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従業員名簿は、企業が作成しなければならない法定三帳簿のひとつです。従業員名簿の用紙は、この従業員名簿を作成する際に使います。
目次
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1.従業員名簿の用紙とは?
従業員名簿の用紙とは、労働者を雇い入れる際に必ず整備すると義務付けられている「従業員名簿」に用いる用紙のこと。ここでは、従業員名簿を作成するための用紙について解説しましょう。
従業員名簿を作成するためのひな形
従業員名簿作成のひな形となる用紙。各企業で従業員名簿のために、独自の用紙を使っている場合も少なくありません。紙媒体のほかにExcelやWordなど、パソコンで作れる用紙もあります。
必要事項が記載してあれば、従業員名簿はどのような書式・様式でも問題ありません。自社にとって使いやすいものを選びましょう。
Webなどで従業員名簿の用紙を探せる
インターネット上で、従業員名簿の用紙は多数配布されています。無料で入手できるうえ、ExcelやWordなどで編集可能な用紙も入手できるのです。ただしなかには、PDF形式のような専用ソフトでの編集が必要となるものも。
紙媒体で使用する分には問題ありませんが、使用前にファイル形式を確認しましょう。
厚生労働省が用紙を配布している
従業員名簿を1から作成する際は、厚生労働省のサイトからダウンロードできる「様式第19号」を参考にしましょう。ここには労働基準法で定められている必要事項が、網羅されているのです。
「そのまま使用」「自社で使いやすいように書式などをアレンジして使用」どちらでも役立ちます。
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2.そもそも従業員名簿とは何か?
人事や労務に携わる人は特に詳しく知っておきたい従業員名簿。そもそも従業員名簿とはどのようなものなのでしょうか。ここからは、法定三帳簿のひとつである従業員名簿について詳細を見ていきましょう。
法定三帳簿のひとつ
法定三帳簿とは、「従業員名簿」「賃金台帳」「出勤簿」といった3つの書類で、事業主が事業場に必ず備え付けておかなければならないと定められています。法定三帳簿を事業場に備え付けていなかった場合の罰則もあり、3年間の保存義務もあるのです。
これらの帳簿は紙で保存するだけでなく、パソコン内にデータとして保存しても問題ありません。
法律で作成が定められている
従業員名簿は、労働基準法第107条で整備が義務付けられています。企業の大小に関係なく個人事業主でも、従業員が1人でもいる場合は作成の義務が発生するのです。
従業員名簿は社内で作成・保管しておくものですが、労働基準監督署による調査などで閲覧や提出を求められる場合もあり、その際は速やかに対応しなければいけません。
企業が必ず作らなければならない書類
労働者を雇用した企業には、従業員名簿の作成・保存義務が生じます。従業員名簿の対象者は、原則として全従業員。基本、1人につき1枚ずつの作成しですが、項目がそろっていれば複数人分をまとめた作成も可能です。
たとえば氏名や生年月日、住所などの必要項目を一覧化した作成もできます。自社で使いやすい様式を選ぶとよいでしょう。
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従業員名簿では従業員の生年月日や住所などの基本情報しか記載できませんが、カオナビのような人材管理システムならスキル情報など人事戦略に活かせる情報も管理できます。
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3.従業員名簿の用紙にはどんな項目が入っていないといけないのか?
従業員名簿に記載すべき項目は、労働基準法によって定められているのです。ここからは、「従業員名簿の用紙にはどのような項目が入っていなければいけないのか」について見ていきましょう。
記載しなければならない項目
労働基準法第107条にて、従業員名簿には下記9項目を記載しなければいけないと定められています。ここではこれらの項目についてまとめて説明しましょう。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 履歴
- 従事する業務の種類(従業員30人未満の場合は記載不要)
- 雇入年月日
- 退職年月日(解雇の場合、その理由も)
- 死亡年月日およびその原因
従業員の基本情報:氏名、生年月日、性別、住所
従業員名簿には、従業員の氏名や生年月日、性別や住所といった基本情報の記載が必要です。結婚後、社内ではそのまま旧姓を使用している人もいますが、従業員名簿では戸籍上の氏名を記載しなければいけません。
住民票と現住所が異なる場合は、実際に住んでいる住所を記載しましょう。転居などで住所を変更した場合は、その都度情報を更新します。
従業員の履歴
従業員の履歴は、労働基準法などで定められているわけではないので、社内で記載内容を定義してもよいでしょう。社内における昇進や異動などを記載している企業が多いです。
また従業員の学歴や前職までの職歴なども記載しておくとよいでしょう。入社後の職務経歴などの履歴を記載しておくと、労災保険法上の業務災害として認めるか否かの判断要素になります。
従業員が従事する業務
「人事」「広報」「経理」など、社内での役割や業務内容を記載します。たとえば、ショップの店員であれば「販売店員」、建設現場で働く大工であれば「大工」のようにわかりやすく業務内容を記載するのです。
ただし労働基準法施行規則第53条第2項により、従業員数が30人未満の事業所では、1人で複数の業務に対応する場合もあるため、必ず記入する必要はありません。
従業員の雇用開始日と退職年月日
雇入年月日では、採用が決定した日ではなく実際に雇用が開始した日を記載します。雇入年月日をもとに年次有給休暇の発生日を明確にするのです。
解雇の場合は、退職年月日とともに理由を記載しましょう。退職理由をしっかりと明記しておくと、退職後のトラブルを防げます。なお自己都合退職の場合、理由の記載は不要です。
従業員の死亡年月日
従業員が病気や事故で在職中に死亡した場合、死亡年月日を記載します。また労災にあたるかどうかを判断するために、理由も記載しなければいけません。
死亡原因が仕事に関係があると認められた場合、労災認定となります。これは労働基準監督署が行うもので、死亡の原因となった労働環境がどのようなものであったかなどを調査するのです。
あるとよい項目とは?
