多くの企業や自治体で導入されている360度評価。多面的な評価を行うことで、公平な評価ができ人材育成にもつなげられますが、運用負荷が高いことでも知られています。なかにはあまりの業務負荷に継続を断念する企業も。それを解決するのが360度評価システムです。
そこで今回は360度評価システムの機能や料金形態、比較の際のチェックポイントなどを具体的に解説します。システム導入によって業務負荷を軽減した事例や、360度評価の成功の秘訣もご紹介します。5章②で「360度評価比較チェックシート」をご用意していますので、ぜひお役立てください。
目次
1.360度評価とは?
360度評価は、評価対象者の周辺にいる上司、同僚、部下などが、評価対象者の人事評価を行う制度のことです。多面評価ともいわれ、複数の視点から評価するという利点を活かし、おもにマネジメント層の評価や、定量的に仕事を評価しにくいバックオフィス部門の評価に採用されるのが特徴。ほかにもタレントマネジメント、昇給昇格時の人事評価における補完材料としても利用されています。
360度評価とは? 目的やメリット・デメリットをわかりやすく
360度評価テンプレートで、Excelや紙の評価シートを楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
⇒ 【公式】https://www.kaonavi.jp に...
360度評価のメリット
360度評価のメリットは、複数人で被評価者を評価することで、自己評価と他者評価とのギャップに気づけること。自分ひとりでは気づけなかったギャップを知ることで、改善のための具体的なアクションプランを立てられ、自己成長につなげられます。
また360度評価を設計する際には、自社のコンピテンシー(成果を出すための行動特性)などをもとにするため、社員の行動変革や企業理念の浸透にも役立ちます。
360度評価の課題
360度評価の大きな課題は、その運用工数です。ひとりの被評価者を複数名で評価するため、評価シートの作成から回収、集計までの一連のワークフロー管理に数百時間かかることも。
もう一つは匿名性の担保。管理が煩雑だと、評価シートの紛失や誤送信などのミスが起こりやすく、どう匿名性を担保するのかが運用上の課題となるケースも。
メリットも大きい360度評価ですが、その運用の難しさから成果を出す前に挫折してしまうケースも少なくありません。
2.360度評価システムとは?
360度評価システムは、複雑で工数が肥大しがちな360度評価を効率化できるシステム。うまく活用すれば、頓挫しがちな360度評価のPDCAをまわしやすくなります。
360度評価システムのおもな機能
360度評価システムにはその機能に特化したタイプや、他の人事評価システムに組み込まれているタイプがあります。ここでは主要な機能について解説します。
(1)評価項目の設定・編集・追加
システム上で360度評価に使う項目の設定や、編集が簡単にできます。360度評価は設定する項目次第で得られる結果がガラッと変わりますので、柔軟に編集できる必要があります。管理職や一般職など被評価者によって聞く項目も変わりますし、企業理念や社員に求められる行動が変化すれば、評価項目も対応させないといけません。
360度評価システムなら、システム上で項目の編集が行えます。
(2)ワークフロー管理
360度評価シートの配信、催促、回収といった一連の流れを効率よく管理できます。Excelでの運用だと受信したファイルをフォルダに移動したり、回答状況を目視確認してリマインドをする手間がありますが、システムを使えば回収状況をリアルタイムに確認でき、リマインドメールも簡単に送信できます。
(3)評価結果の自動集計
回収した評価結果をもとに、自動的に集計したりグラフ化できます。管理するファイルが多い360度評価は集計にもひと苦労。手打ち入力は時間もかかり、ミスも発生しやすくなります。
360度評価システムには結果を自動集計してくれるものや、レーダーチャートなどのグラフをレポートとして出力できるものもあります。
(4)評価時における匿名性の担保
360度評価システムを利用すれば、回答の匿名性をしっかり担保できます。360度評価において匿名性は大切です。回答者が特定されることで余計な不安や不満を生じさせ、業務に支障をきたすこともあります。Excelや紙の場合、誤って違う人にデータを送付してしまうリスクもありますし、そもそもメールで人事に送信すること運用自体に疑問を抱く社員もいるでしょう。
360度評価システムであらかじめ被評価者と評価者をシステムで紐づけしておけば、間違った評価シートを送付することもなく、匿名性を担保できます。
(5)面談履歴の保持
360度評価システムのなかには、1on1などの面談時内容を記録しておけるタイプもあります。360度評価はフィードバックが重要。適切なフィードバックを行わないと、社員の成長は促せません。しかし、紙やExcelで面談履歴も管理するとなると、データの管理・検索がより煩雑になってしまいます。
360度評価システムでデータを保存しておけば、いつでも参照できるので面談効果も最大化できます。
(6)人材データベースとの連携
360度評価には人材データベースと連携できるものもあります。人材データベースと連携することで、社員一人ひとりの異動履歴や担当プロジェクト、研修の受講状況なども簡単に閲覧可能。より多角的かつ俯瞰的に人材やチームの現状を理解でき、タレントマネジメントや昇給昇格の判断に役立ちます。
360度評価は単体でももちろん機能しますが、他のデータと組み合わせることで、よりその成果を高められます。
