ノンバーバルコミュニケーションとは、言語以外のコミュニケーションです。ここでは、ノンバーバルコミュニケーションについて解説します。
目次
1.ノンバーバルコミュニケーションとは?
ノンバーバルコミュニケーションとは、言語以外で行うコミュニケーションのことです。非言語の手段の例としては、下記のとおりです。
- 身振り手振り・ジェスチャー・表情・目の動きといった動作行動
- 体重・体臭・髪や皮膚の特徴・体つきといった身体特徴
- あいさつ、抱く、触るといった接触行動
- 音声の高低や強弱・リズムといったパラ言語
- 対人距離や守備範囲・縄張りといった空間行動
- メガネ・衣服といった人工物
- 照明・温度といった環境要因
バーバルコミュニケーションとの違い
バーバルコミュニケーションとは、言語を使ったコミュニケーション手段のこと。日常会話として当たり前に用いられています。「共通語がない」「効果的にコミュニケーションを取りたい」場合、ノンバーバルコミュニケーションとの併用が有効です。
2.ノンバーバルコミュニケーションが重視される理由
なぜノンバーバルコミュニケーションが重視されるのでしょう。それは話の受け手に説得力・精神力がある印象を与えるからです。
アップル創業者であるスティーブ・ジョブズは、ノンバーバルコミュニケーションを緻密に計算し、話の受け手に掛かる心理的影響をうまく利用していました。ビジネスの世界では、ノンバーバルコミュニケーションを駆使するリーダーが多く存在します。
メラビアンの法則とは?
メラビアンの法則とは、コミュニケーションにおいて話の受け手が受け取る情報を100と仮定した場合、話し手から受け取る情報として、「言語情報は7%」「非言語情報は計93%」になるというもの。
アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアン氏が唱えた法則です。この法則から、ノンバーバルコミュニケーションの重要性が分かります。
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3.ノンバーバルコミュニケーションの種類
ノンバーバルコミュニケーションは、特徴によって3種類に分類できます。それぞれについて解説しましょう。
聴覚的要素
聴覚的要素とは、「声色」「声の大小」「声の太さ」「声の高低」などの声質を用いたノンバーバルコミュニケーションのこと。声質を用いて自分の気持ちを相手の聴覚を通して伝えます。聴覚的要素は、バーバルコミュニケーションと相互作用を働かせるのです。
視覚的要素
視覚的要素とは、「笑顔」「真剣な顔」「怒り顔」「泣き顔」など、話し手の表情をコミュニケーション手段として用いるもの。対面でコミュニケーションを取る際、視覚的要素は非常に重要な要素となります。
身体感覚的要素
身体的感覚要素とは、「身振り・手振り」「姿勢」「呼吸」といった身体的な感覚を駆使したコミュニケーションのこと。ボディランゲージともいわれ、共通言語を持たない人ともコミュニケーションを取りやすいという特徴があります。
4.ノンバーバルコミュニケーションのメリット
ノンバーバルコミュニケーションには、メリットがあります。一体どのようなものか、下記3つから解説しましょう。
- 相手の興味・関心を高める
- 安心感を与える
- 信頼関係を構築する
①相手の興味・関心を高める
人とスムーズなコミュニケーションを取りたい場合、まず自分自身について興味や関心を持ってもらいます。なぜなら、興味や関心をきっかけに会話を弾ませていくと、相互の意思疎通を深められるからです。
②安心感を与える
ノンバーバルコミュニケーションは、話の当事者双方に、話がきちんとできているという安心感を与えます。無表情・無反応なバーバルコミュニケーションだけでは、正常なコミュニケーションは成り立ちません。
③信頼関係を構築する
「相手に興味を持ってもらう」「相互で安心を感じ合う」と、話の当事者双方で信頼関係を構築しやすくなるため、コミュニケーションを取る目的の達成につながるのです。これはノンバーバルコミュニケーションの大きなメリットでしょう。
