日本の女性労働率を表す際に、よく用いられるのがM字カーブです。企業に勤務していた女性が結婚や出産を機に退社してしまうのは、企業にとっても大変な損失となります。そこで、各企業の人事が取り組むべきM字カーブ問題についてまとめました。
M字カーブとは?
M字カーブとは、年齢層別に見た女性労働率のグラフで特徴的な曲線のことです。結婚や出産を機にいったん離職し、育児が一段落したら再び働きだす女性が多いという日本の特徴を反映したグラフです。このM字カーブを時系列で比較してみると、25~34歳における窪みが浅くなってきていることが傾向的に読み取れます。
徐々に、これは女性が出産・育児に関わらず就業を継続するようになってきていると言えます。しかし、他の先進国では、早くからM字カーブの窪みを解消する取り組みが行われているのに比べ、日本は女性が継続的に勤務できる体制作りに関して出遅れていると言えます。
M字カーブから読み取れる日本の問題点
女性の労働率がM字カーブを描くのは、日本女性の働き方の特徴が影響しています。ノルウェーやスウェーデン、アメリカなど、他の先進国では逆U字型を示しています。M字型になってしまう理由として、日本の女性が結婚や出産、育児期には離職をし、家事・育児に専念するというライフスタイルだからです。
女性に家事・育児を負担させるような性別的役割の考え方が、根強く残っていると言えるでしょう。また、働き続けながら、結婚や出産ができる条件や制度が整っていないことを示しています。そして、M字カーブの問題点は、育児が終了したあとの再就職先にパートタイムが多いという点です。
パートタイムは正社員に比べて低賃金となり、社会保険なども保証されません。このことが女性の労働条件の改善を阻んでいる大きな要因と言えるでしょう。
女性労働率の向上を!M字カーブ解消のために
M字カーブのくぼみは徐々に浅くなってきています。その要因として、女性が継続的に働くようになったことも考えられますが、晩婚化などによって、独身者や子どものいない既婚者の労働力の割合が増加したことも深く起因しています。
M字カーブをさらに解消していくためには、働きたい人が性別に関わりなく、能力を発揮できる機会の確保が大切です。そのためには、結婚や出産、子育てによって、就業を中断しなくても良い環境を整備していくことが必要です。雇用の分野において男女の均等な待遇を確保し、長時間労働の抑制や子育て支援策を充実させるなど、ライフワークバランスの確保に向けた施策を積極的に推進しましょう。
また、在宅勤務などのリモートワークの導入や、フレックスタイムの導入、男性社員の育児休暇取得の推進も、企業にできるM字カーブの解消策です。M字カーブ問題は、優秀な女性社員の離職を引き起こすことにもなるので、企業の存続にも影響しかねません。企業自身が積極的にM字カーブの問題解消に取り組んでいきましょう。
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