ブレインストーミングとは、複数人で行う会議手法です。ここでは、ブレインストーミングをさまざまな角度から解説します。
目次
1.ブレインストーミングとは?
ブレインストーミング(brainstorming)とは、問題解決やアイデア創出を目的とした集団発想法です。意見やアイデアをホワイトボードや付箋で可視化しながら議論を進めることで、問題解決の糸口や新しいアイデアの発見を促します。アメリカの実業家アレックス・F・オズボーン氏によって考案されました。
2.ブレインストーミングのメリット
ブレインストーミングのメリットには、4つのメリットがあります。ここでは4つのメリットについて、解説しましょう。
- さまざまな考えが生まれる
- 各々のスキルアップが図れる
- 信頼感が生まれる
- チームとしてまとまりが生まれる
①さまざまな考えが生まれる
ブレインストーミングは、同じ目的のために複数人が自由に意見交換をする会議方法です。ブレインストーミングを行えば、さまざまな立場の人材が意見を交換するため、一人では思いつかないようなアイデアが誕生する可能性を高められます。
②各々のスキルアップが図れる
ブレインストーミングでは、参加者が自由に意見を出し、相互に意見交換を行います。参加者は、他参加者の意見やアイデアを聞くため、刺激を受けます。結果、参加者一人ひとりの能力を大きく向上させるきっかけになるのです。
③信頼感が生まれる
ブレインストーミングでは、共通の目的に向かって複数人が自由に意見を出し合います。そのためお互いを批判せず、自分のアイデアを自由に発言できるのです。参加者同士の理解を深めると同時に、お互いの信頼感を増す良循環が生まれるでしょう。
④チームとしてまとまりが生まれる
一見、自由に自分の意見を発言しているだけに見えるブレインストーミングですが、目的の共有やお互いのアイデアの尊重によって相互信頼が芽生えます。それによりチームとしてのまとまりが生まれるでしょう。
3.ブレインストーミングのルール(4原則)
ブレインストーミングには4原則があります。一体どんなものか、解説しましょう。
- すぐに結論を出さない
- 質にこだわりすぎない
- 理想は自由に発言できること
- アイデアを一つにまとめる
①すぐに結論を出さない
ブレインストーミングは、自由闊達な意見交換を目的としています。複数人が自由な発想で発言するためには、発言された内容の実効性は不問です。現実的にはありえない発想でも、自由に発言できる雰囲気作りがブレインストーミングに欠かせない要素といえます。
②質にこだわりすぎない
「他の発言者よりもいい意見を出そう」「採用されるような質の高い意見を出そう」など発言の質にこだわりすぎると、自由な発想は生まれません。質にこだわらずなるべく多くアイデアを出そうとする方向性が、ブレインストーミングには欠かせません。
③理想は自由に発言できること
一見、非現実で失笑を買うようなアイデアから、新たな価値が創造されるというケースも存在します。ブレインストーミングはこれまでにない発想を受け入れ、そこに秘められた可能性を見つけ出せるよう、自由な発言ができる場でなければなりません。
④アイデアを一つにまとめる
複数人の参加者から出されたさまざまなアイデアを放置せず、さまざまな角度から関連付けまとめて初めて、新たなアイデアは創造されます。ブレインストーミングでは、アイデアを関連付けてまとめる作業が不可欠です。
4.ブレインストーミングのための準備
ブレインストーミングを始める際、どんな準備をすればよいのでしょうか。ここでは、ブレインストーミングのための準備について、下記3つの観点から解説します。
- 参加者を集める
- 話し合いに制限時間を設ける
- 目的の把握
①参加者を集める
ブレインストーミングでは、自由闊達な議論をするため、参加者を複数人集めますが、その際はできるだけ、異なった背景を持つ人材を選びましょう。新たなアイデアを誕生させるには、違う価値観を持つ人の存在が必要です。
②話し合いの制限時間を設ける
制限時間のある会議は、テーマに対する意識の集中を促し、内容の濃い議論を実現します。アイデアを生み出す時間とアイデアをまとめ上げる時間、2つの制限時間を設定し、メリハリと緊張感のある中身の濃い議論を展開しましょう。
③目的の把握
参加者が目的を正しく理解しないままでは、意見交換が井戸端会議になってしまいます。会議の目的を事前に全参加者で共有しておきましょう。ブレインストーミングを成功に導くためには目的が不可欠です。
5.ブレインストーミングの流れとやり方
ブレインストーミングの大まかな流れを知っていれば、ブレインストーミングをスムーズに実施できます。ブレインストーミングの流れについて、4つのステップから解説しましょう。
- 現状把握
- 現在の状況になってしまった理由
- アイデア出し
- アクションプランの設定
①現状把握
まず会議のテーマに関しての現状を詳細に把握します。このとき、現在の置かれている状況について数値などの事実で示しましょう。最初の段階で現状を定量的に捉えておけば、アイデアを出す際に話題がテーマの本質から逸れにくくなります。
事前に客観的なデータを集めておきましょう。
②現在の状況になってしまった理由
現状把握ができたら、現在の状況に陥っている理由を述べていきます。理由は仮説ベースで構いません。会議の参加者は、自分なりに考えた理由を述べましょう。
あまり時間をかけるとその後のアイデア出しの時間が短くなってしまいます。ブレインストーミングを開始してから理由を述べるまで、5分程度がベターです。
③アイデア出し
アイデア出しでは、下記の工夫をもとに、質より量を重視して進めましょう。
- 既成概念に囚われない
- 参加者同士で刺激のある意見交換を行う
- アイデアが出ない場合にはたたき台をもとにする
④アクションプランの設定
参加者がさまざまな見地から自由にアイデアを出したら、最後のステップであるアクションプランの設定に移行します。
会議に出席した人はその責任において、自分のアクションプランだけは必ず述べると心掛けてください。アクションプランが複数出た際は、それらをまとめながら最終的なアクションプランを設定します。
6.ブレインストーミングのアイデア整理に役立つKJ法とは?
