退職届とは?【いつまで?】書き方、例文、退職願との違い

退職届とは、労働契約の解除を届け出る書類です。退職届の正しい書き方や退職願、辞表との違いなどについて詳しく解説します。

1.退職届とは?

退職届とは、会社または経営者の承諾を得て退職すると確定した段階で、会社に対して労働契約の解除を届け出る書類のこと。法的には口頭での伝達も可能ですが、勘違いなどを避けるために、一般的に書面で提出します。

退職届と退職願、辞表の違いはあるのか?

退職届と退職願、辞表、どれも似ている言葉ですが意味は大きく違います。退職願は会社に退職を願い出るための書類です。退職を引き止められたり、退職を受け入れてもらえなかったりしても契約が解除されることはありません。

しかし退職届は、受理された時点で退職が決まります。そして辞表は、会社を運営する側の立場の人が辞める時に提出する書類です。

退職願とは?

退職願とは、会社もしくは経営者に対して退職の意思を表明する書類のこと。会社との労働契約の解除を申し入れるための書類なので、会社が承諾するまでの間なら撤回も可能です。

逆に会社側から退職を引き止められることもあります。退職願は口頭で上司に伝えることもでき、退職の意思を伝えた後に退職願を提出する流れが一般的です。

辞表とは?

辞表とは、会社とは雇用関係にない、運営側である社長や取締役など役員以上の立場の人が、役職を辞める際に届け出る書類のこと。

辞表を提出した後も、一般社員としてなら会社で働き続けられます。また公務員が辞める場合に提出するのも辞表です。この場合、一般的な会社員が提出する退職願と同じ扱いになります。

退職後の手続き

会社を退職すると、健康保険や厚生年金保険の被保険者資格を失うため、手続きが必要です。

  • 失業保険の給付手続き…居住地を管轄するハローワークに離職票を提出
  • 健康保険の変更手続き…任意継続被保険者、国民健康保険に加入、家族の扶養から選択
  • 年金の種別変更手続き…失業中は国民年金に加入する必要がある
  • 税金の支払い手続き…住民税の支払い手続きを行う。退職月によって対応が異なる

退職届は会社で受理されたら退職が決定します。退職願は会社に退職を願い出るための書類です。辞表は運営側の人が役職を辞める時の書類です

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2.退職願から退職届を出すまでの一般的な手続きの流れ

退職願から退職届を出すまでは、在籍する会社の就業規則に明記されている手順に沿っていきます。就業規則には退職手続に関する項目があるので、退職の申し出の期限や退職届の提出先などを確認して進めるのです。

退職願いを書き始める前に確認すること

退職願を書き始める前に確認することは、在籍する会社の就業規則。就業規則には退職手続に関する項目があるので、退職届けを誰にいつまで提出するのかなどを確認し、手順に沿って手続きを進めていくのです。

退職までの一般的な流れ

法律上では、申し出から2週間で退職が認められていますが、多くの会社は就業規則に沿った手順で行います。一般的な流れは、下記のとおりです。

  • 退職意向を表示
  • 退職日の調整
  • 業務の引き継ぎ
  • 退職届の提出
  • 社外へのあいさつまわり
  • 退職日

退職願と退職届を作成する

自分が在籍する会社の就業規則または社内規定に沿って、期日までに退職の申し出を記載した退職届を作成します。

退職届は、退職が確定したのち提出する書類ですが、すでに再就職先が決まっていて、退職交渉の時間が短い場合は準備しておきましょう。退職願、退職届のフォーマットがある会社もありますので、事前の調査と準備が必要です。

退職願を提出する

退職願は、会社に対して退職の意思を表明する書類のこと。退職する意思が固まったら、直属の上司に退職する旨を申し出ます。引き止めがある場合も考えて、なるべく早く退職意向を示しましょう。

退職日は、有給休暇の消化期間、引き継ぎ、顧客へのあいさつまわりなどを含めたスケジュールについてを上司と相談して決めていきます。

退職届を提出する

退職が確定したら、退職日を記載した退職届を会社に対して提出します。提出先は直属の上司、人事部など会社によって違うため、事前に上司や労務担当に確認しましょう。

退職届を提出した後は、すぐに仕事の引き継ぎを行うためのスケジュール作成や資料の準備などに取り掛かります。社内外に送るあいさつ状の準備もしておきましょう。

退職願を提出した後、正式に退職が確定したら退職届を提出し、上司と退職日の調整をします

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3.退職届の書き方と注意点

退職届は会社規定にて定められている場合もありますので、まずは確認してみましょう。規定がない場合は、用紙や封筒、筆記用具の選び方に注意します。白い便せんに白無地の封筒、黒の万年筆かボールペンを使用して手書きで作成するのが基本です。

