営業部門の人事考課のやり方|評価項目、例文

営業部門の人事考課表とは、営業職の人事考課に使用される評価表のことです。ここでは、営業職の人事考課の詳細を含めて解説します。

1.営業の課題である人事考課とは?

営業の課題である人事考課とは、営業の出した成績について、個人やチームに対し人事考課を行うこと。目的は、「営業業績を報酬へ反映」「営業職の人材育成」などです。

営業における課題とは?

営業における課題は、「それぞれの行動様式の違いが業績に与える影響をどのように把握するか」です。営業は結果が具体的な数字で出てくるため、数字だけで判断されがちな職種といえます。

しかしそれで営業職のすべてを評価できるわけではありません。営業における人事考課の課題は、業績成果を生み出した個々の行動特性を適切に評価することなのです。

理想の人材像を評価基準へ落とし込む

営業における人事考課の最終目的は、営業職の人材育成です。そこで経営理念やビジョンに沿った人材育成を行うため、営業職として理想と考えられる人材像を営業の人事考課の評価基準に落とし込みます。

営業の課題である人事考課は、営業職の人材育成を目標としています。そのため評価基準には、経営理念に沿った理想の人材像を落とし込むのです

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2.営業の人事考課における項目とは?

営業の人事考課における項目は、考課項目と呼ばれており、さまざまな種類があります。ここでは一般的に多く用いられる考課項目について解説します。

業績評価

日本の人事考課には、下記2種類の考課項目があります。

  1. 業績考課:営業業績などの結果が評価対象
  2. 行動考課:営業業績などの結果を導き出すために、個人の行動様式や潜在的能力を評価の対象とする

業績考課では数値化できる指標を用いるため、営業職などを評価する際、基準にしやすいと考えられています。

業績

業績(営業業績)とは、評価期間中に上げた営業業績を数値化したもの。あらかじめ業績目標を設定し、その目標に対する達成率などを用いて評価します。目標の達成がさらなるモチベーションを生み出すため、個々の役割に応じた適切な目標設定が重要です。

能力

行動考課では個々の営業職能力が評価の対象となり、下記のような内容が評価されます。数値化が難しいため、評価者の主観を排除した公平な評価が課題です。

  • 個々の営業職が持つスキルや知識
  • 職務を通して新たに身に付けた能力
  • 想定外の事態への対応力

情意

行動考課のなかには、情意を評価する項目を設定するケースもあります。情意が指す内容は、下記のとおりです。

  • 仕事に対する熱意や意欲的な姿勢
  • 勤怠や勤務態度
  • 積極的な業務改善姿勢

営業業績を出せず能力の向上も及ばなかった場合でも、情意の評価によって営業への取り組みを公平に評価できます。

考課が反映される対象

営業の人事考課が反映される対象には、「給与」「昇進および配置」2つあります。

人事考課を給与や昇進、配置といった処遇と連動性を持たせる場合は事前に、「人事考課の評価結果とそれぞれの処遇との関係性、連動性を明確化させる」「対象従業員に人事考課と処遇との連動制や制度概要について説明する」ことが重要です。

給与

給与には、営業の人事考課が反映されます。人事考課は、経営理念やビジョンにもとづいた人材育成を目的とした理想的な人材像が評価基準となるのです。それをもとに、下記のような評価を給与規定に照らし合わせ、具体的な給与額を決定します。

  • どのような営業業績を残したか
  • どのような仕事への取り組みを行ったか
  • どのくらい積極的に仕事に臨んだか

昇進や配置

昇進や配置にも、営業の人事考課が反映されます。理想的な人材像を基準として人事考課を行うと、「現在の立ち位置」「今後自分に必要なスキルや能力」が明確になるのです。

それを給与に反映させるだけでなく、昇進や配置転換にも連動させ活用すると、営業職のモチベーションがより高まるでしょう。

営業の人事考課は、「給与」「昇進や配置」に反映されます。これにより、営業職のモチベーションも高まるでしょう

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3.営業の人事考課における人事考課表

営業の人事考課を行う際は、人事考課表を用います。人事考課表には評価項目が記載されており、項目ごとに評価結果を追記するようになっているのです。評価項目は、何を重要視するかによって企業ごとに異なります。

営業職でよく使われている項目とは?

