クラウド型人事管理システムとは? 選び方、機能

人事管理システムは、人事業務に必要なデータを管理する仕組みです。ここでは、人事管理システムのひとつ「クラウド型人事管理システム」について、クラウド型とオンプレミス型の違い、選び方や比較のポイントなどを解説します。

1.クラウド型人事管理システムとは?

クラウド型人事管理システムとは、インターネットを経由して人事情報を一元管理するシステムのこと。人事業務の業務効率化を図れるなどメリットが多く、近年、人事管理に欠かせないシステムとなっています。

人事管理システムの種類

人事管理システムには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。聞き慣れない単語かもしれませんが、ExcelやWordといったオフィスソフトに当てはめるとイメージしやすいでしょう。

かんたんにいえば、各自でExcelやWordのソフトウェアを購入し、パソコンにダウンロードして使用するのが「オンプレミス型」、ダウンロードしなくてもoffice365を介して使用できるのが「クラウド型」です。

オンプレミス型とは?

それぞれの特徴をもう少し掘り下げてみましょう。オンプレミス型とは、サーバーやパソコンにソフトをインストールして利用するパッケージ型のサービスです。

従来の主流はオンプレミス型で、ソフトやネットワーク機器などを購入、もしくはリース契約して自社に設置、運用していました。カスタマイズ性の高さや強固なセキュリティに強みがある反面、初期コストや導入期間が長いといったデメリットが存在します。

クラウド型とは?

対するクラウド型は、インターネット上のサーバーを利用してソフトウェアを利用する形態です。物理的にソフト購入やサーバー設置を行う必要がなく、比較的簡単に利用を開始できます。

ネット環境があればどこにいても誰でも利用できるため、近年ではクラウド型の導入が進んでいるのです。しかしセキュリティ面での不安やカスタマイズ性の低さにデメリットを感じる側面もあります。

オンプレミス型とクラウド型、それぞれにメリットとデメリットが存在します。自社の運用目的に合わせて比較検討してみましょう

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2.クラウド型人事管理システムの機能・できること

人事管理システムでは従業員の特性や仕事のプロセス、勤怠管理や給与計算などさまざまな情報を管理します。クラウド型人事管理システムを導入する前に、まずはシステムの詳細機能と強みについて見ていきましょう。

どこにいても利用できる

クラウド型人事管理システムの大きな特徴が、インターネットにつながればどこにいても利用できる点。

かつては「社内でしかデータを管理・閲覧できないため外出先で利用できない」「わずかなデータを確認するだけでも都度自社に赴いてサーバーにアクセスしなくてはならない」といったようにスピード感に欠けるものがありました。

クラウド型を活用すると無駄な業務を減らせるうえ、テレワークも可能になります。

人事情報を管理できる

クラウド型人事管理システムでは、次のような人事情報を管理します。

  • 給与や勤怠の管理:毎月の給与や残業代、労働時間合計や遅刻早退の有無など。法令改正にも対応可能で、雇用形態を問わず管理しやすいシステムが構築されている
  • 人事評価や要員配置、人材戦略マネジメントの管理:従業員のスキルや適性の管理、資格取得やOJTなどの育成状況を一元化し、戦略マネジメントに活用できる

人事評価できる

クラウド型人事管理システムは、人事評価にも活用できます。本システムでは業務の成果だけでなく、従業員一人ひとりの特性や仕事のプロセス、目に見えない努力まで管理・把握できるのです。

適確な人事評価は、従業員モチベーションの高低に大きく影響します。人事管理システムを活用して絶対評価と相対評価を使い分け、公正かつ公平な人事評価を行いましょう。

人事情報を可視化できる

クラウド型人事管理システムでは、人事情報の可視化も可能です。「評価基準があいまい」「運用ルールの透明性が低い」などによって人事制度がブラックボックス化していないでしょうか。

人事情報を可視化すると、どこがボトルネックになっているか、一目瞭然です。その結果、スピード感を持って課題解決に取り組めます。

適材適所の場所に人材を配置できる

システム上で管理したデータは、戦略的な人材配置に活用できます。

人事部門に求められる人材管理の幅は増える一方。従来の採用活動や給与支払いといった「オペレーション人事」のほか、経営的な視点で人材の追加配置を行う「戦略人事」の役割も求められているのです。

クラウド型人事管理システムを活用すれば、人材配置にかかる作業コストを抑えられるでしょう。

クラウド型人事管理システムの強みは、やはりどこにいても利用できるという利便性でしょう。適切に使用すると、人事部門の作業コストを大きく削減できます

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3.クラウド型人事管理システムの効果・メリット

人事管理データを中長期的な企業マネジメントとシンクロさせれば、大きな資産になります。クラウド型人事管理システムを導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。システムの特徴とあわせて見ていきましょう。

管理者の負担が軽減される

クラウドという概念がなかった時代、管理者は自社内に置いたサーバーへソフトをインストールし、都度アクセスして運用していました。

さらにさかのぼれば従業員一人ひとりのデータを書面に記し、必要に応じて文字から情報を抽出していたのです。管理者にかかる負担は計り知れません。

クラウド型人事管理システムでは、提供事業者がシステムの運用・管理を行うため、保守体制を自社で整える必要はありません。結果として管理者の負担を大幅に軽減できる点が、システム導入のメリットです。

業務効率化

管理システムを利用すると、それまで管理者がコストをかけて行ってきたデータ入力や修正などの細かい作業を自動化できます。効率化が進めは、担当者は自分のコア業務に時間と労力を注げるでしょう。

