スモールステップとは?【意味をわかりやすく】やり方

スモールステップは、アメリカの心理学者バラス・スキナーによって提唱されました。今回は、スモールステップの意味や原理、例や注目される背景、メリット・デメリットや活用方法について解説します。

1.スモールステップとは?

スモールステップとは、目標を細かく分け、かんたんな内容から少しずつ達成していくこと。当初、教育現場などで使われていましたが現在、幅広いシーンで活用されています。

スモールステップとは、初めから高い目標を設定するのではなく、目標を細分化し小さな目標の達成を積み重ねながら最終的な目標に近付いていく育成手法のこと。目標が難しく、達成するまでの道のりが長い際に導入するのが効果的、とされています。

目標が高すぎると達成が難しく、モチベーションは低下しがちです。スモールステップを導入すれば、小さな目標を少しずつ達成できていけるため、目標達成における障壁を取り除けます。

スモールステップの例

「毎日の読書」が最終目標の場合、まずは「毎日本に触れる」点を最初の目標として習慣化します。毎日本に触れる点が習慣化したら、あとは本を開いて少しずつ読み続けるだけ。

最初の目標である「毎日本に触れる」が習慣化すれば、目標は半分達成されています。最終目標である読書の継続は、比較的スムーズに達成できるでしょう。

スモールステップに似た言葉

スモールステップと似た意味を持つ言葉に、「区分」を意味するセグメンテーションがあります。セグメンテーションとは、分けた区分ごとにニーズを明確化し、その区分に応じた製品やサービスを提供すること。

マーケティングではセグメンテーションによって市場を細分化して、自社の製品をターゲット層にどのようにアプローチするか、考えます。

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.スモールステップの原理

スモールステップの原理とは、学習内容を細分化し段階的に少しずつ学習を進めていく手法のこと。プログラム学習の原理の一つとして、アメリカの心理学者スキナーが提唱したものです。

スモールステップは、難易度の高いプログラミング学習にて、課題の難易度を少しずつ上げていく方法で学習する点から始まりました。

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

3.スモールステップが注目される背景

昨今、従業員のスキルやモチベーションの向上がビジネスシーンにて取り上げられるようになり、スモールステップも注目されるようになりました。ここでは、スモールステップが注目される背景を説明します。

コーチングの重要性

コーチングとは相手の話に耳を傾けて質問や提案を行い、相手の内面にある答えを導き出す手法のこと。主に組織の開発や経営者の啓発、コミュニケーション向上などを目的として行われます。

グローバル化の進行やITの急速な普及を受け、変化に対応できる人材の育成手法として多くの企業がコーチングを導入しています。コーチングを行う際、スモールステップの視点での行動計画が重要とされているのです。

ワークモチベーションの向上

従業員一人ひとりの自主性が重要視されている昨今、従業員のワークモチベーション向上は喫緊の課題。人事担当者には、生産性の低下に直結する従業員のモチベーションを向上させるためのコーチングが必要とされています。

小さな目標をクリアしながら、モチベーションを向上させるコーチングとして、今スモールステップが重要視されているのです。

強い組織づくりへの関心

強い組織づくりを行うには、企業の制度や仕組みを変革するのはもちろん、従業員個人の行動管理やスキルアップも重要です。

部下とコミュニケーションを取りながら不足部分について可視化し、細分化して目標を達成していくスモールステップは、部下のスキルアップの要素としても注目されています。

バーンアウト (燃え尽き症候群)を未然に防ぐ

努力に満足のいく結果が得られなかった際に起こるバーンアウト(燃え尽き症候群)。職務ストレスとして知られており近年、関心が高まっています。

バーンアウトを未然に防ぐためにも、スモールステップを用いたコーチングは有効です。難易度の高い目標を細分化して達成を積み重ねていくスモールステップは、成功体験が得られやすく、バーンアウトが起こりにくいといえます。

多くの企業が抱えている課題解決のために導入されるようになったスモールステップは、近年注目を浴びているのです

バーンアウト(燃え尽き症候群)とは? 症状、立ち直り方
無気力だったり、欠勤が続いたりする社員がいるとき、バーンアウトを疑ってみることも必要です。バーンアウトは燃え尽き症候群ともいわれ、企業のみならず広く社会に問題を投げかけています。 バーンアウトとは何...

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

4.スモールステップのやり方

スモールステップの手法には、下記の3つがあります。各段階のポイントをしっかりと押さえれば、最終目標にも近付くでしょう。ではそれぞれについて説明します。

  1. 目標を細分化する
  2. 成功体験をつくる
  3. 報酬を与える

①目標を細分化する

まずは、目標を段階的に細かく設定します。ここで設定する目標は、最終目標に比べて難易度が低いものにしましょう。シンプルで分かりやすいものであれば、なおよいです。

そして一つひとつの目標をこなし、達成を積み重ねていきます。あまり細分化しすぎると、何を目指しているのか分からなくなり逆効果となってしまうため、注意が必要です。

②成功体験をつくる

従業員一人ひとりに合ったスモールステップによって、段階的にスキルアップできる課題を設定します。目標の達成を積み重ねて成功体験をつくり、達成感を得るのが大切です。

成功体験による達成感は自己肯定につながるため、モチベーションの向上も期待できるでしょう。従業員が目標を達成するたびに、フィードバックを行うのも有効です。

③報酬を与える

スモールステップによって目標を達成した際、利益になるなど好ましい結果が発生したら、従業員に報酬を与えましょう。人間の脳には「報酬系」と呼ばれる回路があり、その回路に報酬を与えるとやる気が出るとされているのです。

