360度評価の失敗理由とは? 失敗例と原因、防ぎ方を簡単に

社員の納得度を高める評価手法の一つとして注目を集める360度評価。多くの社員を巻き込むからこそ、失敗したくありませんよね。本記事では360度評価の失敗例とそこから学べる「成功のポイント」をご紹介します。

1.360度評価のよくある失敗例

360度評価では、上司だけでなく部下や同僚、ときには顧客など多くの関係者がひとりの社員を評価します。多方面からの評価を受けることにより、通常の評価制度とは違った失敗がおきることもあります。

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失敗例① 社員同士の健全なコミュニケーションができなくなった

よくある失敗のひとつが、社員間で遠慮や不要なまでの気遣いが増え、健全なコミュニケーションができなくなることです。

  • 相手に低い評価をつけられたくない
  • 恩を売っておけば高評価をつけてくれるかもしれない

といった、自己防衛の気持ちが働くことは簡単に想像できるでしょう。

最終的には率直なフィードバックやアドバイスを受けられず、個人・組織の成長機会がなくなる可能性もあります。

失敗例② 社員による評価の納得度が下がった

ふたつめは社員の納得度が下がってしまうことです。

360度評価では、過去誰かを評価した経験がない社員も「評価者」として参加します。そのため評価スキルがないまま主観的な評価をしてしまうケースがあるのです。

業務とは無関係の私情が評価に反映されてしまった場合、受け取った社員にとっては納得できる評価とは言えません。

失敗例③ 社員のモチベーションが下がった

納得できない評価はそのままモチベーションの低下にもつながるでしょう。

加えて、多くの社員からの率直な評価内容を言葉通りに受け取ってしまい、落ち込んでしまったり、やる気を失ったりする場合も多くあります。

たとえば上司にあたる社員が、部下からの「話を聞いてくれない」「押しつけがましい」といった言葉を額面通りに受け取り、マネジメント業務の継続が難しくなることも起こり得るのです。

失敗例④ 現場で大きな業務負荷がかかった

360度評価は運用にかかわる人数も多く、ひとりが複数人の社員を評価することから、必然的に現場の負担は重くなります。

人事部門から「実施してください」と丸投げされてしまった場合はこの失敗につながりやすいでしょう。人数分の評価シートの記入や回収などに追われ、肝心の業務を圧迫してしまうからです。

また、業務に追われながらだと、せっかくの360度評価も「作業的」なものに終始してしまいます。

失敗例⑤ 費用対効果が合わなかった

360度評価を導入した企業から聞こえる声の一つが、導入コストに対する効果が見えないというものです。

本来360度評価は、人材育成を目的として導入されることが多く、効果が目に見えて現れるには年単位の時間がかかる場合も多いのです。

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2.【4大原因】360度評価が失敗したのはなぜ?

360度評価のよくある失敗例をご紹介してきました。失敗してしまった原因はいったい何だったのでしょうか?

ここでは4つの主な原因を取り上げます。

原因① 導入の意図・目的を伝えきれていない

根本的な失敗のひとつは、360度評価を「なぜ・なんのために導入するのか」が伝わっていないことです。

多くの社員がかかわる以上、皆が同じ方向に進めるよう「目的意識の共有」が必要となります。導入目的が浸透しないままだと、評価内容や社員へのフィードバックが目的からずれてしまうのです。そればかりか「単に業務が増えた」と受け取る社員が増える可能性もあるでしょう。

原因② 評価結果が給与や賞与に反映される

360度評価の結果が給与や賞与に反映される仕組みになっていることで、目的に応じた評価ができなくなる場合もあります。

給与や賞与にかかわるとなると、なるべくよい評価を得たいという心理状態になるのは容易に想像がつくでしょう。その結果、自己利益を守るための不適切な評価が増える可能性もあるのです。

このケースでは、制度構築の失敗が360度評価失敗の最大の原因だと言えるかもしれません。

原因③ 設問数が多く現場で対応できない

運用に失敗する原因のひとつは、360度評価で記入する設問数が多すぎることです。

ただでさえ慣れない業務に加えて、設問の数が多いとなると、社員の業務負担が想定以上に増してしまいます。

原因④ 評価実施後のフォローがない

もうひとつの運用で失敗する要因は、360度評価を実施してもフィードバックやフォローアップを実施しないことです。

360度評価では率直なコメントが出る場合もあり、評価の「受け止め方」によってはモチベーションに大きく影響します。とくに新入社員や部下から厳しい評価を受けた上司に対しては、適切なフォローアップがなければ離職につながる可能性もあるのです。

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3.360度評価で失敗しないための4つのポイント

360度評価を成功させるためには、どういったポイントがあるのでしょうか。先ほどの「失敗する原因」から考えてみましょう。

①360度評価の意図と目的を現場に浸透させる

社員からの協力を得るためにも、導入の意図と目的の共有は繰り返し伝達し、社内に浸透させていく必要があります。

よくある導入目的としては以下のようなものです。

  • 社員のスキルアップ
  • モチベーションの向上
  • 評価の客観性向上

実際に導入する場合は、事前説明会を実施し丁寧に説明する必要があるでしょう。また社員の疑問点を解消するための相談窓口を設けることも有効です。

評価結果は給与や賞与に反映しない

360度評価の導入目的を浸透させていく中で、給与や賞与に反映させる目的や制度設計ではないことを明確に伝える必要があります。評価に携わる社員が不安なく参加し、目的に即した率直な評価をおこなうためです。

