2023年度の最低賃金ランキングは?【47都道府県の一覧】

2023年10月から最低賃金が引き上げられます。本記事では、各都道府県の最低賃金をランキング形式で紹介。さらに、最低賃金が全国一律でない理由と最低賃金制度について解説します。

1.2023年の最低賃金ランキングは?

最低賃金ランキングとは、最低賃金額を都道府県別に順位付けしたものです。ここでは、2023年10月から引き上げされるの最低賃金を都道府県別のランキングで紹介します。

  • 2023年最低賃金トップ10
  • 2023年最低賃金ワースト10
  • 2023年最低賃金ランキング(全都道府県)

最低賃金とは? 種類、計算方法、対象、引き上げの際の企業の対応
最低賃金とは賃金の最低額のこと。制度の目的や種類、計算方法や対象、決定までの流れ、引き上げ時の対応などについて解説します。 1.最低賃金とは? 最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならないと...

最低賃金トップ10

最低賃金トップ10は、以下のとおりです。

  • 1位 東京 1,113円
  • 2位 神奈川県 1,112円
  • 3位 大阪府 1,064円
  • 4位 埼玉県 1,028円
  • 5位 愛知県 1,027円
  • 6位 千葉県 1,026円
  • 7位 京都府 1,008円
  • 8位 兵庫県 1,001円
  • 9位 静岡県 984円
  • 10位 三重県 973円

ランキング上位は大都市が集中する傾向

ランキングの上位には、首都圏の1都3県がランクインしています。

  • 東京 1,113円(1位)
  • 神奈川県 1,112円(2位)
  • 埼玉県 1,028円(4位)
  • 千葉県 1,026円(6位)

関西エリアでも、以下の4府県がランクインしました。

  • 大阪府 1,064円(3位)
  • 京都府 1,008円(7位)
  • 兵庫県 1,001円(8位)
  • 三重県 973円(10位)

また中部地方では愛知県が1,027円(5位)にランクインしています。

最低賃金ワースト10

最低賃金ワースト10は、下記のとおりです。

  • 47位 岩手県 893円
  • 45位 徳島県、沖縄県 896円
  • 40位 秋田県、愛媛県、高知県、宮崎県、鹿児島県 897円
  • 37位 青森県、長崎県、熊本県 898円

ランキング下位には地方都市が集中する傾向

ランキングの下位には、日本列島の南北の端に位置するエリアが多く含まれています。

九州地方では、

  • 沖縄県 896円(45位)
  • 鹿児島県、宮崎県 897円(40位)
  • 熊本県、長崎県 898円(37位)

東北地方では、

  • 岩手県 893円(47位)
  • 秋田県 897円(40位)
  • 青森県 898円(37位)

がランクインしています。

参考 2023年度の最低賃金決定額について内閣官房

2023年最低賃金ランキング(全都道府県)

順位 都道府県名 2023年10月からの
最低賃金額
引き上げ金額
1位 東京都 1,113円 41円
2位 神奈川県 1,112円 41円
3位 大阪府 1,064円 41円
4位 埼玉県 1,028円 41円
5位 愛知県 1,027円 41円
6位 千葉県 1,026円 42円
7位 京都府 1,008円 40円
8位 兵庫県 1,001円 41円
9位 静岡県 984円 40円
10位 三重県 973円 40円
11位 広島県 970円 40円
12位 滋賀県 967円 40円
13位 北海道 960円 40円
14位 栃木県 954円 41円
15位 茨城県 953円 42円
16位 岐阜県 950円 40円
17位 富山県 948円 40円
17位 長野県 948円 40円
19位 福岡県 941円 41円
20位 山梨県 938円 40円
21位 奈良県 936円 40円
22位 群馬県 935円 40円
23位 石川県 933円 42円
24位 岡山県 932円 40円
25位 福井県 931円 43円
25位 新潟県 931円 41円
27位 和歌山県 929円 40円
28位 山口県 928円 40円
29位 宮城県 923円 40円
30位 香川県 918円 40円
31位 島根県 904円 47円
32位 山形県 900円 46円
32位 福島県 900円 42円
32位 鳥取県 900円 46円
32位 佐賀県 900円 47円
36位 大分県 899円 45円
37位 青森県 898円 45円
37位 長崎県 898円 45円
37位 熊本県 898円 45円
40位 秋田県 897円 44円
40位 愛媛県 897円 44円
40位 高知県 897円 44円
40位 宮崎県 897円 44円
40位 鹿児島県 897円 44円
45位 徳島県 896円 41円
45位 沖縄県 896円 43円
47位 岩手県 893円 39円

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2.最低賃金制度とは?

