HOHOとは? SOHOとの共通点と相違点、はじめ方、注意点

「HOHO(ホーホー)」とは、自宅をオフィスにして夫と妻のそれぞれが好きな仕事をするワークスタイルのこと。HOHOについて詳しく解説します。

1.HOHOとは?

HOHOとは、定年を迎えたり子育てを終えたりして時間のできた夫婦が、自宅をオフィスにして好きな仕事をしながら収入を得るワークスタイルのこと。His Office Her Officeの略です。

働く時間を自分で調整しやすいため現在、アメリカにて新しいシニアライフのあり方として注目されているのです。日本でまだHOHOは浸透していません。しかし育児や介護で働けない人にとって有効な働き方のため、今後広まる可能性は高いでしょう。

少子化と高齢化で日本の労働人口は縮小しています。HOHOは企業にとって人材確保の手法となりえるのです。

HOHOとSOHOとの違い

SOHO(Small Office Home Office)とは、ひとりあるいは数人で自宅や小規模なオフィスで働くスタイルのこと。SOHOは「自宅以外にオフィスを構えるケースがある」「従業員を雇う場合がある」点がHOHOとの違いといえるでしょう。

SOHOとは?

SOHOは、主に個人事業主が小さなオフィスや自宅で仕事をすること。企業や個人事業主から委託された仕事を請け負って、情報通信を活用して自宅や小規模事務所などで働く形態です。

国土交通省の定義は「企業などの大きな組織に属さない個人事業主や経営者が、パソコンなどの情報通信機器を利用しながら、小規模オフィスや自宅で仕事を行うこと」。なお総務省ではこのオフィス規模を「10人未満」としています。

SOHOの特徴は、PCがあれば小さなスペースでも働ける職種が多い点です。たとえばライターやプログラマー、デザイナーやWeb制作などが挙げられます。

HOHOとSOHOの共通点

SOHOとHOHOの共通点は「就業場所が会社ではなく、自宅や小さな事務所など」「自らの都合に合わせて働ける」点。

HOHOやSOHOのメリットとして挙げられるのは、「自分のペースで仕事ができ、家族や生活と過ごす時間が増える」「通勤に必要な時間とお金を節約できる」「住んでいる場所に関係なく仕事ができる」などです。

HOHOとSOHOの相違点

2つの違いは下記のとおりです。

  • HOHO:定年退職したり子育てが終わったりして時間に余裕がある夫婦の働き方を表す点。勤務場所は自宅に限定
  • SOHO:HOHOのように特定の年齢層や関係性を含まない

またHOHOのSOHOではオフィスを構えることが含まれている点も、両者の違いといえます。なお職種やそれにともなう業務内容などは両者に変わりはありません。求められるスキルもほぼ同一といえます。

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2.日本におけるHOHOの現状と課題

HOHOはまだ日本で十分に認識されていません。しかし日本が抱える定年後の雇用や人材不足などの問題解決に有用なワークスタイルとして、期待されているのです。企業がHOHOに対応するには、管理や評価などの体制作りが必要でしょう。

HOHOのボリュームゾーンは団塊の世代

日本でHOHOにあたるのは、いわゆる「団塊の世代(1947年から1949年の間に生まれた人を指し、2021年の年齢は72歳から75歳)」。

2021年9月15日時点、団塊の世代を含む70歳以上の人口は2,852万人で総人口の22.8%を占めています。この団塊の世代を中心にHOHOが広がっていくと考えられているのです。

職場は引退しても働き続けたい

職場は引退しても働き続けたいという人が存在します。自宅で好きな時間に働けるHOHOというスタイルでこうした高齢者の雇用を促進できるでしょう。

内閣府が発行した2012年の「団塊の世代の意識調査結果」によると、団塊の世代全体のうち42.5%が「働きたい、仕事をしたい」という意思を持っています。また働きたい年齢については「いつでも働ける」という回答が最も多く見られました。

働く理由で多いのは生活費や貯蓄などです。しかし生きがいを得るためやスキルを生かすため、といった声も少なくありません。

課題はいかにHOHOを労働力にしていくか

人材不足の日本で労働力を確保するために、企業はHOHOのような柔軟な働き方を認める必要があるでしょう。時間に余裕のある団塊世代やシニア層はもちろん、育児や介護などが理由で決まった時間の勤務が難しい人を雇用しやすくなるからです。

