経費とは|対象費用、税金など【わかりやすく解説】

経費とは、事業を行う際に必要な費用のことです。経費に含まれるものや含まれないもの、経費の範囲を超えた場合のペナルティなどについて解説しましょう。

1.経費とは?

経費には、3つの意味があります。

  1. 物事を行う際に必要な費用
  2. 国または地方公共団体などが活動を行うために必要な財政支出
  3. 製造原価のうち、材料費と労務費を除いたすべての費用

経理処理において、経費の計上は必要不可欠な項目です。

経費になるかならないのかの判断基準

経費になるかならないかの判断基準はただひとつで、「その費用は売上につながるかどうか」です。その金額がどんなに大きくても、どこに支払っていても、売上との結び付きを明確に説明できればその金額は経費になります。

経費になるのかならないのか悩んだ際は、その金額が「売上に貢献する費用かどうか」を考えてみましょう

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2.経費に含まれる費用

資産や資本の増減、費用や収益の発生について、分かりやすく記録するために必要な項目を「勘定項目」といいます。経費の内容を端的に表した見出し、と考えると分かりやすいでしょう。ここでは経費に含まれる勘定項目を詳しく解説します。

  1. 人件費
  2. 消耗品費
  3. 交際費
  4. 旅費交通費
  5. 研究開発費
  6. 新聞図書費
  7. 通信費
  8. 租税公課
  9. 修繕費
  10. 水道光熱費
  11. 法定福利費
  12. 支払手数料
  13. 外注工賃

①人件費

人件費とは、企業が人を雇用する際に発生する費用全般のことで、雇用契約にもとづいて、会社は従業員に労働の対価を支払わなければなりません。そんな人件費には次のような項目が含まれます。

  • 給与や賞与、退職金や各種手当
  • 社会保険料や労働保険料の企業負担分である法定福利費
  • 現物支給されている通勤定期券代や社宅の費用

一言で人件費といっても非常に範囲が広いです。人件費の意味をしっかりと押さえておきましょう。

②消耗品費

消耗品費とは、文房具や電球、伝票などの事務用品や、取得価額が10万円未満の物品を購入した際にかかる費用のこと。

税法に厳密な定義はなく、プリンターのインクカートリッジからデスクやパソコンなど固定資産にあたるものまで、価格が10万円に満たない場合、消耗品費として計上できるのです。

なお取得価額が10万円以上でも、使用可能な期間が1年未満の場合、経費にあてはまります。

③交際費

交際費とは、会議や打ち合わせを目的とした交際に伴う飲食代のことで、カフェやレストランでの飲食代のほか、事業用の茶菓子代、贈答品の代金、お中元やお歳暮、仕事でかかわりがある人の結婚式に出したご祝儀なども交際費に該当します。

しかし交際費は、線引きが難しい費用のひとつです。税務署からも厳しくチェックされる傾向にあるため、必ず「この費用は売上に結び付くかどうか」を意識して判断しましょう。

④旅費交通費

旅費交通費とは、会社の業務で使った交通費や、出張の宿泊費などのことで、電車賃やバス代、タクシー代に駐車場などが当てはまります。交通費と混同されやすい項目ですが、下記のように区別できます。

  • 交通費:本来所属している勤務地での業務に必要な費用
  • 旅費交通費:本勤務地以外の場所で業務を行う際に必要な費用

⑤研究開発費

研究開発費とは、仕事に役立つ知識や、新たな刺激を得るために参加したイベント費用、セミナー受講費用などのことで、一般的に次の2つに関わる活動と定義されています。

  • ゼロから新たに作り出した製品やサービス
  • 既製品に著しい改良を加えて生まれ変わった製品

ただ仕様を変更したり、修理したりするだけでは研究開発に該当しません。

⑥新聞図書費

新聞図書費とは、事業への活用を目的として購入した書籍や雑誌にかかった費用のことで、地図や図書カード、資料用のDVDや情報サイトの会員料金も新聞図書費に含まれます。

会社として安定した事業を行い、将来に向けて成長するには、常に新しい情報や業界の動向を知っておかなければなりませんが、税務調査の際にきちんと回答できるよう、購入目的が明確に判別できる書類を用意しておきましょう。

⑦通信費

通信費とは、切手代やファックス代、書類を送るための輸送費やインターネットの回線使用料や電話料金などのこと。自宅兼事務所の場合、私用の分と混同しないよう按分する必要があります。

なおはがきや便せんは「消耗品費」、電話やコピー機などのリース料は「賃貸料もしくはリース料」、祝電やお悔やみの電報は「交際費」に分類されます。間違って通信費として計上しないよう注意しましょう。

⑧租税公課

租税公課とは、税金や公的負担金の総称、税務上経費として認められるものと認められないものがあります。

  • 経費として認められる租税公課:印紙代、収入印紙、個人事業税、固定資産税、不動産取得税、自動車税など
  • 経費として認められない租税公課:延滞税や加算税など懲罰的な性格をもつもの、法人税や住民税など所得から支払われるもの(法人税や住民税、事業税に分類される)