(7)スマホやタブレットでの入力
クラウド対応の360度評価システムには、スマートフォンやタブレットでも入力ができるものもあります。従業員全員にパソコンがないような職場環境でも360度評価を効率よく実施できます。
3.360度評価システムを導入するメリット
さまざまな機能を搭載している360度評価システムですが、その機能を利用することでどのようなメリットがあるのでしょうか? メリットを理解することで、導入の目的や比較ポイントの整理に役立ちます。
①運用の業務負荷が軽減できる
360度評価システムの最も大きなメリットは、運用負荷を下げられることです。年間240時間かけていた工数が、8分の1の30時間になったケースも。
また、「新しく360度評価を導入したい」と考えている場合でも、システムを活用すれば評価シートの設定や準備が大幅にラクになり、スムーズに運用開始できます。
②匿名性が担保できるので回答しやすい
システムを介することで、360度評価の匿名性を担保でき、従業員が回答しやすくなります。匿名性に不安があると、誰かに見られることを強く意識した回答ばかりになり、客観的な情報が集められず本末転倒に。匿名性を担保し、回答しやすい環境づくりをすることで360度評価の精度をあげられます。
③フィードバック面談が行いやすい
360度評価システムがあれば、効果的なフィードバック面談ができます。紙やExcelでは過去の履歴をさかのぼることが難しく、記憶に頼ったあいまいなフィードバックになりがち。過去の履歴をデータとして残せる360度評価システムなら、エビデンスをもとに的確なアドバイスが行えます。
たとえば、前期は「メンバーにビジョンを示せているか」という項目で低い点数となったが、その後具体的にどのようなアクションをし、その結果数値はどう変わったか、といった具合です。期中に1on1を行い、その結果もログとして残しておけば、さらに充実した面談になるでしょう。
④テレワークでも360度評価を運用できる
360度評価システムの多くは、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるクラウド型です。クラウド型のシステムなら、テレワーク環境でも360度評価を運用できます。
4.360度評価システムの成功事例
次に、実際に360度評価システムを導入し、人事課題を解決した企業の成功事例を3つご紹介します。
①360度評価の工数が8分の1に|株式会社チュチュアンナ
靴下やインナーウェアのSPA(製造小売り)事業を展開する株式会社チュチュアンナ。順調に店舗数を増やしている同社は次の40年を見据えたマネジメント層の育成のため、360度評価を導入。しかし大きな課題がありました。
(1)抱えていた課題
- 70名の被評価者を5~7名で評価するため、年間240時間もの工数が必要だった
- ヒューマンエラーが起こりやすく、匿名性が十分担保しきれていなかった
- 評価することで手一杯になり、フィードバックに十分時間が割けられていなかった
(2)システム導入による成果
- 360度評価にかける工数が年間240時間から30時間と大幅に減少
- ヒューマンエラーのリスクが減ったことで、匿名性を担保できた
- 管理工数を大幅に削減できた分、上長からのフィードバックに時間を割けるようになった
②360度評価とMBOの融合をシステムで実現|株式会社グローバルトラストネットワークス
外国人向けの家賃保証サービスなどを手がける株式会社グローバルトラストネットワークス。チームワークを重視する同社は以前から360度評価を採用していました。しかしチームワークに意識がいきすぎると、数字に対するマインドが薄れてしまうため、新たにMBOを採り入れることに。しかしそこに課題がありました。
(1)抱えていた課題
- 360度評価だけでは、数字への意識が希薄になってしまう
- MBOを追加で採り入れたいが、紙とExcelでは工数がかかりすぎ機能不全を起こしてしまう
- 変化し続ける人事に対応するためには柔軟な仕組みが必要
(2)システム導入による成果
- MBOと360度評価のハイブリッド化をシステムでスムーズに実現
- 紙とExcel中心の評価業務の効率化に成功
- 柔軟なシステムによってダイナミックに変化しつつづける体制にも対応できる評価基盤が築けた
③アンケート機能で手軽に360度評価を導入|株式会社えん
福岡県で不動産事業を展開する株式会社えん。営業のDX化を進めるいっぽうで、チーム力を強化するため評価制度の見直しを行いました。しかし当時の評価業務は紙ベース。大きな負担になっていました。
(1)抱えていた課題
- 紙を中心に行っていた評価業務は工数がかかり、年がら年中評価をやっている状況だった
- 紙とExcelを行き来するフローは煩雑で人為的なミスが生じていた
- 人材データベースがなく、上長の主観が評価やマネジメントに直結していた
(2)システム導入による成果
- アンケート機能などの活用で紙とExcelから解放され、評価業務にかける時間を大幅に削減できた
- 煩雑なフローが改善され、安全で効率的な評価フローを確立できた
- 人材データを一元管理することで、客観的な情報をマネジメントに反映できるようになった
【事例5選】360度評価(多面評価)導入企業の成功・失敗例
360度評価の導入を考えているけれど、どのような運用をしていいか分からないなどお困りではありませんか? このページでは360度評価をうまく活用できている企業の事例を集めて紹介していきます。
日本を代表...
