経営者は、「優秀な人材が定着しない」「残業を減らしたいが人手不足だ」「出産を機に女性社員が退職してしまう」など、人に関する悩みが尽きません。会社を継続して成長させるためには、人事評価システムを活用し、評価体制を構築、運用していく必要があるのです。
目次
1.無料でも導入できる「人事評価システム」とは?
人事評価システムとは、社員の評価や給与に紐付く人事評価を効率よくかつ適切に行うシステムのこと。ここでは、人事評価システムの機能や有料・無料のシステムについて解説します。
人事評価システムとは? 比較方法、機能、メリットを解説
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人事評価業務をサポートするシステム
人事評価システムとは、社員一人ひとりの能力や経験、評価や給与などを管理するシステムのこと。
人事評価とは、業務の遂行度や能力を見て昇給・昇格の判断基準としたり、経営戦略に沿った人材を育成したりするための業務です。社員のモチベーションに大きく影響するため、人事評価には公平かつ客観的な判断が求められます。
企業だけでなく官庁や自治体などでも導入
人事評価システムは、大企業やベンチャー企業にのみ有効なシステムなのでしょうか。正解はNO。中小企業や地方自治体などでも活用されています。
香川県善通寺市では、公務員の評価制度に人事評価システムを導入しました。導入前は紙による勤務評定の管理を行っていたため、評価者の負担が非常に大きかったといいます。また評価の公平性や評価結果のフィードバックについても問題意識を抱えていました。
人事評価システム導入で得られる効果
人事評価システムを導入した善通寺市は、専用ソフトを導入して「公平性の担保」「管理職の業務にかかるコストの大幅削減」に成功したのです。このように人事評価システムを導入すると、さまざまな効果が得られます。
- 評価を効率的に行える
- 評価を自動化し、人的エラーを防げる
- 効果的な人材配置や離職率の軽減などにつながる
2.人事評価システム機能について
人事評価にかかる時間・人員の削減を可能にする人事評価システムの機能は、3つに分かれます。
- 目標・進捗・評価の管理
- 多面的評価
- 評価シートの管理
①目標・進捗・評価の管理
社員一人ひとりの目標、業務の進捗、過去の評価などを管理すると、「人事担当者がその社員に対して過去どのような評価を行ったのか」「目標達成までの進捗はどうなっているか」などをかんたんに参照できます。
よりリアルタイムに近い時間軸でこれらを把握し、ギャップの少ない状態で評価を行えるため、面談にかかる時間も削減できるのです。
業務目標の管理
業務目標を管理すると、社員のモチベーションの高低にも影響します。会社によって多少の違いはあるものの、一般的に目標を達成すれば評価は高くなり、未達成なら評価は低くなるもの。
達成可能な業務目標を管理すると、社員のモチベーションアップ、ひいては会社の業績アップにつなげられるのです。このように、被評価者と評価者の間で取り交わされた目標に対する達成度が評価される制度を「業務評価(MBO)」といいます。
業務目標とは?
経営学者、ピーター・ドラッカー氏が提唱したMBO(Management by Objectives)は、目標管理とも呼ばれる業務評価の手法です。
「どのタスクにどれほどの時間を使ったのか」「その結果どのような成果を出したのか」などを、社員自らが把握するフレームワークを指します。
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②多面的評価
上司からの一方的な評価だけでなく、部下や同僚、取引先や顧客などさまざまな角度から評価を行うと、より公平性・納得性を高められます。
「自身の短所として認識すべき部分はどこか」「周囲に認められているスキルは何か」などを判断できるため、仕事上の人的連携を再考するきっかけにもなるのです。
多面的評価とは?