5.ノンバーバルコミュニケーションが活躍する場面
ノンバーバルコミュニケーションは、どんな場面で活躍するのでしょう。ノンバーバルコミュニケーションが活躍する場面4つについて、解説します。
- プレゼンテーション
- ワークショップ
- スピーチ
- 面接
①プレゼンテーション
プレゼンテーションとは、企画や見積もりなどを企画書・見積書といった書面にして相手に説明するもの。このとき聴衆はプレゼンテーションの内容だけでなく、講演者の服装・動作・表情・視線の動きなどにも注目するため、内容を理解しやすくなります。
②ワークショップ
ワークショップとは、テーマが設定された体験型講座のこと。ワークショップではあらかじめ定められているテーマに沿って、主体的に参加が求められます。ノンバーバルコミュニケーションを活用すると、よりスムーズな意思疎通が実現できるのです。
③スピーチ
スピーチとは、聴衆の前で話をすること。スピーチで、「身振り手振り」「声の大きさや声色などの表現」「姿勢」「タイミングのよい呼吸」といったノンバーバルコミュニケーションを併用すると、聴衆がより魅力を感じる話が展開できます。
④面接
面接では、短時間で人物を見抜く必要があるのです。そのため担当者は、採用に値する人物を見抜くための戦略として、「表情」「姿勢」「しぐさ」「うなずき」「視線」といったノンバーバルコミュニケーションに注目して、面接を行います。
6.ノンバーバルコミュニケーションにおける4つのポイント
ノンバーバルコミュニケーションには、4つのポイントがあります。それぞれについて解説しましょう。
- 声
- 動作・仕草
- 表情
- 服装や相手との物理的な距離、すなわちパーソナルスペースなどへの気遣い
①声
コミュニケーションをより円滑で効果的に行いたい場合、声の抑揚を意識するとよいでしょう。たとえば重要な部分を話す際、「ボリュームを上げる」「ゆっくりとしたテンポで話す」と、聞き手に話の重要性を意識させられます。
②動作・仕草
直立不動の体勢では、相手とスムーズな意思疎通は困難です。そのため「できるだけ多くの特定の人に対してアイコンタクトをする」「手は後ろに組まず、自然に垂らす」「髪の毛を触るなどマイナスになる仕草をしない」などに気を配ります。
③表情
自分がどのような表情でコミュニケーションを取ろうとしているか、一度、鏡で確認してみましょう。
伝えたいことを適切に伝えたり、相手の心を開かせたりするためには、「無表情」「無理やりつくった笑顔」「しかめ面」ではない、自然な笑顔での対応が欠かせません。
④服装や相手との物理的な距離、すなわちパーソナルスペースなどへの気遣い
「TPOにマッチしている服装か」「相手に不快感を与えないよう、適度な距離を保って意思疎通できているか」といった部分にも気を配らなければなりません。
7.ノンバーバルコミュニケーションにおける3つの注意点
ノンバーバルコミュニケーションを活用する際、3つの注意点があります。それぞれについて解説しましょう。
- 伝えたい内容を明確にする
- 相手の理解度に合わせる
- コミュニティや文化の違いに気を付ける
①伝えたい内容を明確にする
明確にすべき内容とは、「自分自身が伝えたい内容」「相手が求めている内容」「相手に知識がどの程度あるのか」の3点。伝えたい内容がぼやけてしまうと、コミュニケーション自体がうまく進まない可能性も高まります。
②相手の理解度に合わせる
自己判断でノンバーバルコミュニケーションを多用するのは危険です。相手の理解度にあわせてノンバーバルコミュニケーションを活用しなければ、「主観的な展開しか望めない」「単なる自己満足で終わってしまう」状況になりかねません。
③コミュニティや文化の違いに気を付ける
通常使用しているジェスチャーや言葉が、特定の文化において無礼な意味に取られるケースがあります。意思疎通を図る相手のコミュニティや文化を理解し、違いに配慮したノンバーバルコミュニケーションが必須です。