5.360度評価システムを比較する際のポイント
次に360度評価システムを具体的に比較検討する際のポイントについて、解説していきます。業務の効率化のために導入したシステムも、継続して使い続けられなければ意味がありません。自社にマッチしたシステムを選び、継続と定着を実現するために事前にしっかりと準備しておきましょう。
①事前に確認すべき5つのこと
それぞれのサービス資料を取り寄せる前に、まずは社内で下記の5つを確認しておきましょう。
- 導入目的
- 導入時期
- どのプロセスをシステム化するか
- 運用方法
- プロジェクトメンバー
(1)導入目的
そもそもなぜ360度評価システムを導入するのか、その目的を最初に整理しておきましょう。あとから効果を振り返るときの材料にもなります。メリットや機能の章で紹介したとおり、360度評価システムの導入目的には下記のようなものがあります。
- 360度評価の業務負荷を改善する
- 評価時のヒューマンエラーを減らす
- 360度評価の匿名性を担保する
- 従業員エンゲージメントを向上させる
- テレワークでもスムーズに運用する
- 人材マネジメントなど活用領域を広める
実際には各企業の現状によって、フォーカスすべき目的が異なります。導入目的やその優先順位によって、選択すべきシステムも変わりますので、しっかりと押さえておきましょう。
(2)導入時期
導入時期もできるだけ明確にしておきましょう。360度評価システムはクラウド型が多いため、導入期間は比較的短い方ですが、システムによって導入までに必要な期間や工程は異なります。また繁忙期にシステムを変更するとなると、現場の業務負荷が高まりますし、期中の変更だと通期の評価結果に影響が出る可能性もあります。
およその導入時期(ゴール)を決めたら、下記のようにマイルストーンを置いて実際にスケジュールを引いてみるとよいでしょう。
- 目的や要件の決定
- 比較項目の決定
- 比較するシステムの選定
- 各システムの比較、評価
- 導入するシステムの決定、稟議
- アカウント発行、初期設定
- トライアル運用、検証
- 従業員向けの周知や研修
- 360度評価システムの本稼働
(3)どのプロセスをシステム化するか
360度評価のどのプロセスをシステム化するのか、あるいは360度評価以外の評価制度もシステム化するのか、といったスコープ(対象範囲)を明確にしましょう。一般的な360度評価のプロセスは下記になります。
- 評価項目の決定
- 質問項目の設定
- 周知
- 評価シート配布
- 評価シート入力
- 評価シート回収
- 集計
- レポーティング
- フィードバック
フィードバックの工程も効率よくするならば、面談補助機能のついているシステムが必要になります。
(4)運用方法
システムの運用管理者などの運用ルールを事前に決めておきましょう。システム導入時は利用に関するトラブルも起こり得ますので、問合せ窓口を明確にしておくと対応がスムーズです。
(5)プロジェクトメンバー
360度評価システムの導入プロジェクトに参加するメンバーをアサインしましょう。人事部門がプロジェクトリーダーとなりますが、セキュリティの評価では情報システム部門に入ってもらうとよいでしょう。
すばやく意思決定するために、5名ぐらいをコアメンバーとし、状況によって現場ヒアリングやレビューを行うのがおすすめです。
②比較をする際の13のチェック項目
ここからは360度評価システムを比較する際のチェック項目について、具体的に解説します。比較サイトなどを見るとたくさんありすぎて、どれを選んだらよいか困惑してしまいがち。そんなときのために、Excel形式でダウンロードできる「360度評価比較チェックシート」を用意しましたので、ぜひご活用ください。
- (1)基本スペック
- 提供形態
- 対象とする従業員規模
- 価格や料金形態
- セキュリティ
- システム連携ができるか
- (2)360度評価成功のカギ! 運用上の利便性
- 評価シートを柔軟に追加編集できるか
- 評価者と被評価者の紐づけができるか
- 集計・分析機能があるか
- 1on1などの面談補助機能があるか
- 操作性、画面の見やすいか
- (3)導入がスムーズになる項目
- 運用開始までの流れ、期間
- 無料トライアルやデモの有無
- 導入後のサポート
【カオナビ人事用語集】360度評価システム比較チェックシート(無料)
※クリックすると自動的にダウンロードされます
(1)基本スペック
まずは基本となる情報です。多くのシステムを本格的に比較する前に、まずはこちらの情報でフィルタをかけて絞り込むのもオススメです。