⑨修繕費

修繕費とは、建物や機械などの固定資産を修繕する際に発生した費用のこと。パソコンの修理やエレベーターの定期保守点検費用、リース資産の修理やメンテナンスにかかる費用などが該当し、税法では、次のようなケースを修繕費としています。

  • 20万円未満の支出、または3年以内の周期で定期的に行われる支出
  • 60万円未満または前期末の取得価額の約10%以下に当たる資本的ではない支出

⑩水道光熱費

水道光熱費とは、水道料金や電気代、ガス代や灯油代などのことで、通信費と同じく、自宅兼事務所の場合は事業にかかった部分のみを経費として計上します。全額申請せず、2割から3割程度を申請するのが一般的です。

自宅兼事務所の場合、事業や目的によっては、水道代やガス代が経費として認められない場合もあります。気になる場合は、税理士か所轄の税務署に相談してみましょう。

⑪法定福利費

法定福利費とは、法律によって定められた福利厚生費用にかかる勘定項目のことで、健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料、労災保険料、雇用保険料などが含まれます。

個人事業主でも、従業員数が5名以上の場合は原則として社会保険に加入しなければならず、負担した従業員の社会保険料は法定福利費として経費に計上できます。

⑫支払手数料

支払手数料とは、販売手数料や振込手数料、仲介手数料や代引き手数料などで、内訳は、業種や業態によってさまざまです。

フランチャイズ加盟をしている会社はロイヤリティの手数料、ネットショップを運営している会社はネットショップの出店費用が、支払手数料となります。

どの勘定項目にも分類できない「雑費」と混同されがちですが、毎月の支払額を簡単に把握できるよう、使用頻度の高い項目は「支払手数料」として仕訳するとよいでしょう。

⑬外注工賃

外注工賃とは、外部業者に委託した各事業に関わる費用のことで、ホームページの作成や会社のロゴ作成、名刺や封筒のデザインや商品のネーミングなどが該当します。

業務の一部をアウトソーシングした費用も外注費になりますが、税理士や弁護士、司法書士など専門性の高い業務を依頼した場合は「支払手数料」になるので、覚えておきましょう。

経費に含まれる費用には、このほかにも事務所や店舗、駐車場などにかかる「地代家賃」や、耐用年数に応じて配分する「減価償却費」などがあります

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3.経費に含まれない費用

経費の判断基準は、「売上との結び付きを明確に説明できるか」で、経費にならないものを経費として計上すると、税務署からペナルティを科される可能性が高まるのです。ここでは、経費に含まれない費用について解説しましょう。

事業と関係のない費用

私生活に必要な日用品や、趣味に関する道具、友達との飲み会に使った費用などは当然ながら経費に含まれません。事業の売上につながらないものは、どんな用途でも経費にはならないのです。

経費として計上する際は、その項目が業務上必要なものなのか、もしくは事業と関係なく個人で使うものなのか、明確に区別しておきましょう。

未使用の事務用品

事業で使用する事務用品が経費として認められることは、先に述べたとおりです。しかし使っていない消耗品は経費として認められないため、注意が必要です。

事務用品を大量に購入しても、未使用分は経費になりません。基本、確定申告の際に棚卸を行い、未使用分を差し引いて経費を計上します。事務用品をはじめとする消耗品費は原則、使った分だけを計上するのです。

仕入れてまだ売っていない在庫

仕入れたもののまだ売れていない在庫、つまり余剰在庫も経費には含まれません。商品を仕入れて売り上げる場合、仕入れにかかった費用は経費として認められますが、そのすべてが経費になるわけではないため注意しましょう。

仕入れにかかった金額が経費として計上できるのは、あくまでも在庫が売れたときで、余剰在庫分の仕入れ費用は経費になりません。

法人税、法人住民税

法人税や法人住民税、法人事業税なども経費として計上できません。これらの納税は会社に課された義務であり、支出ではないからです。

個人事業主の場合も同様、所得税や住民税は義務として支払わなければならないものとなるため、支出として経費に計上できません。

経営を行う際に発生した運転資金の返済や、領収書やレシート、出金伝票による記録が残っていない事業支出なども経費には含まれません

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4.経費と税金の関係

そもそもなぜ、経費を計上しなければならないのでしょうか。また経費として計上することで何が変わるのでしょう。経費を賢く使うと、会社は自社の財務状況を改善できるのです。そんな経費と税金の関係について解説しましょう。

「経費で落とす」理由

どのような事業でも、利益がある以上、税金を納めなければなりません。基本、利益が上がるにつれて税金の額は増えていきます。

経費は税金の控除対象になる、つまり経費としてお金を負担することには、節税の目的があるのです。経費で落とすと、会社は支払う税金を少なくできます。

経費を使った場合の納税額の変動

利益が100万円、法人税の税率が40%の会社を例に見ていきましょう。経費として何も計上しなければ、利益の100万円に対して税金がかかるだけなので「利益100万円×税率40%=40万円」が法人税となります。