会社規定で定められている場合

会社によっては、退職届や退職願をはじめとした退職に関する書類を統一書式として準備していますので、その場合は、項目名などが印刷された専用の用紙に必要事項を記入しましょう。

記入項目に退職理由がある場合、詳細に書く必要はありません。退職届に、退職理由を書かなければいけないという法律上の決まりはないからです。

会社規定で定められていない場合

会社規定の書式がない場合、B5またはA4サイズの白い便せんに白無地の封筒、黒の万年筆かボールペンを使用して作成します。

油性と水性、どちらでも構いませんが、摩擦で消えるボールペンは時間が経つと消える可能性があるため、控えましょう。退職日は直属の上司との話し合いで決めた日付を記入します。

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4.退職を伝えるタイミングと伝え方

民法では、退職する14日前までに意思表示をすればよいとされています。しかし多くの会社では1カ月前までに退職の意思を表明するのが一般的ですので、会社の就業規則に記載がある場合はそれに従いましょう。

退職を伝える時期は繁忙期以外が望ましい

退職の意思を直属の上司に伝えるタイミングとして望ましい時期は、繁忙期以外です。そのほかにも担当する業務やポジション、人手が足りているか、後任がすぐに配置できるかなど、さまざまな状況が考えられます。

一般的に退職者が多いのは12月と3月です。年末と年度末の区切りに合わせると、引き継ぎがスムーズに進むからでしょう。

退職の1〜3カ月前に直属の上司にアポを取る

退職を申し出る期間は就業規則で定められている場合が多いので、しっかりと確認しましょう。それを踏まえたうえで、退職日の1〜3カ月前と直属の上司に退職したい旨を伝えます。

またいきなり退職願いを提出するのではなく、上司に面談のアポイントを取って自分の意思を明確に伝えます。そして引き継ぎなどを含めたスケジュールについて相談して退職日を決めるのです。

退職理由・退職意思の伝え方

直属の上司に退職の意思を伝えた際、退職理由を尋ねられる場合は多いです。その際は、会社に対する不平不満は一切述べず、個人的な理由だけを伝えましょう。

円満退社のためにも、上司に快諾を得られるような退職理由、退職する意思表示の方法をあらかじめ考えておきます。上司の理解が得られない場合、人事部への相談も必要となるでしょう。

法律上では退職する14日前までに意思表示すればいいとされていますが、一般的には1カ月前までに申し出たほうがよいとされています

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5.退職の種類とそれぞれのメリット・デメリット

労働者が会社を辞めることを退職といいますが、退職にも「自己都合」「希望退職」「退職勧奨」などさまざまな形態があり、それぞれにメリット・デメリットがあるのです。

自己都合退職

自己都合退職は、転職、結婚、妊娠、出産、介護、病気療養、引っ越し、健康上の理由など、労働者の都合により自らの意思で退職を申し出ること。

また自分が望む仕事に付けない、理想と違う仕事内容、待遇への不満などの理由で退職する場合も自己都合退職となります。同じ退職でも自己都合と会社都合とでは、失業保険の取り扱いが異なるのです。

自己都合退職のメリット

会社の待遇に不満がある、人間関係がうまくいかなかった、仕事内容がつまらないといった理由で自己都合退職した場合でも、転職する際の退職理由には「一身上の都合」として記載するだけで問題ありません。

転職の回数が極端に多い、在職期間がどの会社も極端に短いなどがなければ、面接でも退職した理由を深くは追求されないでしょう。

自己都合退職のデメリット

自己都合と会社都合とでは、失業保険の取り扱いが異なります。自己都合退職の場合、ハローワークに離職票を提出後、待期期間3カ月+7日間を経るまで失業給付金を受け取れません。

会社都合退職と比較すると支給額も少なく、給付期間も短いのがデメリットです。また転職活動をする際にも採用担当者に与える印象が異なります。

会社都合退職とは

会社都合退職とは、経営破たんや業績悪化に伴う人員整理など、会社側の原因や都合によって労働者の雇用契約を一方的に解除すること。

退職勧奨や希望退職に応じた、勤務地移転により通勤が困難になった、何らかのハラスメント被害を受けたなど、自分の意志に反して退職を余儀なくされたケースも会社都合退職となります。

会社都合のメリット

会社都合退職のメリットは、失業給付金の支給を早く受け取れること。自己都合退職の場合は3カ月+7日間を経るまで支給されませんが、会社都合退職の場合は7日間後に1回目の支給を受け取れます。

