近年その重要性が再認識されつつある「人材発掘」。新たな採用の手間とコストをかけずに適材適所を実現する施策として、再認識されています。今回は「人材発掘」の成功のポイントとコツについてお伝えします。
人材発掘とは?
人材発掘とは「社内に埋もれた優秀な人材を見つけ出し、能力を発揮できる新たなポジションにつかせること」を指します。
日本企業の多くは、採用コストの大半を「求人」とそれにともなう「選考」に費やしていますが、部署のポジションが空いたときに、人を外から新たに採用するよりも、戦力になる人材を社内で見つけて異動させるほうがはるかに効率的です。
しかし、顔が見える程度の小さな組織で、社員たちがどんなコンディションで働いているのかが全部見えている状態なら問題ありませんが、数十名規模の社員を抱えるようになった時点で、経営者にとっては見えない部分の方が多くなり、最終的な結果だけが手元に残るようになります。
日々の積み重ねであるプロセスが見えなくなった結果、優秀な人材がくすぶってしまうことも少なくありません。
人材発掘と採用
日本企業の多くは、「新卒一括採用」によって組織を構成しています。当然、入社時の経験や技能を問うものではなく、実務経験はなくとも本人の意欲と基礎能力を評価し、入社後の成長に期待するものです。
そのため、将来的なビジョンや能力については、本人はもちろん採用した企業側にも見えておらず、研修やOJTを経て、ローテーション人事を回してくうちに少しずつ適材適所を実現していくというのが一般的です。ところが、組織が大きくなるにつれて、社員の能力やキャリアの方向性が反映された人事を実践することが難しくなっていきます。
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経営戦略の一環として、将来有望な若手を発掘のうえ抜擢するような大胆な施策を実行するためには、しっかりした人事データーベース構築が必要です。これによって社員のコンディションをリアルタイムに把握できるようになります。
また、管理者が業務のみならず、将来のビジョンも含めた本人の希望や意思をしっかり引き出せるかどうかも重要です。さらに、自部署内に優秀な人材を囲ってしまおうとする動きを無くすなど、同時に組織コンディションのオープン化を進めることもスムーズな人材発掘につながります。
人材発掘の方法
もっとも一般的なのは、各部門による指名や推薦に基づく人選でしょう。次世代のリーダー候補者選択においても、部門推薦であれば現場での実態や業績といった事実を根拠として選抜できることは大きなメリットになります。ただし、この場合はポテンシャルが認められにくいことも。
さらに、現場のエースを抜かれては困るという理由から適切な人選が行われないケースもあります。そのため、現場の意見を尊重する一方で、経営サイドや人事部門も人選に加えることがベストです。
客観的な経営者の意見や人事データから導き出された将来性などの観点が加わることで、優秀な人材の選抜漏れを防ぐと同時に、人選への理解度を高める結果につながります。
人材発掘のポイント
有意義な社内面談こそがすべてです。人事権を持つマネージャーと対象社員が、たとえよく知りあっている関係だとしても、面談は真剣かつ丁寧に行われなければいけません。
必ず新たな重要な発見があるはずです。マネージャーが対象社員のスキルや能力、今後の可能性についてわかっていると思い込むことで、主観的な判断に基づく質問しかできなくなってしまいます。
マネージャーは、面談方法について改めて学ぶ必要があるかもしれません。まず、対象社員が明らかにそのポジションに向かない場合は、希望があっても面談自体の必要がない可能性もあります。
仕事との相性について、ストレートに伝えましょう。また、異動面談の様子が今ひとつ奮わなかったとしたら、マネージャーのみならず、別の人にあらためて面談してもらうことも検討してください。