介護保険とは? 制度の内容やその対象者、受けられるサービスなどについて

介護保険制度とは、国全体で介護が必要な人をサポートする制度です。ここでは、介護保険制度について解説します。

1.介護保険制度とは?

介護保険制度とは、介護を必要としている人を国全体でサポートする制度のこと。国は40歳以上から介護保険料を徴収し、介護保険料と公費などをもとにして、要支援者と要介護者に支援を行っています。

介護保険制度の歴史

1960年代に高齢者に対する福祉政策が始まり、この頃の高齢化率は5.7%でした。以降1970年代に高齢者医療費の増大、1980年代に寝たきりの高齢者が問題化などを経て、1990年代に介護保険制度の導入準備が始まりました。

1997年に介護保険法が成立し、2000年から介護保険法が施行されたのです。

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2.介護保険制度の対象者とは?

介護保険制度には、介護対象者についての定めがあります。介護保険制度を正しく理解するためにも介護保険制度の対象者について、下記2つの視点を知っておきましょう。

  1. 対象は、第1号被保険者と第2号被保険者
  2. 要支援・要介護認定の基準

①対象は、第1号被保険者と第2号被保険者

介護保険制度には、「65歳以上の第1号被保険者」「40歳から64歳までの医療保険加入者の第2号被保険者」があります。それぞれが介護サービスを受けられる時期は、下記のようになっているのです。

  • 第1号被保険者:要介護認定または要支援認定を受けたとき
  • 第2号被保険者:加齢に伴う特定疾病が原因で要介護または要支援認定を受けたとき

②要支援・要介護認定の基準

支援や介護の基準は、「要支援は2つの基準」「要介護認定は5つの基準」といったように合計7段階で設定されており、使えるサービスの種類や頻度が異なるのです。「要支援1と2の違い」「要介護1〜5は要支援と何が違うのか?」について解説しましょう。

要支援1と2の違い

要支援1と2の違いは、下記のとおりです。

  • 要支援1:「掃除や着替え、歩行、立ち上がりなど、日常生活を送るうえで必要な行動の一部に手助けが必要な状態」「改善したり回復したりする可能性が高い状態」
  • 要支援2:「掃除や着替え、歩行や立ち上がりなど、日常生活を送るうえで必要な行動に、部分的な手助けが必要な状態」「要介護状態になる可能性はあるが、改善したり回復したりする可能性が見込まれる状態」

要介護1〜5は要支援と何が違うのか?

要介護1〜5と要支援にはそれぞれ、次のような違いがあります。

  • 要支援…生活機能が低下しているものの、改善の可能性が高いと見込まれる状態
  • 要介護…現在、介護サービスを必要としている状態

要介護は要支援と比較して、「運動能力や認知能力に障がいがあり、部分的に介護が必要」「食事や排せつなど、身の回りのことにも介護が必要」「日常生活に支障が出ている」「日常生活全般に介護が必要」といった状態が基準になります。

介護保険制度では、第1号被保険者と第2号被保険者、さらに要支援1~2と要介護1~5の基準について定めがあります

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3.介護保険制度の支払いについて

介護保険制度における保険料の支払いは、被保険者の年齢や利用している医療保険により異なります。ここでは、下記2つの保険料支払いについて解説します。

  1. 第1号被保険者(65歳以上)
  2. 第2号被保険者(40歳~64歳)

①第1号被保険者(65歳以上)

介護保険料の支払い方法は、「特別徴収」(年金から天引き)と「普通徴収」(納入書で支払う。年金額が年18万円に満たない場合に適用)の2つがあります。

②第2号被保険者(40歳~64歳)

介護保険料は、加入している健康保険料の支払いの際に介護保険料も合算して徴収されるため、介護保険料のみを個別に支払う必要はありません。

介護保険料の支払いは、第1号被保険者の場合「特別徴収」「普通徴収」2つの方法②なります。第2号被保険者は、健康保険料と併せて徴収されるのです

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4.介護サービスの利用料

介護サービスには、「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」などがあります。こうしたサービスを利用する際、料金はどうなるのでしょうか。

サービス利用料

サービス利用料とは、介護保険サービスを利用した利用者が負担する料金のこと。原則として「介護サービスにかかった費用の1割負担」「一定以上の所得がある65歳以上の方は2割負担」となるのです。

また「支給限度額を超えた場合」「介護サービスの範囲外で利用したサービス」については、全額自己負担となります。

サービス料が高額になってしまった場合

同じ月に利用した介護保険サービスの合計額が高額になって上限額を超えるケースもあるでしょう。

支給限度額を超えた分について申請すると、高額介護サービス費として支給されます。上限額の目安は、「現役並み所得者に相当する方がいる世帯の場合は44,400円」など、別途定められているのです。

高額医療・高額介護合算療養費

高額医療・高額介護合算療養費とは、年間の医療保険・介護保険における自己負担の合算額が著しく高額になる場合に利用できる制度のこと。

医療保険と介護保険の両方の自己負担を合算し、それが年間の限度額を超える場合、申請によって超えた分が高額介護合算療養費として後に支給されます。

サービス利用料の自己負担は、1割もしくは2割です。「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費」制度も利用できます

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5.介護保険料について

誰もが安心してサービスが利用できる介護保険制度を目指す介護保険制度は、介護保険料と公費で賄われているのです。ここでは3点について解説します。

  1. 65歳以上(第1号被保険者)の保険料
  2. 40歳から64歳までの人の(第2号被保険者)の保険料
  3. 保険料の納付が困難な場合

①65歳以上(第1号被保険者)の保険料

65歳以上である第1号被保険者の介護保険料は、住んでいる自治体が決めた介護サービスに求められる必要額(1年間の予算から23%)を、自治体に住む第1号被保険者の総数などで割って計算します。

