ボーナスは、毎月の給与とは別に会社から労働者に支払われる賃金です。本記事ではそんなボーナスから控除される税金や社会保険について解説します。
目次
1.ボーナス(賞与)にかかる税金・社会保険料
ボーナスには所得税と社会保険料がかかります。所得税は税金ですが、社会保険料は税金ではありません。社会保険で引かれる項目は「公的医療保険」「公的年金保険」「介護保険」「雇用保険」の4種類があります。
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2.ボーナスの金額と税金・社会保険料の関係
労働者が手にするボーナスの金額は、額面から社会保険料・所得税を控除した金額となります。
さまざまな計画に使用できるのはこの手取り金額で、額面の金額をもとに計画を立案すると、控除分の金額が不足してしまうでしょう。実際に労働者が自由に使えるボーナス金額は、手取り金額である点について理解しておきましょう。
額面
額面とは、会社の給与規定をもとにして計算されたボーナスの金額のこと。つまり額面は、「基本給×○カ月分」で計算した金額そのものになります。
額面は、実際に労働者の銀行口座に振り込まれる金額ではなく、賞与の明細書に書かれている金額です。つまり賞与から控除しなければならない項目の控除前の金額、となっています。
手取り
手取りとは、賞与の金額から社会保険料や所得税を控除した後、実際に労働者の銀行口座に振り込まれる金額のこと。控除項目の計算方法では、下記に注意します。
- 賞与額に応じて社会保険料を決定する
- 額面額から社会保険料を引いた課税対象額に所得税率を乗じで所得税を決定する
一般的に手取りは控除項目控除後の金額となるため、額面よりも少ないです。
3.ボーナスから控除される税金・社会保険料には何がある?
ボーナスから控除される税金は所得税です。同様に控除されることから、税金と勘違いされることもある社会保険料は税金にはあたりません。ここでは、それぞれの詳細や計算方法などを解説します。
所得税
所得税とは、個人の所得に対して課税される税金のことで、原則、下記の事柄から所得税額を算出します。
- 居住者を納税義務者とする
- 所得を課税物件とする
- 所得金額を課税標準とする
所得税は、累進課税制度を採用しています。累進課税制度とは、所得に比例して税負担の度合いが決まる制度のこと。所得が高い分、納税額が高くなるため、より公平性のある税金といえます。
ボーナスに対する所得税の計算方法
ボーナスに対する所得税の計算方法は、毎月支給される給与とは異なり、下記にもとづいて算出します。
- 前月の社会保険料等を控除した後の給与額
- 源泉控除対象配偶者および控除対象扶養親族といった扶養親族等
社会保険料
社会保険とは、日本の社会保障制度のひとつで、国民生活を保障するための公的な保険制度のことで、一定要件を満たすすべての国民に加入義務があります。また社会保険は、下記5分野から構成されているのです。
- 公的医療保険
- 公的年金
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
ボーナスから控除される社会保険料がある
ボーナスが支給されると、そのボーナスから計5分野で構成されている社会保険料が控除されます。ボーナスから控除される社会保険は、労災保険を除いた下記の4つです。
- 公的医療保険
- 公的年金
- 介護保険
- 雇用保険
公的医療保険
公的医療保険とは、被保険者やその家族が病気・怪我などの際、医療費の負担金の一部が軽減される制度のこと。軽減分の医療費は公費で負担します。公的医療保険には、下記のとおりです。
- 自営業者が加入する国民健康保険
- 民間企業の会社員が加入する健康保険
- 公務員が加入する共済組合
- 船員が加入する船員保険
介護保険
介護保険とは、全国の市区町村が保険者となる公的保険制度です。地域に住んでいる40歳以上が被保険者となって保険料を納付し、介護が必要な人に費用を支給します。
介護保険給付を受ける場合、介護の程度を判定したり各市町村や専門機関で手続きしたりする必要があるのです。介護保険は、50%は保険料、残りの50%は税金で賄われています。
雇用保険
雇用保険とは、雇用の安定や促進を目的とした公的保険制度で、給付には、下記のようなものがあります。
- 失業したときに受ける失業給付
- 教育訓練を受ける費用の援助をする教育訓練給付
- 高齢者の就労を援助する高年齢雇用継続基本給付
- 育児休業期間中の育児休業給付
- 介護休業期間中の介護休業給付
公的年金
公的年金とは、国が管理、運営する年金制度で、下記の3つがあります。
- 20歳以上の全国民に加入義務がある国民年金
- 民間企業の会社員を対象とした厚生年金
- 国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員を対象としている共済年金
公的年金の給付には、老齢年金や障害年金、遺族年金などがあります。
ボーナスに対する社会保険料の計算方法
支給されたボーナスに対する社会保険料の計算方法には、決まりがあるのです。
- 労災保険料は全額が会社負担
- 雇用保険はボーナス金額に雇用保険料率を乗じる
公的医療保険と公的年金に関しては、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた標準賞与額に対し、それぞれの保険料率を乗じた額が保険料額になります。
4.ボーナスに税金だけでなく社会保険料がかかる理由
なぜボーナスに社会保険料がかかるのでしょうか。その理由と、社会保険料の計算で気を付ける点について解説しましょう。
不公平だと感じさせないため
ボーナスに社会保険料がかかるのは、不公平な制度にならないようにするためです。以前はボーナスから、一律1%の社会保険料を徴収していました。
しかし毎月の給与金額を抑制すること、抑制分を労働者にボーナス還元することで、企業の社会保険料負担を少なくする動きが横行したのです。そのため平成15年度以降から、ボーナスからも社会保険料を控除する制度改革が行われました。
社会保険料の計算で気を付けること
ボーナスから控除する社会保険料の計算で注意すべき点は、労働の対価でないものは対象外にすること。社会保険の計算対象となる賞与は、名称を問わず労働の対象として年3回以下で支給されるという条件を満たした賃金です。
結婚祝金や見舞金、年4回以上支給されているものは賞与に該当しません。