HRテックを人材育成に活かすには? 具体的サービス例

HRテックは、人材育成のさまざまな場面で活用されています。ここでは、HRテックの人材育成への活かし方などについて解説しましょう。

1.人材育成に活用されるHRテックとは?

人材育成に活用されるHRテックとは、「最先端のIT技術」「HR分野」の2つを融合したもの。HRテックは、採用や配置、評価や人材育成などで活用されています。そんなHRテックについて解説しましょう。

そもそもHRテックとは何か?

HRテックとは、Human Resourceの略語である「HR」と「テクノロジー」という2つの言葉を合わせて作り出された言葉です。

「HRテックを人材育成に活用する」た場合、人工知能・クラウド・ビックデータ解析などに代表される、最先端テクノロジーを人材育成業務に活用することを意味します。

HRとは?

HRとは「Human Resource」のことで、人的資源と訳されます。HRでは社員を「単純な労働力」ではなく、重要な「会社の経営資源」として捉えているのです。

日本企業のなかでHRという言葉は、「人事部」という意味で用いられます。また「人材分野」を指す場合にもHRを用いる場合があるのです。

HRが人材育成で活用される理由

HRが人材育成で活用される理由として挙げられるのが、「人材育成の可視化に役立つ」という点。最先端テクノロジーが活用されているHRを活用すれば、入社後の社員の人事データを一括管理し、さらには可視化できます。

入社後のスキル・経験といったデータが分かりやすくなるため、人材育成の作業を効率的に進められるのです。

HRテックとは、最先端のIT技術・HR分野の融合体です。人材育成の業務にも幅広く用いられています

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2.人材育成に活用されるHRテックサービスの分野6つ

人材育成に活用されるHRテックサービスには、さまざまな分野があります。ここでは下記6つについて解説しましょう。

  1. 評価管理
  2. タレントマネジメント
  3. スキル管理
  4. コーチング
  5. 学習管理システム(LMS)
  6. 研修管理

①評価管理

評価管理とは、「個々人の基礎データ」「目標設定や進捗」「面談のフィードバック情報」「評価シート」「過去の評価データ」といった情報を一元管理すること。

情報を一元管理できれば、検索・出力が自在になります。360度評価機能や評価ツール機能があれば、さらに評価管理を充実させられるでしょう。

②タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、社員のスキル・経験・資格取得情報・研修情報など、社員に帰属する情報を一元管理すること。タレントマネジメントが機能すれば、人事評価・人材育成計画の立案といった場面で活用できます。

またスキルや経験保持者が可視化されるため、人材配置の意思決定もスムーズになるのです。

③スキル管理

スキル管理とは、どの社員がどのようなスキルを持っているかというデータを、企業としてストックしておくこと。

経営資源のひとつであるヒト、すなわち社員が持つスキルを可視化しておくと、人材育成を進めるために必要となる「人材開発戦略の立案」「スキルマップの作成」が容易になります。

④コーチング

コーチングとは、相手の潜在能力を解き放つ、つまり持っている力の発揮を目的とした能力開発法のこと。HRテックでは、管理職やマネージャーが、コーチングを実施しやすくするためのサービスも提供しています。

たとえば、面談スケジューリング・資料の共有・進捗管理といったサービスです。

⑤学習管理システム(LMS)

学習管理システムとは、eラーニング教材や学習コンテンツを利用して学ぶ際にアクセスするシステムのこと。英語の「Learning Management System」の頭文字を取って「LMS」と表記されます。

このシステムでは、コンテンツの管理、配信・視聴履歴・受講内容・アンケートなどの管理が可能です。

⑥研修管理

研修管理とは、社内外で実施される社員研修を管理するシステムのこと。このシステムでは、教育訓練記録・年間教育計画・個人別教育履歴といったデータを一括管理できます。

また受講対象者検索機能・研修報告機能・アンケート機能といったサービスもあるため、PDCAサイクル管理を含めた人材育成が簡単に進められるのです。

HRテックには、人材育成に関わる管理を効率化するための機能があります。機能ごとの特徴を把握し、自社に最適なシステムを選択しましょう

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3.HRテックで活用されているテクノロジーとは?

