スキル管理ソフトとは、スキルを可視化して情報共有するためのソフトです。ここでは、スキル管理ソフトについて解説します。
目次
1.スキル管理ソフトとは?
スキル管理ソフトとは、「社員の保有するスキルを可視化する」「社内でスキル情報を共有する」ためのソフトのこと。ここでいうスキルは、保有する資格や技術・知識などを指します。
スキル管理をサポートするソフト
スキル管理ソフトは、スキル管理をサポートするソフトです。活用によって、「社員が保有するスキルの一元管理」「スキル保有者の抽出」「保有スキルの更新」などをかんたんに進められます。
こうした活用方法は、人員配置・人事評価などさまざまな人事施策にも役立てられるでしょう。
スキル管理ソフトの種類
スキル管理ソフトには、スキル管理に特化しています。
そのほかの機能として挙げられるのは、人材配置・人事評価・採用管理・人材開発・モチベーション管理など。こうした人事管理に関わる機能を搭載した、人材ソフトやタレントマネジメントソフトも多くあります。
2.スキル管理ソフトを使うのがおすすめな「スキル管理」とは?
スキル管理ソフトを使う際、前提を理解しておくときたい前提があります。ここでは、下記2点についてポイントを解説します。
- スキルとは何を指すのか
- ビジネスで必要となるスキルとは?
①スキルとは何を指すのか
スキルとは、業務を遂行するうえで役立つ知識・技術・技能のこと。英語の「skill」がもとになっており、ここには、手腕・腕前・技量といった意味があるのです。
一般的に使われるスキルという言葉は、他者と比較して、特に優れている能力・優れた結果が生み出される技を指します。
②ビジネスで必要となるスキルとは?
ビジネスの世界で必要となるスキルには、「対人スキル」「問題解決スキル」「管理スキル」3つあります。それぞれの種類は、下記のとおりです。
- 対人スキル:交渉スキル・プレゼンスキルなど
- 問題解決スキル:ゴール設定スキル・思考整理スキルなど
- 管理スキル:目標管理スキル・タスク管理スキルなど
3.スキル管理ソフトでスキル管理が必要な理由
スキル管理ソフトでスキル管理が必要な理由は、何でしょうか。それぞれの分野でどのようにスキル管理が生かされているのか、詳しく解説します。
- 業務に必要なスキルを把握するため
- 人事評価への活用
①業務に必要なスキルを把握するため
ここでいう業務とは、「組織全体のスキル把握」「人員配置」「人材育成」「スキルの継承」4つのこと。スキル管理を活用すれば、これらの業務に不可欠な社員ごとの業務経験やキャリアを可視化できるのです。
組織全体のスキル把握
組織全体のスキルとは、「会社組織がもつスキルの総量」「スキルがもつ強みや弱み」のこと。スキル管理ソフトを活用すれば、個々の社員のスキルだけでなく、組織が保有するスキルの総量を把握できます。
組織として、「不足しているスキル」「強化すべきスキル」などが可視化されれば、さまざまな人事施策に応用できるでしょう。
人員配置
人員配置とは、部署で必要と考えられるスキルがある社員を、適切なポジションに配置すること。
スキル管理を行えば、「スキル保有者の抽出・選択」「新しい配置先での事業の引継ぎや社員情報の共有」がスムーズに進みます。人員配置を効率的・効果的に行うためには、スキル管理が不可欠といえるのです。
人材育成
人材育成とは、社員に必要と思われる教育を行い、スキルを向上させること。経営資源のひとつでもある「ヒト」の育成は、企業にとって非常に重要な課題といえます。
スキル管理を行えば、「個々の社員に不足しているスキル」「企業全体として強化すべきスキル」などが可視化できるため、人材育成を効率的に進められるのです。
スキルの継承
スキルの継承とは、次世代にスキルを継承すること。一部の社員のみ保有しているスキルや難易度の高いスキルは、当該スキルをもつ社員の退職によって消滅してしまう可能性が高いです。
