360度評価は、通常の上司が部下に対する評価制度と異なり、部下が上司に評価をしたり、同僚同士で評価をするのが特徴です。
360度評価を行う上でつまづきやすいのが、どのようにコメントをすれば良いのかという点です。普段、評価業務を行わない一般社員などはコメントに悩んで時間が掛かってしまいます。
そんな悩みが解決できるように、コメントのポイントや注意点、例文をご紹介します。
1.360度評価のコメントを書く際のポイント
360度評価では単純に評価の点数をつけてもらうだけでなく、気づきを与えられるようなコメントを書くのが重要です。
そのため、コメントの書き方が不十分だと、360度評価がうまくいかない場合があります。コメントは、なるべくその人の強みや改善点などを具体的に書くようにしましょう。
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相手の業務改善につながることを意識する
360度評価でコメントする目的は、相手に日々の業務や行動における改善などの気づきを与えることです。そのためコメントを書く際には、どんなことを言えば相手のためになるのかを基本に考えることが重要です。
悪い例:売上目標は達成できなかったが頑張ってはいた
良い例:売上目標は達成できなかったが、◯◯さんが顧客視点でまとめたトークスクリプトや営業資料は、今後の営業活動に役立ちそう。視点や訴求は悪くないので、デモ練習を重ねながら場数を踏めば、売上目標は達成できそう
具体的に書く
相手の良いところ、改善点に関係なくコメントは具体的に書きましょう。「コミュニケーション力が高い」「思いやりが足りない」というような抽象的なコメントでは、コメントをもらった相手が、何を伸ばして、何に気をつければ良いのかわかりません。
悪い例:いつも情報共有してくれるのでありがたい
良い例:WEBマーケティングの最新情報を積極的に共有してくれるので、チームで仕事がしやすくなった
相手を傷つける表現やコメントをしない
360度評価での失敗でよくあるのが、コメントで悪口を書いてしまうことです。しかし相手を傷つけることを目的としたコメントは改善につながりません。思うところがあっても、感情を抑えて、客観的なコメントを心掛けましょう。
悪い例:仕事が遅くその分のフォローに手間がかかる。チームのお荷物
良い例:仕事が与えられた際、段取りを考える前に手を付けているので、非効率な仕事をしている。結果としてメンバーのフォローも必要になっているので、始める前に段取りを考えるクセをつけるとよいと思う
2.役職別に見るコメントの書き方
360度評価は上司、部下、同僚とそれぞれの立場からコメントします。役職によって評価すべきスキルやどのような行動をみるべきなのかなど視点が変わってきますので、ここからは役職別のコメントや注意点などをご紹介していきます。
部下から上司へのコメント
部下から上司への評価するうえで重要なポイント、注意点は以下になります。
- コメントのポイント:マネジメント力を評価
- コメントの注意点:主観的な評価
コメントのポイント:マネジメント力を評価
上司に対して評価をするのは難しいかもしれませんが、いちばん書きやすいのはマネジメント力を評価することです。マネジメント力というのはチームが仕事をしやすい職場環境を作る能力になるので、部下である自分自身が上司の作り出している環境で働きやすいのか判断しやすい部分になるからです。
また、
- 部下を育成する努力をしているか
- チームの業務が効率化できるように全体を見ているか
なども注目しましょう。
コメントの注意点:主観的な評価
部下が上司を評価するというのは慣れていない場合が多いため、部下の評価が主観的になってしまい、好き嫌いだけで判断される恐れがあります。
主観的な評価になってしまうと人間関係の悪化やモチベーション低下につながりチーム全体にも悪影響を与えかねません。
また、気を遣いすぎていい評価だけを付けてしまっても意味がありませんので、良い点と悪い点を客観的にみて評価する必要があります。
コメント例文
- 定期的に1on1やチームMTGを行い部下の業務状況を常に把握に務めてくれている
- 会社全体や他部署の情報などが、一般社員まで伝わっていない場合があるので、定期的に情報共有をしてほしい
- 自分の興味があるセミナーや研修などを自分の特性を理解したうえで積極的に紹介してくれるのでスキルアップがしやすい
- 他部署と業務をする場合に連携がスムーズに行えるように事前に働きかけてくれているので動きやすかった
- 単純作業に時間が掛かっていて業務を圧迫していたが業務効率化のためにシステムの導入を推進いただき、無駄な作業が削減できた
上司から部下へのコメント
上司から部下への評価するうえで重要なポイント、注意点は以下になります。
- コメントのポイント:スキルやモチベーションを評価
- コメントの注意点:成績だけを見て評価しない
コメントのポイント:スキルや仕事の取り組み方を評価
上司から部下への評価はスキルや仕事へのモチベーションを評価するようにしましょう。
スキルは業務を進めていれば把握しやすいですが、モチベーションは注視していないと分かりづらい部分なので、部下の行動をよく観察する必要があります。上司からの評価で部下のモチベーションを下げてしまうのは避けなければいけません。
コメントの注意点:成績だけを見て評価しない
評価の際には、成績だけを見ての評価や、本人の言葉だけを信用するのも危険です。前向きな言葉を並べていても実際は手を抜いて仕事をしていたり、あまり仕事に対する熱意がなさそうに見えても業務は真面目に取り組んでいるパターンもあります。
成果を出すまでのプロセスにも目を配ると、部下も自分の行動を見てくれていると感じモチベーションの向上にもつながります。
コメント例文
- 目標の売上はできなかったが、顧客の目線に立って資料に工夫を凝らしてアプローチしていたことは評価できる
- 売上は達成できたことは素晴らしいが、毎日の遅刻や社内イベントの不参加などは評価しづらい部分になるので生活態度を改善してほしい