HRテックで活用されているテクノロジーを5つ、解説します。

  1. クラウド
  2. AI
  3. ビッグデータ
  4. モバイル
  5. SNS

①クラウド

クラウドとは、インターネットを経由することによって、必要なサービスを必要なだけパソコンやスマートフォンの操作で利用できる形態のこと。

「自社で環境整備が不要」「導入費用が抑えられる」といった理由から、クラウド型HRテックソリューション市場は、2020年度前年比で36.4%増に拡大しています。

②AI

AIとは、「Artificial Intelligence」、すなわち人工知能のこと。蓄積しているデータから特徴を分析したり、経験則的に高精度で予測、あるいは分類を行ったりできます。

AIへの注目度は高く、HRテックの分野でも顔画像による判別をベースにした人事情報管理などに応用されているのです。

③ビッグデータ

ビッグデータとは、管理や処理が困難なほど、複雑化、巨大化したデータの集合体のこと。HRテックでも、人事労務部門が収集したビッグデータを横断的に掛け合わせ、詳細について分析するといった活用が始まっています。

また人材育成・人材活用・人材採用などの分野で、新たな課題発見に役立てられているのです。

④モバイル

モバイルとは、携帯電話に代表される移動式の通信機器のことで、身の回りにある携帯電話・PHS・スマートフォン・タブレットPC・小型のノートパソコンなどの総称です。

場所を選ばず利用できるため、スマートフォンやタブレット用に開発されているHRテックアプリの利用に便利といえます。

⑤SNS

SNSとは、Social Networking Serviceの頭文字をとったもので、代表的なSNSには、Facebook・Twitter・mixi・インスタグラムなどが挙げられます。

SNSは、「簡単な操作でコミュニケーションを図れる」「利用者が増えている」点から、社内コミュニケーションを活性化させるツールとして企業にも人気です。

HRテックで活用されているテクノロジーは、「クラウド」「AI」「ビッグデータ」「モバイル」「SNS」の5つです

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4.【人材育成ジャンル別】注目のHRテックのサービスを紹介

今、注目されているHRテックサービスを人材育成ジャンル別に見ていきましょう。サービス比較時の参考にしてみてください。

  1. タレントマネジメント
  2. 人事評価・目標管理
  3. 学習管理
  4. スキル管理

①タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、社員の能力・資質・スキル・経験値といったパーソナル情報を一元管理すること。戦略的な人材配置・人材育成を行うマネジメント手法で、企業の経営戦略にも大きな影響を与えます。

ここでは、カオナビとタレントパレットの2つのサービスについて、特徴などを解説します。

カオナビ

カオナビとは、社員のスキルや個性を人材配置や人材育成へ活用して、社員の成長を実現するサービスのことで、下記のような成果を得られます。

  • スキルや特性データから条件に合った社員を抽出する
  • 管理職候補者やプロジェクトメンバーの抽出リストを保管する
  • 社員属性やスキルを切り口として、社員の現状を把握、分析する

タレントパレット

タレントパレットとは、社員の経歴・スキル・適性といった人材データを集約して一元管理すること。こうしたデータをまとめて管理すると、社員を見える化できます。

見えにくい社員の成長を時系列にモニタリングでき、さらに今後必要となるスキルや経験をあぶり出せるため、研修管理やeラーニング機能にも応用できるのです。

②人事評価・目標管理

HRテックでは、人事評価・目標管理といった分野でもその力を発揮しています。人材データや経営データを連動させると、「実践的な人材評価」「客観的な目標管理」による経営計画の実現が可能になるのです。

ここでは、HR-PlatformとMINAGINEの2つを取り上げ、どのようなサービスなのか解説します。

HR-Platform

HR-Platformは、「目標設定」「面談記録の登録」「目標達成度の評価や結果のフィードバック」など、目標管理制度の運用をトータルサポートするシステムです。

システムを活用すれば、「組織目標と個人目標の連動」「フィードバック管理による進捗管理」「検索や閲覧」「進捗ごとのメール配信」などを効率的に行えます。

MINAGINE

MINAGINEは、社員数100名以下の企業に特化している人事評価サービスです。推奨される評価項目があらかじめ設定されているので、評価制度の構築や評価項目の決定などをスムーズに進められます。

