二次評価の主な役割は、一次評価の偏りを公平で適正なものに調整して、評価の客観性を高めることです。
二次評価の目的
二次評価の主な目的は、一次評価の偏りを公平で適正なものに調整することです。一次評価だけを行うことに比べて人的コストはかかってしまいますが、公平で納得感のある評価は、従業員のモチベーションアップや不満の発生防止、離職防止にもつながります。
二次評価で難しいこと
二次評価は、社員のスキルや行動といった「成果へのプロセス」の評価は不得意です。というのも、二次評価者は部長職など、被評価者から見て距離のある人物が評価するためです。
一方で組織全体や事業戦略など、「俯瞰(ふかん)的な視点」からの評価は得意としています。一次二次両方の特性と役割を理解して評価に臨むことで、より確度の高い評価が行えるでしょう。
二次評価のポイント
①組織全体や事業戦略などの視点から評価する
二次評価は、一次評価者では立場の性質上難しい俯瞰的な視点から評価を行います。そのため二次評価者は、事業戦略や組織全体から見た改善点や期待を伝えることで、被評価者の広く長い視点での成長を促せます。
②評価の甘辛を調整する
部門ごとに発生する評価の甘辛を調整し、妥当な評価に落とし込むのも二次評価の重要なポイントです。たとえば一次評価者の評価が全体的に甘く、人件費予算を超えてしまいます。
そこで二次評価者は全体的な評価バランスを見ながらルール(S評価は~%、A評価は~%以内にするなど)や予算に合わせて甘辛調整を行うことで、無理のない人事評価を実現します。
③一次評価との意見調整&フィードバック
一次評価との意見調整も重要です。一次評価者と二次評価者で意見が異なる場合は、お互いに評価の根拠を提示し、納得のいく妥当な評価に落とし込みます。
その際一次評価者の評価に、甘すぎる、厳しすぎるなどの傾向が見られる場合、一次評価者のマネジメントスキル(評価能力)向上の観点から、傾向やバイアス、全体から見た妥当性をフィードバックするのも二次評価者の役割です。
評価の注意点
人が人を評価するとなると、多くのエラー(思い込み)が発生し、本来あるべき評価をゆがめてしまう可能性があります。
評価者の主観やバイアスに影響を受けた評価結果は、評価者自身の信頼性低下や被評価者のモチベーション低下を引き起こしかねません。完全にエラーを直して評価することは難しいですが、その種類や特徴を知り、しっかりと事実にもとづき評価することで、正確な評価に近づけられるでしょう。
評価者が気をつけたい評価エラーは次の8つです。
●ハロー効果
被評価者のとくに優れた部分や劣った部分ばかりに目が止まってしまい、その印象が他の部分にも影響が及んでしまうことです。たとえば、営業成績が飛び抜けているならば、チームでの連携も申し分ないだろうと根拠なしに判断してしまうなどです。
●期末効果
評価を行う直前の出来事にその内容が大きく左右されてしまうことです。たとえば、被評価者が期末に大きなミスを起こし、その点ばかりに目がいってしまい、それまであった良い成績への評価比重が低くなってしまうなどです。
●論理的誤謬(ごびゅう)
事実を確認しないで、評価者の推測に基づいて誤った評価が行われてしまうことです。たとえば、学歴が高いというイメージから、職務遂行能力も高いだろうと想像してしまうなどです。
●対比誤差
評価基準ではなく、評価者自身を評価の基準にしてしまうことです。たとえば、評価者が被評価者と同じ仕事をしていた頃の感覚的な難易度を基準に評価してしまうなどです。
●中心化傾向
被評価者の実際の能力やスキル、行動に関わらず、評価が中心に偏ってしまう傾向です。たとえば、部署全体の評価が5段階評価のうち3に偏ってしまうなどです。
●逆算化傾向
最終的な評価(昇格・昇給)を先に決めてしまい、それに合わせて評価を行う傾向です。実態のない目標に評価をすり合わせていくため、実態と評価が一致しません。
●寛大化傾向
部下からよく思われたいばかりに甘い評価を行う傾向です。
●厳格化傾向
評価者の性格の厳しさや能力が高い人を基準にするなどの理由から、評価が厳しくなってしまう傾向です。