KJ法とは、ブレインストーミングにより出されたアイデアをベースに情報を分類、分析する手法です。
- ブレインストーミングで出たアイデアをひとつずつカードに記す
- 同じカテゴリーでまとめ、見出しを付ける
- 見出しをもとに関係性を図解し、文章に落とし込む
ことによって、アイデアを効果的にまとめたり課題の本質を明確にしたりといった効果が期待できます。
KJ法とは? メリット・デメリット、やり方と手順を簡単に
KJ法はさまざまなアイデアや情報を効率よく整理し、過程を組み立てるのに有効な手法として広く活用されています。
KJ法の前の実施するブレインストーミング
KJ法のメリット
KJ法のデメリット
KJ法の...
7.ブレインストーミングが失敗する理由
ブレインストーミングが失敗する理由についても確認しておきましょう。ここでは、ブレインストーミングが失敗する理由を、5つから解説します。
- アイデアが出ない
- 質問自体が悪い
- 上の立場にいる人が参加している
- 参加者が緊張している
- 参加者が集中できていない
①アイデアが出ない
「この考えは間違っているかも」といった他参加者への気兼ねや複数人で話すために生じる思考の停止は、アイデアが出ない原因として考えられる事柄です。このような場合は、たたき台を活用したりもっとも詳しいと思われる人に尋ねたりして対処しましょう。
②質問自体が悪い
そもそも回答しにくい質問や具体的なアイデアを提案しにくい質問がテーマとなっている場合、参加者に発言を求めてもなかなか自由闊達にアイデアは出てきません。
このような場合は、質問の角度を変えたりアイデアの出やすい切り口を見つけたりという対処が必要です。
③上の立場にいる人が参加している
チームリーダーや管理職、営業成績が優秀な人など、強い影響力を持つ人や上の立場にいる人がブレインストーミングに参加した場合、他の参加者が遠慮や委縮して、発言しにくくなってしまいます。発言しやすくなるような場づくりが必要でしょう。
④参加者が緊張している
静まり返った会議室や一人ひとり立って順番に意見を述べるといった状況に、参加者がプレッシャーを感じてしまう場合も。しかもそのプレッシャーは参加者全体に影響します。
発言しやすい環境や運営は何かについて、あらかじめ検討しておくとよいでしょう。
⑤参加者が集中できていない
参加者が、他のことに気を取られていたり発言の内容ではなく、参加者の存在に意識がいって気が散ってしまったりと集中できない場合、ブレインストーミングはうまくいきません。
8.ブレインストーミングで注意すべきこと
ブレインストーミングを実施する上で、注意すべきことがあります。ここでは2つのテーマから、注意点を解説しましょう。
- ブレインストーミングではアイデアが出にくい?
- 海外のブレインストーミング
①ブレインストーミングではアイデアが出にくい?
ブレインストーミングで本当にアイデアが出るのでしょうか?
ある研究にて、
- 5人が顔を突き合わせてブレインストーミングするチーム
- 5人が個々でアイデアを出し、最後にそれらを結合させるチーム
に分けてブレインストーミングの効果を調べました。すると後者のほうが多様なアイデアを盛り込めたのです。ブレインストーミングのテーマや目的、やり方に結果が左右される点を頭の片隅に置いておきましょう。
②海外のブレインストーミング
海外では、組織に重要なものとして、トランザクティブメモリーと呼ばれる記憶があります。それは、「組織の全員が同じことを知っている、ではなく、『組織の誰が何を知っているか』を、組織の全員で共有している」という記憶です。
ブレインストーミングでは、組織がトランザクティブメモリーを高められると考えられています。
トランザクティブメモリー / transactive memoryとは?
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