面接時の逆質問とは、採用面接時に面接官に質問を求められた際、応募者が面接官に尋ねる質問のこと。ここでは、逆質問のマナーや逆質問をする理由についてご紹介します。
目次
1.面接における逆質問とは?
面接時の逆質問とは、採用面接の際に終盤で面接官が応募者に対して聞く質問のこと。どのように答えるかで、採用の合否が左右される場合もあります。逆質問に対する適切な答え方を押さえておけば、就職活動で自分の強みを存分にPRできるでしょう。
逆質問は自分をアピールできるチャンス
逆質問は事前に準備できるため、応募者にとって自己アピールができる貴重なチャンスです。そのためにもまずは、自分が伝えたいことを明確にしましょう。
たとえば「自分の長所を伝えたいのか」「会社の業務に携わることへの熱意なのか」など、内容を決めてからどのように逆質問するのか、決めます。
伝えたい内容が明確であれば、逆質問の内容もはっきりしてくるでしょう。また逆質問に対して自分の意見を盛り込むのも、効果的です。
2.「何か質問ありませんか?」と面接官から質問される理由とは?
採用面接時に面接官が応募者に逆質問をする理由は、下記4つを知るためです。
- 応募者の志望度を知るため
- 応募者がどれだけ準備してきたか確かめるため
- 応募者のコミュニケーション能力を確かめるため
- 自社文化との相性を確かめるため
①応募者の志望度を知るため
面接官は、応募者が自社にどの程度入社したいと願っているのか知るために、逆質問をする場合がたびたびあります。応募者の志望度が高ければ、自社の情報を調べて逆質問の準備をしているだろうと考えているからです。
たとえば応募者が業務内容について質問すれば、入社後のイメージを持っているとアピールでき志望度の高さを示せます。逆に質問しなければ、志望度が低いと見なされてしまうのです。
②応募者がどれだけ準備してきたか確かめるため
下調べをきちんとしている応募者は、入社への意欲や志望度が高いと捉えられます。また収集した情報にもとづいて的確な質問をして必要な回答を引き出すという、ビジネスパーソンに求められる基礎的のスキルを保持しているのかどうかも分かるのです。
③応募者のコミュニケーション能力を確かめるため
逆質問は自由度の高いやり取りになるので、その場での臨機応変な応答が重要になります。そのため志望動機などあらかじめ練習できる問いよりも、逆質問のほうが、いかに相手と円滑にやり取りできるのか、というコミュニケーション能力を判断できるのです。
④自社文化との相性を確かめるため
自由に質問できる逆質問では、応募者がどのような性格であるかが表れる場合も多いといえます。
たとえば、「丁寧に教えてもらう職場環境があるかどうか」という質問はどうでしょう。この場合、「応募者は細かく知りながら、丁寧に仕事を進めたいんだな」と捉えられます。
3.面接の逆質問で注意すべきマナー
面接時の逆質問は自由度が高いゆえに、マナーを守らないと面接官の評価を下げてしまう場合もあります。何を聞いてもいいわけではなく、逆質問では面接官にマイナスのイメージを与えてしまうリスクもあるのです。
ここでは、どのようなマナーを守れば効果的な自己アピールができるのか、について解説します。
- 調べれば分かる内容を聞かない
- 意図が分かりにくい質問はしない
- 面接時に話題に挙がった内容を再度聞かない
- 福利厚生について質問しない
- 「質問をしない」という選択肢はNG
①調べれば分かる内容を聞かない
事前に調べれば分かることを逆質問で聞くと、準備不足だと伝わり志望度が低いと見なされてしまいます。たとえば志望企業が扱うサービス・商品、取引企業などに関する質問は、会社のホームページなどで分かるため、評価を下げます。
一方、志望企業の商品が他社と比べてどのような特徴があるのかを聞けば、事前に準備しているとアピールしながら、志望度が高いという印象を面接官に与えらるのです。
②意図が分かりにくい質問はしない
意図がわかりにくい抽象的な質問では、逆質問を効果的に活用できません。たとえば、志望企業の社風を尋ねられても「社内の人間関係なのか」「業務遂行の仕方なのか」「社員の人柄なのか」面接官には伝わりません。
