テレワーク下で社員管理を効果的に行うには、どのような点に注意したらよいのでしょうか。いくつかの視点から解説します。
目次
1.テレワーク下で社員を管理する課題5つ
まずテレワーク下で社員を管理する課題5つについて、見ていきましょう。一体どのような課題があるのでしょうか。
- 勤怠管理
- コミュニケーション不足
- 人事評価
- ITインフラの運用管理
- セキュリティ
①勤怠管理
勤怠管理とは、「始業から終業までの勤務時間」「時間外労働」「欠勤」「有給休暇」などの勤務状況を記録・管理すること。
テレワーク下では、社員が働いている様子を把握しにくくなります。そのため社員の実働時間・休憩時間などをどのように確認し、記録するかが大きな課題になるのです。
②コミュニケーション不足
コミュニケーションの不足とは、「上司と部下」「同僚間」といった社員同士の会話が不足すること。テレワークでは基本、オンラインを通して、双方向でコミュニケーションを取っていけるもの。しかしそれでも、下記のような課題が生じるのです。
- 報告・連絡・相談が不十分になる
- 相手とどこまで意思疎通ができているか不明瞭
- ちょっとした日常会話がしにくい
③人事評価
人事評価とは、社員の業績・能力・職務に対して取り組む姿勢などを評価項目にもとづいて評価し、社員のレベルを明確にする人事制度のこと。
テレワーク下で社員を管理した場合、「日々の取り組みの成果」「勤務態度」「向上した能力」などの把握が難しくなります。そのため評価がばらつきやすいのです。
④ITインフラの運用管理
ITインフラの運用管理とは、社員がテレワークを行うためのITインフラを企業として管理・運用すること。テレワーク下で社員を管理した場合、以下のような課題が生じます。
- アクセス環境が未整備
- 業務自体がオンライン化されていない
- ネットワーク帯域がひっ迫している
- ハード面の準備が不足している
⑤セキュリティ
セキュリティとは、情報に関する安全・防護のこと。テレワーク下にて社員は、「パソコンなどを社外に持ち出す」「自分のパソコンを使って社内ネットワークにアクセスする」「テレワーク先で会社のさまざまなデータを使用する」などを行います。
それにより、「情報漏えい」「端末の紛失」「ウイルスなど外部からの攻撃」のリスクが高まるため、これらへの対策を取る必要があるのです。
2.テレワークにおける社員管理の課題を解決するポイント4つ
テレワークにおける社員管理の課題を解決するポイントは、4つです。ここでは、それぞれのポイントを解説します。
- 労務管理の整備
- 業務の可視化
- ITインフラの整備
- セキュリティ対策
①労務管理の整備
テレワーク下でも社員の労務管理を適正に行うためにも、下記のような分野に関する社内ルールをあらかじめ定めておきましょう。
- テレワークの実施申請と承認
- 勤務労働時間の管理
- 業務中のコミュニケーション
- 公正な評価
- テレワーク時のコスト
②業務の可視化
テレワーク中、社員の携わる業務の把握が難しくなります。そこで下記のような「姿は見えなくても、社員の行う業務を可視化できる機会」を創造していくのです。
- 業務内容や勤務実態を上司に報告できる仕組み作り
- オンライン会議の実施や発言しやすいチャットルームの整備
③ITインフラの整備
ITインフラの整備として挙げられるものは、下記のとおりです。下記はテレワークに必要となるため、事前に整備しておきましょう。
- ネットワークの強化
- パソコンなど端末の整備
- ミーティングやチャットツールの導入
- クラウドサーバーへの移行
- リモートアクセス
④セキュリティ対策
セキュリティ対策の具体的な内容は、下記のとおりです。「情報資産の漏えい・消失」を防ぐためにも、「ルール」「人」「技術」3つのバランスが取れたセキュリティ対策を心掛けましょう。
- 端末の管理やデータの取り扱いなどのルール策定
- アクセス制限
- フィルタリングの設定
- ウイルス対策ソフトの活用
3.テレワークに有効な社員管理システム・ツールとは?