提供形態
360度評価システムには大きく分けて2つの提供形態があります。
クラウド型
インターネット上でシステムを利用するタイプ。今はほとんどがこのタイプです。導入期間も短いですが、セキュリティポリシーが厳しい企業の場合、条件を満たせないこともあります。セキュリティー対策について確認が必要です。
オンプレミス型
自社サーバーに導入するタイプ。インターネットという公共網を利用しないので、セキュリティは強固ですが導入費用や運用費用などがかさみがち。テレワークではVPNや専用線など接続の仕組みを用意する必要があります。
対象とする従業員規模
対象とする従業員規模はおもに「小~中規模企業向け」と「大規模企業向け」があります。システムごとに具体的に何名向けとは記載されていませんので、導入実績や導入事例などを参考にするとよいでしょう。
価格や料金形態
360度評価システムの料金形態はおもに初期費用と運用費用(月額費用など)に分かれます。クラウド型の場合、月額費用は利用人数によって料金が変動する従量課金制と、利用者が増えても変わらない月額固定制の2種類。月額固定制の場合の相場は4~5万円ほどです。
オンプレミス型の場合は初期導入費用のほかに、ライセンス費用や保守費用がかかるケースもあります。
いずれの場合も利用人数や利用機能によって金額は変動しますので、価格比較の際には営業担当に正式な見積もりを依頼するとよいでしょう。
セキュリティ
人事情報を取り扱う360度評価システムはセキュリティも重要。しっかりとチェックしておきましょう。自社にセキュリティポリシーがあったり、情報システム担当がいる場合は、一緒に確認してもらうのがオススメ。代表的なチェック項目は下記ですが、ベンダーにセキュリティに関する対応策などを提示してもらうと比較しやすいです。
- 多要素認証(2段階認証)
- IPアドレス制限やデバイス制限
- 第三者機関による脆弱性診断
- プライバシーマークやISO27001の取得
システム連携ができるか
360度評価システムは単体で完結するアンケートツール型と、人材マネジメント機能なども備えた総合プラットフォーム型に分けられます。後者の場合は、社内で利用している人事システムやツールなどと連携できるものも多く、360度評価で得られた結果をタレントマネジメントなどに活用しやすくなります。
(2)360度評価成功のカギ! 運用上の利便性
360度評価の目的である人材育成につなげるためには、運用の利便性を高めることが重要です。ここでは運用に関するチェック項目についてご紹介します。
評価シートを柔軟に追加編集できるか
評価シートを柔軟に編集できるかは重要です。組織の規模や状況によって360度評価で得たい結果は変わります。とくに360度評価を新しく導入した場合や、ベンチャー企業など変化が激しい組織では、評価項目そのものも大きく変わる可能性があります。項目の追加や編集、複製、あるいは計算式の入力など自由にカスタマイズ可能かをチェックしておくとよいでしょう。
評価者と被評価者の紐づけができるか
アンケートツールで360度評価を実施するときにありがちなのが、アンケートフォームの送信ミスです。誤送信を防ぎ匿名性を担保するため、マネージャーや部下、あるいは同じチームのメンバーといった具合に、評価者と被評価者の紐づけ設定ができるか確認しておきましょう。
集計・分析機能があるか
集計機能についても各社によってバラツキがあるので、事前に確認しておきましょう。集計データの形式、グラフ出力やレポート出力の有無などがおもなチェック内容です。360度評価ではひとりの被評価者を複数名で評価し、その平均点を計算しグラフ化するという工程が発生します。なるべくシステム側で完結できるようにしておくと、工数も削減できミスも減らせます。
1on1などの面談補助機能があるか
1on1などの面談時に、履歴を残したり過去の履歴を検索できる機能です。360度評価はフィードバックが重要。アンケートツールだけでも管理工数は大きく減らせますが、面談補助機能があればフィードバックの精度を高められ、人材育成につなげやすくなります。その結果として、社員のエンゲージメント向上にもつなげられるでしょう。
操作性、画面の見やすいか
多くの従業員が利用する360度評価システムは操作性も重要です。たとえば下記のような項目をチェックするとよいでしょう。
- ログインのしやすさ
- 画面の見やすさ
- メニューの見やすさ、押しやすさ
- ドラッグ&ドロップなど直感的な操作ができるか