組織のフラット化や人員削減、管理職のプレイングマネージャー化などさまざまな影響により、上司一人で被評価者の行動を的確に判断するのは難しくなってきました。
そこで注目されるようになったのが、被評価者の同僚や部下など立場や関係性が異なる複数の評価者により、被評価者の人物像を浮き彫りにする「多面的評価(360度評価)」。この手法を用いると、人事評価の信頼性、被評価者の納得感を高められます。
360度評価とは? 目的やメリット・デメリットをわかりやすく
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③評価シートの管理
人事評価システムの機能には、評価シートの管理もあります。社員一人ひとりの評価を、紙やExcelファイルで管理するとどうなるでしょうか。
「面談に際して必要な書類が見つからない」「過去の評価基準が残っていない」「項目と違う情報が記入されている」など、人事情報の効率的な運用が困難になると想像できます。しかし人事評価システムを導入すると、これらの課題を解決できるのです。
評価シートとは?
人事評価シートは、社員の目標やスキル、業務進捗などを可視化したもの。一般的には「スキルチェックシート」や「目標管理シート」という名前で評価者に配布し、記入・回収を行います。
この評価シートを紙やExcelファイルなどで管理している企業も、少なくありません。それゆえに管理や集計が大変、人材教育に連動できないといった声も挙がっているのです。
3.人事評価システムのメリット6つ
人事評価の基準を見える化し、評価の客観性・納得性を高める人事評価システムは、さまざまな企業から開発・提供をされています。この人事評価システムを導入すると、どんなメリットが得られるのでしょうか。
- 公平な評価ができるようになる
- 社員一人ひとりのスキルレベルを明確にできる
- 手間や資源の無駄を削減できる
- 社員のモチベーションアップにつながる
- 情報漏えいのリスクを減らせる
- 複数の評価を利用できる
①公平な評価ができるようになる
総合人事・人材サービスを展開するアデコが2018年に実施した調査では、回答者のおよそ6割が、自社の人事評価制度に不満を持っていると回答しています。不満の理由として最も大きな割合を占めたのが、「評価基準の不明確さ」でした。
人事評価システムでは、評価基準からフィードバックまで一元に管理します。結果として評価の透明性、公正性を高められるのです。
②社員一人ひとりのスキルレベルを明確にできる
人事評価システムを活用すると、社員一人ひとりのスキルレベルを明確に認識できます。たとえば新規プロジェクトのスタートにて、外国語レベルの高い社員が必要なシーンを想定してみましょう。
システムを導入していなければ、紙やExcelファイルなどを一つひとつ展開するか、人づてに語学レベルの高い社員を見つけなければなりません。担当者にかかるコストは計り知れないでしょう。
しかし人事評価システムを活用すれば、社員一人ひとりのスキルレベルをすぐさま確認できるため、より効率的に事業戦略を立てられるのです。
③手間や資源の無駄を削減できる
紙やExcelファイルなどを使った人事管理には、当然ながら入力・編集にかかる手間や紙資源などが発生します。また人が管理する以上、少なからずミスも生じるのです。
結果、「必要な書類を紛失してしまった」「すでに入力済のデータを重複して入力してしまった」など、必要以上のコストがかかる恐れもあります。
入力・編集にかかる手間や紙資源などの無駄を削減できる点は、人事評価システムを導入するメリットのひとつでしょう。
④社員のモチベーションアップにつながる
これは前述した「公平な評価」にもかかわる要素です。
人事評価が、評価者の好き嫌いやハロー評価などに影響されない適切なものであると社員が理解すれば、より高い評価を得ようとさらなる意欲を持ちます。適切な人事評価は社員のモチベーションを高めるのです。
⑤情報漏えいのリスクを減らせる
紙やExcelファイルなどを使った人事管理には、「紙媒体の持ち出しや紛失、ファイルの添付ミス」などさまざまなリスクがあります。人事情報は個人情報の固まり。漏えいしたら社員からの信頼を失うだけでなく、会社全体の社会的評価も下げてしまうでしょう。
人事評価システムでは、閲覧者に制限をかけられるため、必要な人以外は人事情報を見られません。権限付与の範囲を設定すると、漏えいリスクを減らせるでしょう。
⑥複数の評価を利用できる
一言で人事評価といっても、先に述べた業務評価(MBO)や多面的評価(360度評価)など、さまざまな手法があります。これらの結果を一つひとつ紙やExcelファイルで管理していたらどうなるでしょうか。情報が煩雑化し、とても活用するどころではありません。
人事評価システムでは、評価結果の共有や目標の管理などを一括して進められます。複数のデータを人材育成の新たな指標にすることも可能です。
4.人事評価システムを無料で使うには?