評価項目は、企業の特徴や性質、風土などによってそれぞれ異なります。しかし一般的な営業職でよく使われている項目もあるのです。ここでは、営業職の人事考課で用いられる代表的な評価項目を6つ解説します。

  1. 専門知識
  2. 理解力
  3. 行動力
  4. 計画力
  5. 企画力
  6. 折衝能力

①専門知識

専門知識とは、それぞれの業界・業種・業務に関して、「通常の業務に必要なレベル」「通常要求されるレベルよりもう一段階高いレベル」の取り扱い商品やサービスに関する技術知識のこと。

たとえば、「自社の製品やサービス情報」「競合他社の動向」「顧客情報」などです。

②理解力

理解力とは、「経営方針」「業務内容」「業務を取り巻く環境」「営業職として求められる業績や能力」「上司からの指示」「顧客のニーズ」などを的確かつスピーディに把握していく能力のこと。

営業職の人事考課では、いくつかのレベルに分けてどの段階にあるのかを評価します。

③行動力

行動力とは、営業活動において、「急な方針転換や想定外の状況にも対処できるか」「顧客ニーズに対し迅速に対応できるか」「計画的・効率的に行動できるか」といった、的確な行動を速やかに起こせる力のこと。

営業職は、最前線で仕事を行います。そのため行動力はさまざまな場面で問われるのです。

④計画力

計画力とは、経営計画や部門計画、営業計画などに則って優先順位をつけながら効率的に業務への準備をしていく力のこと。

「計画に沿って準備やフォローアップができているか」「業務に的確な優先順位をつけているか」「時間や予算などを効率よく活用しているか」「計画にもとづき能力開発へ注力したか」といった観点から評価します。

⑤企画力

企画力とは、「課題に対する対処法」「顧客への提案」などをゼロベースから考案すること。

営業職では、「個別の顧客ニーズ実現のため、顧客に対しさまざまな企画を提案する」「市場情報やシミュレーションなどを取りまとめ、新商品の提案をする」といった場面が想定されます。このような場面で効果的な企画を立案できたかどうかを評価します。

⑥折衝能力

折衝能力とは、「顧客とコミュニケーションを通して、より良好な関係をつくる」「顧客と話し合いを通して、より自社に有利な条件を引き出しながら交渉をとりまとめる」という力のこと。

折衝能力を、「トラブルなく交渉を上手にできる」「自社に有利な内容を展開できる」といったレベルに定め、トラブルの有無や程度・交渉内容で評価に差を付けるのです。

営業職でよく使われている評価項目は、「専門知識」「理解力」「行動力」「計画力」「企画力」「折衝能力」の6つです

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4.営業の人事考課におけるコメントのポイント

営業の人事考課では、評価コメントが重要視されます。適切な人事考課で営業職のモチベーションを高めるためにも、営業の人事考課コメントを書くときのポイントや例文などについて解説します。

定量目標を決める

営業の人事考課には 業績目標の達成度を評価する項目があります。そもそも営業は定量目標を定めやすい職種です。営業の人事考課では、「定量目標を定め、それについて客観的な実績評価を行う」ようにしましょう。

よい例文

定量目標に関する、よい評価コメントの例を紹介します。

  • 今年度は前年度比120%となった。顧客ニーズを的確につかみ、チーム全体で情報共有しながら攻めの提案ができた成果といえるだろう。
  • 中間決算の際、達成率80%といった遅れを挽回できた。クレーム件数も5件と少なく問題ない。今後もチーム一丸となって顧客ニーズの掘り起こしをして欲しい。

書くときのポイント

営業職は、「定量目標を立てやすい」「客観的な数字をベースにした評価コメントが求められる」といった特徴がありますので、人事考課における評価コメントを書く際は、下記4つのポイントを押さえておきましょう。