テレワークに有効な社員管理システムとは、オンラインで状況を把握できるシステムのこと。ここでは有効なシステムやツールを4つご紹介します。
- 勤怠管理システム
- コミュニケーションツール
- 人事評価システム
- タスク・プロジェクト管理ツール
①勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、テレワークをしている社員の「始業時刻」「終業時刻」「休憩」「時間外労働」といった勤怠データを適正に記録・管理するシステムのこと。
勤怠管理データは、給与計算をする際に必要ですので、勤怠管理システム単体ではなく、給与システムと連動できるものを選択しましょう。それにより両方のシステムを、効果的に活用できます。
②コミュニケーションツール
コミュニケーションツールとは、チャットやミーティングといった機能を活用して、意思疎通を行うツールのこと。
現在、さまざまなコミュニケーションツールが各社からリリースされています。「あらかじめ「導入目的は何か」「どんな機能がよいか」などを決めてから選ぶとよいでしょう。
③人事評価システム
人事評価システムとは、オンラインを使って人事評価の記入・閲覧・回覧などを行うシステムのこと。システムによっては、「チャットや通話アプリの利用」「上司との画面共有」などの機能をもとに、人事評価できます。
④タスク・プロジェクト管理ツール
タスク・プロジェクト管理ツールとは、社員同士お互いの業務の進捗を確認しづらいテレワーク下でも、「個々やプロジェクト単位の業務管理」などを可能にするツールのこと。
こうした管理ツールを活用すれば、お互いの仕事を可視化したり進捗状況を管理したりできるため、業務効率化が進みます。
4.社員管理システムがテレワーク社員にできること4つ
社員管理システムを利用してテレワーク社員にできることは、4つです。ここでは、下記4つのポイントについて解説します。
- 書類の申請や承認
- 社員情報の閲覧や入出力
- 問題や課題の発見
- 知識の習得・学習の管理
①書類の申請や承認
在宅中にもかかわらず、「上司へ書類を申請する」「上司の承認を得る」などを要する場面があります。社員管理システムを利用すれば、「評価機能」「勤怠管理機能」を利用して、決裁者にオンライン上で承認してもらえるのです。
②社員情報の閲覧や入出力
社員管理システムを利用すれば、「氏名や住所」「評価」「目標」「スキル」「健康状態」といった社員情報を、「社員自らが入力」「上司が閲覧」「評価者による出力」といった形で扱えるようになります。
③問題や課題の発見
社員情報システムに搭載されている「アンケート機能」「1on1ミーティング」を利用すれば、これまで気付けなかった問題や課題を発見できます。それだけでなく社内でブレインストーミングを行うとき同様、さまざまなアイデア出しもできるのです。
④知識の習得・学習の管理
テレワーク中で社員と直接会えなくても、社員管理システムを利用すれば業務に必要な知識の習得・学習の管理ができます。スキルが可視化されるため、タレントマネジメントも実現できるでしょう。
5.テレワークに向けて社員管理システムを導入した事例
最後に、テレワークに向けて社員管理システムを導入した企業の事例2つをご紹介します。
ディー・サイン
オフィス以外の場所で働くノマドワーカーを推奨してきた、テレワークの先駆的な企業ディー・サインは、オフィス構築をはじめ企業のプロジェクトディレクションを手がけている会社です。
以下のような取り組みにより、社員の横のつながりや組織力の強化が生まれました。
- 週1回の全社ミーティングに出席すれば、あとは自宅や出先での勤務が可能という「ノマド制度」
- カオナビを導入して、社員情報をかんたんに閲覧
阪急阪神不動産
ツールを活用してテレワークを推進している企業である阪急阪神不動産は、不動産会社です。カオナビの導入によって、
- 趣味や特技なども含めた社員情報の登録
- 社員の顔や情報から描ける人物像の共有
などが可能になりました。その結果、所属部署を超えて人間関係が連携し、「社内コミュニケーションの活性化」「社員一人ひとりの成長」「企業価値の向上」などを実現したのです。