失業給付金の支給額は最大約260万円、給付日数は被保険者期間や年齢によって異なりますが、最大330日と長く設定されているのです。

一方の自己都合退職は最大支給額が約118万円、支給日数は最大150日。会社都合退職の場合、国民健康保険税も最長2年間軽減されます。

会社都合のデメリット

就職活動の履歴書に会社都合により退職と明記することで、採用担当者からの質問事項が増える可能性があります。

会社倒産などの理由による退職はそこまで追求されませんが、解雇の場合、理由について深く追求される可能性も高いでしょう。失業給付金を早く多く受け取れるメリットはありますが、再就職の際は慎重に履歴書や面接について対策する必要があります。

希望退職とは

希望退職制度とは、会社が従業員の主体的な退職を募る仕組みのこと。人員整理を目的に行われる場合がほとんどで、リストラの前段階ともいわれています。

法的な拘束力はないため、会社側からは強制できません。希望退職に伴う退職の場合、原則、自己都合ではなく会社都合での退職となります。

希望退職のメリット

希望退職制度は会社都合退職となるため、ハローワークに離職票を提出した後、最低7日間の待期期間のみで失業給付金を受け取れます。さらに失業給付金の支給額は自己都合退職よりも多く、給付期間も最大330日間と長く設定されているのです。

転職活動では、業績悪化の希望退職であれば、自分の意志で退職したという意味で、リストラよりも説明しやすいでしょう。

希望退職のデメリット

安定した収入がなくなってしまうため、日々の生活費や保険料が重荷になります。転職先が想定していた以上に決まらない場合、割増の退職金を受け取っていても、あっという間に底をついてしまうでしょう。

離職期間が長ければ、年金の総支給額も減額しますし、無職の状態では、各種ローンやクレジットカードの審査にとおりません。

退職勧奨とは

退職勧奨とは、会社側が労働者を退職させるために退職を勧めてくることで「肩たたき」とも呼ばれます。

労働者の自発的な退職を促すもので、社員が退職について了解し退職願を提出すると、双方合意の上での退職となるのです。退職勧奨は会社を辞めるどうかを労働者が判断するもので応じる義務もありません。一方的な労働契約の解除を告げる解雇とは異なります。

自己都合退職と会社都合退職では、失業給付金を受け取る条件は異なります。また再就職で面接官に与える印象も変わるのです

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6.退職届の提出前後の注意点

上司に退職の旨を伝えた後、退職の承認を得てようやく退職届を提出します。そのため退職届は一度出したら撤回できません。退職届を提出する前後に注意すべき点、より円滑に退職するための心構えなどを説明しましょう。

一度出した退職届は撤回できない

退職届は、退職が確定した後、労働者が会社に対して申し出るための書類ですので、会社側に退職届を出した時点で労働者側が労働契約を解除したことになります。そのため後日、やはり会社を辞めたくないと申し出ても、退職届の撤回はできません。

それ以前の退職願は退職を願い出るための書類なので、退職の申し入れを撤回することは可能です。

会社都合退職の場合、退職届の提出が必要な場合も

会社都合退職は、労働者側の希望による退職ではなく、会社側の原因や都合により労働者の雇用契約を一方的に解除するものなので、通常であれば退職届を提出する必要はありません。しかし会社から退職届を求められた場合、提出する必要があります。

退職届は、会社に退職の旨を届け出る書類のため、会社によっては自己都合・会社都合を問わず、提出について就業規則で定めているケースが多いです。

退職届は就業規則通りに提出することが望ましい

民法では、退職希望日の14日前までに退職の申し入れをすれば退職できるとなっているため、企業側は労働者を拘束できません。しかし双方合意のうえで円満退社をするには、できる限り就業規則に沿った手続きがよいでしょう。

多くの会社は、退職希望の1カ月前までに退職願を提出すると定めています。在籍する会社の就業規則を確認してみましょう。

退職届提出後のスケジュールを確認する

退職届を提出した後は、なるべく早く自分の仕事の引き継ぎを行います。通常業務と平行して行うため、円滑に業務を引き継げるよう、確定した退職日から逆算してスケジュールを組むとよいでしょう。

後任者が決まっていれば同行して取引先へ紹介します。社内へのあいさつ回りも丁寧に行うと、引き継ぎもスムーズに進み、円満退社に近付きます。

退職届は、提出後に撤回できません。円満退社するためにも、後任者への引き継ぎや社内外へのあいさつをしっかり行いましょう