  1. 達成度の数字
  2. 達成(未達成)の理由
  3. チームワーク
  4. 次の目標

①達成度の数字

営業の評価コメントを書く際は、達成度の数字を記載すると、達成や未達成が客観的に評価できます。達成度に関するコメントの例は以下のとおりです。

  • 第2四半期で設定した売上目標500万円に対して、実績は600万円で達成率は120%だった
  • 半期で設定した売上目標1,000万円に対して、営業実績は700万円で達成率は70%だった

②達成(未達成)の理由

自分を客観的に評価するため、評価コメントでは達成・未達成の理由も記載します。コメントの例は以下のとおりです。

  • クレーム件数目標を5件上回ってしまったのは、顧客ニーズを丁寧にヒアリングできなかった点にある
  • 新規顧客の開拓件数は前年度比110%で推移している。、顧客ニーズを提案に生かせた点が結果となって表れた

③チームワーク

営業の評価コメントには、チームワークについての言及も重要です。営業は営業職単独で行いません。上司や同僚、部下などのチーム全体でお互いに情報交換やバックアップをしながら進めていくものです。

そこで、目標設定や達成理由のなかでチームワークに触れて、チームとして目標を達成していく意識を持たせます。

④次の目標

次の目標についてもコメント内で触れておくとよいでしょう。

たとえば、「現在の目標から一段階レベルを上げた次期の目標数値」「次期で獲得して欲しい能力や技術」「未来の営業職やチーム全体の予測」など。こうした目標に触れておくと、今後の営業職としてどうするか、あり方を意識するきっかけになります。

営業における評価コメントを書く際は、「達成度の数字」「達成(未達成)の理由」「チームワーク」「次の目標」4つのポイントを押さえておきましょう

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5.営業の人事考課で注意すべきポイント5つ

人事考課を今後に生かすには、時代で変化する営業の人事考課トレンドを意識するとよいでしょう。ここでは、それを踏まえた営業の人事考課で注意するポイントを5つ解説します。

  1. 個人の目標が適切に設定されているか
  2. 評価者のトレーニングは十分になされているか
  3. 結果だけでなくプロセスも評価の対象になっているか
  4. テレワークでの評価をどうするか
  5. スキルマップの活用

①個人の目標が適切に設定されているか

営業の目標が個人の能力をはるかに超えた高すぎるものである場合、結果として未達成で終わる可能性も高いため、モチベーション低下を招きかねません。目標の設定は、個人の能力と成長を適切に反映させた現実的な数字にしましょう。

②評価者のトレーニングは十分になされているか

評価者が評価についてのトレーニングを受けていない場合、「営業職への評価に評価者の主観が入る」「複数人の営業職の評価に公平性が保てない」といった問題が生じます。評価トレーニングなどにより、評価スキルの向上に取り組みましょう。

③結果だけでなくプロセスも評価の対象になっているか

数値評価だけでは、営業職の業務を適切に評価できたとはいえません。数字に表れない、「営業のプロセス評価」「技術やスキル、資格取得といった能力評価」「営業活動に対する意欲評価」などを含めた多角的、総合的な評価が重要です。

④テレワークでの評価をどうするか

テレワークは在宅勤務ですので、「営業プロセス」「進捗状況」が把握しづらくなります。人事考課の際は、テレワークの人事考課方法を検討し、評価前に丁寧な説明を心掛けましょう。

⑤スキルマップの活用

スキルマップとは、社員が業務上必要なスキルを持っているかどうかをチェックする一覧表のこと。用いれば、「自分が伸ばすべきスキル」「今後必要となるスキル」が一目で分かります。人材育成のためにも、人事考課でスキルマップを活用しましょう。

営業の人事考課で注意するポイントは、「個人の目標が適切に設定されているか」「評価者のトレーニングは十分になされているか」「結果だけでなくプロセスも評価の対象になっているか」「テレワークでの評価をどうするか」「スキルマップの活用」の5つです