たとえば「社員のスキルアップ」を目的とした360度評価を実施する場合を考えてみましょう。給与や賞与に響かないとわかっていれば、評価者の社員も安心して被評価者のスキルの改善点を指摘できるはずです。

②評価基準を明確にし、必要に応じて評価者研修を行う

もうひとつは、360度評価の評価基準を明らかにし、同時に社員の「評価スキル」を育成していくことです。

新入社員から多くの部下をかかえるベテラン社員までが参加するため、社員の「評価スキル」のレベルはさまざまです。社員に不安や迷いを与えないよう、目的に応じた明確な評価基準を作成しましょう。

社員の不安を解消する」という点は360度評価を成功させるために非常に重要です。状況に応じて、評価基準を元に「評価者研修」を行いましょう。またグループ研修のように、大人数の前では発言しにくい社員もいるかもしれません。その場合は個別の相談窓口や面談機会を設けるなど、丁寧な対応が求められます。

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③設問数は最低限とし負担を減らす

実際の評価シート作成において重要なポイントが、設問数を厳選し社員の運用負担をなるべく減らすことです。

  • 全体の質問数:30問
  • ひとりあたりの回答時間:15分

を目安に考えてみてください。

また評価シートの配布や回収など、業務負担を軽減するために「人事評価システム」を導入することも選択肢のひとつです。

④評価後のフォローアップを行う

評価の結果は必ず被評価者へフィードバックし、フォローアップしましょう。360度評価の運用スケジュールを組むときは、フィードバック面談までを含めて全体を設計するようにします。

フィードバック面談では次のようなことに気をつけるとよいでしょう。

  • よい点、改善点をバランスよく盛り込む
  • できるだけ具体的な言葉で伝える
  • ネガティブな言葉を使わない

とくに360度評価の結果がモチベーションに与える結果は大きいです。評価結果と正しく向き合い、次のアクションにつなげられるような面談にすることが必要です。

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4.360度評価で失敗しないためのシステム化とそのメリット

360度評価を成功させるためには

  • 導入目的の浸透
  • 社員に不安を与えない制度設計、評価者研修
  • 360度評価による業務負担を軽減
  • 評価結果を活かすためのフォローアップ

が重要です。

これらのうち、業務負担を軽減しフォローアップのための時間を確保する、という意味において、360度評価をシステム化することには大きなメリットがあるでしょう。

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現場の運用負荷を軽減できる

人事評価システムを導入することによって、360度評価の評価シートの作成・配布・回収・集計といったこまごまとした業務負荷を一気に軽減できます。

ひとりの社員を複数人で評価することから、通常の評価制度と比較しても一連のワークフローにかかる時間は倍以上。場合によっては数百時間かかるケースもあります。

人事評価システムでは、評価シートの一斉配布・結果の自動集計といった、現場や人事部門で発生するオペレーション業務を効率化できます。評価シートを社員ごとにシステム上で管理できるため、対象社員のエクセルファイルをまとめて保管…といった煩雑さもなくなるのです。

匿名性が担保できる

人事評価システムを導入すれば、一連の評価ワークフローがシステム内で完結でき、管理上匿名性を担保しやすくなります。

たとえば評価シートのメール送付で起こりがちな誤送信、シートの紛失などといったミスを防げるのです。

360度評価では匿名性が確保されているからこそ、率直な評価につながります。社員の不安材料を減らす仕組みとしても、人事評価システムの導入にはメリットがあるでしょう。

過去の記録に基づいた納得度の高いフィードバックができる

過去の評価データをまとめて管理できる人事評価システムならば、評価者の記憶に頼らないフィードバックをおこなえます。

360度評価で得られた客観的な評価を、過去の通常の評価記録と合わせて確認でき、社員一人ひとりにより適切なアドバイスが可能です。評価に対する社員の納得度も高められるでしょう。

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主な特徴は以下の通りです。

  • 360度評価専用テンプレートで評価シートづくりも手間なし
  • 評価ワークフローを部署や部門に合わせて自由に設定
  • 評価シートの配布はメールの一斉配信でカンタン
  • 評価の提出状況は画面の一覧で把握
  • 個人に紐づけて評価結果を管理、フィードバック面談の記録もあわせて保管

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人事評価システム【カオナビ】で360度評価を運用したところ、業務負荷を大きく減らせたのが株式会社チュチュアンナです。運用工数を削減できたことで、フィードバックにより注力できるようになりました。

360度評価の導入目的

マネジメント層の成長

「自律的に動く」マインドを持ったマネジメント層を育成し、組織体制を強化することが狙いです。

運用上の課題

① 運用工数の多さと煩雑さ

半期に120時間、通期で240時間をかけていました。

② 人的ミスが起こりやすい

280名の社員がひとり5〜7名ずつ評価を行うが、エクセルシートの仕分けや配布は手作業で煩雑な状態でした。

カオナビ導入後の効果

年間240時間かかっていた運用工数が30時間ほどまで減少

この事例を詳しく知りたい方はこちら

参考 「360度評価」運用の悩みは「業務負荷」。人事の負担を8分の1に削減した「カオナビ」の効果とは?カオナビ導入事例 360度評価の事例を解説! 各企業にマッチした成功方法とは?

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