上記の必須項目以外にも、「電話番号」「緊急連絡先」「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」などを記載しておくと、人事や労務の業務がよりスムーズになります。
ただし必須項目ではないため、記載する前に本人の承諾が必要です。分からない場合、健康保険は会社が加入している保険機関、厚生年金は年金事務所、雇用保険はハローワークに確認するとよいでしょう。
従業員情報は、見方を変えれば企業パフォーマンスを向上させるための施策実行や分析にも役立ちます。
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4.従業員名簿用紙を作成するときの注意事項とは?
従業員名簿用紙を作成する際は、何に注意すればよいのでしょう。ここからは、3つの注意点について解説します。
- 各支店や各事業所で作成する
- 原則すべての従業員の名簿が必要
- 個人情報の取り扱いには十分な注意と配慮が必要
①各支店や各事業所で作成する
労働基準法では「労働者名簿・賃金台帳を事業場ごとに調製する」と定められています。そのため支社や事業所、店舗や工場がある場合、それぞれで作成しなければいけません。つまり本社でまとめて作成・保管するものではない点に注意しましょう。
原則、同じ事業場で作業していればひとつの事業場と見なされますが、労働状態が異なる場合、別の作業場として扱われます。
②原則すべての従業員の名簿が必要
従業員名簿は、従業員を1人でも雇用したら作成しなければいけません。従業員名簿への記載対象者は、労働基準法第9条で「事業または事務所に使用されている者で、賃金を支払われている者」とされています。
つまり正社員だけでなく、短時間労働のパートやアルバイトも対象になるのです。また一定期間の雇用契約である契約社員も対象となるため、注意しましょう。
従業員名簿には対象とならない従業員がいる
日雇い労働者や派遣労働者、代表者・役員の一部は、従業員名簿の作成対象外となります。その理由と詳細は、下記のとおりです。
- 日雇い労働者:日々雇用契約を結ぶ立場であるため、名簿の作成は不要
- 派遣労働者:派遣元が管理するため、派遣先には義務が発生しない
- 代表者・役員:労働者には該当しないが社会保険の被保険者であるため、名簿は作成しておいたほうがよい
③個人情報の取り扱いには十分な注意と配慮が必要
従業員名簿の内容は、個人情報です。あらかじめ収集目的や使用範囲などを明らかにして従業員の同意を得てから作成しましょう。労働基準監督署など第三者が閲覧する状況についても、事前の承諾が必要です。
マイナンバーは、従業員名簿に記載しておくと便利なように思えます。しかしマイナンバーは具体的な用途に限定して収集する個人情報です。従業員名簿とは別に管理しましょう。
従業員名簿のみならず、あらゆる従業員情報は取り扱いに十分気をつける必要があります。
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5.従業員名簿用紙の保管方法・保存期間とは?
従業員名簿用紙はどのような方法でどのくらいの期間保存する必要があるのでしょうか。労働基準法には保存期間についての定めはあるものの、保存方法についての指定はありません。最後に保存期間と保存方法、更新の頻度について見ていきましょう。
保存期間は離職から3年間
従業員名簿は、労働基準法第109条により3年の保存が義務付けられています。保存期間の起算日は、雇入日ではなく労働者の死亡・退職・解雇の日。
3年の保存期間を守らず紛失してしまった場合などは、労働基準法第120条により、30万円以下の罰金が科せられる場合もあります。従業員名簿の管理者を決めるなど、適切な管理を心掛けましょう。
保存方法に指定はない
労働基準法において保存方法に関する定めはありません。紙でもデータでも問題ないのです。ただしデータで保存する場合は、必要事項が記載されている従業員名簿を、各事業場ですぐに表示・印刷できるかどうかが、条件となっているのです。
業務のペーパーレス化が進む昨今、クラウドサービスなどを利用し、従業員名簿を電子化する企業が増加しています。電子化した場合は、プリンターなどすぐプリントアウトできる設備も整えておきましょう。
変更や異動があれば随時更新する
労働基準法第107条2項では、「記載事項に変更があった場合、遅滞なく訂正しなければならない」としています。姓名の変更や住所変更、人事異動などがあった際は随時更新しましょう。
記載内容の変更例としてよくあるのが、結婚や引っ越しなどです。従業員情報の変更は頻繁にあるもの。人事や労務担当者は正確に内容を把握し、しっかりと管理しましょう。
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