面接官は答えに戸惑ってしまい、自分の主観的な意見を述べるしかなくなってしまうでしょう。職場の雰囲気や1日のスケジュールを尋ねるのも、質問の意図があいまいで面接官を困らせます。こうした質問はしないように注意しましょう。
③面接時に話題に挙がった内容を再度聞かない
面接時、話題にあがったことを逆質問すると、相手の言ったことをきちんと聞いていないという悪い印象を与えてしまいます。面接ですでに答えが出ていたり、応募者が複数の面接の場合では質問が重複してしまったりする場合もありえるでしょう。
そのような事態を避けるためにも、事前に質問をいくつか準備しておきます。
④福利厚生について質問しない
「有給取得率」「住宅手当」「有給休暇」「退職金制度」など、逆質問で福利厚生に関連することを聞くのは避けましょう。面接官に仕事への熱意より福利厚生が目当てで志願しているという悪い印象を与えかねません。
特に転職の場合、理由が福利厚生にあると捉えられがちですので注意しましょう。もし残業時間についてどうしても知りたい場合は、求人情報では分からなかったと伝え、勤務条件を柔軟に受け入れる姿勢を示しながら質問します。
⑤「質問をしない」という選択肢はNG
逆質問を求められた際、何も質問しないと志願度が低いと見ななされ面接官に良い印象を与えられません。逆質問を前提として、事前にいくつか質問を準備しておきましょう。
4.面接時に逆質問をするメリット
面接時に逆質問をすると、どんなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、その内容について見ていきます。
- 面接で話しきれなかった部分をアピールできる
- 熱意をしっかりと伝えられる
- 入社後のミスマッチを防げる
①面接で話しきれなかった部分をアピールできる
逆質問は、面接で話せなかったことを面接官に伝えられる「ラストチャンス」でもあります。準備してきたにもかかわらず面接で聞かれなかった内容があったら、逆面接でそれを持ち出ちましょう。
また面接での受け答えが不十分だったと思ったら、逆面接で再度納得いくように答えます。それによって、面接官の評価が上がるケースもあるからです。面接で手応えを感じていなくとも、逆面接を活用すれば合格を勝ち取れます。
②熱意をしっかりと伝えられる
限られた面接時間内に、応募者は応募企業で働きたいという熱意を伝えるのはなかなか難しいもの。逆質問は自由度が高いため、「自分が何をしたいのか」「なぜ志望したのか」を伝えられます。
逆質問を上手に活用して仕事への熱意を伝えられれば、短い面接時間でもほかの応募者と差を付けられるのです。
③入社後のミスマッチを防げる
逆質問は、入社後「こんなはずではなかった」という思いを抱くような“ミスマッチ”を防ぐチャンスでもあります。
残業時間を減らしたいと考えて転職を希望していても、志願している企業の残業時間が分からなければ不安になるだけでなく、入社してからミスマッチに気付くかもしれません。そのためにも、懸念点は事前に確認しておきます。
5.面接の逆質問で失敗しないためのポイント
逆質問で、「特にありません」と答えるのは最大のNGです。就職したいという意欲が面接官に伝わらないだけではなく、コミュニケーション能力がないと判断され、面接官に悪い印象を与えてしまうからです。
逆質問の活用は、面接の攻略に必要不可欠。ここでは、逆質問で失敗しないためにおさえておきたい3つのポイントをご紹介します。
- 複数の質問を用意しておく
- 求人要項に載っている情報は正確に把握しておく
- 面接官が答えられるであろう質問をする
①複数の質問を用意しておく
逆質問は必ずされるものと考えて、いくつか準備しておきましょう。企業によって求められる質問の数は異なるものの、質問がひとつでは志願度が低いと見なされてしまう可能性も高いです。
少なくとも2、3個は準備し、その場の状況によって臨機応変に使い分けましょう。
②求人要項に載っている情報は正確に把握しておく
求人情報に掲載されている情報を正確に把握したうえで、逆質問を行います。なぜなら自分が応募した部署や職種の内容をきちんと把握しないで逆質問をすると、面接官に働く意欲が低いと見なされてしまうからです。