導入・運用の費用が抑えられる

クラウド型人事管理システムでは物理的な機器を揃える必要がないため、導入・運用の費用を抑えられます。

一方オンプレミス型では、サービス監視やトラブル対応にかかる人材コスト、サーバーそのものの購入にかかる初期導入費用などさまざまなコストが発生するのです。

数あるクラウド型人事管理サービスのなかには、無料で利用できるプランもあります。導入・運用の費用を抑えたい場合はクラウド型の導入を検討するとよいでしょう。

人事データの現状をかんたんに把握できる

人事管理システムでは、「人事評価」「人材配置」「採用情報」「人材開発」「従業員コンディション(モチベーションや満足度)」といった項目を一元管理します。これらの相関を見れば、個別の管理では気付けなかった傾向も発見できるでしょう。

サービスの価値向上

AIやRPA、IoTにビッグデータなどIT市場の急成長は今後も続くと見られます。さらなる技術革新が期待されるなか、新しい技術を積極的に取り入れていけば、自社の競争力も高められるでしょう。

クラウド型人事管理システムではサービスの更新が自動で行われるため、設備投資や人材確保に過度な負担はかかりません。外部環境の変化に迅速に対応できるため、業務の形骸化も防げます。

導入が容易

クラウドサービスは通常、アカウント登録さえ完了すればすぐに利用を開始できます。

「自社に適したシステムだろうか」「担当者は十分に使いこなせるだろうか」オンプレミス型の場合、導入前にこれらを十分吟味する必要がありました。その点クラウド型は、「試しに利用してよければ本導入に移行する」といった使い方ができます。

高度なセキュリティ

「外部サーバーに人事データを保存するとなるとセキュリティ面で不安」という人も多いでしょう。しかしIT環境の拡大に伴って、セキュリティ水準も当然向上しています。

オンプレミス型の場合、ファイアウォールや侵入検知システムの構築などは自社で導入・運用する必要があります。万が一セキュリティに明るい従業員がいなくなれば、新たな人材を募らなくてはなりません。

一方、多くのクラウドベンダーでは万全のセキュリティ機能を基本機能として備えているのです。安全性の高いサービスを選べば、コストをかけずに高水準のセキュリティレベルを保てるでしょう。

クラウド型人事管理システムにはさまざまなメリットがあります。自社のセキュリティポリシーやコストを比較して、自社に適した人材管理システムを検討しましょう

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4.クラウド型人事管理システムの選び方

経済状況や市場トレンドが目まぐるしく変化する現代、数多くのクラウド型人事管理システムがリリースされています。運用後のミスマッチを防ぐため、システムの導入前には次の5点を確認しておきましょう。

  1. サポート体制がしっかりしているか
  2. 利用目的に合っているか
  3. 既存ツール・外部ツールと連携できるか
  4. カスタマイズができるか
  5. ズバリ!使いやすいか

①サポート体制がしっかりしているか

たとえ機能が充実し、便利なツールがそろっていても、使いこなせなければ意味がありません。システムを選ぶ際は、自社に合わせた運用提案の有無、サポート体制が整っているかを確認しましょう。

インストラクターやカスタマーサポートが充実しているサービスを選べば、システム利用に不慣れな担当者も安心して使えます。

②利用目的に合っているか

人事管理システム導入の目的は何でしょうか。人材活用や人材育成、正確な情報入力など目的はさまざまですが、システムの特性が目的と合っていなければ、有為なデータを導き出せません。

各システムで、人材配置の一元化やマネジメントの強化などそれぞれ得意分野が異なります。まずはクラウド型人事管理システムを導入する目的を明確にしましょう。続いてシステムそれぞれの特性を踏まえ、利用目的に合ったシステムを選択します。

③既存ツール・外部ツールと連携できるか

勤怠管理や給与システムなど、すでに何らかのツールを導入している場合はそれらツールとの連携も確認しましょう(API連携)。

「せっかく新たなクラウド型人事管理システムを導入したのに、既存の給与管理システムや勤怠管理システム、採用管理システムと連携できなかった」となっては、管理者の業務が増えるばかりです。

システム導入を検討する際は、既存ツールや外部ツールとの連携ができるもの、欲をいえば、よりシンプルに連携できるものを選ぶとよいでしょう。

④カスタマイズができるか

クラウド型人事管理システムを選ぶ際は、将来的なカスタマイズの可能性も考慮します。会社の成長に追従できるかを基準に、以下の視点から比較してみましょう。

  • 将来的に従業員が増えた場合、拡張対応はスムーズに行えるのか
  • シフト勤務に対応できるのか
  • 人事評価規程が変更された場合、どんなカスタマイズが可能なのか
  • 給与体系が変更になった場合、スムーズに対応できるのか

⑤ズバリ!使いやすいか

せっかく機能的で有為なクラウド型人事管理システムを導入しても、使えなければ宝の持ち腐れです。管理費用がかさむばかりの無用の長物とならないよう、現場を想定して操作性を確認しましょう。

「同業他社で人気があるから」「最近リリースしてリーズナブルだったから」など安易に選んではいけません。必ず現場担当者にテストしてもらってからシステムを選定しましょう。もちろんPCだけでなく、スマートフォンやタブレットからの操作性も確認します。

人事管理システムを会社の生産性や将来性に結び付けるためにも、自社の現状にあったシステムを選びましょう