社員の能力や業績などの達成度に鑑みて、等級や報酬に反映させる人事評価制度。効果的な運用を実現するには、人事評価制度そのものに対する知識を身に付ける必要があります。
目次
1.人事評価制度の改善に書籍が有効な理由とは?
企業理念の浸透や社員のモチベーションアップ、人材スキルの管理や社内コミュニケーションの活性化などさまざまなメリットを持つ「人事評価制度」。その改善に書籍を活用した独学が効果的だとしっていますか?
人事評価制度の改善に書籍が有効な理由は、「知識や理解度に合わせた書籍を選べる」「空き時間を活用して理解を深められる」「さまざまな事例を知っていける」「電子書籍なら気軽に持ち運べる」などメリットの多さにあるのです。
人事評価制度とは? 必要な理由、種類と仕組み、作り方を解説
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知識や理解度に合わせた書籍を選べる
人材採用や既存人材の育成、労務管理など人事の仕事内容は多岐にわたります。自身の知識レベルや理解度に合わせて書籍を活用しましょう。
- 人事業務の全般を知る
- 人事の基幹分野を読み込む(等級制度、評価制度、報酬制度についての知識を深める)
- 基幹の応用を学ぶ(各制度に応じた育成や人材配置についての知識を深める)
空き時間を活用して理解を深められる
人事評価制度に関するセミナーは、全国いたるところで開催されています。しかし当然ながら、開催日時や場所が定められているためスケジュールを調整しなければなりません。
その点、書籍は空いた時間を活用して手軽に理解を深められます。自分の予定に合わせた学習計画を立てられたり、移動中やすきま時間を活用できたりする点も、書籍が学びに有効な理由のひとつです。
さまざまな事例を知っていける
書籍なら、講習や人づてでは知り得ない膨大な数の事例を知っていけます。他社の動向や別業界の流行り廃りなどは、得てして入手しづらいもの。書籍を活用すれば、過去の事例や海外の成功性など自社に適した人事評価制度を見つけ出せます。
もしかしたら、自社が抱える課題を解決した事例を見つけられるかもしれません。
電子書籍なら気軽に持ち運べる
「書籍を持ち運ぶのが大変」「探している本が書店に置いていない」場合もあるでしょう。電子書籍を活用すれば、それらの問題を解決できます。
電子書籍ならスマホやタブレット1台で数十冊を持ち運べるため、苦労や収納スペースについて考える必要はありません。「この情報をどこかで見かけたが、どこに掲載されているのか分からない」といった煩わしさも取り除けます。
2.人事評価制度に適した書籍とは?選ぶときの注意点を紹介
人事評価制度に関する書籍は数多く出版されています。一言で「人事評価制度について学びたい」といっても、どの本を選べばよいのか分からない担当者もいるでしょう。ここでは、人事評価制度に関する書籍を選ぶ際の注意点について解説します。
自社の規模に適しているか
まず書籍の内容や事例に挙げている具体例が、自社の規模に合っているかを確認しましょう。当然ながら社員数20名の会社と200名の会社とでは、人事評価制度の目的から運用方法まで大きく異なります。
- 社員数
- 資本金や企業規模
- 業界や活動エリア、社員の編成など
自社に近い会社規模や状況が書かれている書籍を選ぶと、自社に適した人事評価制度をより具体的にイメージできます。
自社の目的に合っているか
自社の目的に合わせて書籍を選ぶことも重要です。あなたが書籍を選ぶ目的は何でしょうか。
- 人事評価制度に関する基礎的な知識を付けるため
- 既存の評価制度を整備するため
- 人事評価制度の効果を高めるため
書籍を選ぶ際は、「自社がどのような課題を抱えているのか」「課題解決のためにはどのレベルの知識を深める必要があるのか」などを明確にしておきましょう。
自社で取り入れる評価方法が十分に解説されているか
一言で「人事評価制度」といっても、その手法はさまざまです。
- 目標管理制度(MBO):あらかじめ設定した目標に対する達成度を評価する手法
- 360度評価:上司だけでなく部下や同僚など複数の立場から多角的に社員を評価する手法
- コンピテンシー評価:コンピテンシー(業務遂行能力)の高い社員に共通した特性をもとに評価基準を設定し、それに従って評価する手法