このような場合、逆質問によって不合格となってしまう可能性もあります。
③面接官が答えられるであろう質問をする
逆質問では、面接官が答えやすい質問をしましょう。
たとえば、「中途採用で入社した方は、どのような部署で活躍していますか?」という質問を人事担当者にした場合、答えられるでしょう。しかし同じ人事担当者に「会社の今後の戦略について」を質問しても答えられない可能性が高いです。
質問する相手が人事担当者なのか経営者なのかなど、面接官の立場によって質問内容を臨機応変に変えて、答えられる質問をします。また「はい、いいえ」で答えられるような質問をすると話が続かないので、避けたほうがよいでしょう。
6.目的別に分けた逆質問を紹介
逆質問は目的を定めると効果的に活用できるのです。ここでは目的別に、逆質問を紹介します。
- 好印象を与えるための逆質問
- 企業との相性を判断するための逆質問
- やる気があると伝えるための逆質問
①好印象を与えるための逆質問
面接官に好印象を与えるための逆質問では、志願度の高さや自分の長所をアピールするだけではなく、志願企業を理解しようとする姿勢をアピールしましょう。
たとえば現在の事業展開を踏まえて、今後の事情展開の予定を聞いたり、具体的な事業を取り上げて、そこに関わるにはどのようなスキルを磨くことが必要かを聞いたりしてみるのです。
それによって、企業理解を深めようとする姿勢をアピールできるので、面接官に好印象を与えられます。
②企業との相性を判断するための逆質問
応募企業の今後の人事戦略や職場改革の方針について、質問するとよいでしょう。福利厚生や残業時間などを確認するためだけの質問をしてしまうと、「仕事への熱意が足りないのでは?」と判断される可能性もあり、面接官には良い印象を与えない場合も。
待遇のみに関心があるわけではないと伝えつつ、質問内容を工夫すると、企業との相性を確認できる逆質問ができるのです。
③やる気があることを伝えるための逆質問
逆質問で仕事へのやる気があることを伝えるには、評価制度や管理職などの役職制度について質問してみましょう。それによって管理職への意欲や、会社から高評価を得ることを目指そうとする強い意志が伝えられます。
また「高く評価されている人」「逆に評価されていない人」にどのような特徴があるのか、質問してみるのもよいでしょう。こうした質問によって「自分も入社後に高く評価されるようがんばりたい」という意欲をアピールできるのです。
7.知っておきたい逆質問の組み立て方
逆質問での質問の組み立て方次第で、面接官への印象が良くも悪くも変わります。適切な組み立て方のポイントを押さえておくと、逆質問を効果的に活用できるのです。ここでは、質問を組み立てるためのポイントを説明します。
- 自己分析をもとに考える
- 適職診断をもとに考える
- 企業研究をもとに考える
①自己分析をもとに考える
個性的な質問を組み立てるためにも、自己分析をしてみましょう。自己分析によって自分の個性を再確認し、それを逆質問の質問に活用するのです。自己分析方法としておすすめなのは、自分にかかわるさまざまなエピソードについて深掘りしてみること。
一つひとつのエピソードにおける自分の感情を分析すると、自分がほかの人と違ったどのような個性を持っているのかが見えてきます。それを質問に落とし込むと、個性的な質問になるでしょう。
②適職診断をもとに考える
適職診断や性格診断の結果を参考にするのも、おすすめです。何も参考にせず自分だけの考えにもとづくとどうしても主観的になってしまいます。適職診断や就職カウンセリングを活用すると、自分に適している仕事が何であるのかが掴みやすくなるのです。
ある程度客観性のある自己分析にもとづいて、逆質問を考えてみましょう。
③企業研究をもとに考える
志望企業に関連する複数の企業を比較研究するという方法もあります。
志望企業だけでなく競合他社と比較すると、自分の志望する企業の特徴や魅力が発見しやすくなり、企業に関する疑問点も浮かび上がってくるのです。そのような疑問点を頭に置いておくと、逆質問の準備がスムーズに進むでしょう。