ときには株主に渡すためのお土産を手配するなど、細かな気配りも求められます。

⑥社内行事

社内行事の企画・運営も総務の担当業務です。会社には入社式や社員総会、社員旅行に忘年会などさまざまな社内行事があります。

これら社内行事の参加者を把握し、会場を手配したりスケジュールを調整したり、また予算を作成したりしてイベントが円滑に行われるよう企画・運営するのです。

イベントをスムーズに進行するためには、知識だけでなく経験を積んでいく必要もあります。社内はもちろん、社外の人とも幅広く接する仕事です。

⑦社内・社外広報

ベンチャーなど規模の小さな会社では、広報と総務を兼ねている会社も少なくありません。商品やサービスを紹介するPR誌や、就活生に向けた会社案内などを作成して会社のイメージアップを図ります。

社員にとって有益な情報や、部署を超えて共有したい内容を掲載する社内報の発行も総務の仕事です。社内報には社内行事や従業員紹介、社長メッセージや福利厚生制度などを掲載します。総務は「全社コミュニケーションのパイプ役」ともいえる存在です。

⑧福利厚生の管理

総務は、社員やその家族の福利厚生に関する業務も担当します。福利厚生制度の設計や、すでにある福利厚生の見直しなどを行い、社員が安心して快適に働けるよう福利厚生を整備するのです。

福利厚生の内容は会社によってさまざま。休暇制度や育児・介護に取り組む社員を支援する制度、住宅手当や扶養手当・家族手当に健康診断・人間ドックの費用補助など多岐にわたります。ときには社員寮や保養施設などの施設管理を行う場合もあるのです。

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3.総務の給与は?

幅広いだけでなく業務量も多い総務の給与について解説します。総務の平均年収はどのくらいなのでしょう。また年収に男女差はあるのでしょうか。

総務の業務内容は会社によって大きく異なりますが、総務経験がすでにあったりほか部署と兼任するなどして幅広い領域を担当したりする場合、一般的に給与は上がる傾向にあります。

総務の給与

ある転職サイトが実施した調査によれば、総務・庶務の平均年収は405万円でした。25歳から29歳までの平均年収は367万円、また30歳から34歳までの平均年収は403万円、35歳から39歳までの平均年収は463万円だったのです。

また総務の給与には地域ごとの差異も見られます(いずれも月収で表示)。

  • 札幌エリアの求人調査結果:12.6~25万円
  • 東京エリアの求人調査結果:18~29万円
  • 大阪エリアの求人調査結果:16~27万円
  • 福岡エリアの求人調査結果:14.5~26万円

男女で年収差はある?

国税庁が発表した民間給与実態統計調査の概要(平成26年度)によれば、給与所得者の平均年齢は45.5歳。そのうち男性が45.4歳、女性が45.6歳でした。

全体の平均年収は415万円。そのうち男性の平均年収は514万円で、女性の平均年収は272万円。つまり本調査では男性と女性の年収には約1.88倍もの格差があると分かったのです。

この格差はそのまま総務職の男女年収差と考えてよいかもしれません。一般的に総務は男性よりも女性のほうが多く、大企業だけでなく中小企業に勤めている女性も多い点から、総務職の男女年収差はさらに広がると考えられています。

総務の平均給与から算出してみると、月々の手取り平均は15.2~26.7万円となります。なお平均時給は1,000~1,500円です

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4.総務に向いている人材

会社全体がスムーズかつ効率よく仕事を行えるようにと、多岐にわたる業務内容をこなす総務。ではそんな総務に向いている人材とは、どのような人物なのでしょうか。ここでは総務に向いている人材を3つの要素から紹介します。

  1. マルチタスクな人
  2. コミュニケーション能力の高い人
  3. 秘密を厳守できる人

①マルチタスクな人

前述のとおり、総務の仕事は多岐にわたります。ときには人事や労務、経理や法務の分野にまで携わる場合も。

これら広義の業務にある程度の知識がある人材、つまりジェネラリストとしての振る舞いができる人材は総務に向いているといえるでしょう。多岐にわたる仕事を並行して決められた期限までに処理する必要があるため、スケジュール管理能力も重要になります。

②コミュニケーション能力が高い人

総務の仕事は電話対応や来客対応、管理業務や社内行事など、社内外問わず多くの人と関わります。総務の業務では相手の話を聞いて要望を把握し、他の人に分かりやすく伝えるスキルが求められるのです。

また管理業務や社内行事の告知、各種議事録の作成など、相手に情報を正確に伝える場面も多いです。ほかの部署をサポートするだけでなく、会社全体の活動推進として伝達役になり、各部署を取りまとめるスキルのある人は総務に向く人材といえるでしょう。

