慶弔休暇とは? 取得日数、申請、就業規則について

慶弔休暇とは、慶事や弔事の際に取得できる休暇です。ここでは、慶弔休暇について詳しく解説します。

1.慶弔休暇とは?

慶弔休暇とは、「お祝い事である慶事」「お悔やみ事である弔事」があった際に、従業員が申請できる休暇のこと

会社には、「年次有給休暇、産前産後休暇、介護休暇、育児休暇など法律で定められている法定休暇」「会社が独自に定めている法定外休暇」があり、慶弔休暇は、会社が独自に定めている法定外休暇に該当します。

慶弔休暇制度のない企業で働く従業員は、有給休暇を取得して慶事や弔事に出席することになるのです。

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慶弔休暇

慶弔休暇の慶弔とは、慶事と弔事を組み合わせた言葉で、具体例として挙げられるのは、「慶事は、結婚や出産など」「弔事は、葬式や通夜」です。

慶弔休暇とは、慶事や弔事があった際、会社に対し従業員が休暇を申請できる制度で、法定外休暇に該当するため、会社が独自に慶弔休暇制度を設けている場合に利用できます。しかし慶弔休暇制度は、多くの場合で取得要件が設定されているのです。

本人との関係

会社が独自に設けている慶弔休暇を利用する際、従業員本人と慶事や弔事との関係について要件が設定されている場合があります。その多くは、慶事や弔事が従業員本人や近親者であるかどうか、といった要件です。

具体的に何親等までといった決まりを設けるケースがほとんどで、

  • 両親や子ども、義理の両親といった1親等が亡くなった場合には、5日の休暇
  • 祖父母、兄弟姉妹といった2親等が亡くなった場合には、3日の休暇

といったように細かく設定されています。

有給or無給

慶弔休暇を取得した場合、有給になるか無給になるかについては、慶弔休暇が法定休日ではない点からも分かる通り、法律上の定めはありません。そのため、慶弔休暇を取得した従業員に対し、当該慶弔休暇を有給とするか無給とするかは、会社が独自に定めます。

ただ、就業規則に慶弔休暇の記載がある場合、慶弔休暇は有給休暇だと従業員に受け取られかねません。慶弔休暇を無給休暇とするのであれば、その旨を明記する必要があるでしょう。

会社が慶弔休暇を設ける場合、「何親等までを範囲とするか」「有給か無給か」を就業規則に明記する必要があります

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2.就業規則によって決められる

企業が独自に慶弔休暇を設ける場合、就業規則の中で明記する方法があります。ここでは、就業規則の中で慶弔休暇を定める際の注意点や慶弔休暇の申請手続き、慶弔見舞金
などについて解説しましょう。

就業規則で考えなければならない点

就業規則の中で慶弔休暇を明示する際は、制度内容を従業員に正しく伝えられているかどうか、という点を確認します。そして、下記制度の詳細を正確に従業員に示すのです。

  • 慶弔休暇の対象者を正社員のみにするのか、パートタイマーやアルバイトも対象とするのか
  • 入社半年以内は申請不可など勤続年数による取得条件を設けるのか
  • 休暇日数に土日は含むか、平日のみで計算するのか
  • 休暇が2日以上の場合、連続取得のみ認めるのか、分割取得も可能なのか

申請から取得までの流れ

慶弔休暇の申請から取得までの流れについても、就業規則に明示します。慶弔休暇は法定外休暇のため、法律上決まった申請方式はありません。そのため企業は、独自に慶弔休暇の申請や取得に関する流れを決めることができるのです。

慶弔休暇の管理上、口頭やメールのみの申請は避け、

  • 申請者名
  • 申請希望日
  • 理由
  • 連絡先

などを記載する申請フォーマットを準備し、「慶事は事前に」「弔事は事後の申請も認める」など、申請手続きを記載します。弔事は、会社から弔電を送る場合もあるため、「故人の名前」「葬儀の日程や場所」の情報も求めるのです。

併せて導入される慶弔見舞金

慶弔休暇と併せて慶弔見舞金制度を設ける場合があります。慶弔見舞金とは、従業員やその家族の慶事や弔事があった際、企業から支給するお金のことで、下記のようなものがあります。

