プロジェクトマネジメントとは、期日までに目的を達成する管理手法です。ここでは、プロジェクトマネジメントについて解説します。
目次
1.プロジェクトマネジメントとは?
プロジェクトマネジメントとは、定められた期日までにプロジェクトの目的を達成できるように導く管理手法で、課題管理や成果物管理、スケジュール管理や工数管理などがあります。
会社におけるプロジェクトとは?
会社におけるプロジェクトとは、事業の目的を達成するための期間が限定されている業務のことで、新商品開発やITプログラム開発、建設工事や新サービス開発などがあります。
プロジェクトには、有期性と独自性、2つの特徴があり、専門家を集めて形成されたチームによって遂行されるのです。
有期性
プロジェクトの有期性とは、プロジェクトが始まる日と終わる日が明確に決まっていること。
プロジェクトは、始まりと終わりが決まっており、期間が明確に定義できる活動でなければなりません。プロジェクトにかかわった人は、プロジェクト活動の目的である創造物を生み出し、完結するために活動します。
独自性
プロジェクトの独自性とは、そのプロジェクトに取り組む組織にとって今まで経験のない要素を含んでいるということ。
ビジネス環境は常に変化しており、それは予期せぬ事態を招きます。そういう意味からすれば、ルーチンワーク以外の業務はほとんど独自性を特徴とするプロジェクトです。
プロジェクトマネジメントが重視されてきた理由
プロジェクトマネジメントが重視されてきた理由は、組織が一丸となり難局を乗り切ろうとする力、そして一人ひとりの能力、これらの向上が期待できるからです。
プロジェクトマネージャーの役割とは?
プロジェクトマネージャーの役割とは、定められた期間内にプロジェクトの目的である成果物を完成させること。そのためにマネージャーは、プロジェクトチームの結成や人材の確保、プロジェクトに係る費用計画や工程の立案やプロジェクトの実行などを行います。
成果物の完成後は成果物の運用を担うチームに引き継ぎをし、プロジェクトは解散するのです。
2.プロジェクトマネジメントの内容
プロジェクトマネジメントがどのような内容で構成されているのかを、下記4つの項目から解説します。
- プロジェクトの現状把握
- プロジェクトの問題の抽出
- 参考データの再利用
- プロジェクト内の「コミュニケーション」のマネジメント
①プロジェクトの現状把握
現状把握では、プロジェクトに関する状況の計測やプロジェクトの測定結果の可視化を目指します。具体的にはプロジェクトの状況について、下記2つのステップを実施するのです。
- 定量的、定性的な手法で測定する
- 測定結果を視覚的に表現する
②プロジェクトの問題の抽出
プロジェクトマネジメントでは、定量的・定性的に測定した結果を可視化し、結果を用いてプロジェクトが抱える問題点を抽出します。問題点とは、プロジェクトそのものが抱える問題とプロジェクトを遂行していく上での問題点です。
③参考データの再利用
計測した定量的データと分析前の定性的データは、今回のプロジェクト以外でも活用できます。そのため新規プロジェクトの立ち上げでは、過去の経験を再利用して参考にしたり今回のデータを再利用できるようにしたりするのです。
④プロジェクト内の「コミュニケーション」をマネジメントする
プロジェクトマネジメントでは、チームを構成するメンバー相互によるスムーズな意思疎通をマネジメントして、プロジェクトマネジメントの成功率を高めます。
3.プロジェクトマネジメントの効果
プロジェクトマネジメントを行うと、いくつかの効果が期待できます。ここでは、経営者側視点とプロジェクトマネージャー視点、両方から考えられるプロジェクトマネジメントの効果について解説します。
経営者側視点
経営者側の視点に立ったプロジェクトマネジメントから得られる効果は、2つあります。ここでは、その2つについて解説しましょう。
- 仕事の効率化による利益向上
- 早急な対応、判断が可能になる
①仕事の効率化による利益向上
成果物を期日までに完成させるプロジェクトマネジメントでは、無駄を極限まで削減せざるを得ません。投資額や適正なリソース量のブレを抑え、計画精度を向上させた結果、業務効率が上がり、高い利益性が実現できるようになるのです。
②早急な対応・判断が可能になる
計画の精度が上がれば、限られた「ヒト、モノ、カネ」といった資源をどこに集中すべきかが見えてきます。迷う余地が少ないため、早急な対応や即断即決が可能になるのです。
プロジェクトマネージャー視点
プロジェクトマネージャーの視点に立ったプロジェクトマネジメントから得られる効果は、3つあります。ここでは、その3つについて解説しましょう。
- プロジェクトの一貫性が図れる
- 問題の早期発見と早期対応が可能
- マネジメント力の向上
①プロジェクトの一貫性が図れる
プロジェクトマネジメントは、成果物を期日までに完成させるための管理手法ですので、プロジェクトマネジメントの目的達成に向かって一貫した取り組みが行われます。全体像をつかめばプロジェクトの一貫性が図れるので、マネージャーにとっても好都合です。