つまりスモールステップで細分化された目標ごとに「ご褒美」を与えると、脳が刺激され、モチベーションが向上します。

スモールステップの手法は、「目標を細分化する」「成功体験をつくる」「報酬を与える」の3つです

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

5.スモールステップのメリット

目標達成に対する従業員のモチベーション向上やスキルアップをはじめ、バーンアウトの未然防止、生産性の向上など、スモールステップにはさまざまなメリットがあります。ここでは、これらのメリットについて詳しく説明しましょう。

  1. モチベーションを上げられる
  2. 挫折を防ぐ
  3. 課題に取り組みやすくなる

①モチベーションを上げられる

最終目標を細分化すると、目標の達成が容易になります。ひとつの目標を達成できたという達成感の積み重ねがモチベーションの向上につながるのです。誰しも最終の到達点が見えない仕事に対しては、モチベーションが下がるでしょう。

また最初から大きな目標に向かうより、小さな目標でも達成できたという思いを重ねると、ポジティブに仕事に向かえます。それにより仕事も効率化し、企業全体の生産性も向上するのです。

②挫折を防ぐ

スモールステップによって難易度の高い目標が細分化され、目標が達成しやすくなっているため、挫折や失敗を減らせます。また挫折によるバーンアウトも防げるでしょう。

大きな目標を立てるたびに達成できず、挫折を繰り返す人は多く存在します。完璧すぎる目標を立てるより、まずは小さな目標を達成して、そこから難易度を上げていくのが大切です。

③課題に取り組みやすくなる

目標を細かく設定すると、課題の難易度が下がり、取り組みやすくなります。それによって、達成感も得やすくなるため、目標に取り組むプロセスが楽しくなるでしょう。

目標を次々にクリアしていくと次の目標が何か、にまで気になり始めます。「早く取り組んでクリアしてしまいたい」という心理が働き、よりやる気が出る好循環となるのです。

スモールステップによって、モチベーションの向上などが図れるでしょう。また目標を細分化すると、問題点も見つけやすくなります

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

6.スモールステップのデメリット

スモールステップはさまざまなメリットがある一方、目標を細分化するため時間がかかったり全体像を把握できなかったりするというデメリットもあるのです。それでは、デメリットについて見ていきましょう。

  1. 時間がかかる
  2. 全体像を把握できない
  3. コーチングのスキルが必要

①時間がかかる

目標を細かく設定すると、ひとつの課題に時間がかかってしまいます。期限が定められた目標を達成しなければいけない状況では、スモールステップが導入できない場合も。

またスモールステップは、一歩ずつ着実に目標を達成していく手法です。すぐ結果を出したいと思っている人には向かないでしょう。

②全体像を把握できない

細分化された目標をひとつずつこなしていく場合、全体像を見失う可能性も。そのためまずは最終目標を自分のなかにしっかりと落とし込み、スモールステップによって細分化された各目標の意味や目的を理解する必要があります。

一つひとつの目標を達成していくのはもちろん、最終目標達成までのアプローチにおいてどの段階にあるのかの把握も大切です。

③コーチングのスキルが必要

一人ひとりの従業員に合った適切な課題を設定する際必要となるのは、コーチングスキル。目標設定から達成までを第三者として客観的に評価するためには、欠かせません。

不十分なスキルでスモールステップを導入すると、期待している効果が得られないばかりか、デメリットの方が目立ってしまうのです。

スモールステップを導入する際は、デメリットまでしっかりと把握しましょう。対策を検討すると、より効果が得られます

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

7.スモールステップをビジネスで活用する方法

最後に、スモールステップをビジネスで活用する方法について解説しましょう。

  1. スケジュール管理方法
  2. スキル向上を目的とする人材育成
  3. 意識改革

①スケジュール管理方法

スモールステップは、スケジュール管理が苦手な部下の指導にも有用です。たとえば下記の方法は効果的でしょう。

  • 紙媒体で管理しているスケジュールを、ITツールなどに切り替えさせる
  • スケジュール管理の意識を高め、終わったタスクはチェックボックスに印を付けていく
  • 会議があると意識させ、会議開始時には「チェックイン」機能を設け、全員に発言させる

②スキル向上を目的とする人材育成

昨今、ビジネスにおける人材教育では、実践的なスキル教育が重視されます。スキル教育では知識教育と異なり、実際に行動する積み重ねが重要です。そこで有効となるのがスモールステップ。

「課題を一人ひとりに合ったものに設定」「具体的な行動を提示」といったポイントを押さえ、スモールステップを導入しましょう。

③意識改革

従業員の意識改革では、プロセスを踏むことが大切です。いきなり大きな課題を従業員に課しても戸惑うでしょう。また反感を買う場合もあります。

経営者として意識改革を行うためには、具体的な行動指針を示し、従業員に対してメッセージを発する必要があるのです。スモールステップで意識変革を行うと、モチベーションの向上やスキルアップだけでなく、意識改革までも達成できます。

スモールステップはビジネスにおいても有効な手段です。うまく活用すると人材育成や意識改革につながるでしょう