- 集計画面の見やすさ
- スマホやタブレットでの操作性
無料トライアルやデモで実際に画面を見ながら確認することをオススメします。
(3)導入がスムーズになる項目
システムは導入して終わりでなく、定着させ効果を出すことが目的。システムの機能や価格だけでなく、導入後の流れやサポートも確認しておきましょう。
運用開始までの流れ、期間
システムを決めてから導入までに必要な工程、必要な情報、具体的な期間などを確認しておきましょう。営業担当によっては、運用開始までの流れをスケジュール表で提出してくれることもあります。評価項目や評価対象者、その組み合わせなどをあらかじめ整理しておくと、さらにスムーズです。
無料トライアルやデモの有無
無料トライアルやデモがあれば実際の画面で操作性を確認できます。無料トライアルを申し込む際には、トライアル期間を確認しておきましょう。360度評価は評価者の負担も大きいので、トライアルは複数の社員、できればITが苦手な社員にも参加してもらうことをオススメします。
導入後のサポート
サポート体制も重要です。運用に関してどのようなサポートを受けられるのか、有料・無料の範囲を確認しておきましょう。最近は「ユーザー会」や「Webセミナー」などを開催し、活用ノウハウを惜しみなく提供してくれるベンダーもいますので、その内容や頻度も比較のポイントになります。
【カオナビ人事用語集】360度評価システム比較チェックシート(無料)
※クリックすると自動的にダウンロードされます
6.360度評価を成功させるには
さいごに360度評価を成功させる秘訣について、5つご紹介します。いくらよいシステムを導入しても、運用方法を誤ると360度評価はうまくいきません。ぜひ参考にしてください。
①工数負担をできるだけ減らすこと
360度評価では、業務負荷を減らすことが肝要です。負荷を減らすことでヒューマンエラーも減りますし、評価業務そのものに集中でき、得られる結果の精度もあがります。360度評価システムを導入することは、そのための第一歩といえます。
②フィードバックを必ず行うこと
360度評価を終えたあとは、必ずフィードバックを行いましょう。フィードバックなくして成功はありません。コメント欄などではときに厳しい現実を突きつけられることもあるでしょう。まずは結果をきちんと受け止めることから、本当の意味で360度評価はスタートします。被評価者ひとりでは受け入れにくい現実も、フィードバック面談を通すことで、受け入れやすくなります。
③アクションプランを決めること
評価を受け入れAs is(現状)とTo be(あるべき姿)を把握したら、必ず具体的なアクションプランを決めましょう。フィードバック面談のなかでアクションプランを相談しながら決めることをオススメします。
たとえば「個人プレーになりがち」という評価に対して、具体的にどのような改善活動に取り組むべきか。「他のメンバーの意見に耳を傾けるようにする」など、正解はひとつではありませんので、まずは決めることが大切です。
④PDCAサイクルをまわし継続すること
360度評価で重要なのは単発で終わらせず、PDCAサイクルを継続させることです。360度評価の意義は、社員の行動変革による気づきと成長です。周囲の評価からギャップに気づき、自己成長のために行動し、どのような結果につながったかを振り返り、次のアクションにつなげる。このサイクルを継続する仕組みづくりが大切です。
⑤他の評価手法と組み合わせて行うこと
360度評価は他の評価手法と組み合わせて行うのがオススメです。一般的に360度評価はハロー効果(※)が働きやすく、給料を決められるほどの精度は得られないとされています。360度評価を報酬制度に直接的に紐づけてしまうと、管理職が部下におもねったり、評価者と被評価者が談合したりという弊害が起こりえるでしょう。
目標管理(MBO)など他の評価手法と組み合わせたり、あくまで人事の補完材料として取り扱うことで、こうしたリスクは減らせます。その場合は、複数の評価制度に対応しているシステムがオススメです。
※ハロー効果とは?…ある対象物を評価する際、目立つ特徴に引きずられるように、他の特徴についての評価までが歪められる現象のこと
7.360度評価に完全対応! クラウド型人事評価システム カオナビ
カオナビは360度評価に完全対応!ワークフロー管理も集計もラクラク。アンケート機能も備えています。「マニュアルいらず」な操作性で誰でも簡単に利用可能。
360度評価を今よりもっと効率的に運用しませんか?無料トライアルも受け付けています。