最低賃金制度とは、以下のような制度です。最低賃金制度の目的について解説しましょう。

  • 国が最低賃金法にもとづいて賃金の最低額を定める
  • 雇用者は、国が定めた最低賃金額以上の賃金を被雇用者に支払わなければならない

最低賃金法とは? 確認方法、対象、最低賃金より低い場合
最低賃金法は、国が労働者の賃金の最低限度を定めたものです。ここでは最低賃金法について詳しく解説します。 1.最低賃金法とは? 最低賃金法とは、使用者は国が定めた最低賃金額以上の賃金を支払わなければな...

最低賃金制度の目的

最低賃金制度の第一義的な目的は、低賃金労働者に対し、賃金の最低額を保障して労働条件の改善を図ること

これらの実現により、最低賃金制度は第二義的に「労働者の生活の安定」「労働力の質的向上」「事業の公正な競争の確保」を実現し、最終的には国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています。

最低賃金制度の目的は、賃金の最低額を国で定めて、国民経済の健全な発展に寄与することです

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3.最低賃金のランキングが決定する日程

最低賃金のランキングが決定する日程に関して解説します。

目安発表時期と改定の発行年月日

最低賃金最低賃金は、厚生労働省の中央最低賃金審議会で、毎年の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられます。

取りまとめた結果は、毎年7月末に発表され、改訂発行年月日は10月1日から発表されるのです。目安となる発表時期は毎年7月末で、地域によって発行年月日は異なります。

最低賃金のランキングの発表時期は、中央最低賃金審議会で取りまとめられた結果が発表される毎年7月末です

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4.最低賃金が全国一律でない理由

なぜ最低賃金は全国一律でないのでしょうか。その理由と問題点について解説します。

均衡賃金が異なるため

最低賃金が全国一律でない理由は、均衡賃金が異なる点にあります。大都市は生活費が高く、人が集まるもの。

そのため「高い賃金を支払わないと人材が集められない」「効率的に収益を上げられるので、高い賃金を支払っても人材を雇用する企業が多い」点を持ちます。よって自ずと均衡賃金が高くなり、最低賃金もほかより高くなる傾向にあるのです。

全国一律でないことによる問題点

最低賃金が全国一律でないことによる問題点として、以下が指摘されています。

  • 最低賃金が都道府県ごとに設定されており、最大で200円を超える地域間格差が生じている
  • 基本的月間労働時間を173.8時間として計算した場合、設定された最低賃金では金額が低く、セーフティネットを担えない
  • 地域別最低賃金の設定で、規模の小さな中小企業の支払い能力が重視されている傾向にあるため、低い金額にて決まりやすい

最低賃金が全国一律でない理由は、均衡賃金が異なるためです。最低賃金には、地域間格差が生まれる・セーフティネットを担えないなどの問題点があります

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5.最低賃金の種類とその計算方法

最低賃金にはさまざまな種類があり、それぞれ計算方法も異なります。ここでは下記について解説します。

  1. 地域別最低賃金とは?
  2. 特定(産業別)最低賃金とは?
  3. 最低賃金の計算方法

①地域別最低賃金とは?

地域別最低賃金とは、各都道府県で働くすべての労働者と使用者に対し適用される最低賃金のこと。特徴は、以下のとおりです。

  • 47の各都道府県で最低賃金が定められる
  • 産業や職種による制限なく定められる
  • 正社員や契約社員、派遣社員や嘱託、パートやアルバイトといった雇用形態や呼称を問わず、働くすべての労働者と使用者に適用される

②特定(産業別)最低賃金とは?