③秘密を厳守できる人

総務には、会社に必要な機密情報である文書を管理する業務もあるため、機密情報の漏洩などが起こらないようリスクマネジメントしなくてはなりません。

また情報が漏れた場合の対応や、不祥事が発生した際にどのような対応をするかなど瞬発的な判断やそれに関わる準備なども求められるのです。

会社で扱う機密情報が漏れてしまってはなりません。情報によっては会社にとって大きな損害をもたらす場合もあります。秘密を厳守できる人、会社内で得た情報を外部に漏らさない口の堅い人は、総務に向いている人材だといえます。

総務には特定の人物や所属、経営陣に寄り過ぎない、公正中立な視点に立って物事を考えられる人物が求められます

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5.総務が持っていると便利なスキル・資格

総務の仕事に就くために必要な資格はありません。しかし業務内容が多岐にわたるため、パソコンスキルや事務処理能力の高い人が総務に配属される傾向にあるのです。ここでは総務が持っていると便利なスキルや資格について解説します。

  1. パソコン
  2. 情報収集
  3. 簿記
  4. 衛生管理者
  5. ビジネスキャリア検定1級
  6. 産業カウンセラー
  7. 中小企業診断士

①パソコン

総務に限らず持っておきたいのが、WordやExcelなどオフィスソフトに関するスキル。総務では社内、社外報の発行や各総会の資料作成、備品発注用の文書作成などさまざまなシーンで文書を取り扱います。

それらの文書は保管するだけでなく、ときには修正を加えたり、ほかの部署で作成した文書を管理したりする場合も。パソコンスキルは総務の仕事に就いてからでも学べますが、あらかじめ身に付けておくとよりスムーズに業務が進むでしょう。

②情報収集

会社によっては経営陣を含めた社内すべての部署と関係を持つ存在が、総務のみという場合も。総務はほかの部署と連携して仕事を行う状況が多いため、各部署の情報を手際よく集めるための情報収集能力が求められるのです。

また株主総会事務局運営の際には法的知識が必要になったり、福利厚生拡充のために社外の導入例を参考にしたりと、さまざまな場面で情報収集する能力も必要になります。

はじめからすべての知識に精通している必要はありませんが、業務に応じてさまざまな情報、知識が身に付けられるようにしましょう。

③簿記

総務の業務に必ず必要な資格ではありませんが、簿記の資格があると有利になるケースもあります。

総務では社員の賃金や出張費の精算などを行う場合があります。簿記の知識を持っていれば会社のお金の流れが理解できるため、自分の業務とお金の流れの関わりがしっかりと理解できるでしょう。

規模の小さい会社では、総務と経理を同じ部署で扱う会社も珍しくありません。そういった企業の場合は簿記の資格をより役立てられます。

④衛生管理者

衛生管理者とは、職場環境を整えるための具体的な知識が求められる国家資格です。衛生管理者の資格を持つと、職場環境の整備や過重労働、労働災害を防止するための知識を備えた人材だとアピールできます。

また会社全体を風通しのいい雰囲気にできるのも、衛生管理者の強みです。総務の仕事内容に含まれる「安全衛生管理」には、社員の健康診断を依頼する病院の選定や、安全衛生委員会の運営などが存在します。

⑤ビジネスキャリア検定1級

総務担当者は、会社全体をマネジメントする立場にあります。中央職業能力開発協会が認定する「ビジネスキャリア検定」も、総務が持っていると便利なスキルのひとつです。

ビジネスキャリア検定の目的は、業務を進める上で必要な知識の習得と実務能力の評価を行うこと。4段階の階級に分かれており、8分野43試験から自分の職種にあわせて受験できます。

受験資格はなくどの級からでも受験できますが、1級は実務経験10年以上で部長やディレクター相当を目指す人が対象者として想定されています。

⑥産業カウンセラー

産業カウンセラーとは、さまざまな環境や職位で働く人たちが抱える問題を心理学の手法で解決できるよう支える専門家のことで、近年、メンタルヘルス・マネジメント検定とともに注目度が高まっています。

産業カウンセラーの総合合格率は65.7%(2017年度実績)。受験資格が厳しい条件になっているため、受験の際には確認が必要です。産業カウンセラーの採用を行う企業も増加傾向にあるため、所持していれば非常に有利な資格といえるでしょう。

⑦中小企業診断士

中小企業やベンチャー企業などではよりユーティリティな総務力が求められます。人事や労務、法務など細かく分業しておらず、すべてを総務が担当する場合もあるからです。そこで有利なのが、企業からの評価も高い国家資格「中小企業診断士」。

2016年に日本経済新聞が発表した「新たに取得したい資格ランキング」では、「ビジネスパーソンが新たに取得したい資格」の第1位に輝きました。中小企業診断士の学習をすると、企業の経営に関わる知識を横断的に身に付けられるのです。

資格のメリットは「資格取得の勉強を通じて知識が増える」点。ベースとなる知識を身に付ければ、実務でも慌てず対応できるでしょう