自社で取り入れる評価方法がある程度決まっている場合は、その評価方法に特化した書籍を選びましょう。より具体的に事例が掲載されているため、課題解決に向けたビジョンが鮮明に描けます。
3.人事評価制度担当者が読んでおきたい書籍
ここからは、実施に人事担当者が読んでおきたい書籍を具体的に紹介します。
まずは人事評価制度を今後構築、活用していきたいと考えている経営者に向けた書籍です。中小企業における人事評価制度のスタンダードを紹介した一冊として、今も多くの経営者に読み継がれています。
改訂新版 小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方
『改訂新版 小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方(あさ出版)』は、中小企業における人事評価制度のスタンダードを紹介した一冊です。
本書で紹介している「ビジョン実現型人事評価制度」は、中小企業で理想の組織が実現できる制度として、高い評価を得ています。500社以上が導入した本制度の目的から効果、運用方法、実例まで詳しく解説しているのです。
著者山元浩二氏は人事評価制度専門コンサルタント
本書の著者は、人事評価制度専門のコンサルタントを務める山元浩二氏。成果主義や結果主義的な人事制度に異論を唱え、経営計画と人事評価制度を連動させた人材育成を可能にした人物です。
約10年間、1,000社以上の人事制度を研究し、経営者と社員ともにきわめて満足度の高いコンサルティングを実現しました。本書の累計発行部数は3万部を突破し、現在も多くの経営者から注目を集めています。
便利!テンプレート・ダウンロードサービス付
今回の改訂新版では、今すぐ人事評価制度に取り組める10のテンプレートも収録されています。
- ビジョン実現シート
- ビジョン実現シートのサンプル
- ジョブヒアリングシート
- 10カ年事業計画書
- グレードレベルイメージ
- 評価基準シート(プロセス項目)
- 評価シート
- プロセス評価判定基準
- 育成面談シート
- チャレンジシート
人事評価の教科書
人事評価に正解はありません。悩みを抱えるすべての評価者のために発行されたのが『人事評価の教科書』です。タイトルどおり、人事評価に関する実務全般を解説しています。
本書の解説は、人事評価要素全体の設計や処遇へ反映させる仕組みの設計など、具体的な取り組みに留まりません。
「そもそも人事評価とは何か」「人事評価と適性検査の違いは何か」「人材マネジメントにおける人事評価はどのように位置付けられているか」など、ノウハウの背景にある制度の概念や考え方にまでさかのぼって解説しています。
著者は日本能率協会コンサルティング(JMAC)で20年の実績あり
本書の著者は、日本能率協会コンサルティング(JMAC)で20年来の実績を持つ高原暢恭氏。
日本能率協会コンサルティング(JMAC)は「マネジメントは単なるシステムではなく、社員と管理者、経営者の考え方と行動こそが重要」と提唱する国内初の本格的コンサルティングファームです。
現地現物を自分の目で見て考える「現場主義」を貫くことを信条とする著者が、評価者の悩みを自立的に解決するための知恵を解説しています。
担当者や現場の悩みをサポート
本書では人事評価の現場で発生するさまざまな悩みをフォローしています。
- 社員が少ない
- 知識経験を持った人材がいない
- 人事評価のノウハウがない
慌ただしい担当者に向けて、人事制度の改善に向けた準備や具体設計、導入における社内説明や人材評価の課題などを記した、まさに人事評価制度の指南書ともいえる一冊です。
新規導入を検討する組織だけでなく、すでに人事評価制度を導入している会社の学び直しとしても活用できるでしょう。
人事の超プロが明かす評価基準
『人事の超プロが明かす評価基準-「できる人」と「認められる人」はどこが違うのか』では、その名のとおり評価基準を決めるポイントについて記載しています。
評価基準があいまいな場合、公平性に欠けるため、会社全体の生産性を低下させる可能性も高いでしょう。人事評価における評価基準明確化の必要性を論じているのが、この書籍です。
人を育てる仕組みづくり
本書では、人事評価制度は人の優劣を付けるものではなく、人を育てるものとしています。
- 自分には何ができているのか、何ができていないのか