現在介護しながら働いている人にHOHOを適用できれば、離職防止効果も期待できます。

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3.HOHOの始め方

HOHOはどのように始めるのでしょうか。そもそもHOHOとは在宅で仕事するもの。職種によるものの、始める際はいくつかの準備や手続きが必要です。

  1. HOHOを始めるとき最初に考えること
  2. HOHOの具体的な準備

①HOHOを始めるとき最初に考えること

HOHOを長続きさせるためにも、好きなものや得意なものを仕事として選択しましょう。前職で培ったスキルや長く続けている趣味などを生かすとHOHOを継続しやすくなります。

専門性が高い業務なら一定の需要がありますし、システムやソフトを使う業務は在宅ワークしやすいです。趣味で外国語を勉強しているなら、文書の翻訳やオンラインでの通訳といった仕事ができます。

HOHOの具体的な準備

HOHOを自宅や小事務所で始める前に、通信環境の整備や帳簿の作成、法的な手続きなどを行いましょう。

設備を準備する

電話やFAX、コピー機やパソコンなど、通信に必要な装置や機器を準備しましょう。たとえばPCはもちろん、ビデオチャットがスムーズに行える程度のインターネット回線や仕事用のメールアドレスなども必要です。

請求書や資料の印刷が多いなら、コピー機も早めに用意しておくとよいでしょう。

法務の手続きを行う

HOHOの事業や職種によっては、資格や認定が必要な場合もあります。たとえばインターネットによる中古品の買取や再販、レンタルや交換などの事業を立ち上げる場合、古物商許可証が必要です。

士業で開業するなら、事前に各種資格の取得と開業届の提出をしなければなりません。違法な営業や無許可の商売にならないよう、官公庁の許認可や届出を行いましょう。

帳簿を作成する

事業を立ち上げる場合、確定申告で収支内訳書や決算書などを提出します。現金出納や経費などが記載できる帳簿を作成しておきましょう。

大学ノートや家計簿用のノートなどに記載しても問題ありません。しかしエクセルや会計ソフトを使うと計算ミスを防げるうえ、効率化されます。領収書や明細書、請求書など会計処理に必要な書類も保管しておきましょう。

宣伝する

先に述べたとおり、HOHOの認知度は高くありません。ブログやSNS、人脈や地域活動などをとおして自身がHOHOを始めたと告知しましょう。

HOHOが浸透してより多くの人がHOHOを始めれば、企業もHOHO人材を活用し始めます。それにより働く先も広がりますし、企業が抱える人材不足の課題も解消できるでしょう。

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4.HOHOを始める際の注意点

HOHOを始める際、何に注意すればよいのでしょうか。とくに会社員としてHOHOを始める際は、老齢厚生年金の仕組みを理解しておきましょう。

  1. 夫婦別々にHOHOを始めるほうがいい
  2. 負債は自己責任
  3. 年金が減額される場合も

①夫婦別々にHOHOを始めるほうがいい

夫と妻のビジネスが違うと、さまざまなメリットがあります。あるアンケート調査では、お互いが異業種についている夫婦の割合は80%。メリットとして挙げられるのは、下記のとおりでした。

  • お互いに知らない世界の話を聞けて知識が増える
  • ライバル関係にならなくて済む
  • 余計な口出しをされない

異なる業務でもプリンターやファイルキャビネットなどのオフィス設備を共有できるので、設備や環境で問題が発生するのも減ります。

②負債は自己責任

自分で事業を立ち上げた場合、経営のスキルが求められます。負債を抱えるとすべて自己責任になるからです。資金繰りがうまくいかないと、借金や買掛金などが生じてHOHOの継続はもちろん、生活まで困難になるかもしれません。

ただしHOHOでは自宅で仕事ができるのでオフィス賃料がかかりません。経費を抑えられる点では経営にてメリットといえます。

③年金が減額される場合も

会社に所属するHOHOも考えられます。このとき「在職老齢厚生年金(厚生年金に加入しながら(働きながら)受け取る老齢厚生年金)」を受け取っているなら注意が必要です。

一定以上の給与収入があると在職老齢年金の支給額が減額されてしまうのです。60歳から64歳までは「給与+年金月額」が28万円を超えると減額、65歳以後では「給与+年金月額」が47万円を超えると減額となります。