人事評価システムを、無料で使う方法があります。しかし恒久的に無料のものは少ないため注意してください。人事評価システムを本格的に導入する前に、以下の利用を検討してみましょう。
無料トライアルを利用する
ベンダーによっては、期間限定で無料トライアルを利用できるシステムがあります。人事評価システムとはどういう機能なのか、何ができるのか、操作性はどうかなどを知りたい担当者は、無料トライアルを利用してみるとよいでしょう。
各システムによって多少の違いはあるものの、いずれも数日から1か月まで期間限定にて無料で利用できます。しかし残念ながら、継続的に業務で使用することはできません。
初期費用が無料のものを選ぶ
人事評価システムのなかには、月額利用料や利用料以外の初期費用が無料となっているシステムもあります。
ネットワーク環境のみで使えるクラウド型人事評価システムは、新規にサーバーを構築したり必要機械を買いそろえたりする必要がないため、初期費用は無料というものも多いです。キャンペーンなどを活用して、初期費用を0円に抑えられる場合もあります。
無料で配布しているツールやソフトウェアを利用する
社員数の少ない小規模事業者向けのバージョンのみ、無料で配布している人事評価システムがあります。
なかには有償版と変わらない機能を提供しているものも。全社的な運用前に一部署で試してみたいという担当者は、小規模事業者向けのソフトウェアを探すとよいでしょう。
また前述のとおり、人事評価にはさまざまな方法があります。1つのフレームワークに特化した無料ツールも存在するため、自社の課題や目的によってはそちらを利用してみるのもよいです。
無料で配布しているテンプレート
面談シートや評価シートなどのテンプレートも、無料で配布されています。「会社を立ち上げたばかりで有償システムを導入するほどではない」「人事評価で何を質問すればいいのか分からない」場合は、無料テンプレートを活用してみましょう。
評価項目は、管理職や営業職、SE職など被評価者の職位や業務内容によって異なります。記入例や活用例が添付されているテンプレートも使えば、自社で評価システムを構築する際の検討材料になるでしょう。
5.人事評価システムを無料で利用するときの注意点
人事評価の透明性・公平性を高め、業務の効率化や社員のモチベーションアップにつなげる人事評価システム。人事制度の中核をなすシステムだからこそ、本運用の前に機能や操作性などをしっかりと確認しておきたいものです。
人事評価システムを無料で利用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 無料期間を確認する
- 無料の範囲・条件を確認する
- 無料で使える機能を確認する
①無料期間を確認する
その人事評価システムを無料で利用できる期間は、どのくらいでしょうか。数日程度から1か月まで、サービスによってさまざまです。なかにはキャンペーンなどを介して無料期間が延長されるものもありますので、あわせて確認しておくとよいでしょう。
②無料の範囲・条件を確認する
無料プランのなかには「上限人数30人まで」や「登録人数100人以下限定、以降50名ごとに〇円」など、一定の人数以上になった際に追加料金が発生するものも。まずは無料プラン内で試して使い慣れてきた頃、上位プランに切り替える方法もあります。
③無料で使える機能を確認する
「無料版で見られるのはデモ画面のみですべての機能は使えない」「特定の機能以外は有償になる」という人事評価システムもあります。自社の課題や評価システム導入の目的にあわせて、あらかじめ利用したい機能を厳選しておくとよいでしょう。