特定(産業別)最低賃金とは特定の産業に関し、関係労使が基幹的労働者として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定める必要があると認めるものについて設定された、最低賃金のこと。

神奈川県では、塗料製造業や鉄鋼業、非鉄金属製品製造業や自動車小売業など、7つの産業で特定(産業別)最低賃金が定められています。

③最低賃金の計算方法

最低賃金の計算方法は、給与形態別に定められているのです。ここでは、「時給・日給・月給制の場合」「出来高払制やそのほかの請負制で定められた賃金の場合」の計算方法と計算例について解説します。

時給・日給・月給制の場合

時給・日給・月給制の最低賃金の計算方法は、以下のとおりです。

  • 時給制は、時間給≧最低賃金額(時間額)
  • 日給制は、日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
  • 日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合は、日給≧最低賃金額(日額)
  • 月給制は、月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
月給制の場合の具体的な計算例

月給制の場合の具体的な計算例を、千葉県の例で解説しましょう。労働条件や計算例は以下のとおりです。

  • 労働時間…1日8時間
  • 年間労働日数…250日
  • 基本給…125,000円
  • 職務手当…30,000円
  • 通勤手当…7,000円
  • 時間外手当…33,000円
  • 合計…195,000円

合計から最低賃金から除外される通勤手当と時間外手当を差し引き、それを時給換算すると930円。千葉県の最低賃金は1,026円なので、最低賃金を下回っています。

出来高払制やそのほかの請負制で定められた賃金の場合

出来高払制やそのほかの請負制で定められた賃金の場合の、計算方法は、以下のとおりです。

  • 出来高払制そのほかの請負制により計算した賃金総額を、それに要した総労働時間数で除して、時間当たりの金額に換算する
  • 最低賃金額(時間額)と比較する
出来高払の場合の具体的な計算例

出来高払の場合の具体的な計算例を、神奈川県の例で解説しましょう。労働条件や計算例は以下のとおりです。

  • 所定労働時間…1年 170時間
  • 時間外労働…40時間、内深夜労働20時間
  • 基本給…196,000円
  • 通勤手当…7,000円
  • 深夜割増賃金…4,900円
  • 時間外割増賃金…9,800円
  • 合計…217,700円

合計から、最低賃金から除外される通勤手当と時間外手当を差し引き、それを時給換算すると980円。神奈川県の最低賃金は1,112円なので、最低賃金を下回っています。

最低賃金は、地域別最低賃金・特定(産業別)最低賃金の2種類です。計算方法についても、理解しておきましょう

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6.働く前に最低賃金について知っておきたいこと

働く前に、最低賃金について知っておきたいこととは何でしょうか。下記2点について解説します。

  1. 最低賃金を下回った場合、使用者に対して罰則がある
  2. 最低賃金かどうか、かんたんにチェックできるサイトもある

①最低賃金を下回った場合は使用者に対して罰則がある

使用者には、国が定めた最低賃金額以上の賃金を労働者に支払う義務があります。労使の合意により最低賃金額より低い賃金を定めた場合、無効となり、最低賃金額と同様の定めをしたものとされるのです。

もし最低賃金額未満の賃金を支払った場合、最低賃金額との差額の支払い義務があります。

地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合

地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合、最低賃金法に定められている50万円以下の罰金対象となります。

特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合

特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合、労働基準法に定められている30万円以下の罰金の対象となります。

②最低賃金かどうか、かんたんにチェックできるサイトもある

最低賃金かどうかかんたんにチェックできるサイトがあるのです。時給制の場合は勤務先の都道府県や時給を入力し、月給制の場合は勤務先の都道府県や最低賃金対象の給与額、1日の所定労働時間と1カ月の所定勤務日数を入力します。

これだけでかんたんに最低賃金を計算できるので、計算が苦手な人も安心です。

賃金が最低賃金を下回った場合、使用者に罰則があります。最低賃金を調べるには、サイトを活用すると便利でしょう