- セミナー、研修に積極的に参加してスキルアップに励んでくれている。今度は得た知識をアウトプットできるように実務に生かせることを期待
同僚へのコメント
同僚の評価するうえで重要なポイント、注意点は以下になります。
- コメントのポイント:積極性や仕事への意欲を評価
- コメントの注意点:なれ合いで評価しない
コメントのポイント:積極性や仕事への意欲を評価
同じ立場同士の社員を評価する場合には、成果よりもチームメンバーとして毎日仕事をする上で、どのように感じているかを書きます。
社員同士でお互いに評価をするのは違和感がありますが、メンバーの行動を見ていて参考になりそうなこと、自分に足りないものを見つけるいい機会となります。
コメントの注意点:なれ合いで評価しない
同じ立場の社員同士が評価をすると、なれ合いでお互いに甘い評価を付けがちです。
対して、気が合わない社員には無関心なコメントをする場合が多いので、自分の感情を抑えて客観的に評価しましょう。
コメント例文
- 社内での顔が広いので業務で困ったことがあると、詳しい社員を紹介してくれてフォローをしてくれる
- 業務外の社内イベント等でも積極的に運営に関わり、社内のコミュニケーション活性化に貢献している
- メンバーの特性を良く理解していて、共同で作業する際にも業務の分担がうまくスムーズに仕事が行える
- 仕事に対する熱意は高いのだが、一人で業務を抱えているように見えるので周りに分担できるともっと効率的に業務が進められると思う
3.職種別に見るコメントの書き方
職種によってコメントに書く内容も変わります。
営業であれば数字に関すること、事務(管理)職であれば業務の確実性や効率化、技術職であればスキルなどが中心になります。
ここからは職種別に360度評価のコメントのポイント、注意点を見ていきます。
営業職向けのコメント
営業職の評価するうえで重要なポイント、注意点は以下になります。
- コメントのポイント:行動力やコミュニーケーションを評価
- コメントの注意点:数字やノルマのことばかりに触れない
コメントのポイント:行動力やコミュニーケーションを評価
営業の評価となると数字を意識してしまいがちです。
数字はもちろん大事ですが、数字以外にも営業職で必要なで行動力やコミュニケーション力などにも目を向けるようにしましょう。
取引先と良好な関係を築けているか、社内での各部署との連携もスムーズに取れているかなども評価のポイントです。
コメントの注意点:売上やノルマのことばかりに触れない
営業の数字では売上がいちばん重要視されがちですが、売上だけが評価の対象になるとプレッシャーになってしまいます。
売上以外にも、アポイントの件数、企画の数などハードルの低い目標を見てあげることで評価の幅も広がります。
コメント例文
〇 部下から上司
- 顧客への対応が不十分だった際に適切なフォローをいただけたおかげで顧客の信頼が回復しその後の商談もスムーズに行えた
〇 上司から部下
- 売上は未達成だったが、アポイントの件数は目標を超える数字を達成したことは評価できる。多くのアポイントを経験したことでなぜ契約まで至らなかったかを分析して今後のに生かしてほしい
- 営業に必要な人脈を獲得するため、セミナーや交流会に積極的に参加して人脈を広げている
事務職向けのコメント
事務職の評価するうえで重要なポイント、注意点は以下になります。
- コメントのポイント:確実性やミスの少なさを評価
- コメントの注意点:細かい変化に気づく
コメントのポイント:確実性やミスの少なさを評価
事務職では、主に総務や経理などは売上には直結しない業務になりますので確実性を重要視したり、業務の効率化に取り組めたかを評価します。
また、他部署と関わる機会も多くなりますので、コミュニケーション力や柔軟な対応力も重要なポイントです。
コメントの注意点:細かい変化に気づく
事務職は変化が少ない業務になりますのでコメントも少なくなりがちです。淡白なコメントになってしまっては相手の印象も悪くなりますので日々の細かい変化を見つけてあげて評価しましょう。
コメント例文
〇部下から上司
- 普段から使いづらかった経理システムを変更するため、新しいシステムの導入を提案してくれた。移行後は業務の効率がアップしミスも減るようになった
〇上司から部下
- 毎日の単純作業を効率化するため、エクセルの関数やマクロを使って自分なりの工夫をしている。今後は蓄積したスキルをチーム全体で使えるような仕組化を期待したい
技術職向けのコメント
技術職の評価するうえで重要なポイント、注意点は以下になります。
- コメントのポイント:スキルアップや業務効率化を評価
- コメントの注意点:技術力だけでなく業務の進め方などにも目を配る/li>
コメントのポイント:スキルアップや業務効率化を評価
技術職は、まずスキルが重要視される仕事です。これまでどのようなスキルを習得し経験を積んできたか、資格取得をしてきたかを評価します。
また、売上には直結しないとしても、業務効率化のために行ったシステム開発なども評価対象とすると良いでしょう。
コメントの注意点:技術力だけでなく業務の進め方などにも目を配る
技術職を評価する場合は、スキルの評価がメインになりますが、チームで動く場合はチームメンバーとの連携も不可欠です。スキルだけでなく、コミュニケーション能力やスケジュールを意識した業務の進め方なども評価の対象にしましょう。
コメント例文
〇部下から上司
- 自分の考えた開発プロジェクトに対して指摘をするだけではなく、効率のいい改善案や実行するための人材のアサインなどをフォローしてくれて業務が滞りなく進められた
〇上司から部下
- 毎年、新しい技術を積極的に身に着けている。さらに業務にも習得した技術を生かしてツールも開発し会社へ貢献している
4.360度評価の運用はクラウドが便利
360度評価の運用をエクセル等で管理していては作業工数が増えてしまい、いちばん重要な評価やフィードバックの時間が取れなくなります。
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