②問題の早期発見と早期対応が可能
期日までに成果物を完成させるためには、的確な現状計測と頻繁な進捗確認が欠かせません。この作業を適宜行うと、問題個所の早期発見とスケジュールの遅滞防止などができるようになります。
③マネジメント力の向上
プロジェクトマネジメントでは、マネジメントに必要とされる知識とノウハウが体系化されています。マネージャーがプロジェクトマネジメントに取り組むと、体系的なマネジメント能力を身に付けられるのです。
4.プロジェクトマネジメントの注意点
プロジェクトマネジメントには、注意点があります。プロジェクトマネジメントを成功させるために注意したい点を、下記3つの視点から解説します。
- 小さなトラブルでも早急に対処する
- 人間関係を改める
- ミスに対して寛容になる
①小さなトラブルでも早急に対処する
プロジェクトには、始まりと終わりの時期が決まっており、期日内に成果物を完成させるには、品質や納期に影響を与える問題の排除が不可避です。小さなトラブルも見逃さず対処していくと、赤字や成果物が完成しない事態を防げます。
②人間関係を改める
プロジェクトマネジメントはチームで動くため、チーム内の人間関係が円滑かどうかが成功に大きな影響を与えます。ギスギスした人間関係は、プロジェクトの運営を困難なものにするでしょう。
プロジェクトマネージャーは、チーム内の人間関係をいかに構築していくかに最大限の注意を払わなければなりません。
③ミスに対して寛容になる
どんな仕事にも、ミスはつきものです。ミスがあった際は、担当者を責めず理由について話し合い、原因をチーム内で共有すると、同じミスを繰り返さないチーム意識が構築されます。
5.プロジェクトマネジメントが失敗した場合
プロジェクトマネジメントが失敗する原因には、何があるのでしょうか。ここでは、プロジェクトマネジメントが失敗する原因となる下記4つを解説します。
- 手法そのものに原因がある
- 参加メンバーの技術不足
- リスクの確認と対策
- 経営陣からの信頼、協力が得られていない
①手法そのものに原因がある
プロジェクトマネージャーの経験が浅い、プロジェクトマネージャーがマネジメントの手法を確立できていないといった場合、失敗に陥ります。
このようなときは、マネジメントツールを活用したりベテランのマネージャーにアドバイスをもらったりするとよいでしょう。
②参加メンバーの技術不足
プロジェクトマネジメントは、期日までに成果物を完成させなければならない過酷な業務ですので、参加メンバーには高いスキルが不可欠です。知識や技術、経験を併せ持った最善・最良なメンバーを選びましょう。
③リスクの確認と対策
プロジェクトマネジメントには、人員の欠如や顧客から想定外の要求、成果を求める経営陣からの圧力などさまざまなリスクがつきもの。リスクがある点を前提に明確なリスク対策を講じましょう。その場しのぎでは、失敗に終わります。
④経営陣からの信頼・協力が得られていない
プロジェクトマネジメントでは、開発コスト見積や制度の構築、メンバーの調整や顧客との折衝などで、経営層の支援が必要です。必要な支援を必要なときに経営層から受けられるようにすると、プロジェクトマネジメントの成功率は上がります。
6.プロジェクトマネジメントを成功させるには
プロジェクトマネジメントを成功させるに、押さえておきたいポイントがあります。ここでは、プロジェクトマネジメントを成功に導くためのポイントを下記5つから解説しましょう。
- チーム育成とプロジェクトを進める
- 人を大事に
- リソースの確保
- 経営陣と利害関係者からの信頼
- リーダーの自覚を持つ
①チーム育成とプロジェクトを進める
プロジェクトマネジメントを遂行するためのチームには、高い業務遂行能力とモチベーションが求められます。このようなチームを組織し、研修などでより強靭なチームに育成することが、成功への近道になるのです。
②人を大事に
マネジメントやアクションプランを実施したりコスト管理を行ったり、こういったすべての意思決定を行うのは、人です。
- メンバーの悩みを共に解決する
- 定期的に話し合う
- メンバーに過剰な要求をしない
このように人を大事にしたマネジメントは不可欠です。
③リソースの確保
リソースの確保とは、経営者やステークスホルダーの協力を得ながら、適切なタイミングでヒトやモノ、カネや情報から最適なリソースを手にすること。日頃からアンテナを張っておくなど、必要なリソースの確保に全力投球すべきです。
④経営陣と利害関係者からの信頼
プロジェクトの立ち上げや計画の実行、予算管理などはすべて、経営陣やステークホルダーの承認が必要です。成果物が会社や顧客にもたらすメリット、社会的評価などを経営陣やステークホルダーに説明し、信頼を得ながらプロジェクトを推進します。
⑤リーダーの自覚を持つ
実務を通してリーダーとしての資質を鍛錬します。チームメンバーも、責任範囲を自覚したり組織での役割を十分に果たしたりして、プロジェクトの推進に努めるのです。