ただしこれはあくまで基準額で、正しい保険料は、所得基準によって変わる保険料率を基準額に掛けて計算するのです。そのため住んでいる自治体によって保険料は変わります。

②40歳から64歳までの人の(第2号被保険者)の保険料

40歳~64歳の第2号被保険者の介護保険料は、「世帯の所得」「世帯の家族構成」「市区町村が定めた基準料金」などによって決まります。40歳から64歳までの第2号被保険者の保険料は、加入している医療保険の算定方法により決まります。

それにより、「介護保険料の算定方法は、第2号被保険者が加入している医療保険によって異なる」「介護保険料だけを別途納める必要はなく、医療保険である健康保険料と一括して納める」ことになっているのです。

③保険料の納付が困難な場合

介護保険料の納付が困難な場合はそのまま放置せず、早めに住んでいる市区町村の介護保険担当窓口に相談しましょう。

市区町村では、災害・事業の休廃止・失業といった特別な事情によって介護保険料の支払いが困難になった際、減免制度を設けています。ただし別途要件があるため、窓口での確認が必要なのです。

介護保険料の算定方法は、第1号被保険者と第2号被保険者で異なります。支払いが困難な場合には、市区町村の窓口に相談しましょう

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6.介護保険制度のメリット5つ

介護保険制度には、5つのメリットがあるのです。ここでは下記5つについて解説しましょう。

  1. 要介護認定を受けると国の介護サービスが受けられる
  2. 自己負担は1割
  3. 自治体によっては優遇サービスも
  4. 高齢化が進む日本では重要なサービスとなっている
  5. 民間の保険会社が独自のサービスを行っている

①要介護認定を受けると国の介護サービスが受けられる

要介護認定は、以下のような手順で行われます。

  • 住まいのある市区町村へ申請する
  • 認定調査や主治医の意見書により介護が必要な状態かどうか判定する
  • 「介護や支援が必要な状態である」と認定される

認定されると、国の介護サービスを受けられるのです。

介護保険が適用される基本的サービス

介護保険が適用される基本的サービスは、以下のとおりです。

  • 食事
  • 排せつなどの補助
  • 身だしなみ
  • 部屋の掃除などの補助
  • 歩行
  • 寝返りなどの補助
  • 介護用品のレンタル
  • 介護医療費の控徐

認定結果をもとに個々でケアプランを作成すると、在宅・施設などで介護保険サービスを受けられます。

②自己負担は1割

介護保険制度では、サービス利用料の自己負担が以下のように定められ、残りの9割は国と税金が折半で賄っています。

  • 原則として介護サービスにかかった費用の1割負担
  • 一定以上の所得のある65歳以上は2割負担

このように利用者は1割もしくは2割負担で、サービスを受けられるのです。

③自治体によっては優遇サービスも

介護保険制度における介護サービスは、住んでいる市区町村によって変わります。多くの自治体でそれぞれの地域の事情にあった介護サービスを展開しているのです。地域密着型の優遇サービスを受けられる点は、介護保険制度の大きなメリットでしょう。

④高齢化が進む日本では重要なサービスとなっている

高齢化が進む日本では、介護サービスへの需要が増えると予想されます。しかし需要が高まれば、利用料の高額化が懸念されるのです。介護保険制度は公費を伴った公的保険制度ですので、加入しておくと安心して生活できるでしょう。

⑤民間の保険会社が独自のサービスを行っている

介護保険制度の必要性が広く認識されたため、民間の会社がさまざまな介護護保険サービスの提供を始めています。会社ごとにそれぞれサービス内容が異なるので、各社のサービスを比較し、検討してみるとよいでしょう。

介護保険制度には、さまざまなメリットがあります。高齢化が進む日本において、介護保険制度の重要性は増しているのです

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7.介護保険で利用できるサービス

介護保険で利用できるサービスは、4つです。ここでは4つについて解説します。

  1. 施設サービス
  2. 居宅サービス
  3. 通所(日帰り)短期滞在系サービス
  4. そのほかのサービス

①施設サービス

介護保険で利用できる施設には、「常に介護が必要で、自宅生活が困難な方のための介護老人福祉施設」「医療サービスを提供し、家庭復帰を目指す介護老人保健施設」「 医学的管理のもとで、介護や必要な医療を行う介護療養型医療施設」などがあります。

②居宅サービス

居宅サービスの具体例は、「医師・歯科医師などが訪問し、療養上の管理や指導を行う居宅療養管理指導」「医師の指示にもとづいて、看護師が療養上の世話などを行う訪問看護」「訪問リハビリテーション」「介護支援」「訪問介護」「訪問入浴」などです。

③通所(日帰り)短期滞在系サービス

通所(日帰り)短期滞在系サービスには、「日帰りで通う通所サービス」「施設に短期入所して受ける短期滞在系サービス」があります。そこでは、食事や入浴、必要な日常生活上の支援や生活機能訓練などが提供されるのです。

④そのほかのサービス

そのほかのサービスとして挙げられるのは、「車いす・ベッドなどの福祉用具を貸与する福祉用具貸与」「ポータブルトイレなどの福祉用具を購入できる特定福祉用具販売」「手すりの取り付け、段差解消など住宅改修費の支給」などです。

介護保険で利用できるサービスはさまざまあります。その人にとって最適な介護サービスを選び、介護負担を軽減させていきましょう