  • 結婚祝金
  • 出産祝金
  • 死亡弔慰金
  • 傷病見舞金
  • 災害見舞金

慶弔見舞金も慶弔休暇と同様、法律で定められている制度ではありません。そのため、「慶弔見舞金について就業規則にその存在を明記しておく」「あらかじめ所定の手続きを定めておく」ことが重要です。

慶弔休暇の申請に関し、「従業員に制度内容を伝える」「制度を就業規則に明記する」ことが必要です。休暇と併せて慶弔見舞金を設けることもできます

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3.慶弔休暇の取得日数の目安

慶弔休暇の制度を設ける場合、取得日数の明示が必要になります。何日程度の日数を休暇制度に盛り込めばよいのか、慶事、弔事ごとにその目安となる日数について具体例を交えて解説しましょう。

慶事休暇

慶事休暇とは、結婚や出産を理由に取得する休暇のことで、一般的な慶事休暇の取得日数を具体例で見ると、下記のような日数になります。

  • 従業員本人が結婚する場合は5日
  • 従業員の子が結婚する場合は2日
  • 従業員の配偶者が出産する場合は2日

「連続取得が可能かどうか」「分割取得は可能か」といった細かな条件を確認すると同時に、出産に関しては「産前産後休業」「育児休業」といった法定休暇を申請できます。

弔事休暇

弔事休暇とは、通夜や葬式を理由に取得する休暇のことで、一般的な弔事休暇の取得日数を具体例で見ると、亡くなった人物によって下記のような日数になります。

  • 0親等の配偶者の場合は10日間
  • 1親等の父母、子どもの場合は7日間
  • 1親等の義理の父母の場合は5日間
  • 2親等の兄弟姉妹・祖父母・孫の場合は3日間
  • 3親等の親族の場合は1日間

通夜や葬儀会場によっては、往復に必要とされる日数を加算する制度設計も可能です。

慶弔休暇を制度として設ける場合、目安となる慶弔休暇取得日数を参考にして自社に適した制度設計を行います

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4.慶弔休暇の具体的な取得例

慶弔休暇の具体的な取得例を解説しましょう。慶弔休暇制度を導入する際の鍵は、どのような事案に対して、何日の休暇を設定するかです。慶弔休暇制度設計の際の参考になるよう、慶弔休暇の事例と取得日数を併せて解説します。

社員本人が結婚

社員本人の結婚とは、自社で雇用契約を結ぶ社員本人が結婚すること。結婚式や新居への引っ越しなどで休暇を必要とする場合があるため、一般的には5日程度の休暇を設定している企業が多いです。

その際、「パートタイマーなどを含めるか否かといった対象従業員の範囲」「5日の休暇を分割取得できるか否か」などを明確にしておくことがポイントとなります。

社員の子どもが結婚

社員の子どもが結婚する際、結婚式の準備や新生活のサポートなど、親として果たすべき役割が出てきます。

そのため、社員本人の結婚の際に取得できる日数より少ない日数ではありますが、2日程度の慶弔休暇が取得できる制度設計が多いようです。ここでも、社員の範囲がどこまで及ぶのか、明確化が欠かせません。

社員の配偶者が出産

結婚と並んで祝い事とされるのが出産です。慶弔休暇でも、社員の配偶者が出産した場合に休暇を取得できる制度設計があります。女性社員が出産する際、労働基準法で定められている法定休暇のひとつである産前産後休業を申請することでも対応が可能です。

男性社員で配偶者が出産する場合、2日程度の休暇日数を設定する企業が多いとされます。この場合も、「パートタイマーなどを含めるか否かといった対象従業員の範囲」「休暇を分割取得できるか」などを事前の検討が必要です。

0親等が死亡の場合

0親等とは配偶者のことで、この場合、10日程度の慶弔休暇が取得できる制度設計が多く見られます。会社によっては葬儀の場所が遠いなどの事情に応じて休暇日数を加算する対応を取る場合も。慶弔休暇は法定外休暇のため、企業が自在に制度を設計できます。

1親等が死亡の場合

1親等とは、父母や子ども、配偶者の父母のことで、1親等が死亡した場合、一般的に5~7
日の慶弔休暇が取得できます。1親等の場合も企業によっては、「喪主を務める」「葬儀が遠方で行われる」などの事情に応じて休暇日数の加算も可能です。

慶弔休暇全般に共通しますが、休暇を取得した後、従業員は「慶事、弔事が滞りなく終えることができたお礼」「不在時の対応への感謝」といった気持ちを菓子折りなどで伝えます。