スキル管理を行えば、継承すべきスキルを早期に発見できるでしょう。
②人事評価への活用
人事評価とは、企業目標をもとに社員を「業績評価」「能力評価」「情意評価」などの項目で評価すること。
スキル管理を行えば、評価項目のひとつ「能力評価」をスムーズに実施できます。能力評価は、主に職務を遂行するうえで必要な知識・技能が評価材料となるため、能力を項目別に管理できるスキル管理ソフトが生かされるのです。
4.スキル管理ソフトの導入メリット
スキル管理ソフトの導入メリットは、3つあります。ここでは、その3点について解説しましょう。
- 一元管理が可能
- 社員が自分で更新できる
- スキル情報を共有しやすい
①一元管理が可能
エクセルなどで社員のスキル管理を行っていた場合、会社が規模拡大すると管理の煩雑さに困ってしまいやすいです。
しかしスキル管理ソフトを導入すれば、余計なファイルを増やさずかんたんに管理できます。個々の成長率・経験業務なども把握しやすいので便利でしょう。
②社員が自分で更新できる
従来のスキル管理では、社員のスキルを上司がヒアリングして人事部が集計管理するという形で行われていました。
しかしスキル管理ソフトでは、社員自身がパソコンやスマートフォンで簡単にスキルを更新できるのです。また最新データを簡単に参照できるため、管理効率も向上します。
③スキル情報を共有しやすい
クラウド型のスキル管理ソフトを導入した場合、端末さえあればほかの部署や課からでもかんたんにスキル検索できます。
スキル管理ソフトで社内の情報共有が一気に進むため、業務に必要なスキルがある人材もいち早く見つけ出せるのです。
5.スキル管理の手法「スキルマップ」とは?
スキル管理の手法「スキルマップ」とは、スキルを可視化できるツールのこと。ここでは、スキルマップの概要について解説します。
スキルを見える化するツール
スキルマップとは、社員一人ひとりが保有するスキルを一覧表化したもので、社員名・保有スキルを軸としてマトリックス形式で作成されます。
スキルマップを見れば、個々の社員・プロジェクト・部門といった単位にて、業務を遂行するうえで必要な知識や技術の保有者が一目で分かるのです。
[ISO9001]スキルマップの使用が定番
ISO9001とは、国際標準化機構が定めた国際規格の品質マネジメントシステムのこと。ISO9001が示す目安のひとつに、社員のスキルを把握し必要な教育や訓練を実施する、すなわち「力量管理」があります。
スキルマップにて、力量管理は定番ともいえるもの。企業がISO9001の取得を目指している場合、スキルマップは作成しておくべきでしょう。
スキルマップを作成する際に決めること
スキルマップの作成にあたり、スキル項目以外にも事前に決めておかなければならない項目があります。スキルマップは個々の企業や職場の実情にマッチしたものでなければならず、型にはめられません。
スキルマップの作成時に決めるべきことを3つ、解説します。
- スキルマップの目的・活用方法・作成者
- 項目と分類
- 評価方法
①スキルマップの目的・活用方法・作成者
「なぜスキルマップを作成するのか」「スキルマップを作成して何を実現したいのか」「誰が責任をもってスキルマップを作成するのか」といった前提を明確にしておくと、スキルマップをより有効活用できます。
②項目と分類
「上司などへのヒアリングをもとにした業務内容と、必要なスキルの洗い出し」「スキルマップにおけるスキルの階層整理」「スキルを階層に振り分け」を手順に従って行うと、スキルの項目・分類をスムーズに決定できます。
③評価方法
主な評価方法は、下記の3つです。
- 上司が部下を評価する
- 部下の自己申告を上司が確認、修正する
- 社員の自己評価、上司の評価、人事など第三者の両評価を参照して最終的な評価を決定する
公平性が担保され、社員が納得できる評価方法にする点がポイントになります。