- どうすれば給与が上がるのか
- 自分にはどんな役割が期待されているのか
- なぜあの人が評価されるのか(されないのか)
これらの気付きを得ることが、人事評価制度における目的のひとつです。本書を参考に、自社の人事評価制度が人材を育てる仕組みになっているか見直してみましょう。
著者は人事コンサルタント
本書の著者である西尾太氏は、人事機能の確立を通じて企業と社員、双方の向上を支援する人事コンサルタントです。
自身の実体験をもとに「人事で大切なことは各論よりも全体像。人事制度の構築にはある一定の型があるものの、全体が見えてこそ効果のある人事施策が実現できる」と説いています。
これまで9,000人超の採用面談や昇格面談、管理職研修などに携わり、現在は人事部門機能構築などのコンサルティングを行っている人物です。
マネジャーのための人事評価実践―査定のための評価から職場マネジメントとしての評価へ
『マネジャーのための人事評価実践―査定のための評価から職場マネジメントとしての評価へ』は、人事評価を行う側のマネージャーが正しい人事評価の実践方法を身につけるための書籍です。
マネージャー職には、恒常的に職場成果を生み出すためのマネジメントが求められています。この職場活動にもとづいて評価を行うというのが人事評価のあるべき姿ですが、実のところ単なる年中用事として処理されている現場も少なくありません。
この状況を改善するため、マネージャーに正しい人事評価の方法を身に付けてもらうことが本書の目的です。
マネジャー職は現場でどのよう評価すべきかが分かる
本書では、マネジャーが行うべき評価を次の3つに分類しています。
- 人事評価::査定を目的とした評価
- フィードバック:部下の成長支援を目的とした評価
- マネジメント活動の評価:職場の成果を生み出すための評価
「人事評価は査定のために行われるのではなく、職場マネジメントの一環として実施されるべき取り組みだ」と論じているのが本書です。評価に悩むマネージャーだけでなく、評価制度の改善を考えている企業や人事教育担当者にも参考になるでしょう。
著者には人事コンサルタントが多数
本書の発行元は、実践と倫理の融合を心掛けた人事コンサルタントが多数在籍する、産業能率大学総合研究所人事評価実践研究プロジェクト。
同プロジェクトでは机上の空論では企業の課題を可決できず、実践によって生まれたナレッジを理論化し、実践にフィードバックするサイクルを回す必要があると説いています。
この理念が、本書における人事評価の在り方を見直す重要性、マネジメントに対する意識を高めることで得られる相乗効果の期待に通じているのです。
社員が成長し業績が向上する人事制度
『社員が成長し業績が向上する人事制度』では、5K産業(危険、汚い、きつい、休日少ない、給料低い)といわれた年商3億の魚屋が、わずか16年で年商175億円(一部上場)となった人事制度の仕組みを公開しています。
本書では社員の定着から社員の成長、業績向上に賃金の上昇と続く、経営の好循環を生み出した人事制度の作り方を解説しているのです。2016年の発行以来、さまざまな経営者の悩みを解決し、社員の不満を限りなくゼロにしてきた一冊として注目を集めています。
会社の人事評価制度自体の改善に役立つ
本書では、社員の不満解消や人事制度そのものの見直しに役立つ仕組みを、単なる夢物語ではなく実現した事実として述べています。
社員の不満例:「不平不満があっても言い出せない」「どんな評価でもって給料や賞与が決まっているのか分からない」
このように、具体的な不満とそれに対する具体的な人事制度をあげているのです。単なるノウハウのまとめではなく、自社での活用シーンをイメージしやすいよう書かれた一冊といえます。
著者は人事制度コンサルタント
本書の著者は、2020年9月までの16年間で1,272社もの人事制度づくりを支援してきた松本順市氏。
サービス残業130時間という魚屋の業界にあって、業界初の「サービス残業ゼロ」「完全週休2日制の実現」を成し遂げた人物で、現在は人事コンサルタントとして社員が成長する仕組みづくりの支援を行っているのです。
同氏が代表を務める会員制コンサルティングでは、国内コンサルティング業界で初めて満足保証(返金保証)の制度を活用し、人事制度構築成功率99.4%という高い実績を残しています。