また散らばっていた各種データを一元化できるため、作業負担の軽減にもつながるのです。

学習管理

学習管理とは、社員向けeラーニング用コンテンツの作成や学習進捗の管理などのこと。HRテックでは、こうした学習管理用のサービスも提供しています。ここでは、ClipLineとSAKU-SAKU Testingの、2つのシステムについて解説しましょう。

ClipLine

ClipLineとは、多店舗を持つ企業の人材マネジメントをデジタル化するサービスで、下記のような特徴があります。

  • お手本社員の所作を短尺動画にできるClip機能
  • 組織、階層、個人ごとの教育カリキュラムの設計
  • 教育進捗を管理するカリキュラム作成による、教育進捗の管理機能

こうした機能によって、多店舗ビジネスの人材育成をトータルでサポートしてくれます。

SAKU-SAKUTesting

SAKU-SAKU Testingは、Webテストとeラーニングをマルチデバイスで可能にしたサービスです。約1,300社の教育担当者の声をもとに設計されており、下に記載するような特徴によって継続的で着実な人材育成を可能にします。

  • スキマ時間の気軽な学習を実現
  • コンテンツや運用設計サポートの実施
  • 多様な学習コンテンツを配信

スキル管理

HRテックでは、スキル管理のサービスも充実しています。「スキル管理がタレントマネジメントシステムの中に組み込まれているもの」「スキル管理分野をクローズアップし、それに特化したサービスを提供しているもの」などさまざまです。

ここでは、SKILL NOTEとCOCOREPOの、2つのスキル管理サービスについて解説します。

SKILLNOTE

SKILL NOTEは、組織のスキルを維持、強化するためのスキル管理ソリューションです。「社員が持つスキルの総量は、企業競争力そのもの」というコンセプトをもとに、下記のような社員のスキル管理に特化したサービスを行っています。

  • 全社員の実務スキルや保有資格などのデータ蓄積
  • 蓄積データの可視化
  • スキルや資格の管理
  • 教育研修の募集や申込受付
  • 参加履歴

COCOREPO

COCOREPOは、「初期費用0円」「30名まで完全無料」のクラウド型のスキル管理サービスです。一括管理するデータは、顔写真・社員情報・スキル・資格・経験・ポートフォリオなど、幅広く網羅されています。

そのほかスキルシートの一発出力やクラウド型Webシステムによる自在のアクセスなどの機能も人気です。

HRテックは、人材育成のジャンルに特化したサービスも提供しています。自社に最適なサービスを探す際は、サービスを比較検討してみましょう

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5.【人材育成】HRテックサービスの導入事例を紹介

人材育成を目的としてカオナビのHRテックサービスを導入した事例3つについて、解説します。自社で導入を検討する際の参考にしてみてください。

えがお

えがおは、インフォマーシャルや新聞チラシを媒体とする健康食品通販事業を展開する企業です。さらなる社員育成とエンゲージメント向上を目的としてカオナビを導入し、下記のような内容に活用した結果、計画的な人材育成基盤の構築が進みました。

  • 社員の目標管理、評価、育成状況を一元管理
  • 「ビジョンシート」や評価情報、面談記録、研修受講履歴を記録

オイシックス・ラ・大地

オイシックス・ラ・大地は、食品宅配サービスを提供している企業です。

評価制度データベースの構築や人事情報の経営判断への活用を目的として、カオナビを導入した結果、「社員のKPI、スキル成長目標のとりまとめ」「アンケート機能VOICE NOTEを活用したキャリア自己申告」が可能となりました。

人材に関わる経営判断のスピードもアップしています。

東急モールズデベロップメント

東急モールズデベロップメントは、ショッピングセンターなどを管理、運営する企業です。時代の変化に応じた商業施設マネジメントにおけるジェネラリスト育成を目的として、カオナビを導入しました。

  • 異動調整に顔写真マトリクス機能SHUFFLE FACEを活用
  • 社内コミュニケーションにPROFILE BOOKを活用

などによって、会社転換期の人材管理に挑んでいます。

HRテックを導入している企業は多くあります。具体的事例を通して、HRテックの可能性を体感してください