一方、決算までに10万円のパソコンを購入して経費として計上した場合は、どうなるでしょうか。残りの利益が90万円になりますので「利益90万円×税率40%=36万円」が法人税となります。

経費は使えば使うほど納税額が下がりますが、同時に会社にとって大切なキャッシュも少なくなるため注意が必要です。

何でも「経費」にするのは避けましょう

「経費になるものは何でも経費として計上すればいい」というのは間違いです。経費として計上したものが税務調査により経費として認められなかった場合、過少申告による追徴課税や加算税、延滞税などの支払いが命じられる場合もあります。

税務署の調査が入る場合、その経費が正しく計上された項目であると証明しなければなりません。経費で落とす際は、それが正当かどうかを十分に判断してから計上しましょう。

必要以上に経費で落とした結果、追徴課税や加算税が発生してしまっては本末転倒です。決算時期に支出が増えたり、前年度と比較して明らかに支出が高くなったりした場合は注意しましょう

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5.経費の範囲を超えた場合のペナルティ

経費としてふさわしくないものまで計上した場合、不自然な申告として税務署の調査が入る場合もあります。これにより、本来納める税額を納めていないつまり脱税していると判断されると、次のようなペナルティが課されることもあるのです。

  1. 過少申告加算税
  2. 無申告加算税
  3. 不納付加算税
  4. 重加算税

①過少申告加算税

過少申告加算税とは、本来納めるべき税額より少ない額で申告した場合のペナルティのこと。

正しい税額のうち、未納分に10%を加算した金額を納めなければなりません(新たに納める税金が、当初の申告納税額もしくは50万円のどちらか多い金額を超えている場合、超えている部分は15%)。

税務調査の事前通知前に過少申告に気付き、修正申告すると、加算税の対象外となる場合があります。過少申告に気付いたら自主的に修正申告しましょう。

②無申告加算税

無申告加算税とは、納付すべき税額があるにも関わらず、申告期限までに提出しなかった場合に課される税金のことで、災害や通信の途絶など、未提出に対する正当な理由が認められない限り、追加課税が発生します。

無申告加算税の税率は、正しい税額のうち15%です。また50万円を超える部分には、20%が加算されます。

③不納付加算税

不納付加算税とは、源泉徴収等による国税が法定納期限までに完納されなかった場合に科されるペナルティのこと。従業員に給料を支払う会社や個人事業主は、源泉徴収を介して従業員にかわり税金を納めなければなりません。

期限までに納付しなかった場合、正しい税額のうち未納分に10%が加算されます(法定納期限までに納付しなかったことに対する正当な理由があれば免除)。

④重加算税

重加算税とは、事実を偽装したり隠蔽を行ったりした際に課されるペナルティのこと。

二重帳簿や書類の改ざんなど、悪質と思われる行為があり、かつ過少申告や不納付、無申告がある場合、過少申告加算税、不納付加算税、無申告加算税に代えて重加算額が科せられます。課税割合は、過少申告加算税と不納付加算税が35%、無申告加算税が40%です。

たとえ自己破産となっても、税金の支払いから逃れることはできません。どうしても納付できないときは、猶予制度の利用も検討しましょう

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6.ペナルティを受けないための対策

不適切な経費の計上は、最悪の場合、ペナルティの対象となります。これらのペナルティが銀行からの融資に影響を及ぼす可能性も高いでしょう。ペナルティを受けないためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。

税務署に相談する

税務署では、確定申告の時期に限らず、1年中相談窓口を設けています。税務署に相談する最大の利点は、相談料がかからない点。また電話なら匿名で相談できます。資料を用いながら窓口で直接相談もできますが、こちらは予約が必要です。

税理士に相談する

忙しい経営者や自己申告に限界を感じた場合、税理士に相談するとよいでしょう。無料で相談に乗ってくれる税務署は、窓口が込み合っていたり時間が調整できなかったりして満足に相談できない場合もあります。

その点税理士は有料にはなるものの、プロフェッショナルとして専門的な知識をもとに相談に乗ってくれるのです。確定申告に必要な処理を請け負ってくれる場合もあるため、多忙な経営者にとっては心強い味方でしょう。

経理ソフトを使う

ある程度自分で管理できそうなら、専門家に丸投げせず経理ソフトを使って経費を計上するとよいでしょう。

経理ソフトには、クレジットカードの明細や銀行の取引履歴を取り込んで、勘定科目を予測するものも多く存在します。つまり経理ソフトを活用すれば仕訳しやすくなったり仕訳を間違わなくなったりするのです。

税務署や税理士に相談したり経理ソフトを使ったりすれば、ペナルティを回避しやすくなります。経費の計上は節税に必要不可欠ですが、必ずルールに沿って計上・申告しましょう