2親等が死亡の場合

2親等とは、祖父母や兄弟姉妹のこと、2親等が死亡した場合、一般的に慶弔休暇の日数は2~3日と設定されています。1親等の場合と同様、「喪主を務める」「葬儀が遠方で行われる」などの事情に応じて休暇日数の加算も可能です。

慶弔休暇を利用せずに冠婚葬祭に出席した場合、欠勤扱いになる可能性があります。慶弔休暇制度がある場合、従業員は慶弔休暇を取得したほうがよいでしょう。

3親等以上が死亡の場合

3親等以上とは、曾祖父母や伯叔父母、甥姪のこと。ただし3親等以上が死亡した場合の慶弔休暇の取得日数は、会社によって差があります。理由は、慶弔休暇は企業が独自に定めた法定外休暇だからです。

企業によっては、3親等以上の慶弔休暇を設けていないところも。法律上の定めがないため、企業がどのような日数を設定しても構わないのです。

遠縁の親戚が死亡の場合

遠縁の親戚が死亡した場合に、慶弔休暇が取得できる制度設計もあります。遠縁の親戚とは、何親等であるかといった具体的な血縁関係は問わず、遠い続き合いのある親戚全体を意味し、この場合の慶弔休暇の取得日数は一般的に1日程度となっています。

もちろん、法定外休暇であるため企業によっては規程がない場合もあります。また、取得手続きについても確認が必要です。

慶弔休暇は、個別の要件によって異なる取得日数を設定するのが一般的です。法定外休暇であるため、取得日数は企業が独自に定めることができます

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5.慶弔休暇の申請

慶弔休暇の申請について、事前に取り決める必要があります。「従業員が慶弔休暇をスムーズに取得できるように」「従業員の休暇取得が他業務に支障をきたさないように」するためにも、申請について知っておきましょう。

会社の就業規則によって変わる

慶弔休暇は、会社の就業規則の中に定められています。就業規則の規定によって、申請書の作成や証明書の提出といった申請手続きは異なりますが、あくまで就業規則に則った申請を行う必要があるのです。

まず、慶弔休暇の有無と具体的な申請方法を確認するといった手順を踏み、もし就業規則に申請方法の記載がない場合には、上司に相談します。突然の訃報などで申請が間に合わない場合にも、まずは上司に報告することが大事です。

慶弔休暇は、就業規則にある申請方法で申請します。「申請方法が分からない」「申請が間に合わない」場合、まず上司に報告しましょう

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6.慶弔休暇に該当しない例とは?

慶弔休暇に該当しない例外があります。慶弔休暇制度を考える上でも、例外の見極めは非常に重要です。ここでは慶弔休暇には該当しないケースを、3つの具体例から解説しましょう。

  1. 3親等以上は認めない
  2. 喪主になる場合
  3. 遠方の葬儀に列席した場合

①3親等以上は認めない

3親等以上とは、伯叔父母や曾祖父母といった親族です。慶弔休暇では3親等以上の慶弔休暇を認めない場合もあります。

そもそも慶弔休暇は法定外休暇であり、法律によって定められた休暇ではありません。そのため企業は独自に慶弔休暇の規定を定められるのです。つまり3親等以上の死亡を慶弔休暇として認めないと規定することに何ら問題はありません。

②喪主になる場合

喪主とは、葬式の際の当主のこと。0親等である配偶者が死亡した場合には通常喪主になりますが、それ以外の親族の死亡でも喪主を務める場合が考えられます。

そのような場合、就業規則で規定している慶弔休暇の取得日数に加算された日数を取得できるケースがあります。この場合、加算された日数が有給なのか、無給なのかも企業内の規程によって異なるのです。

③遠方の葬儀に列席した場合

遠方の葬儀に列席した場合、往復に要する時間を考えて、就業規則で規定されている日数よりも1~2日多く休暇を与える場合があります。

この場合も就業規則に記載されている取得日数を超えた部分の日数について、有給か無給かを企業が独自に定められます。通常の日数以上の休暇を取得した場合は、休暇明けに職場への挨拶を忘れないようにしましょう。

制度によっては、「3親等以上は認めない」「喪主になる」「遠方の葬儀に列席した」場合、慶弔休暇に該当しない場合があります